これからも、Xbox Oneの普及に継続して取り組んでいく

 東京ゲームショウ 2014の会期にあわせて、Xbox Oneのキーパーソンに取材する機会を得た。そのメンバーはというと、マイクロソフト Head of Xboxのフィル・スペンサー氏、日本マイクロソフト 執行役 インタラクティブエンターテイメント ビジネス ゼネラルマネージャーの泉水敬氏、マイクロソフト ID@Xbox インディペンデント デベロッパー ディレクターのクリス・チャーラ氏、そして、アクセスゲームズ ディレクターのSWERY氏こと末弘秀孝氏の4名。

 Xbox Oneを取り巻くビッグネームが揃ったこのインタビューセッションは、“Xbox Oneを代表する4人に、Xbox Oneの魅力を伝えてもらう”という趣旨のもとに実施されたものだ。なんともぜいたくな顔ぶれとなったわけだが、そんな彼らに“Xbox Oneのいまと今後”を聞いた。

フィル・スペンサー氏や泉水敬氏など、4人のキーパーソンが語る Xbox Oneのさらなる訴求に向けての課題_05
▲この4人が一同に会するというのは、相当にレア。貴重な機会となった。

マイクロソフト
Head of Xbox
フィル・スペンサー氏(左からふたりめ)

マイクロソフト
ID@Xbox インディペンデント デベロッパー ディレクター
クリス・チャーラ氏(左から3人め)

日本マイクロソフト
執行役 インタラクティブエンターテインメントビジネス ゼネラルマネージャー
泉水敬氏(左端)

アクセスゲームズ
ディレクター
SWERY氏(末弘秀孝)(右端)

――今回は、Xbox Oneを代表する4人ということでお集まりいただいたわけですが、まずは、東京ゲームショウ 2014での出展内容について、手応えはいかがでしょうか?

フィル 今年の東京ゲームショウでは年末商戦に向けての充実したXbox Oneラインアップをアピールできたと自負しています。『Sunset Overdrive(サンセット オーバードライブ)』や『Forza Horizon 2(フォルツァ ホライゾン2)』といったファーストパーティータイトルはもちろんですが、何よりもサードパーティーの超大作に恵まれました。『コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア』や『Evolve(エボルブ)』などのビッグタイトルは、きっと皆さんにも満足していただけるものと思います。さらにうれしく思うのは、日本のメーカー様にもXbox Oneを積極的にサポートしていただけていることです。会場ではカプコンさんの『バイオハザード リベレーションズ2』やスクウェア・エニックスさんの『ファイナルファンタジー零式 HD』を初お披露目させていただきましたし、Kinectセンサー対応の『PSYCHO-PASS サイコパス 選択なき幸福』も好評でした。ベストなゲーム体験をもたらしてくれるのは、Xbox One以外にはありえません。

泉水 Xbox Oneが日本で発売されてから2週間経ちましたが、購入してくださった方からは高い評価をいただいております。Kinectセンサーを含めた、“新世代の体験”を多くの方に味わえていただけているようです。これから年末に向けて、さらなる“新世代の体験”をもたらしてくれるタイトルが続々と出てきます。東京ゲームショウを皮切りに、Xbox Oneの魅力を確認していただける機会も増えてくると思いますので、ご期待ください。

クリス 昨年の東京ゲームショウで、日本国内におけるID@Xboxの正式展開を発表させていただいてから1年、成果は着実に上がっています。世界中から600を超える独立系デベロッパーがID@Xboxに参入しておりまして、日本からは約60のグループに参加していただいています。ID@Xboxは世界に向けて自分のゲームを提供できるチャンスがあるということで、日本のデベロッパーさんからの評価も高いです。ID@Xboxは、日本のデベロッパーがXbox Oneを通してパブリッシングできるようになるだけでなく、世界のゲームファンに向けて自身の作品を提供するチャンスを与えるものでもあるんです。日本であれアメリカであれ、ドイツであれ、どの国で作った作品でも世界中に届けられる。ID@Xboxを通して、世界中でそういったことが起こっているのは、エキサイティングなことです。

