YASUHIROさんやVEXさんなど、国内トッププレイヤーに『Halo 5』を聞く
この年末年始に実施される『Halo 5: Guardians』マルチプレイヤーベータ。元ファミ通Xbox 360編集長として、これは自分もプレイせねば! というわけで、ベータより一週間先行で実施されたアーリーアクセスを体験させてもらった。
ゲームシステムや新要素、詳細な参加条件や実施期間などはコチラの記事ですでに取り上げられているので、まずはそちらをチェックしてほしい。
この記事では、『Halo』シリーズ最新作としてどのように変貌を遂げたのが、もうちょっと突っ込んだ内容でいきたいと思う。とはいえ、『Halo 3: ODST』で下手くそプレイヤーの名前が付いた実績名“ムネタツのように”の本人が語るのでは説得力もイマイチなので、日本の名だたる『Halo』コミュニティーの面々にも話を聞いた。それらも織り交ぜつつまとめたので、ぜひ最後まで読んでいただきたい。
なお、『Halo 5: Guardians』マルチプレイヤーベータは、日本時間 2014年12月30日午前3時から 2015年1月19日午後4時59分まで 実施予定。発売中のXbox One用ソフト、『Halo: The Master Chief Collection』を入手することで体験可能だ。
[関連記事]
※『Halo 5: Guardians』マルチプレイヤーベータをひと足お先にプレイ、その魅力をインプレッション!
さて、意見を聞いた『Halo』プレイヤーは以下のとおり。
▼YASUHIROさん(ゲーマータグ:Y4SUHIRO Twitterアカウント:@NOAjp)
『Halo』『Halo 2』日本公式大会にて、個人やチームで優勝。東京ゲームショウの『Halo』関連イベントやニコ生の公式生放送にも出演、ファミ通Xbox編集部制作の『Halo 2』ムックでも制作に協力してもらった。
▼VEXATIONさん(ゲーマータグ:VEXATION Twitterアカウント:@_VEXATION)
Halo 4 Japan ChampionshipやRed Bull 5G 2013 FPS部門にて優勝。先日行われた“Microsoft 公式「Japan FPS Championship 2014」”にて優勝したばかり。現在所属しているクランは“Team FANATIC”。オフィシャルな『Halo』大会ではここ数年“負けなし”で、現在日本トップの『Halo』プレイヤー。ゲーム・PC・パソコン用のアイウェアブランドGUNNARの公式アンバサダーを務めている。
▼halomomさん(ゲーマータグ:halomom Twitterアカウント:@weeweedanbow)
Halo 4 Japan Championshipにおける優勝チーム“Team Next DimensioN”所属(2008年12月~)。先日行われた“Microsoft 公式「Japan FPS Championship 2014」”でも準優勝を果たした。マルチプレイがスゴ腕なのはもちろん、キャンペーンも最高難易度レジェンド&全スカルでサクサクとクリアーするほどの腕前。
▼みらぐろさん(ゲーマータグ:milagro 3 Twitterアカウント:@milagro_3)
女性中心のオンラインゲームコミュニティー管理人。もともとは『Halo 3』などFPSが好きな女性Xbox 360ユーザーグループからスタートした。コミュニティー内で『Halo』シリーズの大会を何度も対戦を行うなど、『Halo』ファンの女子は意外と多い。
『Halo』らしく、そして新世代FPSらしく!
おもむろに結論から言ってしまうと、『Halo 5: Guardians』のマルチプレイはシリーズ最高の仕上がりと言っていい。現段階で評価を下すのは早いが、この際言い切ってしまおう。「FPS史上最大の完成度とおもしろさである」と。……あー、言っちゃった。ちょっと大げさかもしれないので、ちょっと控えめに訂正。「製品版では、FPS史上最大の完成度とおもしろさになる可能性を、大いに感じさせてくれた」くらいにしておくか。でも思わず言い切ってしまってもいいんじゃないかと思うくらい、アーリーアクセスを体験した多くのプレイヤーは「シリーズ最高じゃね?」と感じはすだ。
今回のアーリーアクセスでは、遊べるルールはひとつでマップはふたりだけだったのだが、それだけでも相当なポテンシャルを感じることができた。いままでの『Halo』らしさはしっかり残しつつ、昨今のFPSトレンドもしっかり網羅し、そこからさらにもう一歩先まで踏み込んだ新しいFPS体験ができるものになっている。
もうちょっと具体的に説明していこう。『Halo』らしさは残しつつ……と書いたが、その“らしさ”とは何なのか。これはプレイヤーによって感じかたはさまざまだろう。みんなそれぞれ「私が思う『Halo』はこうなんだよね」というのを持っているはずだ。その最大公約数的な意見を乱暴にもまとめてしまうならば、“スポーツライク”なのではないかと思っている。
