パッチ公開直前のいまだから知りたいことを吉田氏に直撃!
2014年10月28日、スクウェア・エニックスがPC、プレイステーション4、プレイステーション3用として提供するMMORPG、『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア』(以下、『新生FFXIV』)の4回目の大型アップデートとなる“DREAMS OF ICE FFXIV PATCH2.4 氷結の幻想”(以下、パッチ2.4)がリリースされる。
これに先立ち、同作のプロデューサー兼ディレクター吉田直樹氏にインタビューする機会を得た。収録は10月某日。この記事の掲載時期には、すでにラスベガス、ロンドンでのファンフェスティバルが終わり、さまざまな発表がなされているだろうが、そこは吉田氏が語った忍者&大迷宮バハムート:真成編情報。注目すべき内容が含まれているぞ。
吉田氏は、忍者/双剣士の操作に慣れるための心構えや、大迷宮バハムート:真成編におけるギミック面の味付けなど、パッチ2.4で追加される新要素について細かに語った。各要素をプレイする前に一読すれば、注目の大型アップデートをより深く楽しめるだろう。
ファンフェス“1日券の初日チケット”の倍率は「尋常ではない高さ」
吉田直樹氏(以下、吉田) 今回は1日目と2日目でプログラムの内容が異なります。我々としては基本的に両日ともお越しいただきたいので、“2日通し券”をもっとも多くご用意しました。こちらの券種については、事前に多めに準備していたので、倍率は数倍といった感触です。ところが“1日券の初日チケット”はもともと数が少ないところに多数のご応募をいただいたため、結果的に倍率がものすごく高くなってしまいました。正直なところ、尋常ではないほどの倍率になっています。
──そもそも今回は、現役プレイヤーのみが対象の先行販売でしたよね。
吉田 はい。アクティブ状態のアカウントを現在お持ちの方が対象です。おそらく多くの方々はコミュニティーごとにそれぞれ分担して応募されたと思うので、当選を発表した後、キャンセルが相当数出ると思っています。それを追加販売ぶんに回したうえで、「何時からチケットを販売します」とアナウンスを行い、抽選なしの先着順で販売させていただく予定です。
──では当日券についてはいかがですか?
吉田 事前に当日券としてリザーブしておいたチケットなのですが、数が非常に少なくて……。“2日通し券”の抽選に漏れてしまった方は、争奪戦にはなってしまいますが、当日券ではなく、ぜひ追加販売ぶんでの購入をご検討いただければと思います。おそらく、そちらのほうがチケットを入手できる確率は高いはずです。
──当日券に望みを託すのは厳しいですか……。
吉田 東京近郊にお住まいの方でもかなり厳しい枚数です。遠方から当日券を目当てにお越しいただいても、状況的には厳しいかと思います。
──なぜ遠くに住む人は厳しいのですか?
吉田 遠方から来ていただいたとしても、(努力よりも運に左右される可能性が極めて高いので)申し訳ない結果に終わってしまう方々が大半になってしまいそうだからです。施設近辺での徹夜整列なども禁止となりますし、わずかな望みだけで遠方からお越しいただくのは、かなり心苦しいです。ぜひ、ライブストリーミングのほうをご検討いただけたらと思います。
──1日当たりの収容人数はどれくらいですか?
吉田 約4000人です。当日券の販売ぶんは、おそらく100~200枚というレベルになってしまいます。7月に開かれたFINAL FANTASY XIV: Full Active Time Event in SENDAI(仙台F.A.T.E.)よりも、倍率としては高くなるかと……。
──人数を4000人と定めた理由は何ですか?
