『Mecha BREAK』を開発するAmazing Seasun GamesのCEOにしてプロデューサーであるクリス・クオック氏へのインタビューをお届けする。

 『Mecha BREAK』とは、昨年(2023年)末に正式にお披露目されるや、世界中から注目を集めた近未来SFメカアクション。大災害後の地球舞台に、広大な戦場で美麗なメカどうしの激しいバトルが楽しめる。メカに対するこだわりと、奥深い世界観を持った、メカファンにはたまらない一作となっている。

 そんな『Mecha BREAK』は、プロジェクト自体に10年近く(!)かけており、日本のロボットアニメやゲームに大きな影響を受けているというかなり気になる成り立ちを持っている。『Mecha BREAK』とはどんなゲームなのか……。気になってプロデューサーのクリス・クオック氏に質問を投げかけたところ、つぎからつぎへと溢れ出るコメントが! クリス・クオック氏に現時点で語れる限りの『Mecha BREAK』の魅力を教えてもらった。

 『Mecha BREAK』は、PCと家庭用ゲーム機向けに発売予定だ(発売日は未定)。

『Mecha BREAK』Steamサイト

Kris Kwok(クリス・クオック)

Amazing Seasun Games CEO
『Mecha BREAK』チーフ・プロデューサー

※本記事はAmazing Seasun Gamesの提供でお届けしています。

『機動戦士ガンダムや『スーパーロボット大戦』、『アーマード・コア』などから大いに刺激された

――まずは、『Mecha BREAK』開発の経緯を教えてください。どのような発想から本作の企画が生まれたのですか?

クリスAmazing Seasun Gamesのビジョンは、つねに“ゲームプレイヤーの聖地となること”であり、そのために追求したい目標は、プレイヤーが真に愛する作品を作り出し、私たちが理想と能力を持って美しく衝撃的な作品を制作できると人々に認識してもらうことです。この目標を実現するための前提条件は、新しいものが必要であり、新しいものを作り出す能力が必要であり、私たちが好きなものを作り出す必要があるということです。そして、その焦点は最終的にチーム全体が長年心に埋めていた“種子”、すなわちSFメカに落ち着きました。

 実際のところ、このゲームは“着実に”長い時間をかけて作り上げてきました。正式な制作開始は2021年11月からですが、実際には2015年にすでにメカゲームの構想を練り始め、一連の試みを行い、さらには何度もプロジェクトを立ち上げ直しました。その度ごとのプロジェクトの断念と再スタートは、チーム全体にとって巨大な試練でした。私たちは以前からSFメカの分野に触れたことがなく、この分野における認識とリソースが非常に不足していました。

 それでも、私と私たちのチームはメカへの熱愛を胸に、経験がなければ達人に学び、リソースがなければ共同開発を試み、理想の形態に達しなければさらに多くの時間とリソースを投入して磨き続けました。『Mecha BREAK』は、そのような背景のもとで誕生した作品です。

『Mecha BREAK』の魅力をプロデューサーが語り尽くす。メカゲームへの熱愛を胸に、幾多の困難を乗り越えて作り上げた

――クリスさんは、メカ作品が盛んだった時代に育ったとのことですが、本作を企画するにあたって、とくに影響を受けた作品はありますか?

クリス私は広州で育ち、家のテレビで香港のチャンネルが見られました。小学生のころ、毎日放課後に帰ると『機動戦士ガンダム』のアニメを見ることができました。そのとき、私にもっとも印象深かったのは『Z』と『ZZ』そして『UC』でした。私は『ガンダム』の進化の歴史をとてもよく知っており、これまでの年月を通じてこの趣味を諦めたことはありません。アニメや模型もずっと追い続けています。たとえば、オフィスにあるこれらの模型は、お金があるから買ったわけではなく、かなり長い時間をかけて集めたものです。

 少し大きくなったとき、私はメカゲームに触れ始めました。最初に遊んだメカゲームは『スーパーロボット大戦』で、中学時代に『第2次スーパーロボット大戦』に触れました。ゲームボーイやファミコンの時代ですね。そして、ほぼすべての世代の『スーパーロボット大戦』シリーズ作をプレイし、30周年記念作である『スーパーロボット大戦30』にいたるまで遊び続けました。

 一方で、大学時代にはPS2を手に入れ、『アーマード・コア』に触れ始めました。これは私が触れた最初の対戦型PvEメカゲームで、そのときからメカゲームを作る夢が心の中にずっと埋もれていました。そして、これらの情熱と愛情は後に『Mecha BREAK』の開発に注ぎ込まれました。

