プレイステーション4、Nintendo Switch、PCで発売中の『ロックマンエグゼ アドバンスドコレクション』。2001年よりゲームボーイアドバンス用ソフトとしてシリーズ展開された『ロックマンエグゼ』シリーズのナンバリング10作品を収録し、さらに数々の新要素も追加されているファン必携のソフトだ。

 本稿では、『ロックマンエグゼ』シリーズオリジナルスタッフのひとりである江口正和氏(江口名人)へのインタビューを掲載。この作品に込められた思いの丈を、存分に語っていただいた。

※本記事は週刊ファミ通2023年4月27日号に掲載したインタビュー記事を増補改訂したものです。

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『ロックマンエグゼ アドバンスドコレクション』江口Dインタビュー。20年以上も続くファンとの絆――作品に込められた想いを、“江口名人”が熱く語る!

江口正和氏(えぐち まさかず)

『ロックマンエグゼ アドバンスドコレクション』ディレクター。オリジナル『ロックマンエグゼ』シリーズではシナリオを担当。『ロックマン11 運命の歯車!!』や『流星のロックマン』シリーズ、『ロックマンDASH』シリーズなど多くのロックマンタイトルに参加している。

多くの『ロックマンエグゼ』ファンが待ち望んでいた“復活”

――まずは、江口名人ご自身についてお聞かせください。

江口どうも、江口正和です。『ロックマンエグゼ アドバンスドコレクション』のディレクターを担当しております。過去に、『ロックマンエグゼ』シリーズを始めとしたさまざまな『ロックマン』シリーズに関わっていました。

 『ロックマンエグゼ』では、ゲーム中でも江口名人というキャラクターとして登場していまして、リアルイベントなどでも江口名人特有のコスチュームを着て参加させていただいていました。

――なぜ江口“名人”なのでしょうか?

江口初登場時はいろいろなことを知っているという設定のキャラクターで、名称も江口博士だったんですよ。しかし、少年の心をつかむには、強くあるべきだということで、ネットバトルの名人という設定で江口名人になりました。

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名人

――ちなみに名人という呼称は、1980年代の名人ブームを意識していたりしますか?

江口それは……否定できないですね(笑)。ゲームで強いとなると、やはり名人というイメージがあるじゃないですか。僕が小さい頃は高橋名人などが人気で、まさに名人世代でしたので、個人的にはとても胸熱な名前をいただけたなと。

――『ロックマンエグゼ アドバンスドコレクション』がついに発売日を迎えます。いまのお気持ちをお聞かせください。

江口とても思い入れの強い作品ですので、やはりうれしい気持ちでいっぱいですね。こうして20年以上経過したいまでも多くの反響をいただき、ありがたい限りです。ファンの中には現在もゲームボーイアドバンス版で遊ばれている方もいらっしゃって、新たなバグが発見されたりという珍事もあって(笑)。

――そんなことが(笑)。

江口今回の発表ではいろいろなお声をいただきましたが、いまも本当に愛されている作品なのだなと改めて思いました。また、そういった声の後押しがあったからこそ本作を世に出すことができたのだとも思いますし、とにかく感謝ですね。

――今回の企画は、いつ頃立ち上がったのですか?

江口およそ2年ほど前ですね。タイミング的には、『ロックマンエグゼ』シリーズ20周年や、『ロックマン』シリーズ35周年など、さまざまな周年が重なってはいたのですが、それらを意識して立ち上げたわけではないんですよ。

 理由としては、『ロックマンエグゼ』の移植やリメイク要望の声がカプコンにもたくさん届いていたというのがまずひとつ。ふたつめは、これも大きいのですが、社内の非開発部門からの後押しが非常に強かったんです。それらを受けて、企画が動き出したという流れですね。

――なるほど。発表時には、SNSなどでもかなり話題になっていた印象です。

江口さすがに反響が大きかったですね。基本的には「ありがとう!」という声が多かったのですが、「通信対戦はどうなるんだ!」といった意見もたくさん見られて。発表時には通信対戦に関する情報は出していなかったので、通信対戦を望む方がこんなにもいるのだなと驚きました。

 ユーザーさんからの声はもちろんなのですが、当時『ロックマンエグゼ』に関わったスタッフたちからも「おめでとう」と連絡が来まして。さながら同窓会のような雰囲気になりました。

――2001年に第1作が出てから、今年で22年目になります。改めて『ロックマンエグゼ』のコンセプトや魅力についてお聞かせください。

江口22年前の世界からすると、まさに現代がそれに近い世界観なのですが(苦笑)、ネットワーク技術がとても発達した近未来の世界が舞台のゲームになっています。あらゆる電子機器がネットワークに接続されていて、それによって世界が制御されていると。

 人々はPET(Personal Terminalの略)と言われる携帯端末……現代でいうとスマートフォンにあたるものを持っていて、その中にあるネットナビという疑似人格プログラムが、人間のパートナーとして生活を便利にしてくれています。

 そんな世界に住む、主人公の光 熱斗(ひかり ねっと)と、彼のネットナビであるロックマンが、さまざまな事件に巻き込まれ、やがては世界の危機を救うような流れに発展していくストーリーになっています。

『ロックマンエグゼ アドバンスドコレクション』江口Dインタビュー。20年以上も続くファンとの絆――作品に込められた想いを、“江口名人”が熱く語る!
光 熱斗
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ロックマン

――ネットワークが軸になった世界観なのですね。システムのほうはどうでしょうか。

江口ジャンルとしては、“データアクションRPG”をうたっています。アクションゲームとカードゲームを融合させたような戦闘システムが特徴ですね。敵味方それぞれに3×3のマス目で構成された陣地があり、その限られた範囲の中でロックマンを動かして戦うことになります。

『ロックマンエグゼ アドバンスドコレクション』江口Dインタビュー。20年以上も続くファンとの絆――作品に込められた想いを、“江口名人”が熱く語る!
『ロックマンエグゼ アドバンスドコレクション』江口Dインタビュー。20年以上も続くファンとの絆――作品に込められた想いを、“江口名人”が熱く語る!