吉田 今回はステージイベントだけでなく、フロアアクティビティもたくさんご用意しています。つねに一定数のお客様が会場に留まっていることが前提ですし、たくさんの方がイベントフロアを移動しながらお楽しみいただくことになります。安全面も考えると約4000人という収容人数が限界でした。
──吉田さんと会話すべく、4000人のファンが会場内で行列を作るわけですね(笑)。
吉田 さすがに皆さん全員と会話するのは難しいと思います(苦笑)。
──確かに4000人と会話するのは無理があります(笑)。
吉田 各地のF.A.T.E.で、およそ200人のお客様と毎回お話させていただいていますが、そのときでもトータルで5時間くらいかかっていますので、さすがに……。でも、できるだけお話ができたらな、といういつものスタンスは変わりませんので、喫煙所あたりで見つけたらお声掛けください(笑)。
メインクエスト“完結”へ向け、舞台はイシュガルドへ!
──それではパッチ2.4の質問に移ります。今回のタイトルロゴに秘められた意味はどのようなものですか?
吉田 前回のパッチ2.3では、エオルゼアを守ろうとする人たちの主義や、主張の相違が描かれました。今回はそれを一歩前進させる形で、彼らの考えかたの違いがぶつかり合うことになります。それぞれの言い分には一理あるわけですが、そうした主義や主張はまるで“氷の幻想”のように脆く儚い……という部分がテーマです。シヴァを中心に展開されるメインクエストを通じて、いろいろな理想がプレイヤーに提示されるので、それらをひととおり見たうえで「私はこの意見に近い」、「いや、それはきれいごとすぎる!」といったご自身の価値観との照らし合わせをしていただければと思います。いくつもの主義や主張が絡み合ったまま、バージョン2.0シリーズの結末に向けて突き進んでいくことになりますが、ぜひその結末にもご期待いただきたいです。
──これまでと同様に、メインクエストの更新分を終えた時点で物語が一段落するのですか?
吉田 一段落しなくなってきます。今回はいつもより強く“つづく!”という状態です。シナリオパートのチェックを先日終えたのですが、そのときに僕が抱いた感想は「次のパッチいつ~?」でしたので(笑)。これまで続いてきたメインクエストは、いよいよパッチ2.5で完結を迎えるので、そこへ向かって物語が加速していきます。
──今回は新たな人物も登場するのですか?
吉田 イシュガルド側の新キャラクターが登場します。かなり名のある人物で、パッチ2.4だけに限らず、今後の『新生FFXIV』のストーリーにおいても深く関わってきます。そういう意味では“氷の巫女”の登場も今回限りではないので、キャラクターの面でも、しばらくは継続して物語が進むことになります。
──シヴァに関するすべての謎が明かされるのは、もう少し先になるということですか?
吉田 ひとつだけ言えるのは、氷の巫女とシヴァはイコールの関係ではないということです。
忍者は3種類の印を組み合わせて忍術を発動する!
──前回のプロデューサーレターLIVEで公開された忍者の映像で、グローバルクールダウンよりも短い間隔で発動していた技がありました。あれが印を結ぶ動作なのですか?
吉田 そうです。ひとつひとつの再使用時間はグローバルクールダウンよりも短めですが、強力な忍術を発動する印は複数のものを連続で入力するため、そのぶん時間を要します。また、印を結んでいる途中でほかのアクションを発動すると、忍術が成立せずに失敗に終わってしまいます。このため、使いどころも重要になってきます。忍術の操作感やスタイルは、これまでの日本のオンラインゲームでは、経験したことのないタイプに仕上がったと思いますので、ぜひアレコレとお試しいただきたいと思います。
──忍者の印について詳しく教えてください。
吉田 印には天の印、地の印、人の印の3種類が存在し、それらを組み合わせて印を結んだ後、“忍術”というアクションを使います。忍術というアクションそのものはひとつだけで、直前に結んでおいた印の内容に応じて、発動する技の中身が変わる仕組みです。
──印を結ぶことで、どのような忍術が発動するのですか?
