元特殊部隊員がバックパック型PC『VR One』でFPSをプレイ! 元プロの戦士に戦いかたとVRの未来を訊いた

特殊部隊に所属していた元プロの戦士による、バックパック型PC『VR One』の試用会が開催された。VRでの利用を想定した本機は戦闘訓練にも有効なのだろうか?

VRは射撃トレーニングに有用なのか?

 エムエスアイコンピュータージャパンから発売中のバックパック型PC『VR One』。VRプレイに最適化したパーツ構成に加えて、ノートPCのようにバッテリーのみで駆動できるのが特徴だ。背負った状態で電源ケーブルを気にせずどこでもVRコンテンツを遊べるのは、VRファンにとってうれしい製品だ。

 2017年8月31日、『VR One』を使った“変わった実験”が行われた。取材班は会場の新橋ツクモデジタルライフ館に突撃取材を決行した!

 今回の実験では、『VR One』を特殊部隊に所属していた元プロの戦士に使ってもらい、機動性や耐久性などのテストを行うと言う。さらに、特殊部隊のトレーニングに「VRを活用できるか?」という実験も兼ねているそうだ。

 使用したゲームはVR FPSの『Overkill VR』(Steam内の紹介ページ→こちら)だ。ファミ通.comはゲーム中心の情報サイトなのでゲームについて紹介すべきなのだが、今回の取材は「元特殊部隊の戦士」という強烈なワードが気になって仕方がない。

steamで配信中のVR FPS『Overkill VR』。ただいま1980円で販売中。

 会場に到着すると、タクティカルスーツに身を包んだ、見るからに一般人ではないおふたりの姿が。楽しそうに笑顔で談笑はしているものの、体格がよく、立っているだけで迫力がある。

 このおふたりが今回の主役。田村装備開発株式会社 代表取締役社長の田村忠嗣氏と、同社 訓練教育部 部長の長田賢治氏だ。田村氏は元警察官で、機動戦術部隊に所属していた経歴を持つ。そして長田氏は元陸上自衛隊で、特殊作戦群(当時の名称)に席をおいていた人物と紹介された。

 おふたりとも一般には耳馴染みのない部署に在籍していたのだが、簡単に説明すると「超危険な事件に対処するための特殊部隊員」。いわゆる“プロの戦士”という人物。

田村装備開発株式会社 代表取締役社長・田村忠嗣氏。元警察官だが、よく知られている警察官とは違い、RATSや重大突発事案対策班という部署に所属していた。外国人犯罪組織への突入・検挙や皇室の警護などをしていたらしい。ちなみに、昔からゲームが好きで、『ドラゴンクエスト』シリーズや『メタルギアソリッド』、『バイオハザード』もプレイしている。

田村装備開発株式会社 訓練教育部 部長・長田賢治氏。元陸上自衛隊員で、防衛庁長官直轄部隊 特殊作戦群(SOG)に所属していた戦闘のスペシャリスト。部隊レンジャー訓練を首席卒業、銃剣道五段、どんな地形でも戦える技術を持っている。言えないことが多すぎるせいか、インタビュー中にたびたび言葉を濁していた。

田村氏と長田氏がテストする機材がこちら。エムエスアイのバックパック型PC『VR One』だ。

おふたりの装備は田村装備開発の商品(一部他社のものもアリ)。これらの装備品の販売や、前述した訓練は民間に向けても行っている。

トレーニングサイト→こちら

商品サイト→こちら

プロの戦士が『VR One』を装着! バーチャル世界の悪人を討伐開始!!

 会場の準備が整うと、まずは田村氏が『VR One』と『htc VIVE』を装着。家庭用ゲームは遊ぶようだが、『VR One』は初体験とのこと。スタッフが『Overkill VR』を起動したところで実験開始。田村氏のヘッドマウントディスプレイの様子は、会場のモニターに映し出されていた。

スタッフの指示でバーチャル戦場に旅立つ田村氏。来ているタクティカルスーツは田村装備開発のものなので、コスプレではなく本物。

 スタッフの合図でゲームが始まると、田村氏は戦闘態勢に入った。その動きはとにかく素早くてムダがない! しゃがんだと思えば、その直後にすぐ中腰になって射撃。しかも撃った瞬間、またすぐに動いて隠れる。「これがプロの動きか!」と感動するほどスピーディーでかっこいい。

 歩くときもしゃがんでいるときも、つねに銃口と顔の向きが一直線で、いつ敵が現れても仕留められる体制だ。ものすごい動きで敵を倒し続け、約5分間のプレイを終えた。

これがプロの戦士のかまえだ。真正面に立って撮影していると、銃口がこちらを向いているので死んだ気分になれる。

動きが速いのに音がほとんどしない。『HTC Vive』のコントローラーのカチャカチャとした音だけが聞こえてくる。これが特殊部隊の隠密行動なのか。

はい、また銃口がこっち向いた~。2回目の死を覚悟した。

 ヘッドマウントディスプレイを取り外した田村氏は「これ、難しいね!」などと笑っていたのだが、息がまったく切れていないことに驚く。あんなに動き回ったのに、汗ひとつかかずに涼しい顔で感想を言えるなんて、いつもどのくらい激しいトレーニングを積んでいるのか想像もつかない。

 続いて長田氏のテストが始まった。田村氏の動きと異なり、低い姿勢で戦うことが多かった。これが陸上自衛隊特殊部隊の動きなのだろうか? 戦闘経験のない一般市民の筆者に理解できるのは、「戦いかたがかっこいい!」ということだけだった。

長田氏のプレイもかっこいい! これしか言えない自分の語彙力の乏しさに泣きたくなる。

 田村氏もそうだったが、長田氏も不用意には歩き回らないのが印象的だった。遮蔽物から一瞬だけ顔を出したと思ったら、すぐに隠れる。この時間、わずか0.1秒ほど。

 これは後にわかったことだが、顔を出した一瞬で風景を目に焼き付けて、隠れてから記憶内の風景を思い出しながらじっくり考え、つぎの一手を考えているそうだ。特殊部隊で戦うには、銃火器を扱うテクニックのみならず、そうとうな記憶力も必要なのだ!

脚と腰が痛くなりそうなポーズなのに、この姿勢のままヌルヌルと動いていた。どんなトレーニングをしたら、この体制のままスムーズに動けるのだろう。

元陸上自衛隊特殊部隊のかまえ。動きに迫力がありすぎて、手に持っているモノがコントローラーではなく銃に見えてくるから不思議。