 チームのメンバーも、ほとんどが私と似たような経験を持っています。これらの有名な作品からの影響で、私たちはメカの精密さ、動き、デザインに対して深い認識とこだわりを持っています。新しいメカを制作する際、私たちはメカの魅力に対する自己理解を十分に抽出し、具現化します。大きな概念デザインから、装甲の関節数の配置にいたるまで、すべてのプロセスはチーム内での連続的なインスピレーションの衝突と丁寧な磨きを経て、最終的にゲームに落とし込まれます。

 個人的には、メカ作品の中でもっとも魅力的な3つの要素は、“空に自由に飛び回る「スピード感」”、“さまざまなビーム砲が覆う「火力感」”、そして“ライトセーバーの衝突音がもたらす「力強さ」”だと考えています。これらも私たちが『Mecha BREAK』でプレイヤーに伝えたい魅力の一部です。

『Mecha BREAK』の魅力をプロデューサーが語り尽くす。メカゲームへの熱愛を胸に、幾多の困難を乗り越えて作り上げた

伝えたいコンセプトは“独特の中国の特色を持つメカ”

――最初インディーゲームスタジオに出資してスタートしたプロジェクトは一時中断を余儀なくされたようですが、うまくいかなかった理由はどこにあったと、当時を振り返ってみて分析していますか?

クリス2014年に、私たちはイギリスの宇宙シューティングゲームを制作するチームに投資しました。そのときにリリースしたゲームは、PS2プラットフォームで数十万本を売り上げました。このチームと話をした後、彼らの戦略と詳細に深い印象を受け、非常に衝撃を受けました。これらの詳細の中で、私は非常にリアルなSF感を持ち、これが私がSFまたはSF関連の作品と結びつく契機になるかもしれないと感じたので、この会社に投資しました。

 しかし、冷静に考えてみると、私たちにはもっとも基本的な、メカの制作工程を理解している人さえいないこと、さらには中国のゲーム業界全体でSF作品が成功した例がほとんどないことから、この夢の種はまだ芽生えた段階で停止しており、私たちはこのチームにビジネスレベルでのみ投資しました。その後、生産能力の問題が原因でチームとの協力関係がスムーズに進みませんでした。

 この投資経験は、私たちのチーム全体にプロジェクトの可能性について再考させる機会となりました。これには、後にイギリスのこのチームを国内に招き、多くのSF関連の日本の専門家とも交流し、複数方面の共同開発を試み、設計生産ライン上のさまざまな問題にについて学び、挑戦することが含まれます。もちろん、これは後の話です。

――当初モバイル向けに開発していた『Mecha BREAK』は、PC・コンソール向けに変更されたとのことですが、プラットフォームを変更した理由を教えてください。それにともない、ゲーム内容はどのように変化したのでしょうか。

クリス最初、私たちはモバイルデバイス向けのゲームを開発したいと考えていましたが、どんなに試みても、メカの精密さや画面のリアリティにおいて、私たちの理想とする真のメカゲームの姿に、最終的な効果が達することはできませんでした。最終的にチームメンバーとの議論の後、私たちはリセットボタンを押すことに決定しました。私たちの理想となるメカゲームを実現するためには、PC・コンソールプラットフォームに移行し、真に高品質、AAA級のパフォーマンスを持つゲームを実現する必要がありました。

 モバイルゲームを諦めることにしたからには、PCとコンソール上で十分に驚くべき製品効果を示さなければなりませんでした。PC・コンソールプラットフォーム向けの開発は、私たちにゲーム性能とグラフィック表現のさらなる可能性をもたらしました。PC・コンソール上で高ポリゴンモデルがスムーズに動作する問題を考慮し、私の要求により、プロジェクトチームは初めてハードサーフェスモデリング(※)を使用した制作を試みました。メカやSF分野のハードサーフェスモデリングの専門家や経験が不足している中、全体のプロセスはチームが手探りで一歩ずつ進んでいくものとなりました。

※武器や機械など、滑らかな表面をもつ無生物を作るのに使われるモデリングの手法。

 その後、ゲーム内でハードサーフェスモデリングの精緻な表現を実現するため、私たちのゲームエンジンチームはVG(Virtual Geometry)という技術ソリューションを提案しました。簡単に言うと、これはコンピュータが見えるモデルやモデルの一部のみをレンダリングし、モデルの距離の遠近に応じてモデルの細部表現を下げる技術です。最終的な結果は、数十の高レンダリング品質のメカと複雑な環境で飛行するミサイルが同時にひとつの画面に表示されることになりました。

