“いまの日本”を感じさせるタイトルがここに

“東京発”のインディーゲームの祭典、東京インディーフェス 2015が開幕! 斬新なタイトルが続々と出展【TIF 2015】_04

 2015年5月8日~10日、東京・秋葉原UDXにて東京インディーフェス(TIF) 2015が開催。“東京発のインディーゲームのイベントを!”をテーマに、インフレクション・ポイント・キャピタル(IPC)とユニティ・テクノロジーズ・ジャパン合同会社との主催により実施されるTIF。会場では国内外の約100のインディーメーカー(もしくは個人)が集結し、自社のタイトルを出展した。開催初日にあたる8日はビジネスデイ。“ビジネスマッチング”もTIF開催の意図のひとつに挙げられているが、会場ではゲームメーカーの関係者も多数つめかけているようで(もちろん、我々取材陣も!)、そこかしこで名刺交換をしつつ、熱心にゲームを説明している光景が見られた。ここでは、そんな開催初日の会場の風景をお届けしていこう(※ちなみに掲載はふらりと訪れた取材順です)。

 なお、会場で見つけた気になるタイトルの詳細については、追ってファミ通.comでリポートする予定なので、お楽しみに!

 カナダ大使館の誘いでTIFに参加したのが、カナダのインディーメーカーPhantom Compass。ピンボールとRPGが融合したというユニークなゲーム『Rollers of the Realm』を出展。本作は、『ローラーズ オブ ザ レルム ~呪われし三戦士と戦乱の王国~』として日本での配信も決定している。対応プラットフォームはプレイステーション4とプレイステーション Vitaで配信元はアークシステムワークスとなる。

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▲Phantom Compassの代表、トニー・ウォルシュ氏。Phantom Compass は、2008年にウォルシュ氏が立ち上げた会社だ。現在社員は11人とのこと。

 インディーゲームにもVRの波は押し寄せており、会場ではOculus Rift対応のゲームもちらほら。こちらはフリープログラマーの古林克臣氏によるFRAME SYNTHESIS(フレームシンセシス)による3Dシューティング『シルエットストライカー』。「まだ要素は少なくて」(古林氏)とのことだが、VRっぷりはなかなかのもの。ちなみに、記者はOculus Riftの接眼部の度入りレンズは初めて体験したのだが、なんとも快適。メガネonメガネに少しストレスを感じないでもなかったので、妙にうれしくなってみたり。

※FRAME SYNTHESIS公式サイト

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▲右写真の右側が古林氏。とても快適にVR空間を堪能できた。
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 筑波大学の卒業生および現役の学生で構成される4th cluster制作による“筑波大学アドベンチャー”『Campus Notes』。“筑波大学の学生が作っている”という一点に惹かれてお話を聞いてしまいました。筑波大学を舞台にしたノベルゲームである本作の魅力は、代表・ディレクターを務めるあおみかん氏によると、「全体的な完成度の高さです」とのこと。原画を担当する飯田ぽち。氏はプロのマンガ家でもあるようで、そのクオリティーは相当なもの。本作は、これまでに3作のシリーズ作品がリリースされており、先日フリー化されたばかりの『Campus Notes vol.2』は2週間で500ダウンロードを記録したという。

 ちなみに、4th cluster結成のいきさつを聞いてみると、仲間内で何かやりたいということになり、個々のスキルを見たら、「ゲームが作れるのでは?」と思いついたとのこと。「もともとはゲームありきのグループではなかったんですね」と話を振ってみると、「それでも、けっきょくゲーム制作に対する熱意の薄い人は脱落してしまったので、結果としてゲーム好きが残りましたね」(あおみかん氏)とのこと。なんかすごく納得。

※4th cluster公式サイト

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▲本作のPRのために広報担当さんもコスプレ! 中央は代表・ディレクターのあおみかん氏。
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 言わずと知れたインディーゲーム業界のスタークリエイターのひとり、NIGOROの楢村匠氏。会場では『LA-MULANA 2』と先日配信されたばかりの『LA-MULANA EX』が出展されていた(こちらの発売元はピグミースタジオ)。「『LA-MULANA 2』は作り初めて基礎構築みたいな感じなので、まだまだこれから何ヵ月も、“え!? 進んでないんじゃないの?”というくらい地味な更新しかできないのですが、僕ら前作を何作も何作も移植したりして時間がかかったので、『LA-MULANA 2』はそういうことがないように、いま下地段階です。リリースしたらすぐにコンシューマーに移植できるように、一斉にいろんな人に遊んでもらえるようにと考えています」とのこと。

 なお、Kick Starterは終わったという『LA-MULANA 2』だが、Paypalなどでは引き続き支援を募集しており、金額次第では、制作段階のアルファバージョンを順次公開しているという。「途中段階も遊びたいという人はぜひよろしくお願いします」(楢村氏)とのことだ。

 となると、気になるのが発売時期だが、楢村氏いわく「去年は言っていましたが、今年から口をつぐむようになりました(笑)。今年度くらいに出したいとは思っていますが……」とのこと。コンシューマーと同時展開できるようにと、本作では開発ツールにUnityを選択したのだが、それに慣れるのにも時間がかかっているようだ。ファンの方は首を長くして待つべし!

