「親愛なる友へ」はビックリするようなアレンジに?
2015年より始まった、『ファイナルファンタジー』(以下、『FF』)シリーズの吹奏楽コンサートツアー“BRA★BRA FINAL FANTASY BRASS de BRAVO with Siena Wind Orchestra”。その第3弾が、2017年4月2日(日)の東京公演を皮切りに、19都道府県(※)にて実施される。2017年1月31日に、チケット一般販売がスタートした。
(※2017年5月21日の山口公演、2017年7月7日の台湾公演が追加決定)
また、吹奏楽アレンジアルバム第3弾「BRA★BRA FINAL FANTASY BRASS de BRAVO 3 with Siena Wind Orchestra」の発売も決定! 2017年3月15日発売予定で、価格は2700円[税込]。下記の12曲が収録される予定だ。
・収録曲
「グルグ火山」(『FFI』より)
「反乱軍のテーマ」(『FFII』より)
「水の巫女エリア」(『FFIII』より)
「親愛なる友へ」(『FFV』より)
「ファイナルファンタジーV メインテーマ」(『FFV』より)
「ティナのテーマ」(『FFVI』より)
「エアリスのテーマ」(『FFVII』より)
「クレイジーモーターサイクル」(『FFVII』より)
「Force Your Way」(『FFVIII』より)
「Ami」(『FFVIII』より)
「いつか帰るところ」(『FFIX』より)
「Vamo' alla Flamenco」(『FFIX』より)
1月某日、都内にて、この「BRA★BRA FINAL FANTASY BRASS de BRAVO 3 with Siena Wind Orchestra」のレコーディングが行われた。本記事では、レコーディング終了後に行った、作曲家の植松伸夫氏と、シエナ・ウインド・オーケストラの榮村正吾氏(アルトサックス)、中村めぐみ氏(クラリネット)のインタビューをお届け。第3弾ツアーとアレンジアルバムの見どころなどをうかがった。
――ついに“BRA★BRA FINAL FANTASY”第3弾が動き出しましたね! 第1弾を立ち上げたころ、BRA★BRAがここまで続くと考えていましたか?
植松 (第1弾の)レコーディングのときは思っていませんでしたけどね、ツアーをやっているときには、予想以上にお客さんが喜んでくださっているのがわかったので、「つぎもやりたいね」という話にはなっていましたね。
――これまでの『FF』のコンサートはおもに東京や大阪で実施されていましたが、BRA★BRAは地方でも実施されるので、全国各地のファンが喜んだのではないかと思います。
植松 僕らもうれしいよね? おいしいものがいっぱい食べられて(笑)。
榮村・中村 (笑)。
――本日は、吹奏楽アルバム第3弾のレコーディングが行われたとのことですが、今回の選曲の意図を教えていただけますか?
植松 これまでとそんなに変わっていないんですよ。クラシックなものもありつつ、これまで脚光を浴びていなかった曲もあったり。これまではアレンジするにしても、原曲に近い、しっとりとしたアレンジにしていた曲を、激しく演奏してみたりとか。
――今回の楽曲のリストを最初に見たとき、「クレイジーモーターサイクル」がひと際目立って見えたのですが……。
植松 意外ですよね。それ選ぶかぁ、みたいな。確かこれは、シエナさん側からのアイデアだったんですよ。
中村 シエナの中にも『FF』ファンがいるので、「どんな曲をやってみたい?」と聴いて、アンケートを取って、お渡ししたんですよ。
植松 アイデアをいっぱいいただきました。こういうのやりたいです! って。
――きっと『FFVII』世代だった方がいて、バイクゲームをやり込んだ思い出があったんですよ(笑)。
植松 なるほど(笑)。
――先ほど、これまでとは違うアレンジをした曲があるとおっしゃっていましたが、今回の収録曲の中で、意外なアレンジになっているものはありますか?
植松 「親愛なる友へ」はぜんぜん印象が違うと思いますよ。ビッグバンドで演奏しているのですが。スクウェア・エニックスさんからは、「本当にこれをそのアレンジでやるの?」、「曲を間違えているんじゃないの?」って言われましたよ(笑)。
榮村 すごくカッコいいアレンジになっていますよ。
――えっ、「親愛なる友へ」には、カッコいいというイメージはないのですが……!? エンディングで流れるしっとりとした曲ですし。
中村 収録中に聴いていましたが、めっちゃカッコいいですよ。
――それは楽しみです。
植松 それから、さっき話題になった「クレイジーモーターサイクル」は、原曲には、そんなに音楽的におもしろい要素があるわけではないんですよ。それを今回は、ミニマル・ミュージック(同じフレーズを、少しずつ変化させながらくり返す音楽)っぽくしましたので、原曲と印象は違うと思います。
――榮村さん、中村さんは、ご自身が参加された楽曲の中で、どの曲が印象深いですか?
中村 木管五重奏の「水の巫女エリア」ですね。すごくキレイでした。あとは、リコーダーですね。
――えっ、リコーダー?
植松 リコーダーもあるんですよ。「いつか帰るところ」に。
中村 リコーダーのプロではないのに、吹いてしまいました……(笑)。
――「いつか帰るところ」と言えばリコーダーですからね! では榮村さんは、どの曲が印象に残っていますか?
