ライオンズフィルムと関わりを持つ台湾メーカーを取材する台湾スタジオツアー。今回は今夏にもプレイステーション4版の配信を控えた『Weapons of Mythology(ウェポンズオブミソロジー)』をお届けする。

●家庭用ゲーム機ユーザー、日本人ユーザーのためにきめ細かい最適化を!

 ライオンズフィルムと関わりを持つ台湾メーカーを取材する台湾スタジオツアー。前回のUserJoy Technologyに続き、今回お届けするのは、Gamemag Interactiveだ。Gamemag Interactiveといえば、今夏にもプレイステーション4版の配信を控えた『Weapons of Mythology(ウェポンズオブミソロジー)』(以下、『WoM』)。記者も台北ゲームショウ2015での取材では、極めて印象に残った1本だった。実際のところ、今回のGamemag Interactiveのスタジオツアーも、「プレイステーション4版の進捗をお伝えする」ことを主旨に企画されたもの。台北ゲームショウからおよそ3ヵ月、どんな新情報がもたらされるのか……と、猛る気持ちで筆(実際はキーボードだけど)を進める前に、まずは軽くGamemag Interactiveの紹介をしておこう。

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 台湾大手ゲーム会社XPEC Entertainment傘下の開発スタジオとして、Gamemag Interactiveが設立されたのは2012年。それまでXPEC Entertainmentにて、大型オンラインゲームを担当している第二事業部が分割してスタートしたものだ。以降、『バウンティ ハウンズ オンライン』などのPC向けMMORPGをリリースする傍らで、アクティビジョン発売によるWii Uソフト『スカイランダーズ スパイロの大冒険』(国内での発売元はスクウェア・エニックス)の開発などを担当。大きな存在感を見せることになる。

▲周榮(Casper Chou)氏。

 プレイステーション4版『WoM』は、そんなGamemag Interactiveによる最新作。タイトルにある“Mythology(神話)”というイメージからも想像がつくとおり、壮大なファンタジーの世界観をモチーフにしたMMORPGとなる。そんなスケールの大きな作品が、プレイステーション4向けに基本プレイ料金無料で遊べるということでも注目度の高い1作だ。「プレイステーション4版は、日本のゲームファンの皆さんに向けて、内容をしっかりと調整しています。日本のユーザーさんに、新しい体験を提供したいです」とは、Gamemag Interactiveマーケティング本部長の周榮(Casper Chou)氏。

▲黄仁賢(Samuel Huang)氏。

 引き続き、『WoM』のプロデューサーであるプロデューサー黄仁賢(Samuel Huang)氏による、ゲームのデモプレイを交えたプレゼンが行われた。前回の記事でもお伝えしている通り、Gamemag Interactiveでは、プレイステーション4版『WoM』の制作にあたって、とにかくユーザービリティーを重視。プレゼンの端々からも、「コンシューマーユーザーの好みに合わせて、PC版からきっちりとカスタマイズする」という姿勢がうかがえる。とくに力を入れているのが、UI(ユーザーインターフェース)とコントローラーによる快適な操作への最適化。コントローラーによる操作では、L2/R2のコンビネーションでスキルの発動やアイテムの使用ができたり、スキルを設定したあとはショートカットキーで選択できるようにするなど、きめ細やかな配慮はなされているのはうれしいところ。『WoM』には、大きな特徴として “レリックシステム”というのがある。こちらは、特殊なアイテムを装備することで、さまざまなスキルが付与されるというものだ。プレイヤーは戦闘中でも、状況を見極めて随時この“レリック”を入れ替えて戦うことになるわけだが、こういう複雑になりがちな操作も、プレイステーション4版では、キーボードを使うことなく快適に操作できるという。開発者のあいだからも「プレイステーション4のほうが操作しやすいいのでは?」との声も上がっているほどだという。

▲キャラクター作成の画面も披露(左)。コンシューマーのプレイヤーをリサーチして、調整したとのことだ。
▲プレイステーション4版ではUIを変更。前回の取材のときにも感じたのだが、「快適な操作を」ということで、とにかくきめ細かい調整をしているのがわかる。

 さらに驚くべきは、プレイステーション4版の開発にあたり、チュートリアルの部分と、いわゆる“街”にあたるラクーン城の街並みのグラフィックを一部刷新していること。具体的には、中華風の街が西洋風の街並みに変わっているのだ。Samuel氏によると、「色合いも調整して、かなり鮮やかになっています。景色もかなりアレンジしていまして、たとえば、ラクーン城の広場に関しては、PC版は単調だったのですが、プレイステーション4版は街を追加することで奥行きが出るようにしているんですよ」とのことで、左右のモニターで、プレイステーション4版とPC版が表示され、その違いが明確になる度に、取材陣からは「おおー!」という感嘆の声が上がっていた。なお、『WoM』では、いずれはプレイステーション4版とPC版のクロスプラットフォームを予定しており、いずれはプレイステーション4版のグラフィックがPC版にも適用されるとのこと。ただし、アップデートの時期(つまりクロスプラットフォームが実現する時期)については、未定とのことだ。

