両社は規模と方向性がマッチした

 既報の通り、PC版の発売が正式にアナウンスされた『D4: Dark Dreams Don’t Die -Season 1-』(以下『D4』)。PC版発売の経緯などは、ファミ通.comによるSWERY氏こと、アクセスゲームズ・末弘秀孝氏へのインタビュー記事でお伝えした通り

 SWERY氏によると、東京インディーフェス(TIF)にて試遊台を出展するとのことで、「ユーザーさんの反響が楽しみだな」と思っているところに、アクセスゲームズから「少しお伝えしたいことがありまして……」との連絡があった。それは、ゴールデンウィークも始まらんとする、ぽかぽか陽気のある日のこと。そこで取るものもとりあえず、アクセスゲームズの東京オフィスに足を運んでみると、そこにはSWERY氏のほかに、アクティブゲーミングメディアの水谷俊次氏が。アクティブゲーミングメディアといえば、ご存じの通りPLAYISMでおなじみ。「アクティブゲーミングメデイアの水谷さんがなぜ?」と疑問に思ったところにSWERY氏が口を開いた。「PC版『D4』のパブリッシングはアクティブゲーミングメディアさんにお任せすることにしました」と。

D4 PC release confirmed! An interview with SWERY, a creator who seeks to create sensory replication with nothing but a mouse. SWERY氏の語る『D4』PC版【英語記事】_02

■アクセスゲームズ SWERY氏(左)
■アクティブゲーミングメディア 水谷俊次氏(右)

――PC版『D4』のパブリッシングはアクティブゲーミングメディアさんに?

水谷 SWERYさんから、アクセスゲームズさんがPC版『D4』を作り始めていますという話を聞いたんですね。ただ、アクセスゲームズさんはコンソールではプロフェッショナルのデベロッパーではあるけれど、PC版は初めてということで、「どうしたらいいのか?」というご相談をいただいたんですね。当社としても、『D4』のPC版が出るのであれば、「ぜひとも当社から出したい」という話を何度もさせていただきまして、PLAYISMのほうから、全世界でPC版のパブリッシングをさせていただくことになりました。

SWERY 僕たちとしては、ユーザーさんとのコミュニティーを盛り上げる方法と、PC版を売るのにいちばんいい方法を探していたんですね。そのやりかたがわからなかったのですが、PLAYISMさんにお任せすればやっていただけるのではないかと思ったんです。あと、水谷さんの熱意に打たれました。この人だったら、どんな形であれ、「ちゃんとやってくれるかな」って思ったんですよ。それが決定打ですね。

――自社でのパブリッシングは考えていなかったのですか?

SWERY 海外の友だちやメディアの方に、「僕がゲームをリリースするとしたら、自社でやるべき? それともパブリッシャーと組むべき?」みたいなことも聞いたことがあるんですね。そうしたら、海外の人は、みんな「SWERYは自分でやれ!」と言うんですね(笑)。でも、実際にパブリッシャーをやるとなると面倒くさいし、モノ作りに時間を使いたいなあというのがありまして。そんなことをいろいろと悩んでいたときに、水谷さんからご提案をいただいたんですね。何より水谷さんはお若いですから、僕より働けるかなと思って(笑)。

水谷 そんな理由ですか(笑)。当社とアクセスゲームズさんは、会社がめちゃくちゃ近所なんですよ。歩いて20~30分くらいのところにあって……。PC版のお話をいただく以前はお会いする機会はあまりなかったのですが、SWERYは日本を代表するトップクリエイターだと思っていました。それが今回縁あってお仕事をごいっしょにさせていただくことになったのですが、本田圭佑の言葉を借りるならば「ミランの10番がつけられるなら、なぜつけないんだ?」みたいな気持ちです。

――それは(笑)。熱いですね。

水谷 このチャンスにぜひごいっしょしたいなと思って。当社は会社の規模としてはアクセスゲームズさんより小さいので、派手なプロモーションなどは展開できないのですが、SWERYが求められているコミュニティーという部分に添って展開してきた会社だったので、「じゃあ、2社で展開したらうまくやれるかもしれないな」ということで、今回いっしょにやってみることになりました。

SWERY 規模感と方向性。意外にも、このふたつがマッチングしたんですね。話し合いを重ねてみて、お互い「いけるんじゃないの」というふうに思っています。コニュニティーへのアプローチにしても、雑談をしていても水谷さんはいろいろとご存じなので、「こういう人と組まないといけないな」と思ったんです。

――パブリッシングはワールドワイドでアクティブゲーミングメディアさんが?

水谷 そうです。当社がローカライズもできるので、そのへんも含めて対応しています。

――やはり、多くの熱狂的なファンを持つ北米市場で期待しています?

水谷 そうですね。『D4』のXbox One版は北米でもヒットしましたし、北米には『レッドシーズプロファイル』の熱狂的なファンもいますので。海外、とくに北米の熱狂的なファンにPC版『D4』を味わってほしいという気持ちはあります。ただ、これを機会に日本のゲームファンにもっとSWERYさんのことやアクセスゲームズさんのことを知ってほしいですね。SWERYさんのお作りになるものは、“いままでにない独自のもの”でして、日本のクリエイターとしては稀有な存在です。当社ではインディーゲームを積極的にサポートしているのですが、まさにインディーマインドを持っている方なんですね。“自分の作りたいものを作っている”という意味で。

――アクティブゲーミングメディアさんとしては、そんなSWREYさんをサポートしたいという思いもある?

水谷 はい。ちなみに、『D4』に関しては、最初にPC版の話を聞いたときは、少し不安だったんです。Kinectでの操作が発明だと思っていたので、「Kinectを使わないとおもしろくないのでは?」という。

SWERY 当初は、「PC版を触らせてください」という水谷さんの熱量が半端なかったですね(笑)。「とにかく触ってみたいんです」という。

――不安だったんですね?(笑)

水谷 PC版で遊ぶとおもしろいのかがちょっとわからなくて。いざ触ってみたら、「本当にPC版でやろうとしているんだな」ということが伝わってきました。世にQTEのゲームはたくさんありますが、こういうQTEのゲームは意外となかったんじゃないかなというのがあったので、これは新しい方法性で、ゲームファンに刺さるんじゃないかと手応えを感じましたね。

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▲PC版ではKinectからマウスへの操作への移植もしっかりと実現している。