国内クリエイターもOculus Touchに注力

 2016年11月17日、都内Facebook日本オフィスにて、Oculus社によるプレスイベント“Game Day”が開催された。イベントには、同社のHead of Publishingのジェイソン・ホルトマン氏が来日を果たし、今後の事業展開を明らかにした。

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▲Oculus社にて日本オフィスを取りまとめる池田輝和氏。
▲Oculus社Head of Publishingのジェイソン・ホルトマン氏。

 プレゼンの主眼となったのは、12月6日に23800円[税込・送料込]でローンチされるOculus Touch。Oculus Rift向けのコントローラーとして、長らく注目を集めてきたOculus Touch。ホルトマン氏は「Oculus Touchは単なる入力デバイスではなくて、VRの没入感を活かしながらも“ハンドプレゼンス”がある、魔法のようなデバイス」と力強く語った。

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 まさに、VR空間に“手”を出現させられるOculus Touchだが、ホルトマン氏が強調するのがコンテンツ。「すばらしいコンテンツがないと話になりません。Oculus Touch向けのコンテンツが揃っています」と、Oculus Touchに刺激を受けた開発者がコンテンツを開発し、それをユーザーが楽しむといういい“エコシステム”が重要であると説明した。まずは、Oculus Touch向けタイトルは、ローンチ時に約35タイトルが配信されるとのことだ。

 そんなコンテンツ重視の姿勢を反映するかのように、イベントではOculus Touch向けのタイトルを開発している5社より各タイトルのプレゼンが行われた。以下、その内容をかいつまんでご紹介していこう。

『エニグマスフィア(ENIGMA SPHERE)』 開発会社:よむネコ

 ジャーナリストにしてVRのインパクトを受けて、「どうしてもVRコンテンツの開発をしたい」と思い、開発会社よむネコにてVRコンテンツを開発している新清士氏。昨年の東京ゲームショウでOculus Touchに触れ「ぜひやりたい」ということで手掛けたタイトルが『エニグマスフィア(ENIGMA SPHERE)』。パズルを溶いて“球体(スフィア)”を見つけてハンマーで破壊するというふたり同時プレイ可能の脱出ゲームだ。全20面で、ひとりプレイで2時間、ふたりでは90分程度を想定しているという。「Oculus Touchはまさに“本当の手”です。これに慣れると戻れません。VRのプレゼンスが感じられます」と、大いに感銘を受けた様子。

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※よむネコFacebookサイト

『PLANNES』 開発会社:トリコル

 トリコルは、今年5月に立ち上げられたばかりの新規スタジオ。スタッフは3名ながら設立半年でVR向け2タイトルを販売し、3作目として準備中なのが『PLANNES』。トリコルの衣川氏によると、“無重力空間で行うテニス”とのことで、地球の代表として惑星に趣き、宇宙の代表選手と戦うという設定。左右別々のラケットを装備可能で、ゲットしたポイントを使ってラケットを獲得できるという。ステージは50種類で、ヘッドマウントディスプレイとPCとで、同時対戦も可能だという。

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※トリコル公式サイト

『Pro Fishing Challenge VR』 開発会社:オーパス

 オーパスによる『Pro Fishing Challenge VR』は、もともとXbox向けにリリースされた『Pro Fishing Challenge』を、VR向けにアレンジした1作。“Oculus Touchを究極の釣りコントローラー”にということで開発が進行中の同作だが、登壇した鈴木氏が自社タイトルのことを差し置いて、とにかくアピールしていたのがOculus Touchの魅力。「コントローラーの進化の最終型がOculus Touch」と絶賛。興味深かったのが、「ふつうのコントローラーで“100回リールを回せ”という指示があったら、クソゲーですが、VR&Oculus Touchだと苦にならない」というコメントには妙に納得。Oculus Touchをルアーに見立てての操作は、たしかにリールを回すだけでも楽しそう。「Oculus Touchは、VR空間のモノに触れる手です」とは、的確な表現と言えるのかもしれない。