スポーツライクといっても、それはヌルいという意味ではない。殺伐とした戦場で生きるか死ぬかというよりは、ポイントを競い合う競技性が高い、ということだ。1回遊べば大枠の位置関係は把握できるマップのわかりやすさ、敵味方を赤色と青色に分けた視野性の高さ、基本条件は全員まったく同じで己の腕前だけで勝負する……。これらはほかのFPSにはない、『Halo』らしさと言える部分だ。本作はココをさらに推し進めたゲームデザインになっている。
たとえばゲーム中の音声。チームのキル数のメドを知らせてくれる「勝利に向かっている」「あと10キルで勝利」や、敵とのスコア状況を「リードを奪われた」、「リードを奪った」と、ゲーム進行を音声アナウンスで知らせてくれるのだが、本作ではさらに仲間のスパルタンたちがより詳しく“音声で”教えてくれるようになった。「ビッグ タワーで攻撃されている!」、「敵の銃撃だ!」、「仲間がレッドストリートでダウン!」、「スナイパーライフル入手」など、刻一刻と変化する状況をわかりやすく声で通知してくれる。これはうれしい新要素のひとつだ。
また、画面左下に表示されているモーショントラッカー(レーダー)のすぐ上にエリア名称が表示されるようになった。これまでマップの場所などは仲間内で何となく決まっていったものだった。それがはっきりとエリア名称が表示されるようになったため、「ブルー2階でやられてソード落した!」、「中央上層に敵ふたりいる! 誰かこれる?」といった具合に、仲間への情報伝達がしやすくなった。
より戦況を把握しやすくなり、よりチームでの連携がしやすくなって、ますます競技性を高めた本作。これこそが『Halo』らしさを追求した結果と言える。
新アクションはどれも好印象! もっと使いこなしたい!
では、“いまどきのFPSトレンドも取り入れて”という部分はどうだろうか。これもひと言では難しいのだが、“よりスピーディーで、より立体的な戦いかたができるようになった”に尽きるのではないだろうか。
『Halo』はそのスポーツライクさゆえに、とことんストイックなゲーム性だった。走りもなければカバーもない。スナイパーなど一部武器以外はスコープをのぞき込む(一般のFPSにおけるLトリガーを引いた“狙いを定める”動作)ことができない……など、とことんそぎ落としたゲーム性だった。それがどうだ、『Halo 5: Guardians』では「いまどきの流行は全部取り入れますよ、えっへん!」と言わんばかりにスパルタンは走り、スライディングして、壁のよじ登ったりする。正直、ここまでいまどきの操作システムを入れてしまったら「『Halo』とは言えないのでは!?」という不安が大きかった。しかし実際にプレイしてみると、むしろその新しさゆえに、『Halo』らしさ(スポーツライクな競技性)が増した印象さえ受けた。
前後左右にスピーディーな動きができて、マップを立体的に利用するのは、まさに昨今のFPSトレンド。落下攻撃や空中制御は上からの攻撃、スラスターやスプリントによる前後左右の高速移動、壁をよじのぼる動作など、マップと空間のすべてを使ってあらゆる角度から攻撃できるようになったのである。
このあたりさまざまな新要素を、『Halo』ユーザーはどう感じただろうか。
「動作の選択肢がかなり広がったのはいいと思います。空中では自由落下かホバリング、地上ではスラスター(短ダッシュ)やスプリント(ダッシュ)からチャージ(タックル)など、選択の幅がかなり広くなり、アクション性が上がったと思います」(YASUHIROさん)
「落下攻撃のグランドパウンドは即死範囲が小さく、使いどころが難しいですが、『Halo』ならではの高低差を利用した戦闘にマッチしていると思います。チャージは、現状の対戦では活躍の場がないですね。殴りとの差別化がもっとほしいです。スラスターは緊急回避や追い込みなど汎用性があります。空中制御は、ジャンプでギリギリ狙える場所に留まることができるのが想像以上に有用でした」(VEXATIONさん)
「落下攻撃、タックルは綺麗にあたると一撃で倒せるので強力で気持ちがいいです。ただ、使いどころが考えさせられますね。スラスターは本作のカギだと思います! 敵の追撃を避けたり逆に追いかけたり。全体的に新しいものを取れ入れて楽しめつつも、競技性も重視するコンセプトがよく感じられました」(halomomさん)
「新しい動作があるのは好きなのですが、いざやってみようとすると難しいです。落下攻撃した時にはそこにもう敵はいないとか(苦笑)。空中制御してるあいだに蜂の巣にされたり」(みらぐろさん)
全体的に好印象だが、操作にはそれ相応の慣れが必要。使いどころを研究・練習すれば、さらなる新テクニックが生まれることだろう。このあたりも楽しみだ。
距離特性がはっきりついた印象の各種武器