吉田 たとえば、天の印を結んでから忍術のアクションを発動すると“風魔手裏剣”が、地の印を結んでから忍術のアクションを発動すると“火遁の術”が……といったように、直前に結んだ印しだいになります。天の印、地の印と連続で結んでから……というように、印を複数使うパターンも当然ありますので、手が覚えてくれるまではちょっとたいへんかも、ですね(笑)。ミスもあるのでお気をつけください。
──印をミスすることもあるのですね。
吉田 印を結ぶ順番を間違えたり、印を結ぶ間隔が極端に長かったりした場合は失敗となります。加えて、印を結んでいる最中にほかのアクションを実行したり、いわゆる“スカ”の組み合わせを選んだりしたときにも印は不成立になります。その際には、対応する演出が入ります。
──印を結ぶ一連の動作が、ほかのジョブでいうところのアクション回しに相当するのですか?
吉田 いいえ。忍者には印だけでなく、ウェポンスキルを使ったコンボも別に存在します。このため、忍者はタイムライン上で考えなければならないことが、ほかのジョブとまったく異なります。本当に突き詰めてプレイしようと考えた場合、シチュエーションに応じて発動する忍術を変える必要があるので、ほかのジョブよりも瞬間的な判断力が求められることでしょう。ちなみに忍者は、スタンや沈黙などのデバフ能力のほか、味方のTPを回復する能力も持っています。
──印を結んでいるあいだも、オートアタックはくり出せますか?
吉田 オートアタックは発動します。
──双剣士が得意とする毒について教えてください。
吉田 毒は敵に付与するデバフではなく、自身を強化するバフという扱いです。武器に毒を塗ることで、自身のDPSが上昇するという考えかたになります。
──毒の種類は全部でいくつですか?
吉田 蜂毒と蛇毒のふたつです。毒の種類によって、“喉切り”と“ぶんどる”などアクションの効果が変わります。武器に塗った毒に応じて、アクションの追加効果が変化するわけです。蜂毒と蛇毒はボタンひとつで切り替えられるため、いわゆるスタンス切り替えのイメージに近いといえます。
忍者のイロハはジョブクエストで順番に学べる
──忍術や毒をはじめとする技を、状況に応じて使い分けるテクニックが求められそうですね。
吉田 忍者の場合は、操作じたいはとても楽しく、できることが豊富なので、非常におもしろいジョブです。ですが覚えることが多いので、ジョブクエストを通じて、必要な要素が順番に理解できるようになっています。
──クラス/ジョブクエストを通じて、新職業のバトルのコツを学べるんですね。
吉田 『新生FFXIV』のロンチ時とは違い、現在は開発側もクエスト作りに慣れてきているため、双剣士や忍者が戦闘ですべきことを、いままで以上に丁寧に勉強できるよう仕上げてくれました。クラスクエストとジョブクエストは、一刻も早くレベル50に到達したい! という気持ちをガマンして、しっかりNPCたちのセリフを熟読。頭の中を整理したうえで、イベントバトルに挑んでいただきたいです。そうすれば、いろいろな意味で、その後のプレイヤースキルの成長が早まると思います。
──低レベル時の練習不足が原因で、忍者の動きにプレイヤーが追いつけなくなる可能性もあるのですか?
吉田 もちろん、楽しければなんだってOKだと思いますが、よりいっそう楽しく忍者をプレイするなら、仕組みはぜひ覚えていただきたいな、と思います。理解できないままプレイを続けていると、やれることがたくさんあるのにそれらを使わない、というもったいないジョブになってしまいそうで。
──敵を叩くだけのジョブになってしまう可能性が?
吉田 やれることが多く、それらをキチンと使いこなすと強い、というバランスになっていますので、単にウェポンスキルのコンボだけ続けていると、DPSとしては弱くなってしまうと思います。
──レベル50まで育成してから操作のコツを練習すればいい……というのでは遅いでしょうか?
吉田 もちろん構わないですが、レベル50の忍者は戦闘中に使えるアクションが多すぎて、「おおお、これ何? どうするんだっけ?」と、軽くパニックになるかもしれません。
──ジョブクエストだけでなくレベル上げの際にも、立ち回りの練習を心がけたほうがいいのですか?