※『LA-MULANA 2』公式サイト

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▲インディーゲームを代表するクリエイターのひとり、楢村氏のTIFに参加。8日、9日とセッションに出演。

 こちらもおなじみのキュー・ゲームスは、『PixelJunk』シリーズ最新作『Nom Nom Galaxy』を出展。海外ではついにプレイステーション4版のリリースも5月12日に決定したそうで、「いよいよ日本でも?」と期待も高まるところだが、プロデューサー伊藤雅哉氏によると、「日本でも、もろもろの条件が整い次第出しますので、お待ちください!」とのことで、いよいよプレイステーション4版遊べるのも近そう。

※『Nom Nom Galaxy』公式サイト

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▲プレイステーション4版『Nom Nom Galaxy』の国内配信も近い。

 こうしたイベントでは、日頃の取材ではなかなかお目にかかれない組み合わせに遭遇することが楽しみのひとつ。そんなわけで、マイクロソフトのID@Xboxブースにいたディレクターのクリス・チャーラ氏と談笑していた17-Bitのジェイク・カズダル氏、そしてID@Xbox プログラムマネージャの村山功氏をパチリ。17-BitのタイトルがID@Xboxでリリースされる……というようなことは一切定かではありませんが、なんとも和気あいあいとした雰囲気がいい感じ。

※ID@Xbox公式サイト
※17-Bit公式サイト

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▲左から村山功氏、ジェイク・カズダル氏、クリス・チャーラ氏。
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 『moon』や『L.O.L. ~LACK OF LOVE~』でおなじみの西健一氏(Route24)を会場で発見。出展していたのはiOS/Android用パズルゲーム『まかいピクニック』。国内での配信は6月中旬を予定している。「いろいろなゲームがあるんですけど、ちゃんとベテランが作った新しいものになっているので、触ってもらうとおもしろいし、見てもらうだけでも楽しめると思うので、遊びにきてください」と西氏。

 ちなみに本作は、世界各国から“パブリシスト”を募集しているとのこと。要は自国言語へのローカライズ。こちら、パブリシストとして担当したくれた国の課税収入から10%を6ヵ月間支払うというレベニューシェア方式を採用しているのだとか。世界各国でゲームを展開しようと思ったら、中々にユニークな取り組み。「斬新な取り組みだと思いませんか?」(西氏)とのことで、取り上げさせていただきました! ちなみに“パブリシスト”の応募はこちらまで(makaipicnic@gmail.com)。果たして何ヵ国でリリースされることになるのかしら、取り組みの成果が気になるところです。

※『まかいピクニック』公式サイト

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▲左からアルケミア シニアマネージャー 神結直弘氏、Route24 代表 西健一氏。グラフィックデザイン/アートディレクター 長武彦氏。
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 日本テイストの飛び出す絵本風なビジュアルが世界中の絶賛を集めた『Tengami』がTIFに出展。開発元であるNyamyam(ニャムヤム)の東江亮氏みずからが出展の準備をしつつ「土日に来場するファンに向けてひと言!」とのリクエストに応じてくれた。「今回はMACバージョンとiPadバージョンを持ってきたのですが、Androidのバージョンがもうすぐ開発予定なので、まずは会場で試していただいて、Android版をお待ちいただければ」とのこと。Android版ユーザーには朗報です。

※『Tengami』公式サイト

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▲シャラポワがTシャツを!

 最後はアクセスゲームズのSWERY氏。PC版『D4: Dark Dreams Don't Die』の発売決定アクティブゲーミングメディアから6月5日に発売されることが明らかにされるなど、TIFに合わせて大きなニュースが相次いだSWERY氏。そんな注目度の高さを象徴するように、会期中はメディアからの取材が相次いだ模様。取材の隙間を縫って撮影に応じていただいた(ま、これも取材だけど)。で、驚くべき発見が! SWERY氏のパートナーであるシャラポワがTシャツを着ていたのだ。「か、かわいい~!」。

 で、気を取り直してSWERY氏にお話をうかがってみると、「今回PCで『D4』を出すにあたって、コンシューマーゲームの開発で培ったノウハウをすべてつぎ込んで調整していますので、ぜひ怖がらずに手にとってもらいたいというのが僕の正直な気持ちです。想像されているよりもカジュアルです!」とのこと。6月5日の発売に向けて、気になる方はTIFの会場で『D4』に触れてみてはいかが?

※『D4』公式サイト

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▲PC版『D4』を体験すべし!

 そんなわけで気になるタイトルが目白押しのTIF。「新しいタイプゲームに触れたい」、「尖ったゲームを遊んでみたい」という方は、秋葉原UDXまで出かけてみてくださいまし。