Xbox One Xの達成すべき目標は、“パワー”、“互換性”、“クラフトマンシップ(職人芸)”
2017年6月13日~15日(現地時間)、アメリカ・ロサンゼルスで開催される世界最大のゲーム見本市、E3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)2017。ここ数年、会期前日にカンファレンスを行っていたマイクロソフトは、さらに1日前倒しし、6月11日に“Xbox E3 2017 Briefing”を実施した。世間は日曜日……ということで、街中はのどかな雰囲気だったのだが、会場となるギャレンセンターには午前から続々と関係者が集結。新発表を控えての、心地よい喧騒感に包まれていた。
新発表とは、いうまでもなくXbox Oneのアップグレード版であるProject Scorpioの詳細アナウンスだ。すでにスペックなどは公開されていたProject Scorpioだが、この度正式名称がXbox One Xとなることが発表。11月7日に499ドルで発売されることが明らかにされた。登壇したXbox ヘッドのフィル・スペンサー氏が「本日Xboxファミリーに新しい仲間が加わります。Xbox One Xは、いままでに作られた最強のコンソールです。ゲーマーとクリエイターにとって新たなクオリティー基準を設定しています」と宣言すると、会場は大きな歓声に包まれた。Xbox One Xのデザインは、Xbox Oneユーザーにはなじみ深いもので、“Xbox One X”という名称も「なるほど、そう来るか」という感じで秀逸。Xbox OneおよびXbox One Sの“新しいファミリー”として、しっくりくる名称&デザインだ。
カンファレンスでは、Xboxエンジニアリングリーダーのひとりであるカリーム・チャードリー氏が登壇し、ゲーマーとゲームクリエイターに焦点をあてていたXbox One Xの3つの達成すべき目標として、 “パワー”、“互換性”、“クラフトマンシップ(職人芸)”があったと説明した。パワーとは言うまでもなくマシンスペックで、6テラフロップのGPU、1.172Ghz、12GBのGDDR5メモリ、326GBのメモリ帯域があるとして、「どんなコンソールよりもパワフルなすばらしい水準を誇っています」と誇らしげに語った。
“互換性”に関しては、「Xbox One Xにとって非常に重要であることはわかっていました」とコメントしたあとで、「最初から皆さんがお持ちのアクセサリー(周辺機器)とゲームがXbox One Xで遊べます」とチャードリー氏が改めて告げると、会場は大歓声に包まれた。さらに、Xbox One Xだとロード時間も早くなり、4KTVを持っていないユーザーのためにも、本体は対応。“スーパーサンプリング”により、美麗なグラフィックとなるようだ。
最後の“クラフトマンシップ”では、詳細に渡って、最高品質のコンソールを作り上げたとチャードリー氏。まずは、“Scorpioエンジン”では、16ナノメートルテクノロジーで、366平方ミリチップを作ったとのこと。70億のトランジスタ内蔵、384ビット幅のメモリバスで、これはコンソールで使われたもっとも速い高度なプロセッサだという。そのため、コンソールで初めて液体冷却蒸気室を搭載しているという。さらに、新たな電源管理システムが開発されており、安定したパフォーマンスが提供されるという。
そして、Xbox One Xの驚くべきことは、「いままでに作られた最強のコンソール」でありながらも、Xbox Oneシリーズでもっとも小型化を実現していることだ。なんとも驚異のマシンというべきであろう。
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さて、満を持して、“最強のコンソール”を発表したマイクロソフトだが、では、Xbox One X対応タイトルを含む、今後のソフトラインアップはどうなるのか? フィル・スペンサー氏は、「E3のカンファレンスでここまで異なるゲーム体験を提供するラインアップを紹介するのは初めて」と前置きしたあとで、今回42タイトル(うち22タイトルはXbox Oneエクスクルシブ)をお披露目するとした。そのタイトルは以下の通り(プレゼン順、ラッシュ映像のタイトルは除く)。
・『Forza Motorsport 7』
・『Metro Exodus』
・『Assassin's Creed: Origins』
・『PLAYERUNKNOWN'S BATLLEGROUNDS』
・『Deep Rock Galactic』
・『State of Decay 2』
・『The Drawin Project』
・『Minecraft』
・『ドラゴンボール ファイターズ』
・『黒い砂漠』
・『The Artful Escape』
・『The Last Night』
・『CODE VEIN』
・『Sea of Thieves』
・『Tacoma』
・『Super Lucky's Tale』
・『CUPHEAD』
・『Crackdown 3』
・『Ashen』
