E3でサプライズ連発! スクウェア·エニックス、攻めの姿勢でさらなる飛躍を目指す――松田社長インタビュー

就任から2年、スクウェア・エニックスの陣頭指揮を執る松田洋祐社長に、改めてE3の手応え、そして今後の戦略を訊いた。

●「『FFVII』リメイクの発表時の反響は、正直なところ、想像を超えたものでした」(松田氏)

 スクウェア・エニックスは、E3 2015(※)で『ファイナルファンタジーFFVII』(以下、『FFVII』)のフルリメイクを始め、『ワールド オブ FF』や『NieR New Project(仮題)』、『LARA CROFT GO』といった、ハイエンドゲームからスマホゲームまで、ジャンルも多岐にわたるさまざまな作品を発表。さらに、“Tokyo RPG Factory”という新規スタジオの発足も明らかにし、いま世界でもっとも活発で挑戦的なゲームメーカーと言っていいだろう。就任から2年、同社の陣頭指揮を執る松田洋祐社長に、改めてE3の手応え、そして今後の戦略を訊いた。
(聞き手:KADOKAWA・DWANGO 取締役 ファミ通グループ代表 浜村弘一)

※本記事は、週刊ファミ通2015年8月6日号(7月23日発売)の記事をWeb用に再編集したものです。

スクウェア・エニックス
代表取締役社長
松田洋祐氏

■E3でサプライズを連発! 『FFVII』リメイクの反響は想像以上

――今年のE3、スクウェア・エニックスの盛り上がりがスゴかったですね。

松田 ありがとうございます。

――今回のE3期間中、さまざまな発表を見ましたけれど、その中で、ドカンと歓声が上がって、とくに盛り上がった発表がふたつあったと感じました。ひとつは“Xbox E3 2015 Briefing”でのXbox One後方互換の発表。そしてもうひとつは、『FFVII』のフルリメイクのアナウンス映像です。『FFVII』って……スゴイですね。すごく歓声があがりました。いま海外の動画サイトで回転数を稼いでいるのは、『FFVII』リメイク発表時の生放送を観ていた方のリアクションを録った映像です。いかがですか? この反響、盛り上がりについて。

松田 『FFVII』のリメイクは以前から多くのご要望をいただいていた作品ですので、皆様のご期待に沿えるようしっかりと取り組んでいかなければと改めて感じました。毎年、E3前になると「『FFVII』リメイクの発表があるのでは?」という話題が噂として出てきていたようなのですが、その流れの中で、昨年12月にオリジナル版『FFVII』のPC版をベースとしたPS4向け移植を発表した際に、リメイクだとミスリードしてしまったことがありました。それもあって、より驚かれた方も多かったのでは、と考えています。

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――世界中からの熱狂的な反響。想像はされていましたか?

松田 正直なところ、想像を超えていました。PlayStationのカンファレンスでは、会場の前のほうで見ていたのですが、後ろの方からの熱気を肌で感じることができました。

――発売はまだ先になりそうですか?

松田 現時点ではまだお答えできませんが、開発チームがいろいろと考えてやってくれていると思います。

――『FF』シリーズでは、『ワールド オブ FF』が発表されました。これまでの『FF』は、どちらかと言うというと大人向けという印象のシリーズでしたが、子どもたちに向けた本格的な作品、という意味では初めてですね。

松田 いままでの『FF』にはなかったテイストの作品ですね。大人の方でも、これまでの『FF』よりももう少しライトなゲーム体験をしたいという時などに楽しんでいただけると思います。

――昨年12月から『SAGA2015(仮題)』の発表に始まり、アーケード版『ディシディア FF』など、ほぼ月イチでサプライズ発表がありました。さらに、E3のPlayStationカンファレンスの翌日には、御社単独のカンファレンスで、本当にたくさんのタイトルが発表されました。今年のE3でもっとも活気があったソフトメーカーだったと思います。

松田 ありがとうございます。自社カンファレンスは2年振りになりますが、プラットフォーマーさんのカンファレンスで必ずしもすべてのタイトルを取り上げていただけるわけではありません。といって自社ブースで個別に発表すると、どうしても印象は散漫になり、埋もれてしまう。今年は強力なタイトルが揃い数も多くありましたので、カンファレンスを開催することにしました。

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――それだけタイトルが揃っている、ということですよね。『キングダム ハーツIII』の最新映像公開のときも、かなり盛り上がっていました。これまでいろいろなカンファレンスを見てきましたけれど、映像終了後に来場者から「サンキュー!」って声を聞いたのは初めてでした(笑)。スクウェア・エニックスのタイトルは海外でもスゴイ、ということが改めて感じられました。『NieR New Project(仮題)』という隠し球もありましたし。

松田 すごく盛り上がっていましたね(笑)。『キングダム ハーツ』も世界中で支持してくださるファンが多いシリーズですからね。『NieR New Project(仮題)』は東京ゲームショウで発表しよう、という意見もあったのですが、開発が世界にもファンが多いプラチナゲームズさんということ、加えて、ある意味で日本らしい独特の作品を全世界のファンにもぜひ見てもらいたい、という気持ちもあり、全世界にアピールできるE3で発表してもらうことになりました。

――自社カンファレンスの手応えはいかがでしたか?

松田 正直、現地では忙しく、発表会が終わった後はミーティングばかりだったので、現地での手応えを感じる時間はありませんでした。ですが、後日、反響を見てみると、今年発売を控えている欧米向けのタイトルに関してもポジティブなご意見が多かったので、やった甲斐はあったかな、と思いました。

――ハイエンドゲーム機向けのタイトルが多かったのも驚きでした。今後もそちらに注力していく方針なのですか?

松田 ハイエンドとスマホ向けのライトなものとの両輪ですね。ハイエンド向けのものは、つねに最先端技術にキャッチアップしていくということに加えて、ブランドへの投資という意味合いもあります。ハイエンドゲームは我々のアイデンティティーを表すものだと捉えていますから。スマホ向けでは、いままでと何か違うものを提案する、ということにチャレンジできますので、そういった意味で大切です。

――スマホの性能も上がり、スマホでもハイエンドゲームが遊べる時代がすぐそこまで来ています。先日配信された『メビウスFF』はその先陣を切った作品と言えそうですね。

松田 『メビウスFF』を手掛けた、北瀬(佳範氏)は、「これまで『FF』は、つねにエポックメイキングなものに挑戦してきた。その結果、“振り返ってみると、あの作品でゲームのトレンドが大きく変わった”と言われることも多い。そんな作品を残すのが『FF』シリーズだった」と。その意気込みを聞いて、『メビウスFF』の企画にゴーを出しました。

――確かにその通りですね。『FFVII』ではプレイステーションで3Dポリゴンを使った描画でゲームの表現力の可能性をぐっと広げましたし、『FFX』ではプリレンダCG映像をふんだんに使って映画のような物語が紡がれました。『メビウスFF』もスマホでハイエンドゲーム機のようなゲームが楽しめるんだ、と驚かされました。

松田 『メビウスFF』の開発チームは、これまで家庭用の『FF』ナンバリングタイトルを手掛けてきたスタッフが中心です。これまで弊社でやってきたスマホ向けゲームの積み重ねがなければ、『メビウスFF』はできなかったと思います。