2014年ホリデーシーズンはすばらしいラインアップが揃う
2014年6月10日~12日(現地時間)、アメリカ・ロサンゼルスにて世界最大のゲーム見本市E3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)2014が開催。会期中にマイクロソフトのマット・ブーティー氏に取材をする機会を得た。ブーティー氏はマイクロソフトスタジオのゼネラルマネージャーとして、ファーストパーティータイトルを統括する立場にある。マイクロソフトスタジオと言えば、さきごろ行われた“Xbox E3 2014 Media Briefing”では(⇒関連記事はこちら)、充実のタイトルをお披露目したばかり。マイクロソフトスタジオが見据える、Xbox Oneのソフト戦略は?
――“Xbox E3 2014 Media Briefing”では、充実のタイトルラインアップがお披露目されましたね。
マット “Xbox E3 2014 Media Briefing”に関しては、今年のホリデーシーズンに発売されるタイトルにフォーカスしてお話しさせていただきました。『Halo: The Master Chief Collection』や『Forza Horizon 2』、『Fable Legends』など、人気フランチャイズの最新作をお届けできますし、新IPとしての『Sunset Overdrive』もあります。非常に自信のラインアップですね。
――『Sunset Overdrive』を開発しているインソムニアックゲームズは、もともとは『ジャック&デクスター』シリーズや『レジスタンス』シリーズなど開発していて、今回初めてマイクロソフトさんと提携することになりますね(⇒関連記事はこちら)。
マット はい。インソムニアックゲームズさんと、Xbox Oneでいっしょに仕事をできるのはエキサイティングなことです。『Sunset Overdrive』斬新なゲーム性をもったタイトルで、このホリデーシーズンの注力タイトルのひとつですね。
――ブリーフィングでは、プラチナゲームズさんのタイトルが発表されて驚きました。
マット 本当にすばらしいデベロッパーさんですね。プラチナゲームズさんが得意とするアクションは、Xbox Oneにとっても大いに必要としていたタイトルでした。プラチナゲームズさんにも、Xbox Oneというプラットフォームの持つポテンシャルやパワーを気に入っていただけたようです。今回発表された『Scalebound』に関しては、空中で展開されるゲームプレイがものすごくスタイリスティックで、個人的にはものすごく気に入っています。あと、ドラゴンとの融合がすばらしいですね。
――日本の開発会社がマイクロソフトさんといっしょにゲームを開発するのは、日本人としてうれしいところですが、こういった流れは今後も?
マット はい。アクセスゲームズさんとの『D4』や、今回Xbox One版の配信を発表させていただいた、トイロジックさんと提携しての『Happy Wars』もあります(⇒関連記事はこちら)。今後、もっともっと日本の開発者とも組んでいきたいと思っています。
――せっかくの機会なのでうかがいますが、マイクロソフトさんが開発会社とコラボする際に、どのような点を基準にしているのですか?
マット 私たちがデベロッパーさんに求めているものは、Xbox Oneのパワーをしっかりと発揮してくれる技術力。そこにクリエイターのクリエイティビティーとアイデアを乗せていただきたいと思っています。
――つまり、技術力と創造性が問われるということですね?
マット そうですね。ただし、一方で私たちは、幅広い範囲のデベロッパーさんとお仕事をしていきたいとも思っています。ということで、ID@Xboxがあります。こちらのほうは、もっと小規模のデベロッパーさんといっしょに仕事をしていけるプログラムです。あまりスキルはなくても、アイデアはあるという小規模なデベロッパーさん向きですね。そういった意味では、大切なのはゲームとアイデアと言えるでしょう。
――ファーストパーティーの開発を担当するスタジオとの連携もしっかり取れている感じですか?
マット そうです。日本のオフィスには、開発スタジオさんとやりとりをする専任のスタッフが数多くいまして、いまはプラチナゲームズさんやトイロジックさんと密に連絡を取り合いながら開発をしています。
――具体的には開発会社とはどのような取り組みを?
マット ひとつには、私たちのほうから技術的なリソースを提供しています。デベロッパーさんのほうで技術的にいろいろな問題があったり、質問があったときも、即座にお答えできるような体制にしています。実際にデベロッパーさんのところに足を運んで、コミュニケーションを取るというのも重視している点ですね。
――ファーストパーティーのタイトルを開発するときは、開発会社に自由に任せているのですか?