・『Life is Strange: Before the Storm』
・『シャドウ・オブ・ウォー』
・『Ori and the Will of the Wisp』
・『ANTHEM』
大作から、インディーの期待作まで、幅広いタイトルがラインアップされた(個人的には、往年のアニメタッチのビジュアルを再現したアクション『CUPHEAD』の発売日が、ついに9月29日に決まったのが、「やっとか~」といったところで感慨深い)。以下、気になるタイトルをピックアップしていくと。Xbox One X対応タイトルのトップを飾ったのは、ファーストパーティーの超優良シリーズ最新作『Forza Motorsport 7』。もともとグラフィックにこだわりを持って製作されてきたシリーズだけに、披露された映像は圧巻のひと言。イベントらしい華やかな趣向は、まるでモーターショーとばかりに、ポルシェ911 GT2 RSが世界初お披露目されたこと。これは、先ごろ『Forza』シリーズとポルシェが6年間にわたるパートナーシップを提携したことを受けての展開で、両社の良好な関係がうかがえる。登壇した、開発元であるTurn 10 Studioのダン・グリーナウォルト氏は、「全部のレーシング体験を見直しました。レーシングもさらにダイナミックになります。最高の技術を使った、最高の体験を提供します」と語った。同作が発売されるのは、Xbox One X本体の発売よりひと足速い、10月3日だ。
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『Metro Exodus』は、『メトロ』シリーズの最新作で、荒廃したロシアを舞台としたサバイバルが展開される。開発は前作同様ウクライナのスタジオ、4Aゲームズが担当している。『Assassin's Creed: Origins』は、おなじみユービーアイソフトの人気シリーズ『アサシンクリード』の最新作。“現代文明生誕の地”と言われる古代エジプトを舞台に、保安官バイエッグの活躍が描かれる。登壇したユービーアイソフトのジーン・ガスドン氏によると、「本作はRPG要素を体系的な世界に取り組む」とのこと。イベントでは、アルファ版のゲームプレイが紹介され、主人公が鳥の視点で上空からフィールドを俯瞰するといったシーンが紹介された。本作の発売日は10月27日。さらに、いま話題の、最大100人のプレイヤーが生き残りを賭けて闘う『PLAYERUNKNOWN'S BATLLEGROUNDS』も、Xbox Oneに。ブレンダン・グリーン氏は、「真のコミュニティー主導タイトルとして、300万人のPCユーザーを虜にするタイトルです。2017年後半のリリースを予定しています」とコメントした。
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『Minecraft』のプレゼンでは、リディア・ウインター氏が登壇し、この夏に、モバイルやVR、PC、Xbox One、Nintendo Switchでのクロスプレイが実現することを明らかに。さらに、スキンやテクスチャ、クリエイト機能に加えて、4K対応を実現した“Super Duper Graphics Pack”が2017年秋に配信予定であることなども発表された。フィル・スペンサー氏が「このあいだ日本に出張に行って実現した」というのが、バンダイナムコエンターテインメントの『ドラゴンボール ファイターズ』。同作は、従来の『ドラゴンボール』シリーズとは異なり、バトルに特化した対戦格闘ゲーム。バトルは3対3のチーム戦を採用。開発をアークシステムワークスが担当しており、同社の誇る“2.5Dバトル”が、『ドラゴンボール』の世界観にマッチしている。国内での発売も決定しており、2018年初頭リリース予定だ。
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韓国のゲーム会社Pearl Abyssが開発を手掛けるMMORPG『黒い砂漠』(国内での運営はゲームオンが担当)、サイバーパンクを主題にしたゲームコンペで優勝を勝ち取ったFlashゲームをモチーフとした『The Last Night』、バンダイナムコエンターテインメントの『CODE VEIN(コードヴェイン)』のあとは、ファーストパーティーの期待作、レア社の『Sea of Thieves』のデモが公開された。海賊となって自由気ままに遊べるという本作。その壮大な世界観ゆえか、2015年の発表以来、その全貌がいまひとつ明らかになっていないが、今回のデモでは海中を泳ぐ場面や宝物を探すといったシーンが披露。なにやら楽しそうな雰囲気であった。本作の発売は2018年とのことで、完成もいよいよ間近! カンファレンスでタイトルが紹介される度に大きな歓声が湧き、海外での人気がひときわ高いことがうかがえる同作だが、このE3でもその魅力の一端をお伝えする機会があるかも。