▲左がプレイステーション4版、右がPC版。いかに街並みが変化しているかがわかる。並々ならぬ気合の入りぶりだ。

 また、今回のスタジオツアーでは、『WoM』の注目要素のひとつである“ペットシステム”も改めて紹介された。冒険のお供をしてくれるペットだが、『WoM』では、バトルの援助以外にもアイテムの収集やメールの受け取りなど、さまざまな機能があるらしい。ちなみに、ペットは動物から人に化けることが可能だというから、引き連れる楽しみもさらに増しそうだ。

▲冒険に彩りを与えてくれそうなペットたち。もちろん、戦闘では大いに力強い存在となる。
▲龍神島を舞台にしたボス戦では、未公開のレリック“大天使の翼”なども公開された。
▲ライオンズフィルム 美土路光氏。

 さて、ゲームのプレゼンのあとは、質疑応答の時間がたっぷりと取られた。その内容を、以下にまとめて紹介していこう。なお、質疑応答には『WoM』のプロデューサーであるSamuel Huang氏に加えて、ライオンズフィルム コンシューマー戦略チーム マネージャーの美土路光氏にも参加してもらった。

――どうして街並みのグラフィックを変えたのか?
Samuel 日本のユーザーの嗜好にあわせて、ファンタジーテイストにしました。
美土路 PC版で運営しているのですが、中国の歴史に絡んでいるということが、日本のユーザーさんにわかりにくいということもありました。あと、コンシューマーのユーザーさんだと西洋のファンタジーに慣れているところもあるので、そういう点も汲み取っていただいて今回変更していただきました。

――グラフィックの変更はどこまで?
Samuel スケジュールなどの兼ね合いから、まずはチュートリアルパートとラクーン城を変更しました。このあとのスケジュールに関しては、日本の運営会社であるライオンズフィルムさんと相談して決めたいと思っています。

――プレイステーション4版の開発にあたっては、キャラクターのモーションなども変化する予定はあるか?
Samuel キャラクターのモーションは“打撃感”を重視するためにモーションを変える予定でいます。エフェクトと音楽も開発のスタイルに合わせて調整していく予定です。今後、『WoM』のさらなるプレゼンの機会などがあったら、新しい音楽をお披露目できるかもしれません(笑)。
美土路 プレイステーション4版では、影の表現などがよりリアルになっています。細かい部分でかなりブラッシュアップされていますよ。

――モデリングの部分で、プレイステーション4版とPC版でテクスチャの細かさやポリゴン数などで変化はあるか?
Samuel キャラクターのモデリングについては、髪型のテクスチャは作り直した部分もあります。さらにキャラクターの作成画面では、複数の効果を追加して、よりクオリティーの高いモデリングにしています。

――コンシューマー機で、チャットなどのコミュニケーションをどのように行うのか、気になるが。
Samuel テキストチャットの機能はもちろん開発します。キーボードへの対応は検討中ですが、たぶん可能だと思っています。また、プレイステーション4での音声チャットを実装するかどうかに関しても、ただいま検討中です。PC版のユーザーはその機能は使えないので、どうするか、研究して開発を進めたいです。

▲プレイステーション4コントローラーのタッチパッドは、オプションメニューのサブメニューで、左右を選択できる。
▲UIのエフェクトに関しても、処理速度とビジュアルのバランスを配慮して、どこまでできるか調整しているとのこと。

――プレイステーション4版の開発にあたっていちばんたいへんだったことは?
Samuel ローディングです。データの読み取りに時間がかかりまして。
美土路 台北ゲームショウのときは、ローディングにかなり時間がかかっていたのですが、最近のバージョンはGamemagさんもかなりがんばっていて、ロード時間もかなり短くなってきています。

――文字の大きさは変えられるのか?
Samuel 小さいモニターでも見られるように、文字の大きさは変えられるように検討中です。

――プレイステーション4版の開発状況は何パーセントくらいですか?
Samuel お答えしづらいですね(笑)。私の中では、半分くらいです。

――残りの50%はどのようなところが?
Samuel ソーシャル関連の機能です。あと、イベント機能も検討中です。
美土路 メインのシステムはできあがっておりまして、あとはこだわりの部分ですね。こだわりが50%。

――キャラクターボイスは?
美土路 PC版ですでに入っているものはそのまま引き継がれます。プレイステーション4版のサービスが開始されるときには、それに加えての追加音声も検討しています。

――現状で、ハードディスクの容量はどれくらい必要になりますか?
Samuel うーん(しばし沈黙)。目標としては10ギガ以内です。

――ハードルは高いか?
Samuel 挑戦します!

 最後に、Samuel氏に日本のゲームファンへ向けて、「現在プレイステーション4版の完成に向けて、がんばって開発しています。今年の後半には皆さんのお手元にお届けできると思いますので、楽しみにしていてください」とのメッセージを送ってくれた。

 ちなみに、『WoM』は複数プラットフォームでの展開をにらんで、PC版は独自ゲームエンジンで開発していたものを、一気にUnityにシフトしたとのこと。プレイステーション4版がどのような完成度で僕らの前に姿を見せてくれるのか、楽しみだ。

 最後に、今回のスタジオツアーに合わせて公開されたプレイステーション4版『Weapons of Mythology(ウェポンズオブミソロジー)』の最新画像をどとーっとお届けする。