マット すばらしいパートナーシップが何よりですので、バランスを取りながらやっています。いちばん大切なのは、デベロッパーさんのクリエイティビティーとアイデアが最大限に発揮されるようにすることです。そのためには、必要とあれば、こちらからいろんな意見を言ったり、お手伝いをすることもありますよ。
――E3では、『ファントムダスト』と『Crackdown』(国内タイトル名『ライオットアクト』)のXbox One版が発表されましたが、Xbox Oneで過去のIPを復活させる意図を教えてください。
マット ふたつあります。ひとつは、いまやビデオゲーム業界が成熟化していて、いろいろな歴史が積み上げられています。過去のIPを掘り起こして新たに展開する能力があるということですね。もうひとつは、ゲームファンの皆さんに、Xbox Oneのすばらしいパワーで、過去のIPがどういうふうに表現できるかをお見せしたかったんです。
――日本で開発された『ファントムダスト』がXbox Oneでも開発されるのは、日本人としては非常にうれしいところです。ただ、セールス的には大ヒットとまではいかなかったように思います。今回なぜ『ファントムダスト』を?
マット おっしゃる通り、『ファントムダスト』は大ヒットというわけにはいきませんでした。ただ、ゲームデザインが本当にすばらしい! ゲーム性に深みがあるし、戦略性にも富んでいる。だから、セカントチャンスをあげたいと思ったんです。
――Xbox One版『ファントムダスト』の開発はどこが担当しているのか、気になるところです。
マット デベロッパーは正式には発表していませんが、実力に定評のあるスタジオと組んでいますよ。ブリーフィングでプレゼンをした、マイクロソフトスタジオのケン・ロブ(『Killer Instinct』のクリエイティブディレクター)が担当しています。あと、オリジナルスタッフの二木幸生さんにも参加してもらっています。
――二木さんもですか? それはうれしいですね。
マット はい。『ファントムダスト』には欠かせないクリエイターです!
――では、『Crackdown』の開発は?
マット オリジナルの『Crackdown』のクリエイターであるデイブ・ジョーンズが新しいチームを組んで取り組んでいますよ。
――『ファントムダスト』や『Crackdown』のような、過去のタイトルを復活させる作業はこれからも継続していく?
マット そうですね。“過去のタイトルを復活させる”という意味では、北米でXbox Oneのローンチタイトルだった『Killer Instinct』もそうですし。今後は、『ファントムダスト』があって、『Crackdown』がもう少し後になって、さらにこれからももしかしたら出てくるかと思います。
――「これはやってみたい」なんてタイトルはあります?
マット もちろん秘密です(笑)。私としては、オリジナルの『Killer Instinct』に関わっていたんで、Xbox Oneでリリースされたのは、本当に感慨深いです。オリジナルのアーケード版では、オーディオとミュージックを担当していたんですよ。
――そういえば、“Xbox E3 2014 Media Briefing”では、最後の映像で『ギアーズ オブ ウォー』のロゴが一瞬表示されましが、『ギアーズ』の進捗はいかがですか? 『Halo』、『Forza』、『Fable』 などと並んで、マイクロソフトさんの重要なIPですが……。
マット 詳細をお話することはできませんが、カナダのバンクーバーにあるスタジオのブラックタスクが、つぎの新しい『ギアーズ オブ ウォー』を開発中です。
――ロッド・ファーガソンさんは?
マット ロッド・ファーガソンは、ブラックタスクで『ギアーズ オブ ウォー』の仕事をしていますね。
――おお! クリフはどうですか?
マット 彼は『ギアーズ オブ ウォー』の新作には関わってないです。自分のスタジオを作っていますね。
――もしかして、マイクロソフトさんとお仕事を?
マット それに関しては何も言えません。
――最後に、日本では9月4日にXbox Oneが発売されますが、日本のユーザーに向けて自信のほどをお願いします。
マット Xbox Oneを購入するには最高のタイミングだと思います。この年末に向けて、さらにすばらしいラインアップをお届けしていきますので、楽しみにしていてください!
(取材・文 編集部/F)