「中国でチャレンジしたい」との思いから、シリーズ初の中文簡体字版のリリースが決定

 2017年7月27日~30日、中国最大規模のエンターテインメントのイベントChinaJoy 2017が、中国・上海新国際博覧中心にて開催。会期2日目となる7月28日に、ソニー・インタラクティブエンタテインメント上海ブースにて、『ソニックフォース』のステージイベントが行われた。

『ソニックフォース』の謎について中村俊Pに聞いた アバターは「自分もソニックと冒険できたらいいな」という夢がかなう【ChinaJoy 2017】_01

 ちょっと意外なことに、『ソニック』シリーズの中文簡体字版がリリースされるのは、本作が初めて。登壇したセガゲームスのプロデューサー中村俊氏は、「スピードがとても早いハリネズミが主人公のゲームです。1991年に1作目がリリースされて以降、シリーズ累計販売台数は全世界で3.5億本を記録しています。今回中国でもチャレンジしたいと思い、中文簡体字版をリリースすることにしました」と説明。続けて、『ソニックフォース』のゲーム概要を紹介し、本作の目的はドクター・エッグマンに支配された世界を取り戻すことで、キャラクターは“モダン”と“クラシック”、そして“アバター”の3つアクションが楽しめることを紹介してくれた。“アバター”は、自分で作ったキャラクターで遊べるもので、「ソニックとアバターの絆を作って楽しんでほしい」と中村氏。

『ソニックフォース』の謎について中村俊Pに聞いた アバターは「自分もソニックと冒険できたらいいな」という夢がかなう【ChinaJoy 2017】_02

 中村氏の説明についで、中国でパブリッシャーを担当するOPG(東方明珠)のエキスパートによるデモプレイが披露されたあとは、会場から5人の希望者を募ってのスコアコンテストが実施。皆さんおそらく『ソニックフォース』は初プレイだと思われるが、なかなかの腕前を披露。それぞれ賞品をゲットしてうれしそうな顔を見せていた。最後に中村氏は、「シリーズ初となる中文簡体字版がリリースされます。ハイスピードアクションを楽しんでください」と、ステージを締めくくった。

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▲ポスターのプレゼントや参加者を募ってのスコアアタックコンテストも実施。来場者を喜ばせた。

 ステージイベントのあとは、中国のメディアを対象にした、中村氏とのQ&Aセッションが行われた。せっかくの機会ということでファミ通.comでも参加させていただきつつ、その模様をお伝えしよう。中文簡体字版に至った経緯や、謎に包まれたアバターに対する質問が多く飛び出した。

『ソニックフォース』の謎について中村俊Pに聞いた アバターは「自分もソニックと冒険できたらいいな」という夢がかなう【ChinaJoy 2017】_07

――『ソニック』の中文簡体字版がリリースされるのは、シリーズで初めてとのことで意外だったのですが、なぜ今回中文簡体字版をリリースすることにしたのですか?

中村 セガでは、アジアに対して2~3年前からけっこう力を入れるという体制になりまして、『ソニックフォース』に関しても、それくらいから開発が始まっていますので、今回はアジア圏にも出していこうということです。その中でも中国というのは、なかなかセガ単体では敷居が高いところがあったのですが、今回OPGさんと協力させていただくことができて、中国市場に対してチャレンジしていく体制を整えることができたんです。これはぜひやっていこうということで決断しました。中国という大きな市場に、我々としてもチェンジしていく感じですね。

――SIEのカンファレンスでも、『ソニックフォース』が発表されると大きな歓声がわいていて、中国でもけっこう『ソニック』は人気があるのかなと思うのですが、手応えは感じていますか?

中村 そうですね……。手応えはまだわからないというのが正直なところでして、今回のタイトルを出して成功できれば、『ソニック』のIPとしての可能性も広がっていくので、そういったビジネスも今後手掛けていきたいなと思っています。

――中文簡体字版の翻訳はどこが担当しているのですか?

中村 翻訳はヨーロッパのほうでやっています。いろいろなチェック機能があって、しっかりとローカライズしています。ヨーロッパと中国の方が協力して作っているので、だいたい知らない感じにはならないと思います。

――中文繁体字版を発売する予定はありますか?

中村 中文繁体字版も出します。『ソニック』はワールドワイドで売っていきたいタイトルということもあって、アジアではハングルもやっていますし、ロシア語やポーランド語にも今回チャレンジしていますよ。

――『ソニックフォース』は何言語に対応するのですか?

中村 11言語ですね。

――中文簡体字版も含めて、『ソニックフォース』は世界同時期のリリースになるのですか?

中村 なるべく同時期にリリースしたいということでいろいろと調整しています。

――今回、中文簡体字版を決断したということは、それだけ中国でのパブリッシングの体制が整ってきたということでしょうか? だとすると、今後セガさんのタイトルはコンスタントに中国でリリースされるようになるのでしょうか?

