良質な人間ドラマが心に刺さる
2013年(平成25年)6月20日は、日本でプレイステーション3用『The Last of Us(ザ・ラスト・オブ・アス)』が発売された日。なお、北米では1週間ほど早い2013年6月14日に発売されている。
『The Last of Us』は、ソニー・コンピュータエンタテインメント(当時)から発売されたサバイバルホラーのアクションアドベンチャーゲーム。開発は『クラッシュ・バンディクー』シリーズや『アンチャーテッド』シリーズなどで知られるノーティードッグが手掛けている。全世界で200以上のゲームアワードを受賞し、当時は歴代最多の記録を更新して大きな話題となっていたので覚えている人も多いだろう。
本作をもとにしたドラマ版が制作され、2023年1月から配信・放送がスタート。またたく間に大絶賛されてアメリカでは、ちょっとした社会現象級の大旋風を巻き起こしている。日本ではU-NEXTが配信。ゲームと同じ声優陣が吹き替えを担当して注目を浴びたので、すでに視聴済みという人も多いんじゃないだろうか。
『ラスアス』最大の見どころは、そのままドラマとして通用するほどの良質なストーリー。世界の終末を描いた物語は当時のゲームファンからも高い評価を得ていた。舞台となるのは謎の寄生菌によるパンデミックの発生で、いたるところに凶暴化した感染者(インフェクテッド)が徘徊する世界となってしまったアメリカ。
運び屋を生業とする主人公のジョエルが、14歳の少女エリーを軍の検疫区域から連れ出す仕事を請け負ったことから運命の歯車が動き出す。軽い仕事のつもりで受けたはずだったが、やがてはアメリカを横断する過酷な旅へと発展していく……というのがあらすじだ。
何度も遭遇することになる絶望と恐怖の中でふたりの絆が徐々に育まれていくのだが、これに感情を大きく揺さぶられるプレイヤーが続出。題材は言わば“ゾンビもの”で非常にありふれたものだというのに、丁寧に描かれた人間ドラマは多くの人の心に刺さる作品となった。
美麗なグラフィックも見事と言うほかない。数あるフォトリアル作品の中でも最高峰の出来栄えで、美しい景色にはただただため息が漏れるばかり。「プレイステーション3でここまでできるのか」と驚愕した人は大勢いたんじゃないかな。人物の表現もこの上なくリアルなので、残酷な描写に思わず目を背けてしまったり、悪党どもの心の醜さに本気で嫌悪感を抱いてしまったりもしたんじゃないだろうか。
もちろんクリーチャーと化した感染者たちのホラー表現も凄まじいものがあった。彼らは音に敏感なため、音を立てないように行動するステルス要素があるのだが、これが途轍もない緊張感。気づかれると徒党を組んで襲われることになるので恐ろしいのなんの。薄暗がりの中でプレイヤーが聞き耳を立てて敵の位置を把握するシステムもなかなかユニークだった。
本編とは別にマルチプレイモードも用意されていて、ファイアフライかハンターのいずれかの勢力に分かれて対戦することもできた。こちらの評価も高かったため、2022年6月に開発中であることが明かされた新作マルチプレイゲームの続報を多くのファンたちがいまかいまかと待ち続けている状況だ。
2014年8月21日には、プレイステーション4用にビジュアル面を強化した『The Last of Us Remasterd』が発売。PS3でも驚くほど美しかったビジュアルがさらにクオリティーアップしていたので地味に衝撃的。2020年6月19日には、世界中で論争が起きた続編『The Last of Us Part II』が発売された。あまりの衝撃展開ゆえに、ユーザーの意見が真っ二つに分かれるのも頷けてしまう名作だ。
そして現在、本作のフルリメイク作品である『The Last of Us Part I』が登場。2022年9月2日にはプレイステーション5版が、2023年3月29日にはPC版(Steam、Epic Games)がそれぞれ発売されている。
シングルプレイ用ゲーム本編に加え、エリーとその親友ライリーの人生を変えた出来事に迫る前日譚『Left Behind -残されたもの-』も収録されているので要チェック。もしもシリーズ未体験であるならば、この機会に『Part I』と『Part II』をまとめて遊ぶのがおすすめだ。
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