 もちろん、プロセス中には『Mecha BREAK』専用の機能開発など、技術的に乗り越えないといけない壁もたくさんありました。これらの機能開発と技術的な突破を通じて、『Mecha BREAK』がプレイヤーに、華麗な戦闘エフェクト、高精度モデル、正確なリアルタイム弾道計算機能を持つ高品質のメカゲームを提供できることを願っています。

『Mecha BREAK』の魅力をプロデューサーが語り尽くす。メカゲームへの熱愛を胸に、幾多の困難を乗り越えて作り上げた

――10年近くにわたる長いプロジェクトは、技術力の研鑽の歴史とも言えそうですね。

クリスそうですね。2015年に、私たちは中日英三カ国間の共同開発を試み始めました。これが『Mecha BREAK』の最初の原型であり、プロジェクトの初めての立ち上げでした。国際共同開発と言えば聞こえはいいですが、実際に協力してみると非常に困難で、全体のプロセスはあまりスムーズではありませんでした。

 なぜなら、日本と英国は多くの設計目標において一致することができず、私たちは設計を主導する能力もなければ、皆を納得させる開発方向を出すこともできなかったため、チーム全体が非常に迷ってしまったからです。この状況は約半年間続き、2017年になって、私は「もういい」と言って、英国のチームに帰ってもらい、私たちは日本のチームと単独で協力することにしました。これがプロジェクトの二度目の立ち上げとなりました。

 二度目の立ち上げも2年間で失敗に終わりました。その理由は、それが私が本当に望んでいたメカゲームとはかけ離れていたからです。設計を主導したのは日本の有名なメカデザイナーでしたが、彼のスタイルは非常に独特で、多くの設計が一度固まると、そのスタイルだからということで調整ができない状態になりました。

 そして、日本のチームがおもにコンセプトデザインを担当していましたが、言葉の問題で世界観を合わせるのが非常に難しかったのです。そのため、2018年以降は協力関係を続けていません。この期間、チームに多大な時間と労力を投じましたが、明確な制作方向を見つけることができず、じつに困難な段階を経験したと言えます。

『Mecha BREAK』の魅力をプロデューサーが語り尽くす。メカゲームへの熱愛を胸に、幾多の困難を乗り越えて作り上げた

――「これがあったから道が開けた!」という、転機となったタイミングなどはあったのですか?

クリス転機と言えば、これまでに払った“授業料”の後、共同開発から得た経験や貴重な認識をもとに、ついに私たちが求めるメカ設計の方向性を明確にしたことでしょう。

 たとえば、メカデザインは美形のデザインではなく、軍事的リアリズムにもとづいた工業デザインであることを理解しました。メカデザインを行う前に、まず工業計画を立てる必要があります。まるで、クルマを製造するかのように、まず製造プラットフォームを作り、そのプラットフォームにもとづいて異なるモデルを作る。これが工業製品の生産プロセスです。美術に対して「いくつかの小人を作りたい、そして各自で作ってください」と言うのではなくです。そのうなデザインは統一性がなく、できあがったものは説得力を持たせるのが難しいです。

 この時点で、チーム全体がどのようにメカを作るべきかを理解し、プロジェクトは私たち自身によって主導され、2018年後半には三度目の立ち上げを行い、再確認された方向性に沿って開発を進めました。当時の目標は、“中国人が開発したSFゲームを作り、それを世界の舞台に持ち込み、グローバルな作品にする”ということでした。

――その過程で、メカに中国ならではの要素を取り入れることになったのですか?

クリス個人的には、私たちは『Mecha BREAK』が中国のSF市場の扉を開く鍵となることを望んでいます。さらに『Mecha BREAK』を通じて、中国のゲーム制作者たちのSFへの理解と表現を伝えたいと考えています。そのため、今後の開発では、中国の伝統的な要素やシンボルをゲームに取り入れる可能性を評価します。それは中国の赤を配色にすることも、デカールやテクスチャデザインにすることも、あるいは中国古典の人物をモデルにしたメカを作ることもあり得ます。具体的な形式はチーム内でさらに議論する必要がありますが、伝えたいコンセプトは“独特の中国の特色を持つメカ”であることは間違いありません。

『Mecha BREAK』の魅力をプロデューサーが語り尽くす。メカゲームへの熱愛を胸に、幾多の困難を乗り越えて作り上げた

SFメカ分野で旗を立て、ユーザーの心を掴みたい

――デザインを紙からゲームモデリングに変換するのはたいへんな作業だったようですが、どのような課題に直面したのでしょうか?

