Project Morpheusも中国で初お披露目!

 2015年7月29日、中国・上海InterContinental Shanghai Expo Hotelにて、ソニー・コンピュータエンタテインメント主催による“2015 PlayStation Press Conference in China”が開催された。

 昨年(2014年)、経済特区である“中国(上海)自由貿易試験区”にて、14年ぶりにコンシューマゲーム機が解禁されたこともあり、世界から大きな注目を集めている中国市場。ソニー・コンピュータエンタテインメントも中国市場には注力しており、昨年のChinaJoyでは大々的にブースを出展、さらに12月にはプレスカンファレンスを開催するなど、着々と中国市場展開に向けての足場を固めてきた。そして、今年(2015年)3月20日に、中国市場で満を持してプレイステーション4とプレイステーション Vitaが発売。ChinaJoy 2015の前日に行われたプレスカンファレンスは、3月での中国のローンチを受けて、“今後の中国市場における戦略”を明らかにすべく実施されたものだ。

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▲ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジア デピュティプレジデントの織田博之氏。

 今回のカンファレンスで改めて実感されたのは、やはりSCEは中国市場に対する本気ぶり。カンファレンスでは、101社を超える内外のメーカーがプレイステーションフォーマット用ソフトを作っており、70タイトルにも及ぶプレイステーション4およびプレイステーション Vitaのタイトルが紹介されたのだが、今後の豊富なラインアップを印象付けた。とくに際立つのが中国メーカー開発タイトルの充実ぶり。昨年のChinaJoyでは、「中国メーカーの開発タイトルが少ないかも」との印象だったのだが、それが1年経って様変わり。大手メーカーからインディーまで、中国メーカーも、相当プレイステーションに本気になっているようなのだ。会場では、プレイステーションフォーマットでの開発に取り組む中国クリエイターのコメントも映像で流され、「去年大学を卒業したばかりです。新しい挑戦が大好きで、プレイステーションに真剣に力を入れていきたい」「プレイステーションが中国市場に登場することで、希望をもたらしてくれる。このチャンスを活かしたい」といった印象的な言葉が聞かれた。そういった意味では、さきほど“SCEは中国市場に本気”と書いたが、“多くの中国メーカーがプレイステーションに本気”ということも言えるのかもしれない。

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▲中国における販路も増えたと語る織田氏(左)。今後タイトルも続々。
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▲中国では8月18日に発売される『風ノ旅ビト』。中国人ゲームデザイナー陳星漢氏が手掛けているだけに、中国での注目度も高い。
▲プレイステーション4版『討鬼伝 極』が発売。PS Vita版も好評だっただけにプレイステーション4版にも期待が高まる。
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 とはいえ、カンファレンスで大きな存在感を放っていたのは、掛け値なしに日本のメーカーだったと言えるだろう。まず「おお!」と思わされたのが、バンダイナムコエンターテインメントの『聖闘士星矢 ソルジャーズ・ソウル』の映像が流されたとき。会場からは期せずして大きな歓声が湧き上がり、中国市場における『聖闘士星矢』人気の根強さを改めて実感させた。

 そして、今回のカンファレンスでもっとも湧いたのは、ふたりの日本人クリエイターがゲストとして登壇したときだった。ひとりめは、カプコンの小野義徳氏。『ストリートファイターV』の最新映像が流されるや、大歓声に湧き上がった会場にさっそうと登場した小野氏は、『ストリートファイターV』の中文版をリリースする予定であることを発表。「『4』からゲームバランスをリセットして、すべてのユーザーに受け入れられるようにシステムを調整しています」と説明。さらに、Weibo(中国版ツイッターのようなもの)の会員が50万人(!)を超えたという小野氏は、中国のゲームファンから「(コンシューマーでは)ほかの機種では出ないのか?」という質問が多いことに触れつつ、「出ません!」と改めて明言。「出ないので、いまから安心してプレイステーション4をお買い求めください」とアピールした。気になる『ストリートファイターV』の中国におけるリリース日に関しては、「センサーシップ(中国政府の審査)が通り次第出したい」とのことで、「簡体字もフルサポートします」と宣言。「簡体字で対戦できます!」と中国のゲームファンを喜ばせた。

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▲『ストリートファイターV』が発表されるや会場は大歓声に! さすがに人気ぶりです。

 そして、もうひとりはスクウェア・エニックスの吉田直樹氏。吉田氏は、『ファイナルファンタジーXIV』が全世界500万人を突破したMMORPGであることやカジュアルユーザーからコアなゲームファンまで幅広く楽しめるタイトルであることなどを改めて説明。カンファレンスでは、プレイステーション4版の詳細として、プレイステーション4版の運営をPC版と同じく盛大遊戯(シャンダゲームズ)が行い、バックアップをSCEが行うという強力なタッグで臨むことが明らかにされた。

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▲中国におけるプレイステーション4版は、スクウェア・エニックス、盛大遊戯、SCEの強力タッグで展開されることになる。その象徴ともいうべきスリーショットも実現(右)。左から添田武人氏、吉田直樹氏。盛大遊戯COO、朱継盛氏。
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▲SCE ワールドワイド・スタジオ 吉田修平氏。

 さて、今回のカンファレンスでは、中国のゲーム関係者の前に、新しいテクノロジーが初お披露目された。そう、Project Morpheusだ。登壇したSCEワールドワイド・スタジオ プレジデントの吉田修平氏は、たくさんのメーカーがProject Morpheusに力を入れていると前置きした上で、Project Morpheusの特徴として、プレイステーション4向けの商品であることで、すべてのプレイヤーが扱いやすくなっていることや、独自のLEDモニターを採用することで、遅延を抑えられること、長時間装着しても不快感がないといったProject Morpheusの魅力が紹介された。さらには、VRということで“孤独な体験”になりがちという印象を払拭するために、モニターを通じてほかのプレイヤーと遊べる機能を作ったといった点も紹介された。

 なお、ChinaJoyではProject Morpheusが試遊可能に。『サマーレッスン』、『The Deep』、『The Playroom VR』、そして“SEGA feat. HATSUNE MIKU Project: VR Tech DEMO”の4タイトルが試せるという。とくに、“SEGA feat. HATSUNE MIKU Project: VR Tech DEMO”は、E3 2015以降初めての公の場でのお披露目だという。中国のゲームファンがProject Morpheusに対してどのような反応を見せるのか、興味深いところだ。Project Morpheusは、現時点では中国での発売は決まっておらず、今回のChinaJoyでの出展はあくまでも参考出展とのことだが、いまの中国市場におけるプレイステーションフォーマットの勢いを考えると、海外でのローンチから、さほど間を置かずして楽しめるのでは……と思われた。

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 中国で順調にローンチした様子のプレイステーション4とプレイステーション Vita。そんなハードの勢いが見える“2015 PlayStation Press Conference in China”となった。

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▲記者がうれしかったのは、韓国のBLUESIDE開発による『キングダム アンダー ファイアII』が披露されたこと。さすがの映像に中国ファンもびっくりしたのでは?
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▲F2Pタイトル『Firefall』や世界初お披露目となる『3on3』も。
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▲カンファレンスでは中国メーカーによるタイトルの豊富さが際立っていた。