8月末にテキサス州ダラスで行われたゲームイベント“QuakeCon”から、サバイバルホラーアクションゲーム『サイコブレイク2』のインタビューをお届け。

 アメリカのテキサス州ダラスで、4日間にわたって行われたゲームイベント“QuakeCon”。本来はFPS『Doom』や『Quake』などを生み出したid Softwareのファンイベントだが、近年では同グループのパブリッシング部門であるベセスダ・ソフトワークスの関連タイトルも出展されている。

 今年はTango Gameworksが開発し、10月19日にプレイステーション4/Xbox One/PCで発売予定のサバイバルホラーアクション『サイコブレイク2』の試遊台が出展され、同時期に行われたGamescomに引き続き、来場者たちが楽しんでいた。
 本誌ではすでにインタビューをお届けしているが、QuakeCon版のデモを遊んだ上で、あらためてエグゼクティブ・プロデューサーである三上真司氏と、本作のディレクターのジョン・ジョハナス氏に話を聞くことができたので、QuakeConバージョンのインタビューをお届けしよう(なお本誌ではQuakeCon版デモのプレイリポートもすでにお届けしているので、あわせてお読み頂けると幸いだ)。

●三人称視点アクションでのホラーという形式へのこだわり

――今回のおふたりの役割の関係をまずあらためて教えてください。
三上真司氏(以下、三上) 僕がエグゼクティブ・プロデューサーで、彼(ジョハナス氏)がディレクターです。ジョンはTango Gameworks設立からちょっとした頃に新人で入ってきて、前作の本編ではプランナーを任せて、洋館のステージを担当したのかな。
ジョン・ジョハナス氏(以下、ジョハナス) そうですね。
三上 そこのクオリティも結構良かったんですけど、いきなり大きいのはしんどいだろうと思ったんで、その後DLCでディレクターを任せました。そこでいいのをやっぱり仕上げたので、次のチャンスはでかいのをやってみようかと。若手でも才能がある人だったらできるだけバトンを渡すというのは、Tango Gameworksのポリシーなんです。僕が引退するとかそういうことではなくて、チャンスがあればバトンを渡したいと。

――ディレクターを任されてどうでしたか?
ジョハナス まぁ、もちろん緊張しますよね。とはいえDLCはスケールは小さいんですけど、ある程度辛いこともありつつ、作り上げることができた。でもDLCなら「これを入れたいから入れてください」といったわがままも言えたんですが、今回は(開発規模やチームサイズが異なるため)ある程度人に任せなければいけないから、そこは新しい学習が必要でしたね。
三上 全部自分の目が届く範囲でコントロールできる規模とは違って、ある程度の人数に増えちゃったら直接はコントロールできないので、人に任せつつ自分のイメージにできるだけ近い結果にしなければいけないし。彼は細かい部分にも結構うるさいから、なかなか任せきれないんですよ。そこが難しかったね。
ジョハナス そうですね。どこかで切り替えなければいけないんですけど、特に最初の頃はDLCの時のやり方を引きずっていて、やっぱりこれはしんどいというのに気づきましたね(苦笑)。

――お互いのホラー観のこだわりの部分について違いを感じる部分はあったりしますか?
三上 そんなにないと思いますよ。感じる違いと言えばむしろ、20年近く前と今で、お客さんの求めている“ホラー感”が随分変わってきたなと。当時はピュアホラーならともかく、物理的に敵を倒しても大丈夫で、怖いだけじゃなくて倒してスカッとするというところがゲームのスタイルにはマッチしていて、それで受けたところもあると思うんですけど、今は極端に言えば、敵が殺せないぐらいの方が面白いとか。

――今出たような非戦闘系のホラーとか、あるいは一人称視点のPOV型のホラーのゲームが全盛ですけども、その中で三人称視点のアクションのホラーにこだわる理由はあったりしますか?
三上 一作目の時の話になりますけど、主観視点にすると、ホラーはホラーでもある程度説明してもらわないと、パっと見ではどんなゲームかの差別化ができないという理由がひとつ。もうひとつは、当初の計画では主人公のセバスチャンのアニメーションを、すごいハイレベルに持っていくという計画があったんです。
ジョハナス 当初のコンセプト通りではないのですが、それでも、プレイしながら主人公のポーズが少し変わる様子を見せてプレイヤーの感覚を誘導するようなことは結構やっています。それって、一人称視点でできないことはないですけど、やっぱり三人称視点の方が向いているんですね。
 今回も割とモーションでキャラクター性を出すのはやっていて、重いオブジェクトを倒した後にこういう(肩や手を軽く回す)仕草をしたりとか。僕が好きなのはスニーキングで近づいた時に、スッと自然にナイフを抜いて準備する所。実装されたのをチェックした時に、「ああ、格好いいなぁ……」と思いましたね(笑)。
三上 自分であって自分じゃない、そういう所が三人称視点の魅力で、キャラクターが格好いい仕草すれば好きになるし、ダサい仕草すればちょっと嫌いになるし。第三者/他人であることの魅力も引き出しやすいんですよね。イケメンだったりかわいいだけでも好きになったりするし。
ジョハナス ただ、これで一番大変なのは、背中を面白く見せることですね。
三上 背中は動きがないんでね。大抵リュックをつけたりするじゃないですか。あと、一番嫌いなのがスーツ。普通の人としてはポピュラーな服装だし、女性受けもいいけど、動きが固くなっちゃって、とにかく動きが死ぬ。スーツがもっと動きに連動して自由に動くようになればいいなぁと。いずれそうなるでしょうけど。