クリス核心の課題はメカの骨格設計です。多くの人はメカを作るとき、人型の骨格にメカの外殻をかぶせればいいと考えがちですが、そうすると解決しきれないクリッピング問題が発生します。「なぜこんなに多くの模型を買うのか?」と問われば、それはすべて研究が必要だからです。メカの骨格は人体の骨格とはまったく異なり、内部に多くの追加骨格を設ける必要があります。たとえば、「メカの腕を上に動かすとき、どう処理するか?」、その部分の装甲板を上に移動させる必要があります。

 この点において、私たちは以前の共同開発から多くの重要な経験を得ました。メカの動きを設計する際に最初に考慮するのは、「メカの核心骨格が動いた後、装甲板はどのように駆動して協調するか?」、「肩の装甲はどのように反転するか?」、「装甲に追加される関節はいくつ必要か?」、「 具体的にはどのように開閉するか?」といった点です。なぜなら、より複雑な動きを実現するためには、絶えず連動する追加骨格が必要だからです。誇張ではなく、私たちのメカは最終的に武器と合わせて平均的な関節数が、ふつうの人型キャラクターの数倍にもなります。

 また、ハードサーフェスモデリングの部分について。たとえば、ガラステーブルの端の斜面は鋭くありません。鋭いと人を切ってしまうからです。もしメカを十分に細かく作るなら、それを拡大した後の装甲片などの部分は尖っていません。ハードサーフェスモデリングは、人の服のモデリングのように、固定された型から何千も派生させるわけではありません。

 簡単に言えば、メカのすべての角取り、すべての部品は、工業化の方法に従って行わなければならず、服を描くように描き出し、ソフトボディ技術で完成させるわけではありません。完全に異なるふたつのパイプラインです。開発サイクルには大量のリソースを投入しますが、ハードサーフェスモデリングの論理に従って進めることにこだわります。なぜなら、最高のものを作りたいと思っているからであり、SFメカ分野で旗を立て、ユーザーの心を掴みたいと考えているからです。

『Mecha BREAK』の魅力をプロデューサーが語り尽くす。メカゲームへの熱愛を胸に、幾多の困難を乗り越えて作り上げた
『Mecha BREAK』の魅力をプロデューサーが語り尽くす。メカゲームへの熱愛を胸に、幾多の困難を乗り越えて作り上げた

――1000人以上のユーザーが参加してのテストプレイを実施したとのことですが、そこで得られたフィードバックで印象的だったものをお教えください。

クリスまず最初に、1000人以上の熱心なプレイヤーの皆さんに心から感謝します。彼らの積極的な協力とタイムリーなフィードバックがあったからこそ、私たちは自分たちの不足点とうまくいっている点をすぐに把握することができました。なかでももっとも印象深く、もっとも満足を感じさせてくれたコメントは、多くの海外プレイヤーが、私たちが真心を込めてメカを作っており、メカを理解している、メカのユーザーを理解していると認識してくれていることです。

 実際、海外市場にはすでに一定のSFの基盤があり、有名で人気のメカジャンルの先輩作品も多数存在します。今回のテストでは、皆さんが私たちをいくつかの古いブランドの有名なメカゲームと比較して、『Mecha BREAK』を高く評価してくれたことが、私たちに大きな自信を与えてくれました。これこそが、私がプロジェクトを立ち上げたときに成し遂げたかったことです。

 私自身が熱狂的なメカファンであり、このようなゲームをプレイしたいとつねに思っていましたが、市場には存在しなかったため、自分で作るしかありませんでした。そのため、たとえ10年かかっても、この分野で最高のものを作り上げたいと思っています。だから、私がもっとも重視しているのは、自分自身が満足できるかどうかです。自分自身が満足できなければ、市場に出す必要もありません。

プレイヤーに宇宙の壮大な背景の下での壮大な叙事詩を提供する

――本作の緻密な世界観設定に心惹かれますが、世界観を設定するにあたってこだわった点を教えてください。メカモノのリアリティーを出すためには、緻密な世界観の設定は不可欠との判断があったのでしょうか。

クリスはい、多くのSF物語と同様に、世界を論理的に一貫させ、十分なドラマチックな衝突ポイントを持つ背景設計を構築することが非常に重要だと思います。多くのゲームの世界観は物語にのみ影響しますが、メカゲームでは、それが核心的な工業デザインに直接関係しています。

