警察 vs. 犯罪者の新しいバトルフィールド体験がここに

 2015年3月19日にPC/プレイステーション4/プレイステーション3/Xbox One/Xbox 360で発売されたエレクトロニック・アーツの『バトルフィールド ハードライン』は『Dead Space』シリーズを手掛けたVisceral Gamesが開発を担当する“新しい『バトルフィールド』”だ。戦争ではなく警察 vs. 犯罪者をテーマにしており、シングルプレイとマルチプレイの双方に多大な影響を与えている。

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まるで海外ドラマのような展開が楽しめるシングルプレイ

 『バトルフィールド』と言えば、多人数マルチプレイの印象が強いが、『バトルフィールド ハードライン』はシングルプレイも楽しい。マイアミを舞台にした麻薬戦争をテーマに語られるダイナミックなストーリーと、海外ドラマを意識した演出が魅力的だ。シングルプレイの開始、中断時には「前回までのハードラインは~」「次回のハードラインは~」といった具合にあらすじと予告が流れる徹底さ。さらに注目してほしいのがリアリティーを醸し出すキャラクターの表現豊かな表情、そして吹き替えだ。何はともあれ、エピソード1で銃弾を受け、苦痛に口を歪める相棒の顔を見てみてほしい。海外ドラマを鑑賞しながらゲームも楽しめるような感覚で、なんとも贅沢な作品だ。

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豊富なアクションを使いこなして刑事になりきろう

 主人公であるマイアミ市警の刑事ニックは、バッジを見せることで相手の動きを拘束できる。相手が複数人いても、拘束中は相棒が見張っていてくれるから安心だ。また、タッチパッドで薬きょうを投げて注意を引き、背後から拘束もできる。可能な限り死傷者を出さないのが刑事の鏡だが、もちろん銃撃戦に持ち込んでもいい。

 犯罪者の巣窟へ潜入する際にはスキャナーでマーキングができ、連邦のデータベースから情報を得られる。また、証拠品が近くにある場合はアラートで教えてくれる超ハイテク機器だ。

 無傷で逮捕することでエリート警官レベルのポイントを獲得できる。ほかにも証拠を持った手配対象の逮捕、証拠のスキャンでもポイントを獲得でき、エリート警官レベルが上がると新しい武器やガジェットがアンロックされる。“らしい”働きをすると評価されるのは、どこの世界でも同じのようだ。

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スピーディーに進化した連携重視のマルチプレイ

 『バトルフィールド ハードライン』には、シリーズの特徴である戦車や戦闘機といった乗り物は存在しない。乗り物といえばセダンにストリートバイク、武装SUVや攻撃ヘリくらいのものだ。こう聞くと物足りないかもしれないが、警察 vs. 犯罪者、つまり追う側と追われる側のスピーディーな戦闘が楽しめる。いままでの圧倒的な火力で戦場を制圧する快感はないが、その代わりに、チームの連携がなくてはならないモードばかりなので、それが決まったときの満足感や達成感がハンパではない。根本的なゲームシステムに変更はないものの、新鮮なプレイを堪能できるのだ。それではマルチプレイのモードをざっと紹介しよう。

【ハイスト】
警察は金庫を守り、犯罪者は金庫にある現金の詰まったバッグを回収ヘリまで届けなくてはならない。バッグを持ったプレイヤーの移動ルートによって戦場が著しく変化する、チームの連携がものを言うモード。

【ホットワイア】
マップ各所に配置されたクルマに乗り、一定スピード以上で走行すると相手チームのチケットが減少していく。移動式のコンクエストと言えば分りやすいだろうか。いかに相手チームが保持する車を迅速に破壊できるかがポイントだ。

【ブラッド・マネー】
マップ中央に配置された現金の山を金庫まで輸送するモード。醍醐味はなんといっても相手チームの金庫からも現金を奪えることだ。状況によって柔軟な戦略が求められる。

【レスキュー】
犯罪者は人質を守り、警察は人質を救出して脱出地点まで護衛する。全9ラウンド、1ラウンド1ライフの緊張感あふれるモードだ。

【コンクエスト】
バトルフィールドシリーズおなじみのモード。コントロールポイントを確保し続けると相手チームのチケットが減少する。分隊員と協力して戦線を維持するのが勝利のカギだ。

【チームデスマッチ】
相手チームを倒すことをただひとつの目的としたモード。乗り物はなく、歩兵戦だけを存分に楽しめる。

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マイカーにRPGが積み込める豊富なカスタマイズ機能

 カスタマイズ機能では、メインウェポンから格闘まで豊富な選択肢が用意されている。バールのようなゴールドに装飾された近接武器もあり、遊び心満載だ(ちなみに、ゴールドのバールを使用するには解除条件があるのでご注意を)。また、ガジェットはふたつまで兵種ごとに好きに選択できるので、モードやプレイスタイルに合わせて選択しよう。一部に解除条件が設定されているものもあるが、基本はマルチプレイで獲得したマネーでアンロックできる。また、LMGや対ビークル武器はバトルピックアップとしてマップ上に配置されているので、見かけたら拾うようにしよう。ちなみに、アンロックすればマイカーにRPGを積み込める。

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テーマは変わってもバトルフィールドらしさは失われていない

 『バトルフィールド』らしさをどう捉えているかで、本作に対する評価は多少変わるかもしれないが、より重要になった分隊単位の連携や、スピーディーな戦闘、新しい魅力となったシングルプレイに心を動かされたユーザーもいるだろう。少なくとも、筆者はその内のひとりだ。戦車や戦闘機が登場しないからと言って『バトルフィールド』らしさは決して失われていないことだけは保証できる。近年のFPSは変化を求める傾向にあるが、『バトルフィールド』は根本的なシステムではなく、テーマを変えてその流れに追従しようとしているのかもしれない。新たなステージへと進んだ『バトルフィールド ハードライン』を手に取って、その行く末を確認してみてほしい。

■筆者紹介 VEXATION(べクセイション)
Halo』シリーズの現日本チャンプ。攻めるゲーマーのアイウェア“GUNNAR”オフィシャルアンバサダー。ライティング、動画制作などマルチに活躍中。最近はもっぱら本職のFPSよりホラーゲームにはまっている。

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