『シャドウ・オブ・ウォー』の詳細が解禁! “ネメシスシステム”の拡張によりオークの軍勢を作り、エリアを掌握することが可能に【GDC 2017】

GDC 2017にて発表された『シャドウ・オブ・ウォー』の詳細に迫る。

●新たな力の指輪を作り、サウロンへの復讐に挑む

※タイトルに間違いがあったため、一部修正いたしました。お客様および関係者の皆様には多大なるご迷惑とご心配をお掛けしましたことを心より お詫び申し上げます。

 2017年2月27日~3月3日(現地時間)、アメリカ・サンフランシスコ モスコーニセンターにて、ゲームクリエイターの技術交流を目的とした世界最大規模のセッション、GDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)2017が開催された。

 GDCの会期に合わせて、ワーナー ブラザースがプレゼンを実施し、2014年にリリースされた『シャドウ・オブ・モルドール』の続編として『シャドウ・オブ・ウォー』が発表された。ついにタリオンとケレブリンボールの新たな物語が始動する。

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 『シャドウ・オブ・モルドール』といえば、J・R・R・トールキン原作『指輪物語』の舞台となった中つ国を舞台にした、オープンワールドのダーク・ファンタジーRPG。その独特のゲーム性が好評を博し、数々の賞を受賞したことでもおなじみ。2015年のGDCでも、開発者が選ぶ“Game Developers Choice Awards”で、その年の最優秀賞となる“Game of the Year(ゲーム・オブ・ザ・イヤー)”を受賞しており、まさに続編発表としては最高の場だ。プレゼンのために登壇したのは、開発元であるモノリス・プロダクションのデザイン・ディレクター、マイケル・デ・プラター氏で、「2014年に『シャドウ・オブ・モルドール』をリリースしてから、このIPを大事に育ててきたので、(皆さんの反応が)今日はちょっと心配です」と、いささか心配げな様子。それだけ、『シャドウ・オブ・モルドール』のシリーズを大切にしてきているという証だろう。プレゼンを聞くにつれ、マイケル・デ・プラター氏のそんな不安はまったくの杞憂で、前作を遥かに凌ぐ壮大な世界観に、驚愕することになるわけだが……。

 「本作の大きな目的は、『指輪物語』の中つ国の壮大さを実現することです」とデ・プラター氏。「本作では、ワールドは前作に比べて非常に大きくなっており、モルドールの新しい地域へ行けるようになります」と説明しつつ、実際のデモを披露してくれた。本作、『シャドウ・オブ・ウォー』の主役は、前作から引き続き、レンジャーのタリオン。幽鬼ケレブリンボールの力を得て、冥王サウロンへの復讐に挑む……という基本となるストーリーラインは変わらない。タリオンはサウロン傘下のオークたちが支配する地域を取り戻していくことになる。

 本作の大きな魅力と言えば、何といっても“ネメシスシステム”だ。これがしっかりと説明しようとするとなかなかに難しいのだが、本作ではオークの社会がしっかりと形成されており、オークたちはそれぞれ個性を持っている。また、オークの組織内では絶えず勢力争いが起きているため、オークが気に入らないライバルを蹴散らしてのし上がったり、タリオンが倒したオークの後釜に有力なオークが就いたりする。そしてオークたちは「タリオンと戦ったことがある」、「大敗して逃げたことがある」といった記憶や経験が組み合わさることによって人格が形成され、再会したときの反応はオークによって違う。

 そして“ネメシスシステム”と掛け合わせて使える強力なシステムに、“幽鬼の力”がある。タリオンは幽鬼ケレブリンボールに憑依されており、ケレブリンボールの力でオークを“恐怖”に陥れて支配することができた。幽鬼の力とネメシスシステムを連携させることで、一体のオークではなく、複数のオークや組織内で上位にいるオークを支配下に置き、オークどうしで戦わせるといったことも可能になる。