吉田 そうですね。ある程度は「よし、忍術をきちんとリキャストタイムごとに使おう!」など、意識をしつつレベルを上げたほうが、手に馴染む。たとえばF.A.T.E.だけで忍者を育てる場合には、ぜひ「スキル回しに慣れよう」とか「印の入力を手に馴染ませよう」など、自分なりの目標を掲げたうえで挑んでもらえるとうれしいです。そのほうが、レベル50に到達してエンドコンテンツに参加した際に、早い段階で「活躍できる!」という手応えが感じられるようになると思うからです。
──レベルを上げながら、印の組み合わせや毒の使い分けをマスターしていくわけですね。
吉田 はい。もちろん経験値稼ぎを中心にしつつ、意識をしながら段階を踏んで操作に慣れていただいたほうが、より楽しくプレイできると思います。
──すべての技を手際よく発動するためには、ゲームパッドのボタン配置に工夫が必要になりますか?
吉田 レベルが上がって新たな印を修得した瞬間に、戦いの選択肢が一気に増えたりします。その際、「ウェポンスキルが右手側ならば、印は左手側かな」という感じで、アクション配置を考え直すことになるかもしれません。僕としては、印の組み合わせによって発動できる忍術のバリエーションがすごく豊富なので、ボタンを押しやすいように印は3つ並べるのがいいと思っています。ぜひ、ひとつ目の印を覚えた際には、周辺にもうふたつの印を配置できるよう、クロスホットバーやホットバーを残りふたつの印用に空けておくと、後で手に馴染みやすいかなと思います(笑)。
ギミックを先回りして、最適な忍術を“仕込む”のが忍者の醍醐味
──モンクは一般的にテクニカルなジョブとされていますが、忍者はさらにその上をいくのでしょうか?
吉田 上下というよりも、横並びの関係です。モンク、竜騎士、忍者でそれぞれ異なるので、上下を比べる意味はないと思います。さらに、忍者はほかの近接系のジョブとはタイプがまったく異なるので、操作に慣れてからエンドコンテンツに参加しないと、いまエンドコンテンツをいっしょにプレイしている仲間から「ちょっと忍者さん、DPSが……」と言われるかもしれませんのでお気をつけを(苦笑)。
──モンクと肩を並べるほど立ち回りに工夫の余地があるぶん、高いDPSが出せる可能性を秘めているということですか?
吉田 モンクで高いDPSを得ようとした場合、参加するコンテンツの中身をより深く理解する必要が出てきます。疾風迅雷を切らさないために、あえてリスクのある部位や、オブジェクトを殴りにいくシチュエーションまであります。そのためには、“コンテンツの中のどのオブジェクトを、どういう位置取りで、どの時間に打撃しておくことで、疾風迅雷を維持できるか”研究する……コンテンツを理解するのが近道というわけです。そしてモンクの場合には、これがDPSの高さに直結します。
──全体の傾向としては、忍者も同じということですか?
吉田 忍者の「この場面でこの印は適切なのか」という部分に、モンクの場合はコンテンツの理解力が関わってきます。つまり、モンクは疾風迅雷をいかに活かすのかがカギとなるのに対して、忍者は無数にある選択肢の中からいかに局面に適したものを選んで実行できるのかが重要になってくるのです。そしてそれを行うことが、必ずしもDPSのためだけではない場合があります。沈黙やスタンの切り替えなどですね。
──つまり、毒をどのタイミングで塗りなおすのかも、戦闘中に考えていくことになるわけですね。
吉田 はい。ただし毒のスイッチそのものは、ストレスを感じずに実行できるよう調整してあります。忍者の立ち回りはものすごく奥が深いですが、そのぶんとてつもなく楽しい作りになっています。
──深くやり込めば、そのぶん強くなるわけですね。
吉田 単純にウェポンスキルのダメージだけ見ると、かなりの強さだと思います。おそらく、パッチノートに記載されているアクションリストを皆さんがご覧になった瞬間、「強すぎだ!」という声が上がるような気がします(笑)。
──キャラクタークリエイションで双剣士を選べないようにしたのも、テクニカルさが要因ですか?