榮村 僕はエアリス世代なので、「エアリスのテーマ」ですね。それから、「Vamo' alla Flamenco」。
植松 「Vamo' alla Flamenco」は、フラメンコらしい手拍子、足拍子が入りますよ。ツアーでは、フラメンコダンサーが入るといいですよね? シエナさんで、フラメンコが踊れる人いませんか?(笑)
中村 いそうなんですよね、うち(笑)。おだてたら誰かやってくれないかな(笑)。カスタネットのチームに衣装をつけるとか。
榮村 いいですね、フラメンコ衣装。
植松 皆さんやりたがりだから、いいんじゃないでしょうか(笑)。決定です!
――インタビュー中に、コンサートの演出が決定した!(笑) BRA★BRAのコンサートといえば、来場者もボディパーカッションやリコーダーで演奏に参加したり、アンコールでは楽器を持参すればステージに上がれたりと、ファン参加型企画を毎回実施していますが、今回はどんな企画が?
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植松 じつはこれから考えるんですよ。
榮村 そろそろ考えないと。
植松 アンコールでの「マンボdeチョコボ」参加企画は、今回も実施します。あれを楽しみにしている方も多いので。ふだんから楽器を演奏されている方は、シエナさんの各プレイヤーの隣で演奏したい! という思いがあると思いますし。
――……フラメンコに参加するとか!?
植松 どうやったら参加できますかね、フラメンコ(笑)。
中村 ボディパーカッションより難しいですよね(笑)。でも、リコーダーを皆さんに吹いてもらう企画はとてもよかったので。客席からふわぁっと音が聴こえてきて。
植松 リコーダーは今回もやってもいいかな、と思いますね。メインテーマですし。
中村 植松さんは、サックスを吹くんですか?
――サックスを始められたんですか?
植松 サックスは……何ヵ月も前に買って、いま、部屋に置いてます(笑)。音は出たんですよ! でも、リードを逆につけちゃってて(笑)。榮村さんが書いた教本で練習しているんですけど、ちゃんと読んでなかった(笑)。
――(笑)。
植松 ツアーの千秋楽までには、アンコールの曲を多少は吹けるようになりたいですね。
――今回は18都道府県を回るとのことですが、とくに楽しみにしている地域はありますか?
植松 行ったことがない県は楽しみですよね。新潟、富山、福井、埼玉、奈良、愛媛、大分、宮崎は初めてかな。それから、まだ追加公演があるかもしれないので。
――去年は台湾にも行かれていましたよね。もしかしたら海外公演も。
植松 海外も行きたいんですよね。ハワイは一度は行きたいなあ、と思っているんですけど(笑)。
中村 フランスとかもいいですよね。日本のゲームが人気ですし。『FF』のコンサートをやってみたいです。
――今年は『FF』30周年ですし、いろいろな場所で盛り上がりたいですよね!
榮村 じつは自分は、初代『ファイナルファンタジー』からプレイしているんですよ。いわゆる“復活の呪文”が要らないというのは画期的でしたね。
――植松さんが「グルグ火山」を作られてから、30年以上経ったんですね。
植松 ああー、そうですね!
榮村 あっ、『I』の曲でしたね、「グルグ火山」。聴き覚えはあるんですが、どのタイトルの曲だったかなあ? と思ってました(笑)。
――「グルグ火山」のアレンジも楽しみです。では最後に、今回のツアーへの意気込みをお聞かせいただけますでしょうか。
中村 3回目ともなるとですね、譜面をさらっていると、お客さんの顔が浮かんでくるんですよ。これまでに、皆さんの夢を見るような目に、どれだけ乗せられたか! 泣いている人がいると、もらい泣きしそうになっちゃうし。期待に応えたくて応えたくて、「ガッカリさせたくない!」という思いに尽きます。それに向かって、クオリティーを上げていきたいという気持ちも高まりますし。おかげで、シエナがちょっと大人になった気がするんですよね。皆さんの気持ちが格段に熱くて、こっちも一生懸命になっちゃう。すごい反応をいただいて、それでシエナが満ちていく。今回もそうなるように努力したいと思います。
榮村 演奏会を成功させるには、お客さんの力もそうですが、僕らも楽しむことが大事で。BRA★BRAは、成功させるために全力を尽くそう! という気持ちになれるコンサートです。僕らも全力で楽しんでいくので、来ている人みんなと楽しさを共有できればいいなと思います。終わった後にいい笑顔になって、帰っていけるコンサートにしたいですね。
植松 シエナさんって、昔から“お客さんを楽しませよう”って意識がすごく強い楽団だと思うんですよね。それがゲーム音楽と合わさって、すごく成功していると思います。みんなが好きなゲームの音楽を通じて、シエナさんの楽しさが伝わっている。一昨年やって、「みんなに楽しんでもらえてるな」と思って、去年やって、「もっともっと楽しませてあげたい!」という気分になって。2度のツアーにすごく手ごたえがあるので、今回もこれまで以上に、音楽の楽しさを皆さんに伝えていければなと思います。