新製品の多彩さとeスポーツへの姿勢から見える、レノボの本気

 2017年2月21日、レノボ・ジャパンは2月24日発売予定の新製品発表会を開催した。

 先日、海外では新ゲーミングPCブランド“Lenovo Legion”(レノボ・レギオン)の発足が報じられており、今回発表された新製品のひとつ“Lenovo Legion Y520”は、日本国内での正式なレギオンシリーズ第1弾製品となる。

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▲“Legion”は集団・兵隊などといった意味。単なるゲーミングマシンのブランド名としてではなく、レノボ全体のゲーミング、ならびにeスポーツやユーザーへの真摯な取り組みを含めた姿勢を示す総称であるとのこと。

 これまでにもゲーミングPCとして“Yシリーズ”を展開してきたが、「レノボのゲーミングPCといえばこれ」という名称は存在しなかった。そこに明確なブランド名を打ち立てた点に、レノボのゲーミングPCへの意気込みが感じられる。

 さらに今回発表された商品ラインアップには、AIO(オールインワン)デスクトップ、キューブPC、ゲーミングノート2種と、従来のYシリーズのタワー型PCとは大きく異なる商品が連なる。今後の多彩な商品展開にも、大いに期待が持てそうだ。

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▲新商品に加え、パフォーマンスの高さと拡張のしやすさが特徴だった従来の主力商品“ideacentre Y700”にも、最新モデルが2月24日に登場(Webダイレクト販売予定価格・税抜10万3500円より)。ベーシックなものからユニークなものまで、一気にラインアップが広がる。
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▲コンパクトなキューブ型ながら現環境トップクラスの性能を問題なく発揮でき、なおかつ上部ハンドルのおかげで持ち運びも楽な“ideacentre Y720 Cube”。時代やニーズに合わせて今後もラインナップを増やしていくという、レノボのゲーミングへの決意表明を感じさせる商品だ。

 また、今回の発表会では、レノボ・ジャパンがeスポーツにかける意気込みも垣間見えた。発表会の後半に、日本eスポーツリーグの代表を務める筧誠一郎氏が登壇。年2回のシーズンのうち、2017年1月22日に2016年のウィンター・シーズンが終了し、5月から新シーズンを迎える日本eスポーツリーグについて解説。

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▲先のウィンターシーズンでは、リーグ発足後初のシーズンということで6チームによる総当たり戦が展開した。筧氏によれば5月からの新シーズンではより参戦チームが増え、さらなる参入希望も増え続けており、全都道府県にチームが誕生する日も遠くはなさそうとのこと。

 その2016年ウィンターシーズンで、とくに『Overwatch』の大会で目覚ましい活躍を見せてくれたのが、東京ヴェルディのeスポーツチーム。こちらのチームのスポンサーにはレノボ・ジャパンも名を連ねている。

 海外ではフットボールクラブがeスポーツ部門を持つことが近年増えてきているが、日本では東京ヴェルディが初。女子サッカーやトライアスロン、バレーボール、ビーチサッカーなど、さまざまなスポーツ部門で構成される“ヴェルディ・ファミリー”の一員というわけだ。

 こちらのチームメンバーは、プロeスポーツチーム・Unsold Stuff Gamingからのレンタル移籍という形で先のシーズンに参戦。『Overwatch』では前シーズン中、一度も相手にポイントを奪われないという、シーズン通しての完全勝利で初代部門賞に輝いた。

 発表会ではその面々が登壇。つぎのシーズンでは部門賞のみならず、全体優勝も目指すという気迫を見せてくれた。次シーズンでも変わらずすさまじい強さを見せつけてくれるのかどうか、要注目だ。

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▲東京ヴェルディのマスコットキャラクター・ヴェルディくんもノリノリで登壇! チームリーダーのVader氏が、練習に最適な安定した動作を誇るレノボPCの魅力と、次シーズンにかける意気込みを語ってくれた。

さっそく新製品に触れてみた! 注目の3商品をレビュー

 発表会では新製品の実機が展示されており、早くも実際に触ることができた。

 ここからはその中でもとくに興味深かった新商品3点についての概要を紹介。短時間ながら試用もできたので、筆者の簡単な感想なども併せてお伝えしよう。

◆ideacentre AIO Y910
(Webダイレクト販売予定価格・税抜32万4000円より)

 発表会の質疑応答の場面では、「“コンソール天国”とも呼べる日本の市場でPCゲームへユーザーに移行してもらうためには、従来のタワー型のようなさまざまな設定が必要なマシンよりも、箱を開けたらすぐにプレイできるマシンをご提供できることを目指していきたい」との回答があった。

 その言葉をそのまま体現したかのような、箱から出したらそのまま使えるオールインワンマシンがこのideacentre AIO Y910。新製品の中では唯一先行して、2月10日よりWeb販売が開始されている。
 従来のレノボのゲーミングマシンにはキーボードやマウスは同梱されていなかったが、オールインワンをうたうため、しっかりとメカニカルキーボードとマウスもセットになっている商品だ。

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▲オールインワンと聞くとホーム向けの安価なモデルを連想しがちだが、中身はハイスペックPC。PCゲーマーにはおなじみのKiller社製のLANを搭載し、通信面の性能も最高水準に。

 オールインワンPCというと、拡張性やメンテナンス性に問題があるのでは……というのが、多くのユーザーが持つイメージだろう。しかしこのAIO Y910は、SSDやHDD、さらにはメモリやGPUなどがブロック形式で簡単に取り外し可能。構造が非常にシンプルかつコンパクトにまとまっており、各パーツの交換やメンテナンスが初心者でも簡単にできる。