 『シャドウ・オブ・ウォー』では、この“ネメシスシステム”が進化。本作で追加されたのが“ネメシスフォートレス”だ。フォートレスは砦という意味だが、本作ではオープンワールドの各所に砦があり、それぞれオーバロード(君主)が支配している。タリオンはそのオーバロードを倒すことで、その砦と周辺のエリアを自分のものにすることができるのだ。そして、“ネメシスフォロワー”。前作では幽鬼の力で複数のオークを自身の支配下に置くことができたが、本作では“ネメシスフォートレス”で支配下に置いたエリアに所属するオークを、タリオン傘下の軍団にすることが可能になった。また、軍組織の勢力選びも行え、どのオークを上官にするかといったこともプレイヤーが選べるようになっているようだ。

 デモプレイで、タリオンが地域を征服したあとで、デ・プラター氏は続ける。「地域を征服したことで、お金や資材、装備、新しいフォロワー、新しいミッションなどの多くのリワード(報酬)が得られますが、カギとなるのは地域を手に入れたことで、その地域の部隊を育成したり、馬のパワーを上げたりして、サウロンへの反撃の準備ができることです。また、誰に地域を管理してもらうかも重要です。誰を選ぶかによって、地域の特徴が変わるだけではなくて、ワールド全体にも影響を及ぼすんです」。

 『シャドウ・オブ・ウォー』の“ネメシスシステム”では、AIはさらに洗練され、ストーリーの量も格段に増えているという。「前作では、リベンジのストーリーにフォーカスしていましたが、本作ではオークとの関係性にも注力しています。私たちが“作りたい”というストーリーを拡張しているんです。リベンジだけではなくて、プレイヤーが助けられることで友情も育まれます」(デ・プラター氏)とのことだ。

 さらにデ・プラター氏は続ける。「オークはさらにバラエティー豊かになっており、文化性や社会性も奥深くなっています。真の“リビングワールド”になっているんです。種族もそれぞれ個性化が図られていますよ。たとえば、フェロル族は、いろいろなビーストやモンスターをハンティングし、戦いに利用することに長けている……といった具合です。こうした特徴を活かしたミッションなどもありますよ」(デ・プラター氏)という。

 デモプレイでは、サラガスが収める地域をタリオンが攻撃して征服するまでが披露。プレイでは、呪いの武器を右腕にはめた“ストームブリンガー”や、火炎放射器のような武器をあやつる“フレーム・オブ・ウォー”なども確認できたが、もちろん、そのほかにも新たなオークも多数登場するようだ。さらには、ゲームプレイも充実しているようで、ドラゴンに乗る……といったシーンも確認できた。ドラゴンに乗るタリオンがかっこいい!

 そして、『シャドウ・オブ・ウォー』ではRPG要素もさらに充実。“スキル”や“ギア(装備)”などをカスタマイズして、自分のスタイルに応じて、タリオンをアップグレードできる。前作同様に、強敵を倒すことでアーマーなどを入手することも可能だ。

 わずかばかりのプレゼンの時間では、壮大な世界観を持つ『シャドウ・オブ・ウォー』の全貌をうかがい知ることは到底不可能。進化した“ネメシスシステム”により、タイトルにもあるとおり、まさに“戦争”という印象だ。と、勢いに任せて筆(キーボード)を走らせてきたが、肝心なことをお伝えしそびれていた。このたび『シャドウ・オブ・ウォー』の国内発売が決定。2017年夏にプレイステーション4、プレイステーション4 Pro、Xbox One、Project Scorpio、Windows 10 PC向けにリリースされるというのだ。思いのほか早く触れられそうでうれしいところ。なにはともあれ、本作の続報に期待したい!

■さらに壮大な世界観を構築する

 プレゼン後に、『シャドウ・オブ・ウォー』のアートディレクターを担当するフィリップ・ストラウブ氏にインタビューする機会を得たので、以下にお届けする。

▲フィリップ・ストラウブ氏は前作に引き続き、アートディレクターを担当。

――前作の『シャドウ・オブ・モルドール』が大好評でしたが、それを受けて本作はどのようなゲームにしようと思ったのですか?

