リードデザイナーが語る『Halo 5: Guardians』のキャンペーン&マルチプレイ

『Halo 5: Guardians』キャンペーン&マルチプレイの新事実! 343 Industriesリードデザイナー ブラッド・ウェルチ氏の気になるプレゼンでの発言を(ほぼ)完全収録_01
▲『Halo 5: Guardians』リードデザイナー、ブラッド・ウェルチ氏。開発スタジオの343 Industriesにはおよそ5年前『Halo』好きがこうじて入社したとのこと。

 2015年9月11日、東京・品川、日本マイクロソフト本社にてXbox One用ソフト『Halo 5: Guardians』のメディア向けプレゼンテーションが行われ、来日していた『Halo 5: Guardians』のキーマンであるふたりのクリエイターにインタビューすることができた。ここではゲームシステムやバランス調整などを担当した、343 Industriesのリードデザイナー、ブラッド・ウェルチ氏によって明かされた数多くの新要素と、メディア向けに公開されたプレイデモから読み取れた情報をお届けする。

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ボリュームアップとe-スポーツを意識したデザインのマルチプレイ

ブラッド 『Halo 5: Guardians』のマルチプレイモードは、アリーナとWarzoneのふたつのコンポーネントに分かれています。まずアリーナですが、昨今のFPS系のe-スポーツで主流かつ『Halo』でもスタンダードなスタイルになっている、4対4のチーム戦で戦うモードになっています。
 Warzoneのほうは12人のチーム×2という計24人で戦う非常に大規模なもので、サンドボックスあり、ビークルに搭乗しての砲撃、空中からの爆撃といった派手な戦いがメインになります。また、Warzoneのほうはプレイを重ねていくことでプレイヤーの分身であるスパルタンのアビリティ(武器やスキル)も拡張されています。そしてシリーズ初の試みで、(参加プレイヤーが足りない場合)AIがマルチプレイに参加するようになりました。基本的にはアリーナはプレイヤーのスキルアップを目的に戦闘してもらい、Warzoneでは大規模な戦闘を楽しんでもらいたいと思っています。

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ブラッド 本作のマルチプレイヤーのマップ数ですが、いままでで最大の規模になっています。『Halo 5: Guardians』の発売時にはアリーナとWarzoneをあわせて登場するマップが約20用意されています。そこから8ヵ月のあいだに15マップほど追加します。マップ以外もボリューミーで、スパルタンをカスタマイズするための、アーマー、スキン、エンブレムなども発売日に100アイテム、その後も増加していき、最終的には数百という数になります。こういったアイテムは“交換パック”を手に入れることで集めていきます。パックの中身はランダムですが、アーマー、スキン、エムブレムを始め、Warzoneの場合はさらに武器やビーグルもパックから出てくる可能性がありますよ。交換パックはレベルアップ時に無償で得られる(中身がほぼ決まっている)タイプと、マルチプレイに参加することでもらえるゲーム内クレジットを使って買うことができます。ちなみに交換パック、追加ステージなどのダウンロードコンテンツは、すべてのプレイヤーに平等にマルチプレイを楽しんでほしいと思っていますので、基本的には無料での配布を予定しています

チームでの連携がカギになるキャンペーンモード

ブラッド 『Halo 5: Guardians』のキャンペーンは前作のゆうに2倍のボリュームがあります。キャラクターやストーリーの話はフランクのほうから説明があったと思うので、私のほうからはゲームプレイの観点からキャラクターの話をしたいと思います。キャンペーンモードではマスターチーフがいるブルーチームと、ファイアチーム オシリス、ロックが率いるスパルタンのチームが登場します。基本的にはマスターチーフのチームを操作してゲームを進めていくのですが、ファイアチームの視点からストーリーを追うこともあります。両チームのスパルタンには若干能力に違いがありまして、ブルーチームのスパルタンはシールドのリチャージが早かったり、ファイアチームにはスラスターが装着されていて、潜入に長じているといった特徴があります。またメンバーそれぞれにも個性を持たせており、たとえばケリーというブルーチームのスパルタンはチーム内はもちろんファイアチームを含めて最も足が速いキャラクターで、誰よりもすばやく移動することができます。あとはウェポンのロードアウト(イラスト)を見てもらえばちがいがわかりますよね。ヘルメットの形状も違いますので戦闘中もキャラクターの区別はつくようになっていると思います。