 「なぜ世界観を議論するのか?」と問われれば、それはデザイナーに「かっこいいメカを作ってくれ」と直接言うわけにはいかないからです。SFテーマは空想から生まれ、現実の要素をあまり参照することができません。デザインの難易度ははるかに高く、世界観と密接に結びついています。この世界のメカがどのように進化してきたのかを知る必要があります。

 「なぜ、ほかと違うのか?」、「技術原理は何なのか?」、「どのように開発されたのか?」、「主役のメカは何世代目の製品なのか?」、「それ以前の製品はどのようなものだったのか?」、「その後はどのようになる可能性があるのか?」、「それは追加装備型、改造型、実験型のどれなのか?」。これらをはっきりさせる必要があります。ですから、世界観の設定を通じて、世界観の科学技術ラインの主軸を構築する必要があります。この主軸をたとえるなら、『ガンダム』のミノフスキー粒子や、『エヴァンゲリオン』の死海文書から使徒、人類補完計画、リリスから生まれた初号機や二号機まで、といったものです。

 実際、私たちの世界観で最初に解決すべき問題は、何を使って全体の科学技術ラインをつなぐかです。このコンセプトにもとづき、世界観の設定に“EICクリスタル”という、エネルギーと知能を融合した独特のリソースの概念を導入しました。これにより、人類の工業文明と科学技術ツリーの発展史、そしてそれに伴う各勢力間の対立と衝突が描かれます。言うまでもなく、“EICクリスタル”によってもたらされるすべての技術進化と人とメカの位置づけは、私たちの世界観の原型を形成しています。後続のストーリー設計では、EICという核心コンセプトを中心に、世界観を何層にも重ねて拡張していき、プレイヤーに宇宙の壮大な背景の下での壮大な叙事詩を提供する予定です。

『Mecha BREAK』の魅力をプロデューサーが語り尽くす。メカゲームへの熱愛を胸に、幾多の困難を乗り越えて作り上げた

――コレクション要素やカスタム要素も充実しているとのことですが、とくに注目してほしいポイントを教えてください。

クリス私自身熱心なメカファンとして、コレクションやカスタマイズの要素がプレイヤー、あるいは“パイロット”にとってどれほど重要かをよく理解しています。そのため、『Mecha BREAK』の開発では、各メカに交換可能な武装の外観を設計しました。あなたはメカのさまざまな武器、剣や盾、さらにはメカの飛行翼をよりクールなスタイルに交換することができます。カスタマイズの面では、各メカを120以上の分色モジュールに分け、豊富なカラーリングスペースに加え、多数のテクスチャとデカールデザインを用意しました。これにより、プレイヤーが自分だけの専用メカを作り上げることへの期待を確実に満たすことができると信じています。

 もちろん、プレイヤーがもっとも注目しているのは、これらの要素をどのように入手するかという点でしょう。現在、私たちは各テストの結果とフィードバックにもとづいて、より合理的な調整と機能開発を行っており、すべてのプレイヤーがオンラインになった後、彼らの理想とするメカを構築するための十分なチャンスを提供することを目指しています。

プレイヤーが『Mecha BREAK』を楽しむ尽くすための3vs3と6vs6、そして最大60人によるマルチプレイ

――プレイモードについても少し聞かせてください。“操作重視の3vs3モード”、“策略重視の6vs6モード”とのことですが、プレイ人数によってゲームプレイの楽しみかたを分けたのですか?

クリスプレイヤーが『Mecha BREAK』の楽しみと魅力を異なる角度から体験できるようにし、すべてのプレイヤーがパイロットとしての能力を十分に発揮できるように、私たちはこれらふたつの対戦モードを設計しました。

 おっしゃる通り、“3v3モード”は、プレイヤーがみずからの高度な操縦技術を披露する絶好のステージであり、メカへの熟練度と細かいコントロールが勝利の鍵となります。このモードでは、プレイヤーはメカ間の接近戦と火力交換のスリルを存分に楽しむことができ、みずからの力で戦況を変えることさえ可能です。

 一方、“6v6モード”では、プレイヤーの小隊にさらに多くの役割と任務制限を与え、指定された戦闘形式内で敵の小隊と競い、最終的に任務目標を達成する必要があります。この過程で、小隊の戦術配置、攻撃を援護、撤退時の盾になるなど、チーム勝利に影響する決断が試されます。したがって、このモードでは、プレイヤー間の協力と協調能力、および戦場全体のコントロールがより試されます。“個人の能力を発揮する”3v3モードと比較して、団体戦を得意とするプレイヤーもこのモードで力を発揮できます。

