『スターオーシャン セカンドストーリー R』開発陣インタビュー。「オリジナル版で楽しかった部分を増強、刷新するよう心がけています」【TGS2023】

　2023年11月2日にスクウェア・エニックスからNintendo Switch／PS5／PS4で発売予定（Steam版は11月3日）の『STAR OCEAN THE SECOND STORY（スターオーシャンセカンドストーリーアール）』（以下、『SO2R』）。東京ゲームショウ2023のスクウェア・エニックスブースで遊べる本作の試遊版の内容踏まえた、開発者インタビューをお届け。

注目ポイントは進化したビジュアルとバトル

――先週体験版もリリースされましたが、東京ゲームショウ2023の試遊版ならではの見どころをお聞かせください。

小牧試遊では、体験版と同じくニューゲームから遊べるほか、ふたつのロケーションでのプレイが体験できるようになっています。ひとつ目のラスガス山脈は、おもにフィールドの美しさを見ていただきたくて採用した場所です。もうひとつのホフマン遺跡のほうは、新たにギミックなどを作り直した、遊びごたえのあるロケーションになっています。

――実際にプレイしてみると、3Dと2Dの融合が見事でした。この新たな表現にはどのようにして行き着いたのですか？

北尾最初にスクウェア・エニックスさんに画面をお見せしたときから、いまのビジュアルの方向でいこうと決めていましたね。もちろんくり返し調整はいれていきましたが。

――最初から決まっていたのですね。

北尾はい。オリジナル版の発売から25年前で、PSP向けに『スターオーシャン2 Second Evolution』が発売されたのも約15年前です。そこで、みなさんの頭の中にある『スターオーシャン セカンドストーリー』をどう再現するか、というのを重視した結果、キャラクターはピクセルにしようと決めました。そして、彼ら（ピクセルキャラクター）からは世界はどんな風に見えていたのだろうと考えたときに、3Dで表現することを思いつきました。

――フィールドに合わせてキャラクターも3Dにしようと考えたことはありましたか？

小牧我々が大事にしていたのは“原点は『スターオーシャン セカンドストーリー』であること”です。それを認識してもらうにはどうすればいいか、と考えたときに、ピクセルキャラクターでいこうという決定は揺らぐことはありませんでした。

――なるほど。では、リメイク作としてとくに意識したところ、注目してほしいところは何でしょうか。

北尾注目していただきたいのはやはりビジュアルとバトルですね。ビジュアル面では、25年前に触れたユーザーさんの記憶をどのように具現化すべきかを慎重に検討していきました。バトルに関しても、オリジナル版そのままではなく楽しかった部分を増強、刷新するように心かげています。かなりテンポ感を整え直したので、気持ちのいいバトルに仕上がりました。

――敵の攻撃受ける直前にバックステップをすると自動で相手の背後に回り込むのは、『スターオーシャン4』の“サイトアウト”っぽいなと感じました。

北尾そこはとくに意識していませんね。

小牧そうですね。「スターオーシャンに登場したシステムを取り入れる」という考えかたではなく、我々がおもしろさを信じているSO2のバトルでありながら、よりその体験を膨らませられる仕組みを北尾さんのチームには考えていただきました。それにより現代のRPGのバトルとして感じていただけるものになっていると思います。ほかにも最近のRPGの定番のシステムとしては、フィールドのファストトラベルも可能になっています。

――体験版やゲームショウでの試遊によって、徐々にゲーム内の要素が明かされていますが、まだ（2023年9月21日時点）公式で発表していない新要素で、現状言えるものがあればお聞かせください。

小牧ちょっと返答が難しいですが、ある、なしで言うならあります。

――今回の試遊では“リンクコンボ”が使えませんでしたが、製品版でも使えるのは後のほうになるのですか？

小牧オリジナル版でもそうでしたが、序盤ではまだ開放されないシステムです。自分好みに術技を連続して出せる点は同じですが、さらに遊びやすいようにバージョンアップしています。