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『Crackdown 3』のファンキーなPVや(同作は、Xbox One Xと同じ11月7日発売!)、ミステリアスな展開を予感させるスクウェア・エニックス『Life is Strange: Before the Storm』のあとに紹介されたのは、ワーナー ブラザースによる『シャドウ・オブ・ウォー』。イベントでは、開発元であるモノリスプロダクションのクリエイティブ・ディレクター、マイケル・デ・プラター氏プレゼンのもと、新たに採用された“ネメシスフォートレス”や“ネメシスフォロワー”の一端が紹介された。「巨大で生きた社会」(プラター氏)というオープンワールド、モルドールでの戦いは、さらに白熱しそうだ。いち早くXbox One X対応を謳っていた本作は、海外での発売日が当初アナウンスされていた8月から10月10日に変更されている。Xbox One X期待の1作と言えるだろう。そして、本稿を執筆中にワーナー ブラザース ジャパンより、日本国内でのリリースが10月12日となることが明らかにされた。世界ほぼ同時! また、好評だった幻想的な世界観の2Dアクション『Ori and the Blind Forest(オリとくらやみの森)』のシリーズ作『Ori and the Will of the Wisp』が初披露され、こちらも大きな歓声を浴びた。
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“Xbox E3 2017 Briefing”では、サービスまわりのトピックも少しだけピックアップされた。まずは、Xbox 360用ソフトをXbox Oneで楽しめる後方互換プログラム。現在385タイトルが対応しており、ファンのあいだで好評を博している後方互換だが、マイクロソフトではユーザーからの大きな要望に応える形で、この後方互換機能を初代Xboxまで拡充することを発表。対応タイトルとして、まずは『クリムゾンスカイ:ハイロード トゥ リベンジ』が明らかにされた。こちらは2017年後半には展開予定とのことで、詳細は続報に期待されたし。
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また、Xbox One Xのリリースに伴い、『Gears of War 4』、『Forza Horizon 3』、『Killer Instinct』、『Halo Wars 2』、『Minecraft』の購入者は無料で4Kアップデートの恩恵を受けられるとのこと。さらに、サードパーティーの30タイトル以上が、Xbox One Xの訴求のために、4Kへの無料のアップデートが予定されているという。現時点では、『ファイナルファンタジーXV』、『バイオハザード7 レジデントイービル』、『ゴーストリコン ワイルドランズ』、『Rocket League』などが明らかにされている。
さて、1時間30分以上にわたり、たっぷりとタイトルが披露された“Xbox E3 2017 Briefing”だが、そのトリを飾る形で紹介されたのが、前日行われたエレクトロニック・アーツの“Live @EA PLAY”で予告されていた、バイオウェア開発による最新作『ANTHEM』。ステージには、エレクトロニック・アーツのエグゼクティブ・バイス・プレジデント、パトリック・ソダーランド氏が姿を見せ、「新しいIPは業界にとって不可欠です。同時にリスクもあります。多くのプロジェクトを夢見るたくさんのチームがいますが、優秀なチームのみ、皆さんにゲームをお届けできるのです。これがクリエイティブプロセスの一環なのです。このプロセスを取る価値はあります。何か特別なものを見つけると、デベロッパーにとって新しい世界をお見せできるほど気持ちのよいことはありません。そして、プレイヤーとしても、新しい世界に夢中になることほど気持ちのよいことはありません。これは並外れたビジョンと、最新技術、ハードウェアがあってこそ可能になります」と説明したうえで、“新しい世界をお見せできる”、“世界に夢中になれる”新規IPとして『ANTHEM』を披露した。引き続き登壇したゲームディレクターのジョン・ワーナー氏はゲーム概要を紹介。本作の主人公は、“ジャベリン”と呼ばれるエグゾスーツを着て要塞の外に出て未知の世界を探検するフリーランサー。“ジャベリン”は機能強化スーツで、自分の求めるスタイルにカスタマイズ可能。タイプなども用意されている。『ANTHEM』の世界はあらゆるところが危険で、予期せぬことが待ち構えているという。“ジャベリン”を駆使していかに危機的状況を脱していくかが、本作の醍醐味となる。『ANTHEM』は2018年発売予定だ。
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まさに、Xbox One X推しとなった“Xbox E3 2017 Briefing”。ゲーマーとゲームクリエイターのために作られたというXbox One Xが、今後どのような盛り上がりを見せていくのか、期待したいところだ。
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