スクウェア・エニックスより2024年2月29日発売予定のプレイステーション5用ソフト『ファイナルファンタジーVII リバース』。
本作は“FFVII リメイクプロジェクト”の第2作目にあたり、ミッドガル脱出までが描かれた『FFVII リメイク』の続編となる。
本日2023年9月21日から開催される東京ゲームショウ2023のスクウェア・エニックスブースでは、プレイアブル版が全世界初出展。
本稿では、そんな『FFVII リバース』のプレイアブル版や発売日告知トレーラーなどの気になるポイントを開発陣に聞いた。
なお、東京ゲームショウ2023に出展されいてるプレイアブルデモのプレイリポートは下記のリンクより。
『ファイナルファンタジーVII リバース』(PS5)の購入はこちら (Amazon.co.jp) 『〔新価格版〕ファイナルファンタジーVII リメイク インターグレード』(PS5)の購入はこちら (Amazon.co.jp)『FFVII リバース』プレイ動画その1“セフィロス&クラウド編”【TGS2023】
『FFVII リバース』プレイ動画その2“ジュノンエリア編”【TGS2023】
新規ビジュアルが公開
インタビューの前に新たに公開された新規ビジュアルを公開。
2023年9月15日にもキービジュアルが公開されており、そのキービジュアルについて野村哲也氏は「本作の物語の軸となる3つの世界を表現しています。過去の事件の発端である中央のセフィロス。彼によって運命を引きされたクラウドとザックス。セフィロスを想起させる血と炎、赤が空を染め、世界を覆って行く、というイメージです」とのコメントを残している。
そして今回、新たに公開されたキービジュアルは背景や構図などは同じながら、セフィロスの左右にいるのはティファとエアリスになっている。
これは何を意味しているのか。今回のインタビューにはそのヒントと深読みできる発言も……。
北瀬佳範氏(きたせ よしのり)
株式会社スクウェア・エニックス 第一開発事業本部長
『FINAL FANTASY VII REBIRTH』 プロデューサー
1966年生まれ。アニメーションの制作会社を経て、スクウェア(当時)に入社。「FINAL FANTASY」シリーズには「V」から参加。「VI」では初のディレクターを務め、以降、多数のシリーズ作でディレクターやプロデューサーとして制作を統括する。
代表作FINAL FANTASY V~VIII、X、X-2、XIII、VII REMAKE 他
野村哲也氏(のむら てつや)
『FINAL FANTASY VII REBIRTH』 クリエイティブ・ディレクター。
1991年にスクウェア(当時)に入社。「FINAL FANTASY」シリーズには「V」から参加し、「VII」ではキャラクターデザインを担当する。また、ディズニーとの共演作品である「KINGDOM HEARTS」シリーズでもキャラクターデザインをはじめ、ゲームデザイン、ディレクターを担当するなど、数々の作品で中心的役割を担う。
『FINAL FANTASY VII REMAKE』ではディレクターとして参加。
代表作 FINAL FANTASY V~VIII、X、X-2、XIII、XV、VII REMAKE/FINAL FANTASY VIIシリーズ/KINGDOM HEARTSシリーズ/Parasite EVEシリーズ/すばらしきこのせかいシリーズ/DISSIDIA FINAL FANTASYシリーズ
浜口直樹氏(はまぐち なおき)
『FINAL FANTASY VII REBIRTH』 ディレクター
2003年にスクウェア・エニックスに入社し『FINAL FANTASY XII』の制作にプログラマーとして参加する。その後、「FINAL FANTASY XIII」シリーズ、スマホアプリ『MOBIUS FINAL FANTASY』など、数々の制作に携わる。
『FINAL FANTASY REMAKE』では、共同ディレクターとしてチームを牽引。
忘らるる都にいたるまでのロケーションは原作と異なる
――まず、『FFVII リバース』は“忘らるる都”までが描かれるとのことですが、原作『FFVII』で衝撃を与えた、あの悲劇のシーンまでが描かれるということでしょうか?
野村今作でどういう最後になるかはお答えできませんが、忘らるる都の最後までは描いています。
――おお……ついに……。
野村ただ、忘らるる都にいたるまでのロケーションは、原作と同じ順番ではない、ということはお伝えしておきます。
いくつかのロケーションは順番を入れ替えている部分があり、3作目に盛り込んでいるロケーションもありますので、『FFVII リバース』に登場しなかったからといってカットされた、ということではありません。
――3部作トータルでは原作のロケーションはすべては入っていると?
野村はい。3作毎に構想しているのではなく、初期段階で全体構想は出来ていたので、その段階から自分は削除なしの方針を伝えていました。順序が入れ替わったり、ボリュームの変更があったとしても削除は避けたいと。
――“忘らるる都”まで描く、ということもあってBlu-ray2枚組に?