吉田 双剣士はパッチで追加されたストーリーに合わせて姿を現したという設定なので、彼らを最初から選べるようにすると、そのぶんフォローすべき部分も膨大になってしまいます。最初から選べるよりも、エオルゼアの世界を知ってもらってから、楽しみに使ってほしいという部分も大きいです。
吉田氏から忍者の立ち回りを聞き出す!
──忍者の立ち回りの一例を教えてください。
吉田 まず、誤解のないようにお話をしておきたいのですが、忍者の立ち回りは忍者のレベルによって大きく異なると思っておいてください。またソロなのかパーティなのかによっても、動きは大きく変わると思います。低レベルの双剣士でソロの場合は、“かくれる”から“不意打ち”を使い、基本はウェポンスキルのコンボを狙います。きちんと相手の攻撃を避けるために、回避のアビリティもしっかり使いましょう。DoTを与えるウェポンスキル、斬属性を弱体化させるコンボなど、手数が増えてきたら、そのつど手順を変えたほうがいいと思います。斬属性を低下させてからDoTを入れて、……あとはアディショナルでほかのクラスのアクションも序盤は大いに役立つはずです。高レベルになって忍者にジョブチェンジして以降、パーティプレイではいちいち隠れていられないので、積極的にコンボや味方のDPSを上げるために、やはり斬属性低下を撒いたり、支援の沈黙やスタンを忘れずに。また、忍術はリキャストタイムごとに必ず使う、くらいの意識でいたほうがいいです。自己強化の術にするのか、単体ダメージの忍術にするか、範囲攻撃の忍術にするか……それはもう戦闘しだいですので、戦いながら組み立てることになります。どうぞ、楽しみにお待ちください。
──忍者のウェポンスキルのコンボは、ほかのDPSと同じイメージですか?
吉田 忍者と双剣士のいわゆる三連コンボには方向指定が存在しないので、さほど難しくはありません。
──双剣士が姿を隠すアクションの使いどころは?
吉田 “かくれる”は、不意打ちを決める前に発動するなど、攻撃の初動で使うアクションです。効果中は、自身とのレベル差が極端に大きいモンスター以外の敵から襲われなくなる代わりに、移動速度が半減します。ちなみに、最初からモンスターに敵視されている状況下では技が発動できません。
──”かくれる”は、PvPでも重宝しそうです。
吉田 姿を隠しているあいだは、敵軍のメンバーから発見されません。ただし、スプリントを含めた戦闘に関係するアクションを実行したときや、薬品を使用したときにも“かくれる”は解除されます。
同盟記章の価値はパッチ2.4で一時的に下がる見込み
──パッチ2.4で追加される新規アラガントームストーンの名称を教えてください。
吉田 アラガントームストーン:詩学(しがく)です。神話はパッチ2.3でお役御免になり、その代わりに詩学が追加されます。戦記についても、これまでの流れと同様に、週ごとの取得制限は撤廃となります。
──各コンテンツで取得できる、アラガントームストーンの種類や数も入れ替わるのですか?
吉田 変わります。ただしパッチ2.3の神話ほど、戦記は多く排出されません。各コンテンツからの戦記の取得量をドバッと増やすのはパッチ2.5になります。
──アラグの時砂や時油の価値も変わるのですか?
吉田 それらは、新たにゲームを始められた方や、複数ジョブの育成を目指す方たちが、時間をかけることで上位に追いつくための手段ですので、どう捉えるかによります。皆さんは詩学で得られる装備を、新たな目標とされると思いますので、戦記装備の強化として魅力的だった、モブハントの報酬である同盟記章の価値もいったん下がることになる、と言えるかもしれません。
──モブハントの調整はパッチ2.4で行われますか?
吉田 基本的には変えないつもりです。
──アイテムレベル上限の引き上げに伴い、いわゆる“戦記装備”の詩学版がロウェナの店で手に入るようになるのですか?
