2017年9月21日(木)から9月24日(日)まで、千葉・幕張メッセにて開催中の東京ゲームショウ2017(21日・22日はビジネスデイ)。その出展が発表されるや否や、一躍Twitterを中心に有名になったPCタイトルが今回インタビューした『Last Standard』である。

 Twitterアカウントからプレイヤーの深層心理を解析し、そのプレイヤー固有の武器と技を作成する対戦アクションゲーム『Last Standard』。剣や斧といった種類、サイズ、攻撃力やモーションまでもが自動生成され、同じ戦術を用いる武器はひとつとして生まれない。まさに自分自身の写し身を操って戦うことになる。

深層心理で戦う『Last Standard』イケメン代表に“サイコダイブ”の仕組みを聞いた【TGS2017】_03

 その特徴的な"サイコダイブシステム"がインターネット上で大きな話題を呼んでいる本作だが、制作したのは若きインテリたちだった。

 代表の中道慶謙氏にインタビューの機会を設けていただき、気になる"サイコダイブ"の仕組みや、今後の展望について、かねてより本作に期待を寄せている筆者が質問してみた。

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代表の中道慶謙氏。イケメン。

――よろしくお願いします。またお会いできるのを楽しみにしていました。昨年の東京ゲームショウで遊んで以来、すっかり『Last Standard』のファンなので。

中道 よろしくお願いします。かなりバージョンアップしているので、別のゲームみたいになっていますよ。

――グラフィックがスタイリッシュに生まれ変わりましたよね。前回遊んだときは、ワックワクで召喚した武器が巨大キノコでへこみましたもん。「俺の深層心理、キノコかあ……」って。

深層心理で戦う『Last Standard』イケメン代表に“サイコダイブ”の仕組みを聞いた【TGS2017】_02
黒いロングコートには、男子の心をくすぐる何かがある(以前は、もっとバカゲ-っぽかったんです)。

中道 見た目だけでなく、アクションもかっこよくなっています。ジャスト回避すると相手の動きがスローになったり、ひとつの武器で使える技が6種類になったりと、戦略的かつ爽快に立ち回れるようにしました。

深層心理で戦う『Last Standard』イケメン代表に“サイコダイブ”の仕組みを聞いた【TGS2017】_01

――バージョンアップといえば、深層心理から武器を生成するシステムが、性格アンケートを行うものから、新たにTwitterアカウントを利用するものに変わりました。まさにそのTwitterでも話題になっていましたが、まずはこの"サイコダイブシステム"が生まれたきっかけについて教えていただければと思います。

能力バトル漫画を再現したかった!サイコダイブシステムが生まれた理由

中道 ……あの、唐突で申し訳ないんですが、ぼく『ジョジョの奇妙な冒険』や『HUNTER×HUNTER』が大好きなんです。

――本当に唐突ですね! いや、その2作品はぼくも大好きですけど、それと"サイコダイブ"にどんな関係が?

中道 "スタンド使い"や"念能力者"どうしの戦闘って、"相手がどんな能力者なのか"の探り合いから始まるじゃないですか。

 初対面の敵との能力バトルでは、何をされるかわからない緊張感や、攻略法をいちから組み立てる頭脳戦の要素が必須だと思うんです。お互いに手の内がわからないようなシステムにすれば、能力バトル漫画の醍醐味をゲームでも再現できるかな、と。

――なるほど。たしかに、既存の対戦ゲームは相手の装備や技から戦いかたを予想できてしまう作品も多いです。

中道 それに、やっぱり操作キャラクターは"唯一無二の自分自身の分身"であってほしいという思いもあります。他人と外見や戦法が被るのがあまり好きじゃなくて……。どうせなら、本人の個性が爆発するようなゲームを遊んでみたかった。神経科学(心理学)を専攻している自分と、情報解析を専攻している友人がタッグを組めば、理想のシステムを作れるんじゃないかと思ったのが制作のはじまりですね。

――たしかに、深層心理なんて個性以外の何物でもないですからね!

Twitterから深層心理を分析できるの……? ただのランダム生成なんじゃ……? サイコダイブの真相とは!

――読者がいちばん気になっている部分だと思うんですが……、ぶっちゃけ、サイコダイブってただのランダム生成じゃないんですか?

中道 ちがいます!(笑) 専用のサーバーを使って、プレイヤーのツイートを解析しています。

――おお! すごいですね。具体的にはどんな要素を吸い上げているのでしょうか。

中道 おもに、"言葉の使い方"ですね。よく「下ネタばっかり使っているアカウントは同じような武器になるの?」と聞かれるんですが、単語だけでなく、語尾や言い回しにもフォーカスを当てて、もっと深い部分で性格を測定しています。"人を楽しませたくて下ネタを言う人"なのか"単に下品な人"なのかでまったく違う結果になるはずです。

――なるほど(笑)。精度はいかほどですか?

中道 かなり高い自信がありますよ。複数アカウントを持っている方にサイコダイブしてもらったことがあるんですが、それぞれのアカウントで、ほぼ同じ姿形の武器ができあがりましたから。このあたりは、言語学の文献を読み漁りながら試行錯誤を重ねました。サイコダイブシステムを前に自分を偽るのは難しいですよ。

――もう怖さすら感じるシステムですね! ところで、今日の試遊で何かおもしろい武器は生まれました?

中道 片手で持てるくらいの小さな……なんだろう、おそらく鈍器なんですが、振りのモーションが鬼のように速いんです。見た目で油断した相手をボコボコにできます。

――物騒すぎる。

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お願いしたらモーションを再現してくれた。やさしい。

特殊な必殺技やランクマッチを実装予定。アーリーアクセスは来年開始を目標!

――早く製品版を遊びたくてしゃあないのですが……!

中道 すでにSteam Greenlightは通過しているので、来年中にはアーリーアクセスを開始するのが目標です。

――おお、もうすぐじゃないですか。それまでに追加予定の機能などはありますか?

中道 ボタンがふたつ余っているので、そこに特殊スキルを実装予定です。いまは試験的にスピードがアップするスキルを入れていますが、もっと種類を増やしたいですね。

――さらに個性が強化されますね! オンラインマッチングはどのような形式を予定していますか?

中道 フリー対戦以外に、ランクマッチも実装予定です。

――強いプレイヤーのTwitterアカウントが有名になって、本作をきっかけにインフルエンサーが生まれたりしたら楽しいですね。

中道 そうですね! もちろん、武器の個性だけで勝負が決まることのないように工夫はしていますけど(笑)、 己の性格を信じて、ぜひ挑戦してみてほしいです!!

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 さらにプライベートなお話もお聞きしたところ、現在6人いる開発チームのメンバーは高校時代の同級生だそうだ。気心の知れた仲間だからこそ、挑戦的なアイデアをどんどん追加していけるのだろう。

 製品版はSteamで配信予定。自分の性格はどのような形で武器に反映されるのか、考えただけでワクワクしないだろうか。発売を期待して待ちたい。

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筆者の武器は短刀。6種類の技のうち、ふたつがフェイントだった。ひねくれた性格を見抜かれている……。