野村それもひとつの理由ですね。2部作にするか3部作にするかの話し合いをしていた段階で、3部作にするなら2作目で忘らるる都までは描かないとダメだろう、という話はしていました。前作ですでに容量はギリギリだったので、2作目はそれ以上になるのは明白で、かなり早い段階から(Blu-ray2枚組になるのは)決まっていましたね。
――『FFVII』といえば、豊富なミニゲームも魅力のひとつですが、その多くが楽しめるゴールドソーサーも登場します。物語も遊びの部分もボリュームはすごいことになりそうですね。
浜口ゴールドソーサーだけでなく、ワールドマップのいろいろな場所にユニークな遊びや、特定の場所で遊べるクエスト専用のミニゲーム、あるいはあの世界で共通して広がっているミニゲームも存在していたり、寄り道ばかりしていると本編がまったく進まない、みたいなこともあると思います(笑)。発売日告知トレーラーでも確認できるように、『FFVII リメイク』に出ていたキャラクターたちも一部登場しますので、そのあたりも楽しみにしていてください。
野村大ボリュームに感じていただけたのは、今回のトレーラーは前作の『FFVII リメイク』をプレイされていない方でも楽しそうだなと感じていただけるよう、バラエティー感を意識して作ったからでしょうか。今作、次回作も含め、ストーリーの進行によって常設のミニゲームが増えて行く場合もあります。
北瀬本作は3部作の2作目、中間となる部分ですので、「前作をプレイしていないといけないんじゃないか?」、あるいは「3作目があるから物語が中途半端になるのでは?」などと不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。ただ、映画でも3部作、トリロジー作品がたくさんありますけど、2作目が名作になることも多いんですよね?(笑)。ですので、そこは心配しないでいただきたいですね。
2作目のいいところとしては、1作目でキャラクターのバックボーンがある程度描かれているぶん、ゲーム冒頭から物語を加速できるメリットがあるということです。
また、最後の3作目につながるような、印象的な形で終わりを迎えられる、というのも大きいかなと思います。先ほども『FFVII』で衝撃を与えたシーンというお話がありましたけど、そういう意味では3作目の期待に大きくつながるかたちになると思います。
『FFVII リバース』で前作からの謎が概ね判明!?
――前作『FFVII リメイク』をプレイしても、以前のインタビューでの発言もそうですが、今回の“リメイクプロジェクト”ではザックスの存在がキーになっているように思えます。そういった原作から変化している部分については、どう解釈すればいいのでしょうか。
野村『FFVII リバース』をプレイしていただければ、前作で気になった謎みたいなものは、ある程度、答えが明確になっていきます。ザックスは今回のリメイクプロジェクトに込めた謎のカギを握る人物ではありますので、そこはプレイして確かめてください。本線は原作に沿って進みますが、そこに併行する新たな謎があるという構成です。
北瀬細かくお話しするとネタバレになってしまうのですが、原作にあったお話の流れをなぞる、という部分では大きく変わりません。それがあったうえで「おや?」と思うような要素を入れている、というのは『FFVII リメイク』と同じですね。今回はある意味、それがより前面に出ているかと思います。
キャラの関係性がより重要になる『FFVIIリバース』ではバトルでの連携は必然の要素だった
――東京ゲームショウ2023に出典されるプレイアブルデモを先日触らせていただきましたが、本作のバトルは連携要素が大きな特徴になるのかなと感じました。今回のバトルの狙いやコンセプトを聞かせていただけますか?
浜口まずは、なぜ連携要素を入れたかという点からお話しすると、ミッドガルを出てから忘らるる都まで、ワールドマップを冒険しながらストーリーを描いていくということもあって、シナリオはキャラクターの関係性、絆みたいなものを大事に描いています。
――たしかに、原作でもキャラクターの関係性は重要な要素のひとつでした。
浜口ですので、最初にシナリオを受け取って読んだときに、バトルもシナリオや世界観に合わせたシステムにしたほうが納得感があると思い、連携要素を入れようと決めました。
では連携をどう組み込むかを考えたとき、バトルディレクターの遠藤(遠藤皓貴氏)のアイデアで「このゲームはアクションとコマンドバトルのATBを上手く融合させたバトルになっているので、連携も両方に入れよう」と。
連携アクションはアクションを突き詰めたい人向け
――だから“連携アクション”と“連携アビリティ”の両方があるのですね。
浜口連携アクションについては、ゲージなどのリソースを必要とせず、溜め攻撃を出したり敵を空中に打ち上げてコンボを決めたり、あるいはジャストガードをしたりと、アクションに寄った性能になっています。
一方で連携アビリティはATBゲージを消費することで使えるようにしていて、こちらはほかのアビリティ同様、アクションが得意でない方でも使いやすいコマンドRPGに寄った操作になっています。
――ということは、“連携アクション”のほうは、どちらかと言うとアクションが得意な人向けの要素に?
