『Fate/Samurai Remnant（サムライレムナント）』試遊レビュー。クー・フーリンが突き穿つ！ シームレスに展開される“宝具”と、マスター＆サーヴァントによる団体戦に感動【TGS2023】

　2023年9月28日に発売予定（※）のNintendo Switch、プレイステーション5、プレイステーション4、PC（Steam）向けソフト『Fate/Samurai Remnant（フェイト/サムライレムナント）』。TYPE-MOON×コーエーテクモゲームスで描く『Fate』シリーズ最新作だ。

　江戸時代を舞台とした本作では、願いを叶える願望機“盈月（えいげつ）”を求めて新たな聖杯戦争“盈月の儀（えいげつのぎ）”が勃発。七人の願いし者“マスター”が、七騎の歴史上の英雄“サーヴァント”とともに、最後のひと組になるまで相争う。

　発売が目前へと迫る本作は、2023年9月21日～24日に幕張メッセで開催中の東京ゲームショウ2023、コーエーテクモゲームスブースにて試遊台を出展。本稿では、試遊台で遊べる2種類のモードのうち、“業火に身を墜とす者”のプレイレビューをお届けする。強敵に挑戦するモードで、主人公の宮本伊織とセイバーに加え、逸れのランサーであるクー・フーリンを操るバトルが体験できた。

　試遊台で遊べるもうひとつのモード“花と散りゆけ、野暮ふたり”では、丁寧に再現された江戸を探索したり、物語の一部を味わえたりする。こちらの内容は下記の記事にてレビューを行っているので、併せて確認していただけると幸いだ。

“型”によってガラリと変わるアクション体験

　“業火に身を墜とす者”では、地右衛門率いるランサー陣営とバトルが展開。盈月の儀に身を投じる伊織とセイバー、地右衛門とランサーによる二対二のタッグ戦は、4名が同時にぶつかり合い、本作のバトルならではのアツさを感じさせる。

　バトルでは、通常攻撃と強攻撃を組み合わせて敵を攻撃。通常攻撃は連続で入力でき、簡単に連撃がくり出せる。強攻撃は単発で出せるほか、通常攻撃のコンボから派生して強力なフィニッシュにつなげることが可能だ。

　プレイヤーがメインで操作することとなる伊織は、伊織の師匠・宮本武蔵が遺した“五輪の書”になぞらえた“型”の剣術を使う。型は複数あり、戦闘中に切り換えることが可能。型に応じてアクションがガラリと変化するため、状況に応じて使い分けることが重要だ。今回の試遊では“土の型”、“水の型”、“火の型”の3つを使用できた。

　土の型は一対一に適した一刀流の剣術で、ボス戦などで有効。強攻撃を長押しすることで“ガードカウンター”を行うこともでき、ディフェンシブに立ち回ることを得意とする。

　水の型は範囲攻撃を特徴とした二刀流の剣術。集団戦に向いており、有象無象の敵を蹴散らす際に最適な型だ。強攻撃の後、一定のあいだ時の流れを遅くする追加効果もあり、ボス戦で有効活用することもできた。

　そして、火の型は一撃の火力が高い反面、隙も大きめな二刀流の剣術。前述のふたつに比べてリスキーではあるが、溜めや追撃によって強力無比な攻撃をくり出せる。アクションゲーム好きの筆者を唸らせる、ロマン溢れる型となっていた。

　型に応じた剣術に加えて魔術や必殺技の“秘剣”など、伊織のアクションは多彩。できることが多くパンクしそうに思えるが、何度か攻撃をくり返すうちに自然と連携が身に付き、自分でキャラクターを意のままに操る気持ちよさを味わえた。開発を手掛けるω-Force（オメガフォース）の代表作である『真・三國無双』シリーズ……いわゆる“無双系”の作品を知っているユーザーであれば、その操作感を想像しやすいかもしれない。

　なお、型の切り換えや“共鳴絶技”（伊織の呼びかけに応えてサーヴァントが放つ技）の使用、交代ゲージを使用するサーヴァントとの操作交代など、各種操作の際には時間が止まる。アクションゲームに慣れていない人でも焦らずにプレイできる点はうれしいところだ。

マスターとサーヴァントが連携して戦う、二対二のバトルは迫力満点！

　戦闘中の操作はなじみやすいのだが、バトルが一概に簡単というわけではない。たとえば、強敵との戦闘では、共鳴絶技の発動タイミングを推し量らなければならないのだ。

　強敵が赤く禍々しい闘気をまとったら、それは危険な攻撃の予兆。すかさず共鳴絶技でダメージを与えて中断させる必要がある。だが、共鳴絶技の発動には共鳴ゲージが必須。そのため、計画的にゲージを運用しなければ、いざというときに危険な攻撃を止められず、大ダメージを負うといった展開になることも……。

