戦争で犠牲になり、みずから語れなくなった人たちのためにストーリーを代弁する

 2017年8月22日~26日(現地時間)、ドイツ・ケルンメッセにて、ヨーロッパ最大のゲームイベントgamescom 2017が開催。本稿では、『コール オブ デューティ ワールドウォーII』を制作するスレッジハンマー・ゲームスのスタジオヘッド&ファウンダー、マイケル・コンドリー氏にインタビューを実施したので、その内容をお届けする。

 第二次世界大戦に回帰する『コール オブ デューティ ワールドウォーII』では、これまでのシリーズにはなかった、新要素となるソーシャルスペース“Headquarters”の導入が明らかになっている。gamescomでは“Headquarters”をフィーチャーした新トレーラーがお披露目され、1vs1のデュエルやスコアストリークの練習など、さまざまな要素が確認できた。
 今回のインタビューでは、“Headquarters”、そしてマルチプレイについて直撃したので、本作を購入予定の方、先行ベータをプレイされている方はぜひチェックしてほしい。

『コール オブ デューティ ワールドウォーII』ソーシャルハブ“Headquarters”では空爆イベントも マルチプレイの気になる部分を直撃【gamescom 2017】_08
▲スレッジハンマー・ゲームズ スタジオヘッド&ファウンダー
マイケル・コンドリー氏(文中はマイケル)

――ソーシャルスペース“Headquarters”では、射撃練習場以外にも、1vs1の対戦が楽しめるデュエルがありますが、これを導入した意図は?

マイケル Headquartersは、マルチプレイヤーにおいて、もっともイノベーティブな要素のひとつです。ファンが集まることのできるスペースにしたかったし、交流したり、競争したり、リワードをもらったり、目標を達成したことを自慢できる場所です。射撃練習場では、武器のスキルをマスターしたり、対戦もできる。誰でもHeadquartersでソーシャルなアクティビティを楽しめるのです。個人的には、スキルのテストが行えさらに楽しい空間でを提供したいと考えていたので、本要素を導入できてとてもうれしいです。

――“Headquarters”について、参考にしたゲームがあると聞きましたが、実際どうなのでしょうか?

マイケル 例えるなら、『World of Warcraft』(Blizzard Entertainmentよりサービス中のMMORPG)の“シティ”はそのひとつです。『Call of Duty』(以下、『CoD』)はとても素晴らしい競合的モード(マルチプレイ)を提供しますが、交流できる場所はまったく新しい要素です。ファンが集まり生き生きとした時間を楽しんでくれるものと思っています。また、競合的モード(マルチプレイ)でも、Warモードや師団システムなど画期的な新要素を取り入れていますが、ファンがソーシャル経験を楽しめるHeadquartersは、とてもエキサイティングですよ。

――公開された最新トレーラーだと、Headquartersが空爆を受けているようでしたが、あれはスペース内のイベントでしょうか?

マイケル Headquartersはノルマンディ・ビーチを舞台にしており、ドイツ軍から空爆を受けるイベントが起こります。これもソーシャル経験の一例です。Headquartersの内部にいる人たちは、協力して対空砲などでドイツ軍と戦うと、全員に報酬が与えられるシステムになります。

――Headquartersは、ただリラックスする場所ではない、と。

マイケル そうです。このようなイベントを入れることで、コミュニティが協力しお互いを助けるようにしたかったのです。Headquartersの防衛に必ず参加する必要はありませんが、参加して成功すれば参加者全員に報酬が与えられます。

――Headquartersでも、活躍すればするほど名声が上がるんですね。

マイケル Headquartersのリーダーボードには、射撃練習場やチームデスマッチでの成績などのほかに、ソーシャル・スコアを用意しています。このスコアはHeadquartersでの活躍が反映され、スコアに応じた報酬も用意していますよ。

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―ーCODCasterモードも搭載されるようですが、本作でもeスポーツに積極的に参入する考えでしょうか?

マイケル もちろんです! ファンはこのゲームを自分でプレイして楽しむだけでなく、ほかのプレイヤーのプレイを見て楽しんでほしい。我々は、eスポーツ・イニシアティブには大きな投資をしてきました。Casterモードで新しいインタラクティブな観戦の楽しみかた、そしてスカイカメラ機能を紹介しています。

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――ゲーム内通貨はありますか? これまでのシリーズでは、サプライドロップを購入する手段が用意されるなど、リアルマネー的要素がありましたが、本作ではそういったシステムは採用されますか?

PR担当 それについてはまだ発表していません。

――武器バランスはどうでしょうか?

マイケル 第二次世界多選を象徴する武器は、外見、サウンド、リロードなど認識しやすい特徴を備えていまし。プレイヤーが触れることになるのはThompson、Garand、Grease Gunなどですね。またMG15は象徴的な武器でしょう。コミュニティやファンに協力してもらい、バランスが正確に調整されていることを確認して作っています。また、ハンズオンの反応からも、非常によい状態だと思っています。

――もしバランスが悪い状態に陥っても、即座に対応していただけるのでしょうか?

マイケル ベータの素晴らしいところは、ファンのフィードバックがもらえることです。ベータで、ゲームを全世界のファンの手に渡せることにとてもワクワクしています。フィードバックは、11月に向けて微調整をする上で確実に我々を助けてくれるでしょう。もし武器のバランスが悪いという意見をもらえば、調整を施します。

――マルチプレイのマッチングは、スキルベースマッチングになりますか?
 