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▲一部ネジも使用しているが、ほぼツールレスで分解できる。各パーツの保護もしっかりされている分、PC初心者にとっては、通常のタワー型PCよりも扱いやすいはず。

 また、構造でとくに面白いのが、スタンド内部に電源ユニットが組み込まれている点。頑丈で重量がある電源をこのスタンド部分に組み込むことで、スタンドの強度を確保しつつ、重量バランスも最適化されているのだ。

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▲スタンド下の土台が小さめでコンパクトなのも、この重量バランスの恩恵か。デスク上でも置き場に困らないうえ、電源が本体と離れたことによる冷却効率にも期待ができそうだ。背面にはHDMIのI/Oポートも確認できたので、別機器の出力先としても使えそう。
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▲さらに本体上部のカメラや、サイド部分にヘッドホンをかけておけるクレードルにも注目。ワンタッチで収納可能なので、コンパクトさを損なわない。ヘッドセットはマイク部分のせいで案外かさばって置き場に困るので、クレードルの存在はありがたい。

 オールインワンが抱きがちなネガティブイメージを払拭しつつ、ゲーマーの「こうしてほしい!」というところにしっかりと手を伸ばしてくれているこちらのマシン。
 PCゲームに参戦したいからハイエンドモデルはほしいけど、PCに詳しくないからスペックを見ても何がなにやら……という人には、ぜひ一度触ってみてほしい逸品だ。モニター1台分ほどの場所しか取らない点ので、ハイパワーなセカンドマシンとしてもオススメできる。

◆Lenovo Legion Y520
(Webダイレクト販売予定価格・税抜13万500円より)
◆ideapad Y910
(Webダイレクト販売予定価格・税抜29万5000円より)

 新ブランド“Lenovo Legion”第1弾となるゲーミングノートPC・Lenovo Legion Y520と、開発が少し早かったためブランド名を背負ってはいないものの、負けじと最新のスペックを搭載したゲーミングノートPCであるideapad Y910。
 どちらも最新のゲーミングPCとしてのスペックに加え、レノボ独自のゲーム向けの仕様をいくつも盛り込んだモデルとなっている。

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▲新ブランドLenovo LegionのY520は、ヴェルディくんもイチオシ!?

 スペック面では、Y520はGTX 1050/1050Ti搭載など、現環境の水準をしっかり満たしたモデルと言える。ゲーミングノートPCの中では、性能のわりにかなり安価なのが魅力といえるだろう。薄型で2.4キロと軽量なため、出張先などにも持ち込みやすいのもうれしいところ。仕事や旅行の途中でも、ゲームのデイリーミッション消化を欠かさずに済む。

 Y910の方は、今後のゲーミングノートPCとしてのフラグシップモデルにもなっており、タワー型PCにも並ぶハイスペックに加え、G-Sync対応モニター、Thunderbolt3 Type C対応、VRコンテンツ対応など、最新の要素にも応えられる仕様となっている。

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 また、どちらも本体左右にUSBポートを備えているなど、ゲーミングノートPCとしては基本的な設計を踏襲。排熱口を本体背面に集中させることでプレイヤーの顔や手元に熱が来ないようにするなど、ゲーマーへの配慮もしっかりと盛り込まれている。

 さらに独自のユーティリティにより、キーボードやスライドパットの誤動作の防止、冷却ファンの制御などを簡単に設定可能。フルスクリーンでゲームをプレイしていたらWindowsキーを押してしまって強制終了……などというゲーマーがやりがちな悲しい案件も、これで未然に防げるわけだ。

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▲ユーティリティソフトや本体構造など、さまざまな面からゲーマーがよりゲームをプレイしやすくなるようにサポートされている。ノートPCなのにテンキーがあるのも非常にありがたい。

 さらに、これはY910のみの機能となるが、“速さ”にとことんこだわった機能群にも注目したい。Killer社製LANによる通信の速さはもちろん、オーバークロック対応CPUとRAID0 PCIe SSDにより、動作の速さも保証済みだ。

 さらに、“Lenovo OneKeyターボキー”によってワンタッチでオーバークロックのON/OFFが可能。ゲームプレイ時はON、日常使いするときはOFFと、簡単に使い分けできる。これで各部位の寿命についても、かなり変わってくると思われる。

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▲キーボード左上に設置されたターボキーをスライドすることでON/OFFが可能。頭が悪いコメントであると承知のうえで申し上げたいが、このターボのON/OFF機能、ものすごくカッコイイ! こういうの大好きです!

 Y910はユーティリティソフトによって、すべてのキーの設定を入れ替えることができる。誤動作防止のためにEnterキーですら機能OFFにできるほか、右にあるテンキーをWASDキーに変えるなど、キーボード全体のフルカスタマイズが可能だ。キー設定は3つ保存して、いつでも切り替えでき、マクロ登録機能も搭載している。

 キーにはレノボ独自開発のメカニカルスイッチを採用しており、押下圧力は62.5グラムと少し重め。実際にタイピングしてみたが、カチリ、カチリとしっかり音と反動が返ってくるのがまさにメカニカルキーボードといった印象だ。

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▲キーボード左側にあるマクロキー以外も、設定変更で別のキーと機能を交換できる。キースイッチは静音性よりもレスポンスを優先した骨太な印象。

 上記のように、標準性能ながら安価かつ携帯性に優れたY520、最高のスペックと利便性を詰め込んだY910と、ゲーミングノートPCについては、はっきりとテーマが異なる2モデルが同時に発売となる。

 このように、ユーザーのニーズに幅広く応えるべく、多彩なゲーミングPCのラインナップを投入する準備を整え始めたレノボ・ジャパン。eスポーツへの取り組みなども含め、新ブランド名“Lenovo Legion”が示す姿勢に、大いに期待したいところだ。