SWERY 本日は、クリエイター代表ということで、この場に同席させていただきました。少し恐縮しているのですが、マイクロソフトさんとはファーストパーティーとして、2014年9月19日配信の『D4: Dark Dreams Don't Die』でごいっしょさせていただきました(⇒関連記事はこちら)。同作の制作体験を通して実感したのは、クリエイティビティーを重視するマイクロソフトさんの姿勢です。ゲームはプロダクトでありながらもエンターテインメントなので、おもしろくするためにはクリエイターがきっちりしないといけない。そんなところが“共通概念”として持てていたので、いっしょに仕事をしていてすごく幸せな環境でした。とくに、Kinectセンサーみたいな新しいデバイスで、最初から最後までプレイできるアドベンチャーゲームを挑戦させていただけたのがラッキーでした。ワールドワイドに向けて、コンテンツを発信するチャンスを与えてもらったことにも感謝しています。今後とも、日本のクリエイターが世界に向けてコンテンツを提供する機会を、ぜひとも強化していただきたいと期待しています。

フィル・スペンサー氏や泉水敬氏など、4人のキーパーソンが語る Xbox Oneのさらなる訴求に向けての課題_01
フィル・スペンサー氏や泉水敬氏など、4人のキーパーソンが語る Xbox Oneのさらなる訴求に向けての課題_02
フィル・スペンサー氏や泉水敬氏など、4人のキーパーソンが語る Xbox Oneのさらなる訴求に向けての課題_03
フィル・スペンサー氏や泉水敬氏など、4人のキーパーソンが語る Xbox Oneのさらなる訴求に向けての課題_04

――せっかくの機会なのでうかがいたいのですが、マイクロソフトさんは、先日『マインクラフト』などでおなじみのMojangを買収しました(⇒関連記事はこちら)。その理由を教えてください。

フィル Mojangとマイクロソフトとの関係は3年くらい前にスタートしています。Xbox 360版のリリース以降、Mojangさんとは良好な関係を築いています。非常に幅広いユーザーを持つ『マインクラフト』ですが、同作のユニークなところは、どのデバイスでも成功しているところです。PCやコンシューマーからiOSやAndroidまで、非常に好調なセールスを記録しています。どのスクリーンでも、『マインクラフト』というフランチャイズの強みが活かせる。『マインクラフト』ならば、当社のマルチデバイス戦略にも合致しますし、いっしょに成長していけると思ったんです。

――『マインクラフト』は、ほかのプラットフォームへの配信も継続するとのことですね。

フィル 先ほども述べました通り、『マインクラフト』のコミュニティーは、たくさんのユーザーがたくさんのデバイスで利用するという、とてもユニークな環境を持っています。PCでもXbox Oneでもプレイステーション4でも、iOS、Androidでも……プレイヤーはどんなスクリーンでも『マインクラフト』を遊べる。そしてゲーム体験は同じ。もちろん、コンシューマーゲーム機のシェア争いはあるますが、“ゲーミング”はもっと大きなものです。そして、『マインクラフト』というゲームはもっと成長しています。マイクロソフトとしては、もっと長期的なゲーミングのことを考えた場合に、プラットフォームを限定すべきではないと判断しました。

――では、Xbox Oneの話を聞かせてください。日本でもXbox Oneが発売されましたが、現状に対してはどのように判断していますか?

フィル 日本での成功には、いろいろな形があると思っています。多くのユーザーさんにご購入いただくということは、もちろん重要です。さらには、サードパーティーさんとのリレーションもあります。私たちは、日本のサードパーティーさんのグローバルでも成功も支えていきたいと思っています。現在発売されている家庭用ゲーム機の本拠地である日本という地において、我々にはさらなるがんばりが必要になっています。

――いまの販売状況には、けっして満足はしていない?