吉田 はい。これらは今回も、特定のアイテムを使ってさらに強化することが可能です。アラグの時砂・時油は戦記装備の強化用ですので、また別のアイテムになります。ご注意ください。
──そうしたアイテムの持つゲーム上の意味合いや取得量の調整時期なども、前回と同じですか?
吉田 パッチ2.2から2.3にかけて行ってきたパターンと同じです。まずは、ハイエンドコンテンツをプレイする方々のモチベーション向上に繋がる、アラガントームストーン:詩学に紐付けられた新規装備を取得。つぎに、それらを使って大迷宮バハムート:真成編をプレイして、現地でドロップした強化用アイテムや防具でさらにアイテムレベルの向上を図る……という感じです。そうしてつぎのパッチ2.5が公開された時点で、強化用アイテムの入手難度が緩和され、大迷宮バハムート:真成編を攻略しなくても高性能な装備で全身を固められるようになります。
“真成編”1~2層のギミック面の難度は少しだけマイルドに
──大迷宮バハムート:真成編でドロップする、一連の武具の呼び名は何ですか?
吉田 アラガンではなく、バハムートシリーズです。“バハムート・○○”というネーミングになります。先日公開したPV<<詳細はこちら>>の大迷宮バハムート:真成編のシーンで冒険者たちが着用していた装備がそれです。
──大迷宮バハムート:真成編でプレイヤーに楽しんでもらいたい部分は?
吉田 いままでの集大成ともいえる作りにしてあるので、これまで培ってきた知識と経験を活かしていただければと思います。もちろん、登場するギミックのパターンなどは変わっています。
──難度も、これまでと同じくらいですか?
吉田 今回は以前よりも少しだけ厳密に必要DPSの見積もりを行いました。このため公開直後は、侵攻編に比べて人によって難度が高く感じられるかもしれません。
──もう少し詳しくお聞かせください。
吉田 侵攻編3層のボスにより、多くの方が自分が使っているジョブのアクションのローテーションを見直されたことと思います。それにより皆さんは以前よりも、しっかりとDPSを出せていらっしゃいます。ですので真成編ではクリアのために超えてほしい“ダメージのしきい値”を、侵攻編1-2層よりも真成編1-2層が高くなるようにしてみました。「ダメージで押し切ったー!」というよりも、きっちりクリアしていただきたいなと思っています。
──ハイエンドコンテンツだからこそ、プレイヤーにやり応えを感じてほしいのですね。
吉田 大迷宮バハムートは、いまのMMORPG界の中でも高難度コンテンツと呼ばれているので、やりがいはしっかり残したいと思っています。もちろん、後に難易度の緩和をすることを決めているからこそ、できることでもあります。
──ですがこれ以上ギミックの複雑化によって難度が上がると、もはや手に負えないというプレイヤーが出てきそうです。
吉田 大迷宮バハムート:侵攻編の2層ではプレイヤーひとりひとりに責任を負わせすぎた、とちょっと反省しています。とくに、バトルの最終盤でペトリファクションを見逃す程度ならまだしも、石化光線を味方にバラまくだけでほぼ全滅というのは、さすがに厳しくしすぎたと……。その反省を踏まえて、大迷宮バハムート:真成編の1層と2層は、侵攻編の1-2層よりはギミックの数を抑えたつもりです。いずれにせよ、皆さんの挑戦が楽しみでもあり、怖くもあります(笑)。
──とはいうものの、大迷宮バハムート:真成編でも、くり返し練習が必要になるわけですよね。
吉田 そうなると思います。大迷宮バハムートは、同じメンバーで90分間練習したら、何かひとつでも手応えが掴めるようにと考えて作っています。クリアはできなくても「確実に一歩前進した! 明日はもう一歩!」という感覚です。確かにしんどいときもありますし、疲れてくることもあります。でも、積み重ねた努力が8人揃い、ボスを撃破できたときのうれしさは、なかなか味わえない達成感だと思っています。今後もこうした“ゲームならではの喜び”は大切にしていきたいですね。
──プレイヤーが掴んだコツの数がクリアの道に繋がるというイメージですか?