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ブラッド また人類以外のコヴナントやフォアランナーのキャラクターも増加しています。E3のトレーラーに登場したボス敵のウォーデン、プロメシアンナイトというフォアランナーの新しい種族、過去に登場したプロメシアンなどの能力も微調整して変化しています。
 今回はスパルタンがチームとして戦うわけですけど、そこで私たちは“チームを武器として扱える”ことをテーマに掲げて開発を進めました。そんな経緯で生まれたのがdパッドを使って仲間に指示を送るオーダー(命令)です。ふたつほど例を挙げると、照準を画面内の敵にあわせてdパッドの上を入力すると、プレイヤーの代わりにチームメンバーが敵を排除する行動に移ってくれます。同じように武器へと照準をあわせると、メンバーが武器を拾い、自身の装備を変更します。また、チームでの戦闘になったことで入れられたシステムとしてはリバイブもありますね。いままではライフが0になって戦闘不能になればチェックポイントへ戻されてからプレイ再開という形でしたが、倒れた仲間に近づいてリバイブを行なえば、再度戦闘に復帰できます。ただメンバーが全員戦闘不能になってしまうと、いままでどおりチェックポイントに戻ってしまいますけどね。
 それから協力プレイでは、専用サーバー上でプレイできるようにしたことでフレンドが突然ゲームに参加、離脱をしてもシームレスにプレイし続けられるようになっています。

進化したマスターチーフの新アクション

ブラッド チームでのアクションが増えた『Halo 5: Guardians』ですが、マスターチーフ個人もパワーアップして、さまざまな新能力が追加されています。まずクランバー。これは垂直方向に登る、降りるといった、上下の移動範囲を拡大できる装置ですね。スラスターというのは相手の攻撃を避けながら前進したり、遮蔽物に隠れたりできる機能です。スライドは言葉の通りの滑るアクションで、地面を滑って障害物の下をくぐり抜けたり、敵に素早く近づき、その敵を盾にして隠れながらつぎの動きにつなげるといったムーブメントアビリティです。
 新しい攻撃手段としては、ショルダーバッシュグラウンドパウンドが追加されました。ショルダーバッシュはパワーをチャージして強力な近接攻撃などを放つアクションで、大ダメージを与える攻撃としてだけでなく、壁を破壊して新しいルートを発見するといった使いかたもできます。グラウンドパウンドは空中に跳び上がってからパンチを放つアクションで、こちらもエネミーへの攻撃のほか、スラストを発射することで場所によっては床を破壊して新しいルートを作ったりもできます。これらのアクションはベータテストの際にすでに実装されていましたが、ユーザーさんの意見を取り入れつつ、より使いやすいアクションになりました。
 初代『Halo』からスパルタンに装着されているトラッキングも進化しています。敵の位置や武器が置かれた場所の判別に加え、肉眼ではわからない隠し通路や破壊可能な道や壁も見破れるようになっています。トラッキングをより楽しく使いこなしてもらうために、ファイアチーム操作時のステージは、マップのレベルを上げて(ギミックを増やす)います。最後のスマートリンクですが、これとマスターチーフのヘルメットが連動しているのおかげで、すべての武器にスコープがつき、精密な射撃を簡単に行えるようになっていますよ。

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プレイデモから垣間見えた新生『Halo』のバトル

 マスターチーフ(スパルタン)の新アクションの説明が終わると、実際の『Halo 5』のプレイデモを交えての、より具体的な解説がスタート。トップシークレットということで残念ながら画像や動画を撮影することは叶わなかったが、プレイデモの視聴で得られた情報をここでお伝えしよう。

  プレイデモの部隊に選ばれたのは、キャンペーンモードでマスターチーフ率いるブルーチームが挑むふたつ目のミッション。宇宙戦艦アージェントムーンに潜入し、コヴナントを一掃が目的のようだった。ミッションはスラスターで隕石を避けつつ宇宙空間を移動、潜入に成功するイベントデモからスタート。船内では早速戦闘が始まり、『Halo 5: Guardians』のキャンペーンモードのキモとなるであろう、チームメンバーへのオーダーを使った戦法がさく裂。ふた手にわかれての挟撃、マスターチーフは動かず仲間が静かに敵を排除といった戦いかたを見ることができた。仲間たちはdパッドひとつで指示するだけで“オーダー遂行に最適な行動”を選択してくれるため、オーダーに気を取られて自分の操作がおろそかになる、なんてことはなさそうだ。

 最初の戦闘が終わって少し移動し、船内に格納されている小型艦までたどり着くとブラッド氏から「ここで船の中に向かうことができますが、今回は通路を進むルートで行きます」との説明が。今回のプレイデモはおよそ10~15分前後だったのだが、その短い時間のあいだにこのようなルート分岐のポイントの説明は計3回入った。ルート分岐はいままでの『Halo』シリーズにはほぼなかった要素だが、今作では頻繁に登場するのだろうか。

 その後の戦闘でもロックオン後にグレネードが敵を追尾する新武器、ハイドロランチャーを使った銃撃戦、戦闘不能になったメンバーのリバイブ、グラウンドパウンドを放った際の衝撃波で敵を倒すといった『Halo 5: Guardians』ならではの新要素を使った戦闘シーンが目白押しだった。さらにデモの最後に流れたイベントシーンでは、シリーズのファンにはおなじみ、マスターチーフの相棒ともいえる存在、女性型AIのコルタナらしき人物のシルエットが……。『Halo 4』で退場したはずの彼女がなぜ? とブラッド氏に質問をぶつけてみたものの、シルエットの正体が誰なのかははぐらかされてしまったところでインタビューは終了した。

 いよいよ発売日が待ち遠しい『Halo 5: Guardians』だ。