2023年9月19日にNEOWIZがプレイステーション5(PS5)、プレイステーション4(PS4)、Xbox Series X 、Xbox One、Steamで発売予定の『Lies of P』。世界的な童話“ピノッキオの冒険”を原作にしているソウルライクのアクションゲームだ。

 2023年6月9日より各プラットフォームで体験版の配信がスタート。ひと足先にプレイできたのでレビューをお届けする。

『Lies of P』レビュー。カスタムで作れる武器は無限大(?)。人形ピノッキオの葛藤を描いた新たな形のソウルライク
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荒廃した世界観で作りこまれた世界

 『Lies of P』の舞台は崩壊した都市クラット。時代は19世紀後半から20世紀初頭。退廃的というか、世界観はかなり暗い印象を受ける。

 ソウルライクと言えば、中世風な建物や崩れかかっているような街並み、暗い雰囲気というような印象がある。この荒廃した世界では何が待っているのか、非常に楽しみだ。

 プレイヤーが最初に見ることになるのは、主人公の人形・ピノッキオが目覚めるとある駅。

 椅子が転がっていたり紙が散乱していたりなど、荒れた様子から明らかに何らかの事件が起きたのだと思わざるを得ない。それと同時に「ソウルライクと言えばこの不気味さだ」とぞくぞくしつつ進めていく。

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 操作方法はソウルライクゲームのプレイ経験がある人にはおなじみ。初プレイでもそれほど戸惑うことなく始められる印象だ。ソウルライクゲームは高難度だが、操作方法自体はシンプルなので、覚えるのは難しくないだろう。

 途中で初期に使える武器を入手可能で、そこでは“バスタードの道:機敏さ”を選択した。選ばなかった武器はその後に入手する機会があったので、好きな武器で始められる。

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 雰囲気や操作方法を簡単に確認しつつ進んでいくと扉にたどり着く。ゲームが始まった場所は電車の車両だったようで、扉の先は駅のホームとなっていた。

 車両のビジュアルだけでも演出は十分だったが、そこより広い駅の中に出たことで、改めて重い世界観が染み入っていくようだった。

 電車の中はあくまで一部。これから巡る場所がどこもこのような暗い雰囲気が漂っているのかと思うと、この先が楽しみだ。

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 そんな中で気になったのが、部屋にかけられている絵や時刻表などのオブジェクト。

 こういったアクションゲームでは、どこに重要なものがあるかわからないので、プレイ中は慎重に周りを見渡しながら進めていくものだが、すべてをしっかり見ているというわけでもないと思う。

 ふだんは何となく視界に入ってくるだけだが、『Lies of P』では妙に気になってしまう。同じように見えるオブジェクトも、ひとつひとつに異なるしわがついていたり血が付着していたりなど、丁寧な作りこみを感じた。

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 それはオブジェクトだけではなく、フィールド全体にも言える。現実の街並みでも、何十軒も同じような建物が並んでいることはまずない。似たような場所に見えても少しずつ異なり、そこから奥行きが生まれている。

 もちろん、ただ違う建物やオブジェクトが並んでいるわけではない。

 マップとしては入り組むところは入り組んで、一本道のところは一本道。そんな風に、どちらかに偏りすぎないように作られていた。

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 建物自体は違っても、似たような景色が並んでいるので、現在位置が分からなくなることもざらにある。だがそれが探索の醍醐味。ずっと一本道のマップより、はるかに探索を楽しめる。

 はしごや階段があれば昇降移動できるんだなとわかるが、中には飛び降りることで進めるようになるルートも存在。

 これらが組み合わさって、同じマップでも異なるルートで攻略することができるのも探索に奥深さを与えている。

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正解のないカスタムで生まれる戦闘の自由度

 作りこまれた街並みを見ながら探索を進めるのもいいが、当然といえば当然のことで、マップには敵が存在しており、戦う場面も多い。

 ソウルライクということで、戦闘自体の難度は高め。ゲーム開始時では、どこにでもいるような普通の敵でも、4、5回も攻撃を受ければ瀕死、もしくはやられてしまうくらいの能力になっている。

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 戦闘で使用するのは武器とリージョンアームのふたつ。この組み合わせで戦闘スタイルが左右される。

 武器は“刃”と“柄”で構成されており、ふたつを組み合わせることで始めて武器として使用可能。“刃”は武器の攻撃力などの性能、“柄”は攻撃モーションに大きな影響を与える。

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 筆者がメインで使用していたのは突きモーションの武器。刃を大振りな攻撃モーションの柄に付け替えれば、威力はそのままに、攻撃範囲が広くなる。

 この仕様には頭を悩まされた(=おもしろかった)。刃と柄の組み合わせは自由。リーチが長い刃と攻撃モーションが小さい柄を組み合わせて、完全にいいとこ取りな武器も作れるということにほかならない。