吉田 はい。「クリアはできなかったけれど一歩進めた感覚」を持ち帰っていただきたいのです。「あれも突破されたなら、つぎはこれでどうだ」というような意地の悪さで開発しているわけではありません。
──大迷宮バハムート:邂逅編の4層や、侵攻編の3層のような火力重視のバトルは登場しますか?
吉田 侵攻編の3層には、たしかにDPSチェッカーとしての役目を持たせています。そうする理由は、ある程度の火力が出せるパーティでないと、たとえその層が突破できたとしてもつぎの戦いがおぼつかなくなるからです。装備を調えてから再挑戦しようという、アイテム方向へのモチベーションを持っていただくためにも、そうした流れにしています。クリアを阻む障害としてDPSチェッカーを設けているわけでは決してありません。「一度ここで装備を見直してください」というつもりで設置しているのです。
──その方向性は今回の続編にも受け継がれている?
吉田 はい。引き継がれています。
──大迷宮バハムート:侵攻編に関しては、パッチ2.4で難度の緩和が行われるのでしょうか?
吉田 緩和の流れはパッチ2.2で大迷宮バハムート:邂逅編が調整されたときと同じです。パッチ2.4の公開時点で、8人でパーティを組むことでどの場所からでも好きな階層へ突入できるようになります。
──同時に、仕掛けの調整も行われるのですか?
吉田 いいえ。そももも超える力が発生するのは、パッチ2.4公開のおおよそ2週間後くらいからです。パッチ2.2のときと同じです。超える力の発生と同時に、いくつかのギミックも緩和調整させていただきます。
パッチ2.5は前編と後編のふたつに分けられる!?
──新規インスタンスダンジョンの追加に伴い、コンテンツルーレット:エキスパートに属する既存のコンテンツはハードに移ることになるのですか?
吉田 そうなります。ハードダンジョンの数が多くなってきたので、そろそろ整理したいとは思っていますが、2.4開始時点ではとくに区分けが増えたりはしていません。
──アマジナ杯争奪戦とは、どのようなコンテンツですか?
吉田 ヒルディブランドの物語の一部として登場します。プレイヤーも舞台に上がっていただくことになるので、ぜひ楽しみにお待ちください。今回は事件屋クエストもいよいよ大詰めということで、かなり盛り上がる中身になっています。次回予告も含めて、ぜひ注目していただければと思います。
──PvP関連のアップデート内容を教えてください。
吉田 PvPにおける細かいジョブ調整は、引き続き行っていきます。新規マップやルールの追加は、現在開発を進めているところです。おそらくリリースはパッチ2.5になるのではないでしょうか。
──ではクラフター関連についてはいかがですか?
吉田 つぎの目標になるものが入ってきます。いわゆる“スプラ装備”の続きに位置するものです。
──製作で生み出せる戦闘職の新規装備も追加されますか?
吉田 はい。おそらくパッチ公開直後は、最先端を突き進むクラフターの方たちが製作した新規装備に、マテリガを装着。“詩学装備”の取得を待ちきれないプレイヤーの皆さんがそれらを身に着けて、大迷宮バハムート:真成編へ突入することになると思います。
──クリスタルタワー:古代の民の迷宮に出現するトラッシュ(敵集団)を減らすタイミングはいつですか?
吉田 いまのところ開発と話をしているレベルで、具体的に何か決めたわけではないのです。もう少し計画的に決めて、一気に作業してしまうつもりですが、パッチ2.4ではとくに変わりありません。今後の情報をお待ちください。
──パッチ2.4公開後のアップデートスケジュールは、どのあたりまで決まっていますか?
