純粋なスリルと破壊が楽しめるシュールな阿鼻叫喚ゲー

 Xbox One/Xbox 360用ソフト『ScreamRide(スクリームライド)』は、国内では2015年3月5日に発売予定のマイクロソフトスタジオによる“絶叫ジェットコースター制作シミュレーションゲーム”だ。絶叫マシンを乗りこなす“スクリームライダー”、キャビンを発射させ建造物を破壊する“破壊のエキスパート”、最恐のコースターを建築する“エンジニア”の3つのキャリアが用意されており、“サンドボックス”で自由にコースターやライド、景色を作成できる。実験施設、もといアミューズメントパークでスリルと破壊を楽しもう。イントロから“人類の反射神経および身体能力の限界を超える実験を行っている”とナレーションが入り、ボートから海に放り出される乗客がいるなど、ゲームの雰囲気はすぐに理解できるはずだ。シュールを通り過ぎて笑えてくる。

乗客を絶叫させる簡単なお仕事はいかが?『ScreamRide』プレイインプレッション_01
乗客を絶叫させる簡単なお仕事はいかが?『ScreamRide』プレイインプレッション_08

■スクリームライダー(乗りこなす)

 “スクリームライダー”は絶叫マシンを乗りこなして好タイムかつ高レーティングを目指すモードだ。高タイムやハイスピード、2輪走行でレーティングを獲得できる。操作方法はいたってシンプルで、加速やブレーキ、ターボといった一般的なレースゲームとほとんど変わらない。ターボのゲージを貯めるターボパーツや、レールがない区間を飛び越えるジャンプ台などギミックも満載だ。危険走行でポイントを獲得するモードと言っても過言ではない“スクリームライダー”では、“やり過ぎる”と乗客ごとマシンが海に投げ出される。“やり過ぎる”といっても、筆者の体感では想像以上にやってしまっても問題はない。人類の限界を超える実験をしているくらいなので、それでちょうどいいのだ。アクロバティックな操作で乗客を絶叫させてやろう。

乗客を絶叫させる簡単なお仕事はいかが?『ScreamRide』プレイインプレッション_02
乗客を絶叫させる簡単なお仕事はいかが?『ScreamRide』プレイインプレッション_03

■破壊のエキスパート(こわす)

 “破壊のエキスパート”は建造物を破壊して高レーティングを目指すモードだ。キャビンを発射して、建物の弱点や隠された爆薬にヒットさせることで大規模な破壊を引き起こせる。“投げて、当てて、壊す”単純なモードだが、これが実際にプレイしてみると難しい。ターゲットの距離によってパワーや角度を調整する必要がある。その代わり、建造物には一撃で全壊するポイントがあるので、そこにヒットした際の喜びもひとしおだ。隣の建造物に破片が飛び、連鎖的に崩壊することもあるので慣れてきたら狙ってみるといい。発射されたキャビンと乗客の安否を気にしつつ、美しい崩壊の描写を楽しもう。

乗客を絶叫させる簡単なお仕事はいかが?『ScreamRide』プレイインプレッション_04
乗客を絶叫させる簡単なお仕事はいかが?『ScreamRide』プレイインプレッション_05

■エンジニア(つくる)

 “エンジニア”は制限されたエリア内、レールパーツ数で乗客を絶叫させるコースターを建築するモードだ。コースターは“スクリーム”、“激しさ”、“吐き気”の3つのカテゴリで評価されるが、どれも限界まで上げればいいわけではない。カテゴリに表示されている緑の部分をキープする必要があるのだ。あくまで乗客を絶叫させることが目的である。“エンジニア”は操作方法がよく練りこまれており、複雑に入り組んだコースターを簡単に建築できる点にも注目だ。コースター技術でコーススクリューなどあらかじめ組みあがったパーツで建築もできる。どうしてもコースターを既定のゴールに繋げられない場合にはオートコンプリートを使うといい。自動かつ最短距離でゴールに繋げてくれるので、無計画な建築も安心だ。テストライドを重ねて、最恐のコースターを建築しよう。

乗客を絶叫させる簡単なお仕事はいかが?『ScreamRide』プレイインプレッション_06
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■サンドボックス

 “サンドボックス”では膨大なパーツを組み合わせて、オリジナルのステージを作成できる。“サンドボックス”というくらいなので建築の自由度は極めて高い。“膨大なパーツ”を各カテゴリで数十種類程度と想像しているなら、それはこのゲームを甘く見過ぎている。石のカテゴリだけで109種類のパーツが存在しているくらいには膨大だ。正直、このモードだけでゲームとして成立する気がしなくもない。個々のパーツを組み合わせて建築もできるが、一発で巨大な建造物を設置できる設計図も用意されているので気軽に楽しめる。ちなみに、設計図のある建造物全てが、ひとつひとつのパーツで構成されているのには度肝を抜かれた。

乗客を絶叫させる簡単なお仕事はいかが?『ScreamRide』プレイインプレッション_09
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◆ランキング&スタッツ

 “ランキング&スタッツ”は総プレイ時間から総チャレンジクリアー数、3つのキャリアごとのレーティングなど充実した項目でほかユーザーと比較できる。先ほど紹介した“サンドボックス”で作成したステージのダウンロード数も競えるので、職人気質なユーザーはぜひランキング上位を目指してみてほしい。

乗客を絶叫させる簡単なお仕事はいかが?『ScreamRide』プレイインプレッション_13

◆ステージセンター

 “ステージセンター”では“サンドボックス”で作成された世界中のステージと設計図が入手できる。ハイクオリティーな設計図をシェアして評価されるもよし、ユニークなステージをダウンロードして遊ぶもよし。名前で検索ができるので、フレンドの作成した作品を見つけ、評価もできる。クリエイティブ精神をそそられる機能だ。

乗客を絶叫させる簡単なお仕事はいかが?『ScreamRide』プレイインプレッション_14

浅くて濃い、リビングで笑って盛り上がれるゲーム

 『ScreamRide』は"絶叫ジェットコースター制作シミュレーションゲーム"というテーマの突出した掘り下げっぷりに対して、キャパシティオーバーとも感じるコンテンツの濃さが魅力だ。とくに“サンドボックス”では、「このゲームにここまでの技術は必要だったのか?」と、いい意味でつっこみたくなる。ここまで"絶叫ジェットコースター制作シミュレーションゲーム"を作り込んだことを称賛したい。プレイ数1人という点にだけは不満を漏らさざるをえないが、リビングで家族や友人と遊ぶ分にはこれほど馬鹿馬鹿しく、笑って盛り上がれるゲームも近年では少ないだろう。

■筆者紹介 VEXATION(べクセイション)
 『Halo』シリーズの現日本チャンプ。攻めるゲーマーのアイウェア“GUNNAR”オフィシャルアンバサダー。ライティング、動画制作などマルチに活躍中。最近はもっぱら本職のFPSよりホラーゲームにはまっている。