作品の規模は前作の“2倍”に!

 国内では2015年10月29日に発売される日本マイクロソフトの『Halo 5: Guardians』は、全世界におけるシリーズ累計販売本数が6500万本以上を誇るFPSシリーズの最新作。年末屈指のXbox One用ソフトの超大作として、期待を集める1作だ。同作の発売を間近に控えて、開発元である343 Industriesの『Halo』フランチャイズ デベロップメント ディレクター フランク・オコナー氏と『Halo 5: Guardians』リードデザイナー ブラッド・ウェルチ氏が来日。ゲームメディアを対象としたプレゼンテーションが行われた。

 2013年の正式発表以降、発売が待望されてきた同作。2015年に入ってからも、E3 2015や、 Comic-Con International 2015などで、適宜『Halo 5: Guardians』の情報が公開されてきたが、発売直前ということで、改めて同作の概要が紹介された。ここでは、フランク・オコナー氏のプレゼンの模様をお届けしよう。

『Halo 5: Guardians』はシリーズかつてないスケールの大きさに 343 Industriesのフランク・オコナー氏が語る作品の“凄み”_19

物語のカギを握る? ヴィラン(悪役)ウォーデン・エターナルとは?

 ナンバリングタイトルとしては初の新世代機向けとなる『Halo 5: Guardians』。前作『Halo 4』(2012年)は、343 Industriesが手掛ける初の『Halo』シリーズ作だったため、「学習する側面もたくさんあった」(オコナー氏)とのこと。前作は、「ゼロから作る『Halo』シリーズ」「ファンの大きな期待に応えなければならない」といった点で、相当大きなプレッシャーもあったようだ。結果リリースされた『Halo 4』は大好評で、343 Industriesとしては大きな自信となったが、一方で「あそこはこうすべきだったのでは?」との改善点も浮かんだという。『Halo 5: Guardians』は、そんな前作での教訓を活かして、開発に取り組んだという。

 さて、新世代機向けとなることで、『Halo 5: Guardians』はどこまで進化したのか? 冒頭でオコナー氏から口にされたのが、「前作(『Halo 4』)の2倍になった」とのコメント。“2倍”と言われても少しイメージを掴みづらいかもしれないが、ステージの大きさやストーリーなどが“2倍になった”というから相当なスケールの大きさというべきだろう。ユーザーが、「よりスケールの大きな世界観で遊びたい」と熱望するのは人情というもので、そんなファンの要望に応えてのスケールアップと言える。とはいえ、ただ単に2倍にしただだけでは間延びするだけというもの。オコナー氏らは、「スペースやスケールに意味を持たせるにはどうしたらいいのか?」と考えたという。つまり“スケールアップする必然性”だ。『Halo 5: Guardians』の魅力を語ることは、取りも直さず“いかにスケールアップに必然性を持たせたか”を説明するものでもある。

『Halo 5: Guardians』はシリーズかつてないスケールの大きさに 343 Industriesのフランク・オコナー氏が語る作品の“凄み”_14

 ひとつは、世界観の構築。『Halo 5: Guardians』では、“人類”、“コヴナント”、“フォアランナー”の3つの世界観をしっかりと構築。各世界でビジュアル的にも違う見せかたをしており、ゲームプレイにも幅を持たせたという。さらに異なるストーリーの要素もあるという。

 新キャラクターの登場も“スケールアップ”の重要なポイント。『Halo』シリーズでは、主人公のマスターチーフを筆頭にアービターやコルタナなど魅力的なキャラクターが数多く登場するが、『Halo 5: Guardians』ではさらに気になるキャラクターが続々とお目見えするという。その代表例としてオコナー氏がピックアップしたのが、ウォーデン・エターナル。「『Halo 4』ではフォアランナーの描写が十分ではなかった」(オコナー氏)との反省点も踏まえて登場したウォーデン・エターナルは、「ひとつの人格ではあるが、複数のボディを持っていて、戦いの現場では同時に複数のボディで戦ってくる」(オコナー氏)とのこと。とまあ、いまひとつ掴みどころのないキャラクターではあるが、「本作のメインの悪役なのか?」と聞いてみたところ、「実際にストーリーを体験して驚いていただきたいので、表現を選ぶのですが……」とオコナー氏はネタバレを心配しつつも、「メインの敵として登場します」とのこと。『スター・ウォーズ』のダース・ベーダーや『ダークナイト』のジョーカーの例を引くまでもなく、魅力的な悪役(ヴィラン)の存在は、魅力的なストーリーには不可欠。『Halo 5: Guardians』では、ウォーデン・エターナルが、この“魅力的な悪役”となるようだ。E3のトレーラーでも印象的だったウォーデン・エターナルは、マスターチーフの4倍(!)の体格を持つという。体格差4倍の敵というアイデアは、前作『Halo 4』でも持ち上がっていたらしいが、本作でようやく実現したとのこと。「いろいろな種類の攻撃を持っているのですが、大きな手応えを感じています」(オコナー氏)とのことで、マスターチーフとどのような形での戦いがくり広げられることになるか、楽しみだ。