マイケル まずは、インターネット接続のクオリティでマッチングが決定されます。世界中に専用サーバを持つので、ほぼすべてのマッチングは各地域の専用サーバーで行われます。

――マルチプレイでは“アップリンク”が収録されるそうですが、どういったプレイになりますか? 2弾ジャンプはないので、ゴールの位置がともて気になりますが……。

マイケル 『コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア』でアップリンクを公開し、eスポーツで人気が高かったことはとてもうれしいです。本作では第二次世界大戦にふさわしいアップリンクを考えていますが、雰囲気をうまく捉えるものでないといけないので、その辺りを検討しつつ進めています。

――コンシューマーでは、マウスを使った操作には対応していますか?

PR担当 これについてもまだお話しできません。

――本作では、ラストキルが試合終了後に見られるシステムが廃止され、ブロンズスターに選ばれたプレイヤーのプレイ映像が最後に流されますね。ブロンズスターはどのような基準で選ばれるのでしょうか?

マイケル ブロンズスターに選ばれたプレイヤーは、ゲームのMVP(もっとも価値のあるプレイヤー)であり、スコアを基準としている。例えば、オブジェクティブ・モードでは、フラッグの取得、フラッグの防衛、そしてキルのポイントで決定します。もっともスキルの高いプレイヤーですね。これらのポイントがどのアクションから得られるのは、画面に表示されるようになっています。

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――ゲーム開発におけるスタジオの方針を教えてください。

マイケル 素晴らしいゲームを作ること、そしてチームに最高の仕事をしてもらえる環境、素晴らしいカルチャー(スタジオのカルチャー、仕事のカルチャー)を作ることにおいて卓越性を追求することです。チームひとりひとりが、自分の最高の力を出すことのできるカルチャーですね。そのためには、お互いを尊敬して家族のように交流する。チームを第一に考えて、いっしょに成功する。最高の仕事ができるカルチャーがあれば、誇りに思えるような素晴らしいゲームを作ることができると思っています。

――本作のセールスポイントは?

マイケル たくさんありますが、もっとも重要なのは第二次世界大戦のルーツ、“地に足付けた戦闘”に戻るということです。信じられないストーリー、キャンペーンのスクアッド、ゾンビモードでは恐怖のナチス・ゾンビのルーツに迫ります。私は『Dead Space』(エレクトロニック・アーツより発売されたサバイバルホラー)を開発した経験があるので、このゲームにホラーを持ち込んで、プレイヤーを怖がらせることができて誇らしかったです。イノベーションに富んだマルチプレイヤーでは師団、Headquartersがある。すべてがいっしょになったこのゲームをとても誇りに思っています。

――世界有数のフランチャイズである『CoD』を開発するプレッシャーはあるか?

マイケル プレッシャーは確かにありますが、最高の仕事をするためのよいプレッシャーだと感じています。このゲームに3年の開発期間を設けている、自分たちの人生の3年間をかけています。もちろんファンには気に入ってもらいたいですし、不安感や期待感はありますね。そして、ベータのフィードバックやgamescomでのファンの反応は我々にとってのリワードです。素直に楽しんでもらっているのはとてもうれしい! いい仕事をしていると励ましてもらっているので、そこでプレッシャーが和らぎます。最高の仕事をしてファンによろこんでもらいたいです。

――では、『CoD』であるために守らなくてはいけないことは何であると考えていますか?

マイケル 『CoD』の始まりは、分隊と大義のための戦いでした。本作はそれを捉えたゲームです。普通の男女が独裁権力に立ち向かうため戦場へ赴いた。これは熟考すべき歴史上の事実なのです。このルーツに戻れたことをとても誇りに思っています。また、コア・ゲームプレイは毎秒60フレームを維持し、正確で早く、しかもスムーズでなくてはいけない。さらに、『CoD』ファミリーでは、ほかのスタジオがやって来たことを参考にできるという贅沢をもらっています。ベスト・オブ・アイデアをもらうことができるわけです。そして自分たちのやりかたで、画期的なものを作っていく。HeadquartersやWarモードはそのよい例なのです。こうしたことが総合的に、『CoD』を特別なものにしていると思うし、それをファンが感じてくれればと思っています。

――本作において、個人的にお気に入りのフィーチャーは?

マイケル 選ぶのは難しいね……(笑)。とくに、Headquartersにはとてもワクワクしています。Headquartersはコミュニティを大きく変えると思いますし、マルチプレイヤーの大ファンなので、まったく新しい遊びかたができるWarモードもオススメしたいです。残忍な紛争によって犠牲になった兵士を描くキャンペーンのストーリーには心を動かされるでしょう。

――キャンペーンで伝えたいメッセージは?

マイケル ストーリーを語る理由のひとつは、世界で二度とこのような戦争が起こらないことを願うからです。もうひとつの理由は、この戦争で犠牲になり、みずから語れなくなってしまった人たちのためでもあります。彼らの犠牲、友情、いまは亡きその時代のヒーローたちに敬意を払いたいです。

――最後に、ゲームを楽しみにしている日本のファンへ、メッセージをお願いします。

マイケル ファンを心から愛している。『CoD』のコミュニティは、インタラクティブ・エンターテイメントの世界で最高のコミュニティだと思っています。そして、サポートしてくれてありがとうございます。最高の仕事をするように励ましてくれて、ありがとうございます。スタジオ及びActivisionを代表して感謝の意を表したい。11月にいっしょにプレイできるのを楽しみにしています。

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