とにかくたくさんの人にプレイしてもらいたかった

 2015年3月2日~6日(現地時間)、サンフランシスコ・モスコーニセンターにて、ゲームクリエイターを対象とした世界最大規模のカンファレンス、GDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)2015が開催。プラットフォームフォルダーやミドルウェアメーカーが自社のプロダクトをお披露目するGDC EXPOの会場で、マイクロソフトのXbox One/PC用ソフト『Fable Legends』の最新版をプレイする機会があった。しかも、開発元であるライオンヘッドスタジオのゲームディレクター、デイビット・エックルベリ氏みずからのガイド付き!

『Fable Legends』最新バージョンで女剣士Evianが解禁! さらにディレクターにフリー・トゥ・プレイ決断の理由を直撃【GDC 2015】_02

 急いでおさらいしておくと、『Fable Legends』は、ライオンヘッドスタジオ開発による『Fable』シリーズの最新作。シリーズ作が、“善にも悪にもなれる”自由度の高さを特徴としたRPGであるのに対し、本作はマルチプレイアクションを重視した内容になっている点。悪役(ヴィラン)1人対戦士4人という非対称のマルチプレイを実現しているのだ。

 今回の試遊では、新キャラクターのEvian(エヴィアン)をプレイできた。女剣士であるエヴィアンは、接近戦に特化したダメージディーラー(攻撃に特化した役割)で、長剣を駆使してのスピード感溢れるバトルが持ち味だ。さらに、長剣を投げ飛ばす攻撃もあり、ある程度の距離の敵ならば対応できる。プレイ開始時の段階で使用可能だったアビリティはふたつ。Xボタンを使っての“Swell”と、Yボタンを駆使しての“Surge”だ。“Swell”では剣を大きくすることが可能に。一方の“Surge”では、力を貯めておいて、一気に相手を倒せるようになっている。爽快な剣による攻撃が楽しいエヴィアンだが、マイナスポイントは防御力が低いこと。そのため、適宜ひらりと敵の攻撃をかわしながら、華麗に戦うのが身上となるようだ。

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 なお、エヴィアンの名前の由来は、イギリスの有名な伝説からきている。伝説ではエヴィアンは、水のほとりで祈る“水の妖精”だったのが、本作ではみずから剣を取って戦う“女剣士”となっている。ちなみに、『Fable Legends』では、各戦士たちはそれぞれイギリスのいろいろな地域のアクセントでしゃべるらしいが、エヴィアンはリバプール訛りで話すとのこと。そのほか、上流社会で、田舎訛り、スコットランド訛り、アイルランド訛りなどがあるらしい。なぜ訛りを取り入れたのが聞いてみたところ、「おもしろいから!」(エックルベリ氏)と、意外とあっさりとしたお答え。エックルベリ氏自身はアメリカ人だそうだが、各地域のアクセントがとてもおもしろく聞こえたそうだ。

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 通常クエストは、30分あまりでひとつのステージをこなすことになるそうだが、今回は試遊版ということで、用意されていたのは短縮版の15分バージョン。このステージでは、ヒーローたちはなぜか小型化されており、巨大なふたりの魔物らしきものたちがフィールドを覗きこむ中を、冒険していくという、不思議な感覚のステージとなっていた。

『Fable Legends』最新バージョンで女剣士Evianが解禁! さらにディレクターにフリー・トゥ・プレイ決断の理由を直撃【GDC 2015】_01

 ところで、『Fable Legends』は先日ふたつの大きな発表をしている。ひとつはWindows 10とXbox Oneとのクロスプラットフォームプレイを実現すること。ふたつめが、両ハードにおいてフリー・トゥ・プレイを実現したこと。「これにより、すべてのストーリー、すべてのクエスト、すべてのヒーローが無料で遊べることになります」(デイビット)とのこと。『Fable』シリーズがフリー・トゥ・プレイになるというのは、大きな英断だと思われるが、その理由についてエックルベリ氏は、「たくさんの人にゲームを遊んでもらいたかったから」とのこと。クロスプラットフォームでプレイ層が増えることが想定されることも、フリー・トゥ・プレイを後押ししたようだ。さらに、「もうひとつの理由としては、新しいことを試したかったというのがあります。とにかくプレイヤーが遊んでくれないと話にならないので、そこは間口を広げました」とエックルベリ氏。

 本作がリリースされるときに提供されるのは、ヒーロー3セット(12人)。もちろん、リリース後は、ヒーローやクリーチャー、クエストなどは順次追加されていくという。このへんは、フリー・トゥ・プレイのビジネスモデルを踏襲していると言えそうだ。

 一方で、Windows 10とXbox Oneとのクロスプラットフォームプレイの対応には苦労はあまりなかったとのこと。GDC 2015でのフィル・スペンサー氏の講演などを聞いていると、今後マイクロソフトのハードで展開しようと思うと、WindowsとXbox Oneのクロスプラットフォーム展開はデフォルトになると思われるが、クリエイターサイドの意見を聞いてみると、「Windows 10のゲームを充実させたいと、昨日フィルも発言していましたが、クリエイターとすれば、プレイする人の間口が広がるのはありがたい話です。ただ、難しさはマルチプレイでの勝敗のバランスを取るということですね。それぞれインプット(Windowsがキーボード+マウスであるのに対して、Xbox Oneはコントローラー)が違うので、操作感の調整の難しさはあります。『Fable Legends』に関しては、その調整はうまくいっていまして、テストの段階では50%対50%になっていますよ」とエックルベリ氏。

 本作の発売時期は2015年。「いつくらいになりそうですか?」と突っ込んでみたところ、「明確には言えませんね」とのお答え。ただいま5000人規模のクローズドベータテストを行っており、それ次第では変化する可能性もあるからだ。ちなみに、本作はオープンベータテストも実施予定とのことで、いつ実施されるかについては、もちろん口を閉ざして教えてくれなかったが、いずれにせよ、『Fable Legends』が遊べる日を心待ちにしたい。