――ストーリー展開は、オリジナル版から大きく変わることはないのでしょうか？

小牧そうですね。オリジナル版から変えることはしていません。そこも作るうえでのコンセプトのひとつでした。ボリュームも十分ありますし、内容も古びていませんから、あえて手を入れる必要はないと判断しました。本作のストーリーは、『スターオーシャン』シリーズが初の方にとっても価値のある内容だと考えていて、各キャラクターの個性を深掘りするような要素も加えているので、オリジナル版を遊んだ方にもよろこんでいただけると思います。

――キャラクターの深掘りはうれしい要素ですね。

小牧例を挙げると、フィールドや土地、シチュエーションごとに、キャラクターがさまざまなセリフを発するようになっています。キャラクターの改変になるような大きなエピソードはあえて加えず、各キャラクターの解像度が上がっていくような要素を盛り込んでいきました。

――本作で、ランダムではなくシンボルエンカウントを採用した理由は何ですか？

北尾プレイヤーがまず戦うかどうかを選択できるようなシステムにしたかったんです。加えて、フィールドに“リーダーエネミー”という強力な敵を配置していますし、複数のエネミーシンボルが近くにいて線でつながっている“エネミーリンク”という状態になってからエンカウントするとチェインバトルバトルという連続バトルが発生します。

　リスクはともないますが、勝利できれば経験値などにボーナスが入るので、そういった部分も含めプレイヤーの方々に判断していただけるような遊びのひとつとしてシンボルエンカウントを採用しました。

――たしかに、敵が見えることでいろいろ考えることが増えますね。

北尾自分より明らかに弱い敵は、見た目でわかるようになったりもします。

――レアシンボルみたいなものはあるのですか？

小牧強い敵は露骨にわかるような見た目になっているので、近づくと「怖いな」と感じるはずです。

――各キャラクターが習得する術技は、オリジナル版と基本的に同じなのでしょうか？

北尾基本的にはそうですが、性能や仕様はリメイクに合わせて調整が入っているものもあります。『スターオーシャン セカンドストーリー』と『スターオーシャン2 Second Evolution』で微妙に習得する術技が違ったりもするのですが、それらをすべて網羅する形になっています。

――ホフマン遺跡のギミックはちょっと頭を使えばわかる程度のギミックでしたが、その謎解きはどの程度の難度になるのでしょうか？

小牧ダンジョンのギミックについては、製品版でお楽しみいただければと考えていますが、ストーリー進行の障害になるような極端に難しいようなギミックはないので、安心して遊んでいただければと思います。ホフマン遺跡でもそうですが、シンボルエンカウントだからこそできるギミックもあるので、楽しみにしていてください。

――気が早い話ですが、本作が好評だった場合に、ほかのナンバリング作品もこのスタイルでリメイクする可能性はあるのでしょうか？

小牧すみません。いまはこの作品に注力しているので、お伝えできることがありません。ただ、この作品の制作に着手できたのもファンの皆様から「リメイクしないんですか？」というお声をずっといただいていたからなので、そういった意見は大事にしていきたいです。

――最後に、『スターオーシャン』シリーズファンや本作で初めて遊ばれる方、また東京ゲームショウ2023の会場で本作に触れる方に向けてメッセージをお願いします。

北尾試遊していただいた方には、ご自身のイメージしていた『スターオーシャン セカンドストーリー』と合致したかぜひ聞かせていただきたいですね。本作は、約25年ぶりに蘇った作品です。当時遊ばれていた方はもちろん、『スターオーシャン アナムネシス』や『スターオーシャン6』を最近プレイされた方、本作がシリーズ初の方など、多くの層に満足していただけるコンテンツになっているので、ご期待ください。

小牧多くの方に遊んでいただけるとうれしいですね。東京ゲームショウ2023は、映像で公開していない新しいロケーションを楽しんでいただけます。弊社のブースの中でもかなりの数を用意しているので、おこしいただいた際にはぜひとも触ってみてください。