▲三人称視点アクション(特に肩越しの視点になるスタイル)は確かに“背中”が大きい。

●比較的自由に歩き回れる広いステージや、カスタマイズ幅もパワーアップ

――前作について「ダッシュをもっと長くできるようにして欲しい」とかいろいろフィードバックがあったと思うんですけど、開発側で、「これは変えよう」という反省点などはありましたか?
三上 まずはレターボックスをなくす(※上下に帯が入った横長の画面構成だった)、ストーリーをわかりやすくする、難易度をもう少し簡単なものをつける(※難度は3段階で、エイムアシストのオン・オフが存在)。シンプルに言うとそんな感じですかね。
ジョハナス ダッシュで使うスタミナなどは割と細かい方の項目ですが、今回かなり長くしてあります。

――カスタマイズの幅が増えたのはどういう意図ですか?
ジョハナス 今回はせっかく広いステージもあるし、自分のスタイルで遊んで欲しいからですね。例えば前作でもスニーキング要素自体はありましたけど、カスタマイズで成長させることができなかったので、要素としてあまり伸びなかった。だから「今回はできるだけ最後までいろんなスタイルでプレイできるようにしましょう」というコンセプトになって、それに合わせて成長システムが出来ていった感じですね。
 それと前作では、グリーンジェルを自分の成長に使うか、武器の強化に使うかを選択しなければいけなかったけど、今回はグリーンジェル(※能力強化)と武器パーツ(※武器強化)に分けています。それらの要素を全部組み合わせて、好きなスタイルを作ってプレイしてもらいたいですね。

――確かに、今日遊んだデモの“ユニオン”の町が結構広いので驚きました。最初はリリーの声の無線が来てる方向に進むだけで、そこだけ作ってあるのかと思ったら、「あれ、こっちからも別の無線が聞こえるということは、いろいろ寄り道できる設計ってことで、となると結構広そうだぞ」と。それで見渡してみると上に行けそうな建物もあったりして。
ジョハナス あのマップのコンセプトのひとつは「“壁”を作らない」ということで、普通の町のように広がっていて、その中を比較的自由に進めるような作りになっています。

――ああいった歩き回れるステージは他にもある?
ジョハナス あまり詳しくは話せないのですが、他にもありますよ。

▲ユニオンでは無線機を使って娘リリーの痕跡を追っていくのだが、リリー以外の声をキャッチすることがあり、そちらに行くとサイドイベントが発生したりする。

●最後は泣けるホラー!?

――前作では精神世界を繋げる“STEM”というギミックが隠してあったことで、現実かと思ったら精神世界だったとか、妙なシーンや人物が出てきたのに対して「あぁ、あれはそういうことだったのか」といった事が後からわかるといった演出が効いていました。今回は続編として、STEMの世界がどういうものなのかわかっている分の演出的なトリックはどうしているんでしょうか。逆に知っていることを利用したトリックがあるとか?
ジョハナス 具体的には言えないですが、そういう方向ではあると思います。前作だったらミステリーがずっとあって、本当に現実かわからないという話になっていた。クリアーしてもそう思っていた人がいるぐらいで。
三上 前作を何度もクリアーしたっていう人にインタビューで「あれ、(現実とSTEM世界を)行ったり来たりしてますよね?」と聞かれて、「一回しか行ってないです……。(※申し訳なさそうに)」と答えることもあって、そこはちょっと分かりづらくて悪いことをしちゃったなと。
ジョハナス 今回は最初から「これはSTEMの世界です」とわかっているんですけども、前作と体験したものとは違いますし、見たことある、知っているから怖くないのではなくて、逆に今回何が違うかという所が面白くなると思います。

――前作の、「振り向いたら来た道がなくなってた、それでもう一度振り向いたらそっちも変わってた」といったギミックが大好きだったので、今回のデモでも思いっきり引っ掛けられて嬉しかったです。ビックリして叫んじゃいましたけど。
三上 ああいった演出は僕らも気に入っていて、人の頭の中の世界って、すごく奇天烈な世界があってもおかしくない。一番最初スタッフが描いてくれたイラストで、家が何個も積み木のように連なっていて、空間が記憶の中でねじれているというものがあって、それなんか個人的にスゴい好きで。そういうのがメインなぐらいでもいいぐらい。
 探索して「このドアを開けてもそんなに広い空間はないな」という推測がついたところで、ドアを開けたら目の前に全然違う広いスペースが広がってるとか、「どう繋がってんの?」とびっくりするじゃないですか。そういう違和感とかが結構良くて。
 でも、空間的には繋がりがおかしくても、ストーリー的には繋がっていて、記憶イメージとしてはそれで正しいんです。映像的、演出的になんだってありというのをストーリーや設定の前提にすれば、「こいつの記憶はこんなイメージを持っている、だからこういう世界になるんだよ」という、ストーリーや設定と歪んだ舞台が一致する作りができるというのは大事にしている部分のひとつですね。

▲ユニオンの町もまた空間が歪んでいる。

――今回大きく関係してきそうなステファノ・ヴァレンティーニはマッドな殺人アーティストのシリアルキラーなわけで、ルヴィク(※前作のキーになっていたキャラクター)とはかなり性質が異なる存在ですね。それによってSTEMの変質などはあるのでしょうか?
三上 ステファノが出る時は、やっぱりステファノの意識や記憶に世界が影響されてそのように変わる。それ以外の人ではそれもまた違う変わり方をする。それによってそれぞれのステージの特色を出そうと。そういう部分のまとまりが今回はいいですよ。

――あれ、となると他の人の世界がある?
ジョハナス 何があるかは本編で確認してみてください(笑)。
三上 それと今回、最後に泣けるホラーですから。考えてみたら、そういうホラーゲーム意外になかったよなと。だからぜひ最後まで遊んで欲しいなという思いがありますね。