『Mecha BREAK』の魅力をプロデューサーが語り尽くす。メカゲームへの熱愛を胸に、幾多の困難を乗り越えて作り上げた
『Mecha BREAK』の魅力をプロデューサーが語り尽くす。メカゲームへの熱愛を胸に、幾多の困難を乗り越えて作り上げた

――それとは別に最大60人(6人×10隊)でのバトルロイヤルも楽しめるようですが、どのような楽しみかたになりますか?

クリス“力強さ!スピード!交錯する火網!”のコンセプトをよりよく伝え、表現するために、PvEvPのプレイスタイルである“Mashmakモード”を開発し、パイロットたちをより広いステージへと導くことを意図しています。

 この256平方キロメートル、ゲーム史上最大の戦場のひとつのマップでは、パイロットはメカを自由に操縦して飛行し、“スピード感”を披露できます。また、マップには多数のインタラクティブな破壊要素が含まれており、パイロットはMashmakが横断する際のリアルな破壊効果を存分に体験できます。

 さらに、私たちは1ゲームあたりの参加者数を48人から60人に増やしました。広大なマップ内のさまざまな不確定要素に直面し、数十人の敵に警戒しながら、より多くの物資を獲得し、生き残って戦場から撤退し、自分のチームを勝利に導く方法を見つけることが、このモードの最大の楽しみでしょう。不確実性と究極のチーム戦が、このモードの魅力です。

 “Mashmakモード”は近い将来テストを迎える予定であり、皆さんを失望させないことを願っています。同時に、プレイヤーからのさらなる体験フィードバックを楽しみにしており、それがゲームをより完璧なものへと導く助けとなることを期待しています。

――本作は対戦に特化したタイトルになるのですか? それともストーリーモードはあるのですか?

クリス“Mashmakモード”ではBOSS挑戦が存在し、PvEvPの戦闘方式を提供します。後続のバージョンアップデートでは、チームの開発進捗と生産能力の状況を評価し、ストーリーモードの可能性を検討します。

――ずばり発売時期はいつになりそうでしょうか。

クリス具体的な日程は現時点ではお伝えできません。私の期待は今年中ですが、スケジュール次第です。なぜなら、コンソールゲーム市場も考慮に入れなければならず、プラットフォームのスケジュールを確認する必要があるからです。

――少しふわっとしたご質問になってしまいますが、10年にわたるプロジェクトを推進してきての、改めての感慨などありましたら、教えてください。

クリス個人的には、最大の学びは“あらゆる突破が必要”だということです。『Mecha BREAK』の開発過程は数々の困難に直面しましたし、初期は経験や認識が極端に欠けていました。とはいえ、経験や知識がないこと、リソースがないこと、チームメンバーが不足していたことで悩むことはありませんでした。むしろ、開発はとても楽しかったです! 

 イギリスとの投資協力から始まり、三方との協力、そして私たち自身がプロジェクトを主導し実現していく過程は、まるで夢を追いかけるようでした。最初はただの夢だったものが、徐々にその夢が実現していきました。これもまたメカの魅力だと思います。現実のテーマが自己と社会との関係を探求するのに対し、SFテーマはより人と環境、人と客観的な世界との関係を探るものです。そして、メカはその媒介、自己の拡張、自我の突破です。

 さらに言えば、メカの魅力は、人が工業製品に自然と魅了されることにあります。それは、人類の知恵の結晶を象徴しています。多くの人が時計やクルマを収集するのは、それが人類の工業デザインの極致だと感じるからです。自我を超え、極致に達するものはすべて魅力的です。

 ゲームも同じです。ある製品がゲーム業界の極致に達し、自己突破の価値を実現した場合、それは間違いなく魅力を放つでしょう。

――最後に、本作を楽しみにしている日本のゲームファンにメッセージをお願いします。

クリス『Mecha BREAK』への支援と愛情を送ってくださる日本のプレイヤーの皆様に心から感謝します。日本のプレイヤーからの情熱と期待を感じており、その情熱と期待を動力に変えて、今後の開発と制作に注力し、一日も早く質の高い『Mecha BREAK』を皆様の前にお届けできるよう全力を尽くします。引き続きのご支援をお願いいたします。ありがとうございます。