フィリップ たくさんあります。まずは、続編を作るにあたり、前作で好評だった“ネメシスシステム”をさらに強化したいと思いました。“ネメシスフォートレス”や“ネメシスフォロワー”の導入ですね。
 それに合わせて、ゲームをさらに大きなものにしたいと考えました。地形をさらにバリエーション豊富にして高低差をつけたり、生物体系を多様化して新しい敵を追加したりして、そこからさらに新しいゲームプレイの機会を作りたいと思ったんです。タリオンはドラゴンのドレークに乗ることができるのですが、そうすることで新たなゲームプレイの機会が生まれるわけです。要は、すでにあるしっかりとした土台の上に、すばらしい追加要素を構築して、さらに壮大なゲームにするというのが、『シャドウ・オブ・ウォー』の目標でした。

――デモプレイを見ていると、軍勢戦で、まさに戦争みたいな印象ですね。

フィリップ それは、的確な観察かもしれません(笑)。プレイヤーが大勢のフォロワーを使って、アーミーを構築するというアイデアを支えるために、バトルのスケールが大きくなっているんです。今回お見せしたことは、ゲームプレイのほんの1バリエーションであり、本作の巨大な“サンドボックス”でできることのほんの一部です。ワールドは、前作よりさらに大きくなっていますよ。

――ワールドは具体的にはどれくらい大きくなっているのですか?

フィリップ (少しとまどいつつ)いろいろな意味で大きくなっているので、ちょっと説明しづらいのですが、こう言えると思います。地域と、生き物の数が増えており、“ネメシスフォートレス”があり、これに関係するコンテンツが豊富にあります。そして、それらを個々に所有する種族がいます。そのうえにオーバーロード(君主)がいるのですが、それぞれユニークなパーソナリティーやスタイル、カルチャーを持っていて、社会はそれに影響されているんです。“ネメシスフォートレス”によって、前作とはまた違ったゲームプレイが可能になると思っています。AIはさらに賢くなっていて、表現力もあがっているので、インタラクションが増え、よりパーソナルなストーリーが展開されますよ。

――アートディレクターという立場から本作で心掛けたことは?

フィリップ アーティステックな視点では、前作の土台があるので、そこからさらにリアリズムを強化しています。リアリティーを追求するのではなくて、シネマティックなリアリズムですね。これは、ライティングやパレットをどのように使うかで違ってきます。前作は、ちょうど家庭用ゲーム機が代替わりするタイミングで作っていたのですが、いまは現行機世代の真っ只中にいますので、さらに蓄積したノウハウを駆使できるようになっています。レンダリングエンジンも作り直したので、物理演算に基づいたレンダリングが可能になり、フェイシャルパイプラインも新しくなりました。シンプルに言い換えれば、これまで作ってきた土台を基礎としてフランチャイズを継続し、さらに進化させて、もっとも美しくドラマティックなゲームを構築できているのではないかと思っています。

――オークが魅力的で、個性的ですが、造型にあたって注力したポイントは?

フィリップ まずは、彼らはどういう人たちで、どういう種族なのか、どんなパーソナリティーを持っているのかという、ナラティブコンセプトから出発しました。そして、歴史を参考にして、バイキングなどを含む東西の中世のコスチュームや鎧などを広く検討して、ビジュアルをコンテンツにあてていきました。私たちにとって重要なのは、伝承にきちんと沿った本物らしさです。本作はファンタジーの世界観ではありますが、私たちアートチームとしては、“これは史実に実際にある作品”と考えて作っています。機能性だけのデザインはしません。すべてが目的を持ち、きちんと納得できるものでなければいけない。そのため、想像で作るのではなくて、調べて検討を重ねて本物らしくできていることを確認しています。何1000体にもおよぶ種族やクラスがそれぞれユニークであり、パーソナリティーやトーンを持っていることがとても重要です。

――ちなみに、オークは全部で何人くらいいるのですか?

フィリップ わかりません(笑)。それくらい多いです。オークは、そのライフサイクルやプレイヤーとのインタラクション、どの種族と関わるかによって変わります。“ブラント”と呼ばれるベースアーマーがあり、ある種族に沿っていますが、特定の役割を得ればそれに見合ったものを得ます。その後、キャプテンに昇進すればまた変化する……といった具合で、おそらく百万くらいになるのではないかと……。

――最後に、日本のゲームファンに向けてメッセージをお願いします。

フィリップ 『シャドウ・オブ・ウォー』を見てもらえることにとてもワクワクしています。ぜひとも、ゲームをプレイして感想を聞かせてほしいです。