吉田 パッチ2.45のリリースは確定ですが、いまのところパッチ2.48は予定していません。我々はバージョン3.0(追加ディスク)の発売に向けて、パワーをそちらへ振り向けているため、パッチ2.5を作り、あとは3.0へ全員で全力突入という感じになります。
──エターナルバンド(エオルゼアの世界でプレイヤーどうしが愛を誓うシステム)がパッチ2.45で公開された後、パッチ2.5へと進むのですね。
吉田 こちらも予定ではありますが、パッチ2.5は前編と後編の2部構成になると思います。登場するシナリオに驚きをもってバージョン3.0へとむかっていただくために、ストーリー全体をふたつに分け、後編を3.0に近づけて公開したほうがいいだろうという話をスタッフと交わしています。
パッチ2.4から、ストーリーが完結へ向けて走り出す
──『新生FFXIV』のアップデートにおける、パッチ2.4の位置付けをお聞かせください。
吉田 エンドコンテンツが存在する、という位置付けで、まずは新生2.0が開幕。ただし、まだまだ縦の展開も少ない状況でした。最初のアップデートとなるパッチ2.1では、強くなるという縦方向の遊びに、ウルヴズジェイル、ハウジングに代表される新規コンテンツが増えていくという魅力が加わりました。それに続くパッチ2.2では、エンドコンテンツの拡張に伴う難度の緩和がスタート。さらにパッチ2.3では、フロントラインだけでなくモブハントやゾディアックウェポンストーリーの続編も追加され、時間をかけて遊べる要素の整備が整いました。ここまでで『新生FFXIV』のパッチ2.0シリーズのアップデートのサイクルが1周したことになります。
──MMORPGらしい遊びや、マイペースで遊んでいるファン層を惹き付ける仕組みが、パッチ2.3までのアップデートであらかた出揃ったわけですね。
吉田 はい。そして今回のパッチ2.4と次回の2.5で、シナリオが“完結”を迎えることになります。そしてそれ以降は、バージョン3.0のさらなるアップデートのサイクルへと進んでいく予定です。
──しばらくは物語から目が離せそうにありません。
吉田 パッチ2.4で楽しめるストーリーは今後に続いていく重要なキーワードが山盛りなので、ぜひそのあたりにご期待いただければと思います。
拡張ディスクでは、レベル上限&イシュガルドを開放
──最後に……今回のインタビューのテーマであるパッチ2.4からは外れますが、FINAL FANTASY XIV FAN FESTIVAL 2014で発表された、バージョン3.0に盛り込まれる新要素を教えてください。
吉田 イシュガルド地方を舞台とする、完全に新しいストーリーが始まります。バトルの面では、新規ジョブを複数追加したうえでレベルの上限を60まで開放。加えて次期レイドダンジョンも入ってきます。一方で新規フィールドは、イシュガルド周辺と天空に浮かぶドラゴンの巣となる島々、魔大陸と呼ばれる驚異の場所までさまざまに追加されます。さらに新種族がプレイヤーキャラクターとして選択可能になるうえ、飛空艇を使ったコンテンツも登場します。モンスター関連では、新たな蛮族と蛮神が2種類ずつ公開され、そのうち片方は『新生FFXIV』オリジナルの蛮神です。これらの蛮族&蛮神は、ストーリーを通じて、バージョン3.0がリリースされた時点で姿を現しますのでお楽しみに。ほかにも、空を飛べるフライングマウントなどなど、ちょっと全部お伝えするのは難しいです(笑)。ラスベガスを皮切りに、皆さんに段階的に内容をお伝えしていくと思いますので、こちらも待ちつつ、まずはパッチ2.4を楽しんでください。
【編集部注】バージョン3.0『蒼天のイシュガルド』の発表済み情報は、以下の記事から確認できる。
◆『新生FFXIV』 拡張ディスク『蒼天のイシュガルド』情報まとめ in Vegas
◆『FFXIV』新ジョブは暗黒騎士でロールはタンク! ロンドン基調講演まとめ
◆『新生FFXIV』新ジョブ・暗黒騎士、フライングマウント、新フィールドなどの情報を解禁