 今回のプレイで確認できた武器は数種類だけだったが、それだけでもさまざまな組み合わせを試すことができた。

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 例に挙げたような、長リーチ&モーション小の武器をひとつ持っていればいいように思えるが、そういうわけにもいかない。固いオブジェクト(建物など)に攻撃が当たると弾かれてしまうからだ。

 リーチが長いと広いところでは強力だが、狭いところでは満足に振り回せず、敵を攻撃できないデメリットにつながってしまう。

 狭いところでは弾かれないようにリーチが短い武器を使うか、いっそのこと突きに特化して戦ったほうがいい場合もある。正解こそないが状況に応じたカスタムが重要になってくるというわけだ。

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 実際にカスタムした武器を使ってみると、まったく違う戦いかたができることがわかる。

 ちなみに、武器は2種類装備して、ボタンひとつで切り替える可能。

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 戦闘に影響するもうひとつの要素“リージョンアーム”は、プレイヤーの左腕に装着される義手のこと。つまり、左腕の動きを決めるものという認識だ。専用のゲージを使用して攻撃やサポートを行える。

 確認できたものは、一定時間溜めてからくり出す強力なパンチ、離れた敵を引き寄せるワイヤー、目の前に発生させる電気攻撃など。当然、威力も攻撃範囲も使い道も異なる。

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 その中でも、ワイヤーで敵を引き寄せられるリージョンアームはかなり使い勝手がいい。

 本作は敵の攻撃が全体的に強力だ。できるだけ1対1の対等な状況で戦いたいことが多いので、攻撃範囲内に強制的に敵を引き寄せられるというだけで先手を取りやすい。

 2体の敵がいる場合でも、片方を引き寄せて気づかれないうちに倒してしまえば、その後1対1にも持ち込める。

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 だからと言って、ほかのリージョンアームが使いにくいということではない。

 ボスなどには強力なパンチをダメージソースにした方がいいし、さらに言うと敵の多くは電撃が弱点。弱点攻撃できるリージョンアームも非常に役に立つ。

 つまり、武器もリージョンアームもこれが最強というものはなく、“こっちのほうが使いやすい”状況があるという範囲で収まっている。いろいろと試してみながら自分や状況にあったカスタムを試して欲しい。

 ちなみに、今回のプレイで発見できなかっただけかもしれないが、敵の攻撃を防ぐような盾は見つからなかった。ガードはあるが、武器で行うからかダメージはゼロにできず軽減に留まっているので、攻撃を受けないような立ち回りが要求される。

組み合わせを試しにボス戦へ

 ゲームのシステムを試してみたが、百聞は一見に如かずというか試してみないとどうにも満足できない。

 マップの作りこみや武器の組み合わせだけで満足できるわけもなく、やっぱりマップを攻略してボスを倒したいという気持ちがあるので、ボス戦へ。

『Lies of P』レビュー。カスタムで作れる武器は無限大(?)。人形ピノッキオの葛藤を描いた新たな形のソウルライク
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 言うまでもなくボスは強力な攻撃や豊富な攻撃パターンでプレイヤーを苦しめてくる。それは本作も同じ。その姿は主人公よりはるかに大きく、攻撃範囲も広く、予想通りというか初見では勝てず。

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 それでも、武器やリージョンアームを選んで、ボスに対しての自分なりのベストの組み合わせを考えたり、ボスの攻撃モーションを覚えるために何度も敗北をくり返しながら、徐々に勝利に近づけていく。

 ときには敵を倒したときに入手できる“エルゴ”を使って主人公を強化し、ときには違うパターンの立ち回りを試し、やれることは全部やる。何度も跳ね返されながらも、最終的にボスを攻略できたときの達成感は忘れられない。

 ゲームがうまい人なら一切強化しなくても勝てるのかもしれないが、多くの人はそうではない。いろいろ試して、知恵を振り絞って、ようやく勝てたときのうれしさは何物にも代えがたい。

『Lies of P』レビュー。カスタムで作れる武器は無限大(?)。人形ピノッキオの葛藤を描いた新たな形のソウルライク
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 それでも勝てないときは、ボス戦でNPCの助っ人を召喚していっしょに戦ってもらうこともできる。その場合は難易度がかなり緩和されるので、自分にあった方法で楽しんでほしい。

『Lies of P』レビュー。カスタムで作れる武器は無限大(?)。人形ピノッキオの葛藤を描いた新たな形のソウルライク
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 今回プレイできたのは、ほんの一部だが、それだけでも『Lies of P』というゲームがソウルライクでありながら、独自の進化を遂げていることがわかった。

 とくに気に入ったのは刃と柄の組み合わせによる武器カスタム。製品版ではどのような組み合わせができるのか楽しみだ。もちろん、そのときには組み合わせだけで満足するのではなく、ボスを倒して最高の達成感を味わいたい。

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