中村 今回、OPGさんに協力していただく体制になっていますし、たぶん今後もそういった体制を取っていくのではないかと思っているのですが、私はほかのビジネスを見ているわけではないので……。『ソニック』に関しては、今回中文簡体字版をリリースするので、続けていきたいと思っています。

――今回、アバターを採用した理由を教えてください。

中村 『ソニック』シリーズは長いあいだゲームが作られていて、ファンのあいだで自分のソニックを作る方が多いんですね。『○○○・ザ・ヘッジホッグ』みたいな。メールでもファンの方から「このソニックを出してくれませんか?」という依頼が来るんですよ。皆さんの作ったソニックをゲームの中に入れることはできないのですが、実際にそれと同じ気持ちを味わってもらいたいと思って、アバターを作りました。

――アバターを全部で組み合わせると、何種類になりますか?

中村 数ははっきりとお伝えすることはできないのですが、動物は7種類いて、そこにいろいろな顔だとか口だとか色だとかを合わせて、さらに服のパーツをいじれるので、相当数の種類の新しいキャラクターが生まれるのではないかと思っています。

――7種類の動物は、何をモチーフにしているのですか?

中村 『ソニック』シリーズの動物の選びかたというのがあって、それに則ったものになります。最初はドラゴンとかもいたのですが、ドランゴは『ソニック』に出てくるのはどうかな……ということで、人気のある動物を中心に、話しあいながら7種類をピックアップしています。どの動物になるのかは、特徴も含めて今後お話ししていきたいと思っています。

――イベントでは、「ソニックとアバターの絆を深めてほしい」とおっしゃっていましたが、アバターは絆の要素が重要になるのですか?

中村 そうですね。今回アバターが登場するのですが、あくまでも主人公はモダンのソニック・ザ・ヘッジホッグです。アバターというのは、支配された世界のなかでいる一般の市民が立ち上がるという設定になっていまして、そこでソニックと絆を深めながら物語が進みますし、ゲーム的にもそれを感じられるシーンがいろいろと登場することになります。ですので、昔からソニックが好きだった人は、ソニックの絵とかを書いて、「自分もソニックと冒険できたらいいな」と願った夢が、『ソニックフォース』で実現することになるんです。

――アバターもストーリーに絡んでくるのですね?

中村 そうですね。

――アバターはステージの途中で切り替えられたりするのですか?

中村 アバターはストーリーの最初から最後までいっしょなんです。自分で作った“自分”というキャラクターが、最初から最後までソニックといっしょに物語を進めていくところがポイントなので。ゲーム的にはいろいろと変えたいところもあるのですが、ひとまずは自分で作ったキャラクターで、最初から最後までソニックといっしょに冒険をする形になります。

――アバターの操作の感覚はふつうのソニックと違うのですか?

中村 今回は“3つのハイスピードアクション”というコンセプトで作っているので、“ハイスピード”ということでくくれる形でアバターも作られています。そのなかで、“ウィスポン”という武器があって、この“ウィスポン”には攻撃の機能もあるのですが、移動の機能もあって、それがけっこうバラエティーに富んでいます。ソニックはどちらかというと直線的に早く進むキャラクターなのですが、アバターは空間をうまく利用して、いかに早く移動して宝をゲットするかみたいなところが、ソニックとは違った楽しみかたになると思います。

――2Dと3Dの切り替えなども印象的でしたが、新しいチャレンジなどもしているのですか?

中村 今回の2D、3Dの移り変わりは、過去何回かやってきたなかで、『ソニック』としてはベストだろうという形になっています。今回もいろいろと新しいチャレンジはしているのですが、過去2作くらいは、どちらかというと“ハイスピードアクション”から遠ざかったアクション性を追求してきたというところもあるので、今回は『ソニック』ファンが大好きなハイスピードアクションをド直球で作ろうということで、開発しています。

――改めての質問になりますが、3つのハイスピードアクションの特徴を教えてください。

中村 モダンソニックは3Dと2Dが入れ替わるステージを、とにかくハイスピードで、移動します。ブーストという機能を使って、いかに早く進むかですね。クラシックソニックは、昔ながらの2Dのゲームなのですが、『ソニックマニア』という8月にリリースされるタイトルに、“ドロップダッシュ”という新テクニックがあるので、『ソニックフォース』のほうにもそのテクニックを入れています。それで、『ソニックマニア』を遊んでくださった方も楽しめるような2Dのゲームになっています。アバターはいま説明した通りなのですが、個人的にはアバターがいちばん気に入っています。一般市民でありながら自由度が高くて、皆さんの“僕の最速動画”というのがすごいことになるのではないかなと。

――『ソニックマニア』が8月に出て、『ソニックフォース』が2017年冬発売と期間が短いですが、食い合ったりしないのですか?

中村 今回ふたつのタイトルのリリース時期が近いのには理由がありまして、まず『ソニックマニア』のほうで、「いままで『ソニック』を遊んできたけど、最近はあまりやってない」というユーザーの方に、昔の『ソニック』を通じて、『ソニック』のおもしろさを知ってほしいと思ったんですね。そこで、「『ソニック』おもしろいよね」というお客さんに対して、いままでのキャラクターが総出演する『ソニックフォース』というタイトルを出すことで、そのお客さんが3Dはやっていなかったけれど、「3Dの『ソニック』も遊んでみようかな」というつながりを作りたかったんです。この2作のリリース時期が近いのは、私たちにとってもある種賭けではあるのですが、『ソニック』を今年最大化して、なるべくワールドワイドのお客さんに楽しんでほしいなというところでやっています。