『Halo 5: Guardians』はシリーズかつてないスケールの大きさに 343 Industriesのフランク・オコナー氏が語る作品の“凄み”_15

 『Halo 5: Guardians』には、もちろん味方キャラクターも数多く登場する。ご存じの通り、本作のキャンペーンはチーム単位で行動することになるのだが、マスターチーフ率いるブルーチームと、スパルタン ロック率いるファイアチーム オシリスの面々だ。

『Halo 5: Guardians』はシリーズかつてないスケールの大きさに 343 Industriesのフランク・オコナー氏が語る作品の“凄み”_17
『Halo 5: Guardians』はシリーズかつてないスケールの大きさに 343 Industriesのフランク・オコナー氏が語る作品の“凄み”_18
▲キャンペーンを盛り上げるブルーチームとファイヤチーム オシリス。

 ブルーチームに所属しているのは『Halo』ユニバースおなじみのメンバーで、コミックや小説などに登場しているキャラクター。チームメンバーはプロに徹しており、ストイックな兵士ばかり。6歳のときから兵士をしており、戦うこと以外何も知らないという。チームは30年以上もいっしょに戦っており、深い絆で結ばれているという。一方の、ファイアチーム オシリスは、失踪したマスターチーフを捜すべく結成されたまったく新しいチーム。当然それぞれのメンバーはあまりなじみがないようで、本作で戦いを経ることに、「戦いを通して、お互いの個性を知るようになる」(オコナー氏)という。「ブルーチームほどストイックでもない」(オコナー氏)とのことで、クセモノ揃いのキャラクターとの印象だ。深い絆で結ばれたストイックなブルーチームと、新規に結成された個性的なファイアチーム オシリス。オコナー氏の話を聞いていると、両チームの対比も、本作の楽しみどころなのかなと思われる。

 ちなみに、オコナー氏によると、「主要なキャラクターが8人もいるのは多すぎるのでは?」と聞かれたとのことだが、「『スター・ウォーズ』でも2時間の映画で8人以上のキャラクターがいます。『Halo』ではキャラクターといっしょにいるのは、10時間を超えるので……(笑)」とのこと。要は、『Halo 5: Guardians』では、各キャラクターの個性が際立つストーリーラインになっているということだろう。

『Halo 5: Guardians』はシリーズかつてないスケールの大きさに 343 Industriesのフランク・オコナー氏が語る作品の“凄み”_12
『Halo 5: Guardians』はシリーズかつてないスケールの大きさに 343 Industriesのフランク・オコナー氏が語る作品の“凄み”_03
▲好敵手の香りがするヴァーデン・エターナル。デザインもクール。
『Halo 5: Guardians』はシリーズかつてないスケールの大きさに 343 Industriesのフランク・オコナー氏が語る作品の“凄み”_02
▲両チームによりどのようなストーリーが紡がれるのか……。
『Halo 5: Guardians』はシリーズかつてないスケールの大きさに 343 Industriesのフランク・オコナー氏が語る作品の“凄み”_09
『Halo 5: Guardians』はシリーズかつてないスケールの大きさに 343 Industriesのフランク・オコナー氏が語る作品の“凄み”_05
▲ブルーチーム・マスターチーフ。
▲ブルーチーム・フレッド。
『Halo 5: Guardians』はシリーズかつてないスケールの大きさに 343 Industriesのフランク・オコナー氏が語る作品の“凄み”_07
『Halo 5: Guardians』はシリーズかつてないスケールの大きさに 343 Industriesのフランク・オコナー氏が語る作品の“凄み”_06
▲ブルーチーム・リンダ。
▲ブルーチーム・ケリー。
『Halo 5: Guardians』はシリーズかつてないスケールの大きさに 343 Industriesのフランク・オコナー氏が語る作品の“凄み”_08
『Halo 5: Guardians』はシリーズかつてないスケールの大きさに 343 Industriesのフランク・オコナー氏が語る作品の“凄み”_04
▲ファイアチーム オシリス・スパルタン ロック。
▲ファイアチーム オシリス・バック。
『Halo 5: Guardians』はシリーズかつてないスケールの大きさに 343 Industriesのフランク・オコナー氏が語る作品の“凄み”_10
『Halo 5: Guardians』はシリーズかつてないスケールの大きさに 343 Industriesのフランク・オコナー氏が語る作品の“凄み”_11
▲ファイアチーム オシリス・タナカ。
ファイアチーム オシリス・ベイル。

“Halo World Championship”は日本人でも参加できる

 ここからは、フランク・オコナー氏との一問一答のやり取りをお届けしよう。記者が疑問に思ったことを思いつくままに聞いてしまったので、若干とりとめがないかもしれないが、ご容赦のほどを。