浜口そうですね。連携アクションは玄人向けの、テクニックを突き詰めて楽しむような人のために入れているものなので、同じ連携でも役割はけっこう違います。技によっては空中で出せるもの、地上に降りてから発動するものなど、いろいろなコンビネーションが楽しめるものになっています。
もちろん、連携アクションを前提にすると難度が上がりすぎてしまうので、活用すればより上手く戦えるけど、使わなくてもクリアーできるバランスになっていますのでご安心ください。ですので、連携アクションにまったく触れずにクリアーされる方もいらっしゃるかもしれません(笑)。
――同じコンビのキャラどうしでも、誰を操作しているかで連携アクションが違っていましたし、連携要素だけでもアクション数は相当なものになるのでは?
浜口メチャクチャたいへんです(苦笑)。最近のゲームはキャラクターの数を少なくして、そのぶんアクションをリッチにする傾向にあると思うんですけど、『FFVII リバース』ではそれに逆行してキャラクター数が多いうえにアクションも豊富なので、作るのがたいへんすぎて、いつもデザイナーから冷たい目線を向けられています(笑)。
――しかも連携アビリティは、その仲間とのパーティレベルが上がることで増えていくんすよね? パーティレベルというのはどのように上がっていくのでしょうか。
浜口パーティレベルは、メインストーリーの進行などで上昇していきます。具体的にはメインストーリーを進めてボスを倒したときなどですね。
あるいは、キャラクターと協力するサイドクエストをクリアーしたときなど、絆が深まるようなタイミングでもレベルアップします。
パーティレベルがアップするとキャラクターのスキルツリーが成長していき、そこから連携アクションや連携アビリティを解放できるようになっています。どれから解放するからはプレイヤーが自由に選択できます。
――ちなみに、『FFVII リメイク』の追加エピソードではユフィとソノンでも連携がありました。連携技の発動の形は『FFVII リバース』とは違いますが、連携の発動方法を変えたのには何か理由があるのでしょうか。
浜口ユフィとソノンの連携は、『FFVII リバース』を見据えての中で生まれたサンプルケースのひとつでした。
『FFVII リバース』ではもっと手軽に使えたほうがいいだろうと試行錯誤し、今回の形に落ち着いたという感じです。
一部のキャラクターは第3作でプレイアブルに
――先ほど、忘らるる都までのロケーションの入れ換えがあるとのことでしたが、パーティメンバーはどうでしょうか?
浜口物語上は全員登場するのですが、一部のキャラクターについてはプレイアブルではなく、『FFVII リメイク』のレッドXIIIのようにバトルでは操作できないキャラクターもいます。
野村今回は連携という要素が増えて、しかも操作可能なキャラクターも増えるので、組み合わせを考えるとけっこうな量になってしまいます。先ほど浜口も言いましたが、昨今のアクション要素のあるRPGでこれだけのパーティメンバーを操れるのはなかなかないと思うので、徐々に感覚を掴んでいただこうと。さらに言うと、仲間になるタイミングも関係しています。ストーリー後半の登場となると成長バランスもあるので。
――ああ、なるほど。後半のロケーションでパーティメンバーになっても育てづらいですよね。
浜口本編ではメインストーリーを進めるなかで、各キャラクターそれぞれの視点で描かれるエピソードがあります。そこでキャラクターを操作してもらい、操作や特徴に慣れてもらえればと思います。
――前作『FFVII リメイク』から続けて登場するクラウド、ティファ、エアリス、バレットの基本的な性能、固有アビリティなど特徴的な部分は変わっていない印象でしたが、このあたりの手触りは変わらず?
浜口そこは判断が難しかった部分ですね。今回は、基本的に前作を踏襲しつつバランスを整え、新しいアビリティなどを追加する形にとどめています。
――『FFVII リメイク』で強化した武器やマテリアなどはどうなるのでしょう? あらためて強化し直しに?
浜口前作のセーブデータがあると、ゲーム開始時に一部マテリアにボーナスを付与するといったことは予定しています。
本作は3部作ですが、同時に1本1本が独立したタイトルでもありますので、レベルを引き継ぐといったゲームバランスに大きく影響することはしない予定です。あくまでちょっとしたボーナス程度になると思ってください。
新しいマテリアがどんどん開発できるように。オート系のマテリアもより便利に
――今回のプレイアブル版では、“いかずち&かぜ”のような新たなマテリアも確認できました。
浜口詳細はまだお伝えできないのですが、ワールドマップを探索する目的のひとつとして、マテリアの開発というものが物語にも絡んできます。世界を冒険しながらいろいろなことをしていくと、新しいマテリアがどんどん開発できるようになっていくようなイメージです。
2属性を持っているマテリアは比較的オーソドックスなところで、今回ぜひ使っていただきたいなと思っているのはオート系のマテリアですね。
『FFVII リバース』ではAIがMPやATBを見て判断して、自動的にアビリティなどを使ってくれるようになるんです。連携アビリティや固有アクションを自動で使うようになるマテリアもあるので、操作していないキャラクターの動きもかなり変わってくると思います。
――仲間と協力して戦っている感じがより味わえるんですね?