　とくに対マスター＆サーヴァント戦では、ひと筋縄ではいかない歯応えのある戦闘を楽しめる。『Fate』における陣営どうしの戦いがアクションゲームに忠実に落とし込まれており、筆者はとても感心した。

　前提として、プレイヤーはマスター・伊織としてサーヴァント・セイバーとともに行動する。人間の身であるマスターにとってサーヴァントは超人的な存在であり、力に絶対的な差がある関係だ。

　今回戦えた地右衛門もそれは同じく、超強力なサーヴァントであるランサーを従えている。サーヴァントは激しい攻撃性能を誇るほか、伊織の通常攻撃を弾く“外殻ゲージ”を持つ。外殻ゲージをすべて削るまでは通常攻撃でダメージを与えられないため、共鳴絶技などの強力な攻撃でゲージを削らなければならない。

　そんなサーヴァントを攻略するうえでポイントとなるのが、“サーヴァントは基本的にマスターから力の源となる魔力を供給されている”ということだ。魔力がないとサーヴァントは本来の力を出せないので、マスターを先に倒すことが勝敗の鍵となる。

　実際のプレイでも、地右衛門を集中攻撃して先にダウンさせることで、ランサーが弱体化。依然として強力ではあるものの、戦闘を有利に進められた。この『Fate』ならではの戦術によって、町のごろつきを蹴散らしているときとは異なるプレイ体験を得られた。ダウンした地右衛門も一定時間が経つと復活するため、最後まで油断できないところもいい塩梅。

　またバトル中、ランサーはマスターを失うわけにはいかないので、地右衛門がピンチの際にはフォローに駆けつける。逆もまた然りで、プレイヤーがピンチのときはセイバーが助太刀し、つばぜり合い（ボタンを連打するイベント）の演出が発生する。互いのサーヴァントがマスターを助けるシステムによって、ふつうに戦っているだけでも燃えるシチュエーションが自然と生まれていた。

　ほかに特筆しておきたいのは、伊織とセイバーのように、敵のマスターとサーヴァントは連携して攻撃してくるということ。ランサーが激しく燃える炎で左右の逃げ道をなくしたうえで、地右衛門が伊織を目掛けて突撃する連携攻撃は必見。攻撃を受けた筆者は大ピンチを迎えた訳だが、圧巻の演出とコンビネーションに感嘆を禁じえなかった。

忠実に再現されたクー・フーリンのアクションに注目

　今回の試遊ではなんと、シリーズのファンにとっておなじみの兄貴、クー・フーリンも操作できた。

　本作では、盈月の儀の影響で特定のマスターを持たない“逸れのサーヴァント”が各地に現界。条件を満たして友誼を結べば、セイバーとは別に追加で同行させることが可能となる。逸れのランサーであるクー・フーリンは、仲間にできる逸れのサーヴァントのひとりだ。

　逸れのサーヴァントもセイバーと同様に交代ゲージを持っており、ゲージを消費することで一定時間操作が可能。共鳴絶技も使用可能で、セイバーのように超常の力を遺憾なく発揮してくれる。

　いざクー・フーリンを操作してみると、『FGO』などのシリーズ作品のアクションをそのままに再現していて感動。魔槍ゲイ・ボルクをポールのように操る範囲攻撃や、槍を振り回しつつ突進する技“槍術・棘の疾駆”など、これまで慣れ親しんできたスピーディかつ華麗な槍捌きを堪能できた。おなじみのスキル“仕切り直し”なども用意されている。

　そして、本作の見どころのひとつである“宝具”も放てる。クー・フーリンの代名詞とも言える“突き穿つ死翔の槍（ゲイ・ボルク）”を発動できた。ド派手な演出が画面の転換等を挟むことなくシームレスに展開されるため、バトルへの没入感も非常に高い。

　クー・フーリンの凛々しい顔のカットインから、『FGO』を参考にしたと思われる立ち姿へ。そして構え、地面を抉るほど踏み込み、渾身の力でゲイ・ボルクを投擲。一連の流れがあまりにもカッコよく、『Fate』を知らない人でも惚れ惚れすること間違いなし。宝具の一撃必殺感も存分に表現されていた。

　“業火に身を墜とす者”の試遊制限時間は10分。短い時間ではあるものの、いちバトルの中に本作らしさがグッと詰まっており、コントローラーを通してその魅力を十二分に感じられた。

　幕張メッセで開催中の東京ゲームショウ2023に赴く人は、ぜひコーエーテクモゲームスブースに足を運んでほしい。マスターどうしの燃える戦い、そして、クールに戦うクー・フーリンが待っている。

ブースでは武蔵の等身大フィギュアが展示中！

　東京ゲームショウ2023のコーエーテクモゲームスブースにて、『Fate/Samurai Remnant』のブースが出展中。今回レビューした“業火に身を墜とす者”を遊べる試遊台に加え、武蔵の等身大フィギュアなどが展示されている。詳しいブースの様子は下記からご確認を！