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※オーパス公式サイト

『Dig 4 Destruction』/『Fly to KUMA MAKER』 開発会社:コロプラ

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 2014年以降、積極的にVRコンテンツに取り組んでいるコロプラは、現時点でOculus Touch向けに2タイトルを準備中。『Dig 4 Destruction』は地中を掘って、発掘した武器で撃ちまくるというFPS。最大4人での対戦が可能だ。「ソーシャル要素もあり、Oculus Touchならではの要素も活かしている」とは、コロプラの小林傑氏の言葉。一方の『Fly to KUMA MAKER』は、VRコンテンツとしてリリースされた『Fly to KUMA』のOculus Touch対応版。もともとはブロックを動かして、クマたちをゴールまで導くというアクションゲームだが、「自分の手でブロックを作って、クマを導きたい」というユーザーのフィードバックに応える形で、“メイクモード”が実装された。ユーザーの要望に新しいテクノロジーが活用されて、さらに魅力的なコンテンツが生まれるというというのは、“エコシステム”の好例と言えるだろう。

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※コロプラ公式サイト

『Dead Hungry』 開発会社:キュー・ゲームス

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▲ディラン・カスバート氏(左)とBaiyon氏(右)。

 7月に京都で行われた“BitSummit 4th”で行われた“The Bitsumiit Awards”にて、“POPULAR SELECTION AWARD/ユーザー賞”を受賞した『Dead Hungry』がOculus Touch対応タイトルとして配信が決定。腹ペコのゾンビに屋台で作ったハンバーガーを食べさせて人間に戻す……という、ファンキーな内容のアクションゲームだ。4月に社内で行ったGameJamで高評価を得て、プロジェクトが立ち上がり、5月にOculus Touch対応にしたところ「没入感がすごく、一気におもしろくなった」とキュー・ゲームスのディラン・カスバート氏。BitSummitに出展したところ高い評価を得て、Oculus社のプッシュなどもあり、製品化が決定。「Oculus Touchのローンチに合わせたい」と、スピーディーな開発で完成させたという。この春にキュー・ゲームスのクリエイティブ・ディレクターに就いたBaiyon氏は「自分たちが楽しんで、短い期間で作った“温度”がいい感じで残っています」とのこと。“鉄は熱いうちに打て”ではないが、ときにゲーム開発にはスピード感も大切で、Oculus Riftはそんなスピード感に対応し得るハードだと改めて気付かされる。

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※キュー・ゲームス公式サイト

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 プレゼンテーションのあとは、Oculus Touch対応タイトルの試遊時間が設けられた。体験できたのは、エピックゲームズの『Robo Recall』とOculus社の内作になる『Medium』。そしてプレゼンでも紹介されたコロプラの『Fly to KUMA MAKER』とキュー・ゲームスの『Dead Hungry』だ。

 ここでは、プレゼンでは言及されなかった『Robo Recall』と『Medium』に触れておくが、両作ともこうしたプレゼンの場に供されるだけあって、かなりの出来栄え。『Robo Recall』は、ざっくりと説明してしまうと、近未来を舞台にロボットと戦うというFPS。移動は、左スティックのポインターで行先を指定して、テレポートするというスタイルを採用。移動できるポイントが多く、ショットガンやガン、ときに素手を駆使して戦うアクションも爽快。何よりもエピックゲームズだけにグラフィックが超美麗と、Oculus Touchの魅力を堪能できる1作。これをOculus Riftのユーザーに無料で提供するというのだから、なんとまあ太っ腹。

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 『Medium』は、Oculus社の担当の方から「Windowsのペイントに相当するものです」と聞いて妙に納得してしまったが、要はVR空間で立体物を造形できるツール。相当微細にわたり制作できるようで、まさにVR空間の“キャンバス”といった趣き。プレゼン時に操作方法を逐一教えてもらったのですが、当然ながらさすがにしっかり習熟するには少々時間がかかる模様。とはいえ、慣れたら相当なものが作れそうな予感が……。しかも驚くべきことに、作ったオブジェクトは3Dプリンタに出力できるのだという。どんな作品ができるかは公式Twitterをご覧いただきたいが、個人的には「時代は変わるなあ」というのが率直な感想。Oculus Touchはゲーム以外の用途も想定しているようで、さまざまな用途が想定される。VR空間の“手”Oculus Touchは、まさに“魔法の手”なのかもしれない。

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