『セインツロウ IV リエレクテッド/超完全版』プレイインプレッション――“DLC全部入り”の究極仕様で楽しむ極上のアクションとギャグ

スパイク・チュンソフトから2015年4月16日に発売予定のプレイステーション4、Xbox One用ソフト『セインツロウ IV リエレクテッド』および、プレイステーション3用ソフト『セインツロウ IV 超完全版』のプレイインプレッションをお届け。

●奇跡の進化を遂げた(?)『セインツロウ』シリーズ

 『セインツロウ』シリーズは、オープンワールドで展開するクライム(犯罪)アクションゲームとして、2006年に第1作がデビューした。このジャンルのゲームといえば、『グランド・セフト・オート』シリーズをまず思い浮かべる人も多いだろう。たしかに、『セインツロウ』シリーズもその影響を濃く受けており、シリーズ第1作はギャングの一派を率いて、ほかのギャング団との抗争をくり広げたり、街を支配する黒幕に挑むといったダーティーな限りを尽くし、強烈なジョークやパロディーが満載の“いかにも”なゲームではあった。

 しかし、本稿で取り上げるナンバリング最新作『セインツロウ IV』では、どうだろうか? 先に基礎をなす設定をざっと列挙しよう。主人公はアメリカ合衆国の大統領、敵は地球に襲来した宇宙人、主人公たちの拠点はスペースシップ……字面だけ読むと「何なんですかコレ?」と思うことだろう。事実、ムチャクチャにぶっ飛んだ世界観で荒唐無稽、お下品なアメリカ映画のテイスト((古くは『フライングハイ』や『オースティンパワーズ』あたりのアレ!)と重なる“バカ感”が満載で、旧来のダーティーなムードは微塵もない(それでも主人公とギャング団一味は継承しているのだが)。

 シリーズを追うごとにパロディー、コメディーのテイストが強くなり、大胆に装いを変えつついまやワン・アンド・オンリーの独自路線を貫くことに成功した、奇跡の(?)シリーズなのだ。

●『セインツロウ IV』の敵はなぜか(?)宇宙からの侵略者!

 少し先走って、あらましをポロリと語ってしまった。改めて『セインツロウ IV』のイントロダクションはこうだ。プロローグで人類を救ったヒーローとなり、なんとアメリカ合衆国の大統領に就任した主人公。かつてのギャング団の仲間“サード・ストリート・セインツ”の面々も、ホワイトハウスの主要な役職を務めており、アメリカの闇世界を討伐した義賊は、いまや名実ともにアメリカを支えるヒーローとなった。それから、5年が経過したとき、突如“ゼン帝国”と名乗る宇宙からの侵略者が地球に襲来。街は壊滅状態になってしまうと同時に、大統領たちはエイリアンによって作られた仮想空間“バーチャル・スティールポート”に幽閉されてしまった……というもの(きちんと語っても、やっぱりムチャクチャな物語設定であることを改めて実感)。

 元ギャング団(というか大統領たち)が今回挑む敵は、“ジニャック”率いるゼン帝国のエイリアンだ。それでも従来の『セインツロウ』の仕組みは継承しているのがおもしろい。というのも、主となる舞台は仮想空間。セインツたちがかつて支配下に置いたアメリカの都市をそっくり再現した空間なのだ。主人公はこのバーチャル空間の綻びを探るために、ハッキング行為を行ったり、エイリアンの拠点を破壊したり……ということをクエストを通じて進めていく。仮想空間の住人は現実世界がもとになっているので、対立するギャング団(もちろん仮想の人物)との縄張り争いもあったり、と重層的な仕掛けもある。

 言うなれば、映画『インデペンデンス・デイ』や『第9地区』ばりの地球に侵略した異星人と戦う壮大なSFドラマ風味、前述のコメディー映画風の“バカ”エッセンス、そしてシリーズに通底するクライムアクション要素と、イイトコロを詰め込んだ壮大な(大仰な?)ゴッタ煮的世界が『セインツロウ IV』なのだ。映画好きなら、随所に散りばめられたパロディー要素にもニヤリとすることだろう。

世界&収録DLC紹介

●すべてのDLCを完全収録した究極の仕様!

 さて……と、ここまで語ってようやく本作『セインツロウ IV リエレクテッド/超完全版』に言及ができる(前振りが長くてスミマセン)。本作は2014年1月にプレイステーション3/Xbox 360で発売された『セインツロウ IV ウルトラ・スーパー・アルティメット・デラックス・エディション』の“完全版”と言えるもの。これまで配信されたDLCをすべて収録、そして国内初登場のスタンドアロン(単体で起動できる)DLCを詰め込んだ、究極のエディションなのだ。また、『リエレクテッド』は、新世代機であるプレイステーション4、Xbox Oneに対応したとあって、ビジュアル面でも大きく進化している。

 ゲームは、この分野にはおなじみの“ミッションクリアー”形式で進行。メインストーリーは“クエスト”をこなしていくことでサクサクと展開していくが、サイドストーリーとしてプレイヤーの能力強化やエイリアンとの抗争が進められる“サブクエスト”、バーチャル空間を遊び尽くす“アクティビティ”といった寄り道もたっぷり用意されており、奇妙なオープンワールドを隅々まで探索できる。

 本稿では、追加要素を中心に語りたいので、個々の内容については割愛させていただくが(見どころは映像で紹介しているので、ぜひご覧ください)、『セインツロウ IV』の特徴として、(舞台が仮想空間ということもあって)進行に応じて獲得できるスーパーパワーと呼ばれる超絶的な力や、現実的にあり得ない武器を駆使することで、移動、戦闘といったゲームの基本となる部分がずいぶんとラクになっている(なにせクルマより早くダッシュができて、ビルを軽々と飛び越える跳躍力が備えられるくらいだから)。

 本作では、さらにコレクタブル要素である武器、コスチューム、乗り物といったものが序盤からオープンになっているので、のっけから“遊びやすく、かつ本作独特の世界観に集中できる”のがうれしい。そして、プレイヤーのカスタマイズ要素やコスチュームも“なんでこんなものまであるよ!?”という感じで充実! このゴージャスなムダ感(あるいはやりすぎ感)こそが“完全版”の魅力なのだ。

 豪華なムダ感ということでいうならば、本編に追加されたふたつのシナリオもまさにそれ! 本作はふたつの追加シナリオが本編に加わっており、ストーリーをある程度進めると選べるようになる。そのひとつ“エンター・ザ・ドミナトリックス”は、“収録されるハズだった追加シナリオはなぜボツになったのか?”を、キャラクターたちのコメントを通じて迫る真実のドキュメンタリー(?)作品。映画のDVDのボーナストラックによくある“アレ”のパロディーを、ゲームで楽しむという仕掛けだ。ついでに言うと、ボツシナリオ自体も(タイトルからお察しの通り)あの映画のパロディー。こういう制作者の遊びを見ると、真剣に“ムダ”なことを突き詰めるアメリカのゲーム・エンターテインメントの“懐の深さ”を強く感じてしまう。(本編にも言えることだが)この感覚、日本のゲームではまずないから!