浜口はい。特定のキャラクターだけを操作していると、ほかのキャラクターがATBゲージを溜めがちになっていましたが、今回は連携アビリティのために連携ゲージを管理する必要もありますので、そこをAIでカバーできるようにしています。マテリアの使いかた次第でどんどん賢くなりますよ。
広大なフィールドには探索要素も豊富に用意
――ジュノンエリアをはじめ、壮大で美しいフィールドはやはりワクワクしますね。
浜口今回、ジュノンエリアを遊んでいただきましたが、あれは本当にエリアのごく一部でしかないんです。
ジュノンエリアはミスリルマインを経由してグラスランドエリアにもつながっていますし、基本的に全世界がシームレスでつながっています。ひとつの広いワールドマップがあって、そこに街やダンジョンなどが内包されている、といった状態です。
各地にさまざまなコンテンツがあって、それに挑戦するかどうかは自由ですし、探索して行けば新しいキャラクターやコンテンツに出会える、といった設計になっています。
――探索の楽しみも豊富に用意されているんですね。
浜口物語を進めることで乗り物などが増えて探索範囲が広がり、どんどん世界が広がっていくような作りになっています。
『FFVII リバース』のレノも藤原啓治さんのボイス
――では、少し話題を変えて……今回、バレットの声優が小林正寛さんから船木まひとさんに変更されていますが、これはどういった理由なのでしょうか。
野村バレットを長年演じてくださった小林正寛さんですが、ご本人の都合でこの業界から離れられてしまったのが理由ですね。
非常に残念ではあるのですが、新しくバレットを演じていただいている船木まひとさんも、しっかりとバレット像を引き継いで演じてくださっています。実際、『FFVII リバース』のトレーラーは船木さんの声になっているんですけど、ほとんどの人が気づいていませんでしたからね。
――確かに違和感がなくて、資料で確認するまではまったく気づきませんでした。あと、レノ役の藤原啓治さんが2020年に亡くなられたのは残念でした……。レノといったら藤原さん、というくらいイメージがピッタリでしたし。レノは今後、どなたが担当を?
野村自分の強い意向もあって、『FFVII リバース』もレノは藤原さんの声でいかせていただいています。
――なんと! それはうれしい……。
野村物語的には、ちょうどレノが負傷してイリーナが代わりに登場する状況でもあったので、イリーナとレノの出番を調整してもらい、レノは極力いままでに録った声で構成するように調整してもらいました。第3作目は登場シーンも多いので、新たな方にお願いすることになるとは思いますが……。
今回はボイスの収録タイミングが藤原さんの訃報からまだ間もない時期だったのもあって、自分自身、気持ちの切り換えができなかったんです。海外含めファンの方には申し訳なく思っていますが、このような形を取らせていただきました。
まだまだ公開していない要素やキャラクターも
――プレイアブルが出展され、発売日も2024年2月29日と発表されました。最後に、発売に向けてひと言ずついただけますか?
浜口前作のようなシナリオを重視したゲーム体験は、今作でも前作以上のボリュームとクオリティで作り上げています。加えて、今作ではワールドマップに多彩なコンテンツが散りばめられているので、いったんメインストーリーは休憩してもいいや、みたいな遊びかたもできるようになっています。
そういう意味で、前作のようにストーリーを追いかけていくというよりは、自分で選んでストーリーを進めていくような遊びかたができる、前作とはまったく違うゲーム体験をしていただけると思います。ぜひプレイしていただきたいです。
北瀬本作は3部作のなかの2作目ということで、前作を遊んでいただいたファンの皆様にとっても非常に気になるところがあると思います。作中で前作のおさらないなどもできますので、新規の方もひとつの独立したタイトルとして楽しんでいただけます。
前作をプレイしたかどうかに関わらず、ご期待いただける作品になっていますので、ぜひプレイしていただければと思います。
野村今回発表したトレーラーで、こんな要素もあるんだ、といった部分と世界の広がりを感じていただけたかと思います。
まだまだ気になることもあると思いますが、公開していない情報や紹介していないキャラクターがたくさんいますので、そのあたりも併せて、今後の続報を楽しみにしていただければと思います。ぜひ期待してお待ちください。
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