武器についても触れておこう。今回はアサルトライフル、バトルライフル、ハンドガン、プロフェットベイン(いわゆるエナジーソード)などおなじみの武器が多数使えた。プレイしてまず感じたことは、エイム補正がきびしくなったという点。これまでの『Halo』シリーズは「初心者に優しく!」という姿勢を貫いてきたせいか、スティックによる照準合わせがしやすい仕組みになっていた。敵の近くまで照準を持っていけば、ひっかかるように照準が合うような補正がかかっていたのである。ところが、今回体験したバージョンでは、『Halo』シリーズの中で「もっともエイム補正がかかっていない」ものだった。このあたりのバランス調整は最終的にどうなるのかわからないが、現状の“eスポーツ的な競技性”という面を考えると、このままエイム補正があまりかからない方向で調整されると思われる。自身がエイムの練習した成果が、ダイレクトにゲーム結果へ反映されるというわけだ。
武器個別については、『Halo』プレイヤーに聞いてみよう。
「いままでならバトルライフル一本ですべての距離で戦えていましたが、本作はそうではありません。近距離ならハンドガンやアサルトライフルにバトルライフルが負けますし、遠距離ならDMRのほうが圧倒的に使い勝手がいいです」(VEXATIONさん)
「それぞれの武器が距離相当の強さにバランスを取られているように感じました。アサルトライフルは近距離でも強く、スマートスコープを使うと思った以上に遠距離まで届くので初心者の人にはお勧めですね。スナイパーライフルは過去シリーズほど近距離では脅威を振るわないのではと思っています」(halomomさん)
製品版に向けて調整は入るだろうが、武器ごとの性能をしっかりと把握する必要がありそうだ。
現段階では100点満点と言っていいおもしろさ!
そのほか、今回プレイしてみて感じたよい点悪い点など、全体的な印象も各プレイヤーに語ってもらった。
「まず個人的に撃っていて楽しい。爽快感があって素直にゲームとして魅力的でした。また個人としてはデザインがかっこよくて好みです。イマイチな点はとくにないのですが、マッチングシステムが不安といえば不安ですね……。」(YASUHIROさん)
「とくに“よい”と思った点は、eスポーツにフォーカスしたゲームバランスになりつつも、それでいてレベルマッチングが優秀なので、実力問わず楽しめる点です。近年の『Halo』シリーズはゲームを簡単にすることで新規ユーザーの獲得を目指していましたが、本作は新しい要素を随所に取り入れながらも本来の『Halo』へ原点回帰しています。逆にイマイチだと思った点はあまりなく、アビリティのバランスなどをブラッシュアップしてほしいくらいですね。」(VEXATIONさん)
「メッチメイクのランク機能が正確で、自分のスキル帯にあった人と対戦できるのがいいですね。いつも接戦ばかりで、勝てたときの喜びは大きいです! 初心者の人にも入りやすい仕組みになっていると思います。直してほしい箇所は、落ちている武器がマップの色と混同して見づらいところですね。これは改善してほしいです!」(halomomさん)
「画像の美しさにはあらためて見とれました! それだけでキャンペーンが楽しみになります。あと対戦中に味方がどこで倒されたかを言ってくれるところも、すごくいいなと思いました。激弱な私は仲間に敵の居場所を伝えるのが精いっぱいですので助かります(笑)」(みらぐろさん)
自分もおおむね上記のような印象なのだが、それ以外で感じたことも少し記しておこう。
最初に「あれ?」と気になったのは効果音だった。武器やグレネードなどそのあたりの音はあまり違和感なくすんなり受け入れられたのだが、シールドのアラートや体力回復音、そしてリスポーンするときの効果音が一新されていたのである。サウンドスタッフが変わった『Halo 4』のときでさえオリジナルの効果音テイストが引き継がれていたにも関わらず、今回ついにここをいじってきた。あのリスポーン音こそが『Halo』の『Halo』たるゆえんではないかと個人的には思っていただけに、じつはけっこうショックだったりした。
……なんて最初は思いましたよ、最初は。そう感じたのも一瞬で、ゲームに没頭したらじつはそこまで気にならなくなった。
それに、シリーズ恒例の効果音のままだったら、本作で加わったさまざまな新しい操作になじめなかったかもしれないな、とさえ思うようになった。あの音を聞いちゃうと一気に『Halo』に戻されてしまうゆえ、“走れない”、“照準射撃ができない”といった足かせをつい感じてしまうというか。だからこれで正解ナノダ!と思ったら、むしろしっくりきてしまった。
ともあれ、いよいよ始まる『Halo 5: Guardians』マルチプレイヤーベータ、この冬休みはガッツリと楽しみたい! 僕も時間の許すかぎり遊びたいと思う。オンラインでうっかり相手チームになったときは、お手柔らかにお願いします(汗)。