スマホは世界で勝負できる→誰でもできるシンプルな操作が不可欠→それが『Republique(リパブリック)』
2014年3月17日~21日(現地時間)、サンフランシスコ・モスコーニセンターにて、ゲームクリエイターを対象とした世界最大規模のセッション、GDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)2014が開催。ここでは、開催2日目にあたる2014年3月18日に行われたComouflaj(カムフラージュ)のライアン・ペイトン氏とグレッグ・ラヴ氏による“500 Nights of Failure: Designing Republique's “One Touch” Gameplay”の模様をお届けしよう。
ファミ通.comでも度々紹介している通り、ライアン・ペイトン氏は、かつてKONAMI・小島プロダクションやマイクロソフトにてキャリアを積んだあとは、シアトルにてComouflaj(カムフラージュ)を立ち上げた、新進気鋭のゲームクリエイター。その最新作がiOS向けに配信された『Republique(リパブリック)』となる。同作は、「家庭用ゲーム機に負けないクオリティーのスマートフォン向けゲームを」との意気込みのもとに開発されたステルスアクション。Kickstarterでの出資を経て、2013年12月に無事リリース。大好評を博した(→関連記事その1、→関連記事その2)。本講演は、『Republique』でワンタッチのゲームプレイを実現するために、いかに失敗を重ねたかの試行錯誤ぶりを語るセッションだ。
まずライアンが言及したのは、スマートフォン端末の世界的な広がりぶり。家庭用ゲーム機は、日本、北米、欧州で人気があるが、それ以外の地域の人たちにとっては簡単に購入できるものではない。一方で、スマートフォンは全世界で爆発的な普及を見せている。全世界のユーザーを念頭に開発に取り組めるのがスマートフォン市場だ。となると、問われるのが、いかにシンプルな操作でゲームを遊べるか。そこでライアンがたどり着いたのが、ワンタッチでプレイできるゲームを作ることだ。『Republique』は、そんなところから発想された。
とはいえ、ゲーム開発ともなると、あれも入れたい、これも入れたいというのが人情というもので、数多く盛り込んだ要素をどうワンタッチでサポートするかで、ライアンは頭を悩ませることになる。たとえば、ヒロインHOPEをタップすることで、カバー、話す、武器交換などの操作をできるようにしたのだが、どれも中途半端でうまくいかなかったという。講演のタイトルにある通り、まさに“500夜の失敗”だ。
打開策となったのは、“Omni View”というアイデアに到達したとき。こちらは、一時停止のような状態になって、ドアをロックしたり、機械をハッキングするといった操作ができるようになるモードだ。
ところが、何事も初めての取り組みということで、試行錯誤のうちに自信をなくし始めるスタッフ。ふとしたことで友だちにテストプレイをしてもらうと、「そんなに悪くないよ」と言われて、自分たちがこのゲームのいちばんの敵になっていることに気づいたという。ここからすべてを見直して、テストプレイを逐一記録。テストプレイヤーに、どのように操作するのがいちばん自然なのかを聞いたという。その結果は、iPhoneの操作はすでに慣れているものを自然に取り入れないとダメだとわかったのだとか。“Omni View”へ移行するに際して、誰でもわかるようにボタンをつけたのも、テストプレイヤーのフィードバックを受けてのものだ。
“アクション・アイコン”のアイデアも、テストプレイのフィードバックから生まれたもの。HOPEに複数のアクションがあっても、“アクション・アイコン”を導入すれば、いまどんなアクションをしてくれるか、ひと目でわかるようになったのだ。
チームのがんばりで、2013年12月に配信できたという『Republique』。ゲームの完成後もチームのゲームに対するモチベーションは高まるばかりで、チームがこれからやりたいことを書いてドアに貼ってあるという。何と、チームは平均25歳という若さ! 「若いスタッフは、エネルギーがあり、アイデアをたくさん持っているので、期待してください!」とのことなので、つぎなる成果を期待したい。
ちなみに、気になる『Republique』の日本語化に関しては、現在日本でのパブリッシャーを探しているとのこと。ぜひとも吉報を心待ちにしたいところだ。
(取材・文/編集部F)