超レアなボツ楽曲を大量公開!
2015年1月31日~2月1日、千葉・幕張メッセにて開催された、ゲーム実況とゲーム大会の祭典“闘会議2015”。ソニー・コンピュータエンタテインメントブースでは、“SCE JAPAN スタジオチャンネル”出張版が2日間にわたって展開された。ここでは、2日目に行われた音楽コーナー『ソウル・サクリファイス』の詳細をリポートする。
なお、本番組は女優の結さんとSCEの北尾氏が終日MCを務めており、このおふたりは昨年10月まで公式ニコ生“ソルサク会議室”も担当していた。その流れで、今回のイベントは“ソルサク会議室”の復活という雰囲気で進められた。ゲストには、本作のコンポーザーである光田康典氏と、ディレクターの下川輝宏氏(comcept)が登場。本作の楽曲について裏話をたっぷり語ってくれたのだ。
まずは“魂の旋律 -main theme-”について。本作の楽曲はアメリカにある世界最高峰のスタジオ“スカイウォーカーサウンド”で収録され話題になったが、光田氏は「じつは『ソウル・サクリファイス』で初めてアメリカで収録したんです。それも有名な“スカイウォーカーサウンド”ということもあって、アメリカっぽいサウンドにしようかな、という思いがありました」と作曲秘話を語る。
またこの曲がいちばん最初に作曲されたそうだが、何テイクか経て完成にこぎ着けたという。「新規ゲームの1曲目はそのゲームの世界観をイメージしてしまうため、作曲はけっこうたいへん。“魂の旋律 -main theme-”がうまくいき始めてからは、スムーズに進みました」(光田氏)と苦労を語る。
さらに、光田氏は本イベントにボツとなった楽曲データをいくつか持参し、それを公開しながら、どのようにして楽曲が完成していったのかを解説してくれた。“魂の旋律 -main theme-”の最終形に近い楽曲は、メロディーこそ完成版とほぼ同じだが、曲の長さはずっと短かく、1分半ほどでループする形態だった。この曲を下川氏に提出したところ、「今回はバトルが長くなるため、曲は2分半ほどほしい」とオーダーされたそうだ。そこで光田氏は「前半はケルベロスの怖さを表現し、後半は魔法使いが有利になるという視点で曲を展開させる」という手法でオーダーに応え、完成させたそうだ。
続いて、もともとメインテーマとして作られたボツ曲を公開してくれた。じつは開発初期は“少年が主人公”と下川氏から伝えられていたそうで、子どもというイメージでメインテーマを作曲。だがゲーム制作中に主人公が変化したため、お蔵入りとなってしまった。「少年のイメージが非常に強くて、主人公が変わったとなると、どんなにアレンジし直してもメロディーが合わない」(光田)そうで、結局メインテーマは1から作り直したそうだ。「リテイクじゃなく、こう変わったのでこう変えてください、というオーダーを何回か行ったので、ボツ曲も生まれてしまった。本当に僕が迷惑をかけてしまって……」と下川氏。
また光田氏はジングルにもこだわっていたと語り、通常のバトル後に流れるジングルのボツ曲を公開。この曲は下川氏の“勇ましい、高揚感あふれる曲”というオーダーで作曲したが、イメージと違ってボツになったという。「バトルが終わったあとに生贄か救済かを選ぶんですけれど、人の生き死にの選択をしたあとに流れる曲だと明るすぎる。初代は制作中に練り直しがけっこうあり、イメージが変わっていった」と語る下川氏。
そうして何度か作り直し、最終的に悲壮な曲が完成した。「聞き比べてみるとよくわかるのですが、やはり採用された曲がいちばんマッチしている」と、光田氏は最終的には満足していることをコメント。
続いて、大ボスを倒したときのボツジングルも紹介された。光田氏はこの曲をすごく気に入っていたそうだが「まだ少しさわやかかな。無印ではアヴァロンの人が主人公なので、戦い終わったときの“後味の悪さ”がほしい」とボツの理由を語る下川氏。「『ソウル・サクリファイス』は100パーセント脳天気で明るいわけでなく、ずっと絶望に浸ってるわけでもない、グレーなところを攻めている。それをうまく表現できていたらいいなあ」(下川)とコメントした。
また、主人公が子どもだったとき、牢屋で流れるボツ曲も公開された。アンビエントのような楽曲で、「重低音は鼓動を表現している。どこにも行けない悲しさを表現したかった」と光田氏。結さんは「聞いたことがない曲なのに、あたかも自分がプレイしてきたかのように想像できる。とんでもない経験」と感動していた。
続いて、結さんがぜひ語りたかったという楽曲“ある魔法使いの生涯”について。ボーカル入りの楽曲だが、「この歌詞はどういう意味?」と光田氏に質問。光田氏は「これは造語で、ちょっと宗教チックな歌詞です。聖書に書かれている救いの言葉が歌詞になっている、というイメージですね。アラビアチックというか、独特な言葉で作りたいと思って」と歌詞の謎を明かしてくれた。
そして話題は“人が語り継ぐ限り”という楽曲へ。この曲もボーカル入りで、光田氏は「この曲もやはり僕の造語なので、言葉自体に意味はないです。どこかに存在するような言葉みたいに聞こえればベストだなあ、という感じで作っています」と制作秘話を語ってくれた。
普通は世に出ないボツ楽曲を聴け、さらに開発初期では主人公が少年だったという秘話も聞き出せた、『ソウル・サクリファイス』ファンにとってはたまらないイベントとなった。実際のボツ楽曲が気になる人は、ぜひともタイムシフト視聴で実際に確かめてみてはいかがだろうか。
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