『Halo 5: Guardians』はシリーズかつてないスケールの大きさに 343 Industriesのフランク・オコナー氏が語る作品の“凄み”_16

――『Halo 5: Guardians』は、『Halo 4』に比べて質量ともにスケールアップしたとのことですが、“もうひとりの主人公”として、スパルタン ロックを起用したのも、その一環ですか?
フランク ひとりのヒーローだと、“ユニバース”としては限りがあるので、大きなアプローチということで、スパルタン ロックを起用することにしました。ストーリー的には、新しいヒーローを出して驚いてもらいたかったというのもあります。

――マスターチーフに対するくらいのキャラクターなので、造形はたいへんだったのでは?
フランク スパルタン ロックのアイデアは3年以上前からあって、肉体的にも精神的にもマスターチーフと戦える能力を持った兵士ということで造形していきました。失踪したマスターチーフを探すという任務を担うわけですが、苦労しつつ、自分の責任を果たしていくことになります。スパルタン ロックは、洞察力があり、好奇心旺盛な性格です。ちなみに、彼はマスターチーフに対して個人的な憧れも抱いています。

――“質量ともにスケールアップ”ということでいうと、“質”の部分ではどのようにスケールアップしたのですか?
フランク “質”という点では、ゲームプレイやストーリーなどでもスケールアップしています。ストーリー部分で語らせていただくと、『Halo』シリーズは14年間に渡って親しまれてきたわけですが、『Halo 5: Guardians』に関しては、「さらに楽しんでいただきたい」という思いから注力してきました。マスターチーフとスパルタン ロックというふたつの流れが絡みあうストーリーラインは、その最たるものです。さらに、ストーリーの深みについて一例を挙げるとするとブルーチームやファイアチーム オシリスの仲間にも注目していただきたいです。協力プレイ時に彼らをプレイすると、ひと味違ったストーリー体験ができるんです。

――シングルプレイでは、マスターチーフもしくはスパルタン ロックでしかプレイできないんですよね?
フランク そうです。協力プレイ時にチームのメンバーで遊ぶことによって、違った視点でのストーリーに触れられるようになっています。

――ちなみに、『Halo 5: Guardians』でアービターの視点になったり、フォアランナーの立場になったり……ということはありますか?
フランク 『Halo 5: Guardians』ではないですね。将来的には可能性があるかもしれませんが……。

――Warzoneやアリーナなどの新しいマルチプレイモードを採用した意図を教えてください。
フランク アリーナは従来からある『Halo』のマルチプレイヤーとしては伝統的なモードと言えます。ある意味で、根っこのところに戻ったと言えます。『Halo 4』で、伝統的なモードがなかったのが、間違いだったと思います。Warzoneは、まさにファンの方々の要望にお応えしたモードです。10年以上そういった要望がありましたので、今回満を持しての搭載となりました。“ジャイアントモード”として、マルチプレイのすべてがそこに入ったモードとなります。

『Halo 5: Guardians』はシリーズかつてないスケールの大きさに 343 Industriesのフランク・オコナー氏が語る作品の“凄み”_13
『Halo 5: Guardians』はシリーズかつてないスケールの大きさに 343 Industriesのフランク・オコナー氏が語る作品の“凄み”_01

――βテストを遊ぶと、『Halo 4』に比べて難度が上がった印象もありますが……。
フランク とくに難しくなったというわけではないと思いますが、見た目は前よりも複雑に見えるかもしれませんね。できるアクションは多彩になっていますよ。ただ、協力プレイでは、友人の手助けも仰げますし、“スクワッド(協力)オーダーシステム”もありますので。

――“スクワッドオーダーシステム”ですか?
フランク dパッドを駆使することで、仲間に指示を出すことができるんですよ。「この武器を拾え」とか、「上方から援護しろ」とか。AIのほうでそのオーダーを認識して指示に従うわけです。

――『Halo 5: Guardians』ではe-スポーツに注力しているようですが、その理由は?
フランク 『Halo 4』では、マルチプレイでバラエティーに富んだゲームプレイが楽しめるようにしたのですが、一部のユーザーさんには不評でした。そこで、本作では両方のチームができるだけイコール条件になるようにしています。一方で、e-スポーツの需要はいま爆発的に伸びています。初代『Halo』はe-スポーツの走りとも言える存在でしたので、『Halo 5: Guardians』でe-スポーツに注力するというのは、自然な流れであったと言えます。年内には優勝賞金100万ドルの公式大会“Halo World Championship”も開催されますし。

――“Halo World Championship”は日本人でも参加できますか?
フランク “Halo World Championship”はグローバルな世界大会なので、世界中の誰でもが参加対象になっています。もちろん、日本も対象になっていますよ。日本でも、日本マイクロソフトと協力してラリーを行う予定なので、楽しみにしていてください。