フィル もちろん、さらに努力を続けていきます。泉水さんも言っていた通り、日本でXbox Oneを購入してくださった方からは、非常にポジティブなフィードバックをいただいています。ゲームのラインアップなどを魅力的に感じていただけているようです。購入してくださった方ならば、確実にXbox Oneの魅力を感じていただけるんです。ですので、今後もできるだけXbox Oneの魅力を訴求していきたいです。今回の東京ゲームショウでは、日本のデベロッパーやパブリッシャーとたくさん話しをするつもりです。さらにゲームフロアでは、たくさんのゲームに触れたいと思っています。日本のゲーム産業により深くコミット(関与)したいと思っているんです。

泉水 私たちは、より多くのお客様に使っていただけるように取り組んでいきます。今後、皆さんのフィードバックを得ながら、製品の改善をしたり、より多くの皆さんに楽しんでいただけるコンテンツを用意するなどの取り組みを継続していきます。さらには、Xbox Oneの魅力をより多くの方に知っていただけるようにアピールしていくことが不可欠なことも認識しています。とはいえ、いまのゲーム機の世代は非常に長くなっています。私たちも長期的なビジョンに立って、ハードの訴求に努めたいと考えています。まずは、第一歩を踏み出したということが大切で、ここからいかに普及を拡大していくかについては、継続して努力していきます。

――Xbox Oneの魅力がなかなか訴求できてないという意見もありますが……。

泉水 この東京ゲームショウを皮切りに、より多くの方にXbox Oneのよさを知っていただけるために体験の場を広げていきます。さらに年末商戦に向けて、注目タイトルを中心にプロモーションをさらに拡大していく予定でいます。

フィル Xbox Oneの普及は、Xbox 360同様に長い旅路になると思っています。日本のクリエイターもゲームファンも私たちにとっては、非常に重要です。今後とも着実に取り組んでいきます!

――それでは最後に、今後のXbox Oneの展開に向けての意気込みのほどをお願いします!

フィル 日本のゲームファンの皆さんには、まずは「ありがとう」と言いたいです。初代XboxからXbox 360、そしてXbox Oneに至るまで、変わらずにサポートしてくださっていることに感謝します。Xbox Oneのビジョンに共感していただけてうれしいです。今後ともがんばっていきますので、よろしくお願いします。

クリス ID@Xboxに参加している、すばらしい日本のデベロッパーに感謝したいです。彼らは本当にすばらしい作品を作っています。日本のインディーシーンを見ると、画期的でクリエイティブなゲームが日本から生まれてきつつあるという手応えを感じています。Xbox Oneを通して、それらのタイトルを世界中のゲームユーザーにお届けするのが、私たちの使命であり、日本のゲームファンの皆さんにも体験してほしいです。

SWERY 日本というのは、新しいものが広がるには少し時間がかかる、特殊な市場だと思っています。スマートフォンやハイブリッド車にしても、普及するまでに少し時間がかかりました。ただ、浸透すれば長く愛してくれる国なので、マイクロソフトさんには、諦めずにずっとがんばって取り組んでいってほしいです。ユーザーの皆さんも、新しいモノに怖がらずに手を出してもらい、触れていただけたらなと。一度触っていただけたら、きっとおもしろさに気づいていただけると思うんです。ぜひXbox Oneを手にとって、一歩を踏み出してください。

泉水 国内でのXbox Oneは、多くのゲームメーカーやアプリメーカーの皆さん、そして何よりも熱心なゲームファンの皆さんに支えられて、ようやく発売に漕ぎ着けられました。とはいえ、皆さんにもっと満足していただけるように、我々としても取り組んでいきます。まずは、ここをスタート地点として、これからより多くの皆さんにXbox Oneを楽しんでいただけるように、引き続きがんばっていきますので、応援をよろしくお願いします。