江口ロックマンはバトルチップと言われるスキルのようなものを使うことができて、広範囲に攻撃したり、回復したりといったことが可能です。ただ、使えるバトルチップはカードゲームように自分のターン開始時にランダムで選択されるので、バトルチップをどのような構成(デッキ)にするかが重要になります。

――このゲームが発売された当時から、現代はインターネットやAIなどの技術が大きく発展していますが、何か感じられる部分などはありますか?

江口例えばプログラムとコミュニケーションを取りながら、何か作業をしてもらうといった仕組みは、『ロックマンエグゼ』でロックマンに頼んで何かしてもらう……ということに近しく、通ずる部分があるなと思いました。

 ただ、コミュニケーションを取るといっても、人間側がやや一方的な感じもするので、これからプログラムが発展して、より人間的な受け答えや動作が可能になったらおもしろいですし、もっと『ロックマンエグゼ』の世界に近くなっていくような、そんな感じがしますね。

過去と現在とをつなげる『ロックマンエグゼ』シリーズ

――ゲームボーイアドバンス時代とは、現行ハードの性能も含めて環境が大きく変わっていると思いますが、復刻にあたって何か苦労された点はありますか?

江口ゲームをそのまま、何も変えずに移植するだけであれば、そんなに難しいことではないんですよ。やはりいろいろと問題点が出てくるのは、通信機能に関してですね。昔といまとでは仕様が全然違いますし、基本的に移植作品ではありますが、通信に関しては新規で開発を行っています。

 昔はゲーム機に通信ケーブルを挿して行っていたものですから、当然通信相手とは手が届く範囲にいて、何か問題が起こったとしても当人たちで解決ができたわけです。例えば、間違えて貴重なチップをトレードで出してしまったなんてときも、すぐに相手に伝えれば返してもらえますよね。しかし、オンラインでは相手との距離が遠くなりますし、昔は考えなくてもよかったさまざまな問題への対策も講じなくてはなりません。

――確かに、オフラインとオンラインの差は大きいでしょうね。

江口そうですね。現代ではオンライン周りの対策はやって当然ではあるのですが、『ロックマンエグゼ』当時から考えると、時代の流れというものを感じました。

――オンライン機能を使って、ユーザーにどのように楽しんでもらいたいですか?

江口当時は、いわゆる近所の友人や知り合いというコミュニティだったと思うのですが、今回はオンラインでも遊べますから、コミュニティ自体が比較にならないほど大きくなっています。それこそ全国はもちろん、世界中がコミュニティになれる土壌がありますので、それを活用してバトルネットワークの輪を広げていっていただきたいですね。

 また、本作ではルームコードを発行して、プライベートでの通信を楽しめる機能が備わっています。それをSNSなどで公表して、「対戦者求む!」みたいな遊びかたもできると思います。もしくは人を集めて、大会的なものを開いていただいたりしたら、より盛り上がれるんじゃないかと。

――原作とは画面の大きさや画面比率、解像度などが現行ハードと大きく違いますが、そういった部分で何か工夫はありましたか?

江口画面比率も解像度も全然違いますから、その辺の対応はしっかりとやらせていただいていますし、設定なども細かくできるようにしています。あと、元はドット絵での作品でしたので、当時の良さを再現すると同時に、大画面に映しても滑らかに見えるように、フィルター機能を導入しています。違和感なく、ソフトな表現で見えるようになっていると思います。

『ロックマンエグゼ アドバンスドコレクション』江口Dインタビュー。20年以上も続くファンとの絆――作品に込められた想いを、“江口名人”が熱く語る!
フィルター機能オフ
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フィルター機能オン

――現代に合わせてなめらかにするだけでなく当時のドット絵も残すと。その辺はクラシックゲームの移植において、とても大事なところですよね。

江口それはもう。やはり元のドット絵が見たいというユーザーさんもいらっしゃるので、フィルター機能にもオンオフを付けたりと、注意を払っている部分ですね。

――サウンド面のお話もお聞きしたいです。『ロックマンエグゼ』シリーズで、とくにお気に入りの楽曲はどの作品のどんな曲でしょうか?

江口それはなかなか難しいですね(笑)。『ロックマンエグゼ』の楽曲はどれもメロディーがとてもキャッチーで、いろいろな表情を見せてくれるものになっていると思います。ですからどれが、と聞かれると悩んでしまうのですが、あえて挙げるなら第1作のタイトルBGMでしょうか。

――タイトルで流れるBGMということですね。それはどうしてでしょうか?

江口何というか、とても『ロックマン』ぽいんですよね。カッコよさの中に哀愁も漂うというか。わびさびみたいなものも感じられて、凄くいいんですよ。『ロックマンエグゼ』は、『ロックマンDASH』を担当したスタッフが多く参加しているのですが、そういった意味ではしっかりと『ロックマン』の血が受け継がれているのかなと。

 あとは、シリーズ通してなのですが、主人公のホームタウンである秋原町の曲が好きですね。ゲーム中はほかの町や電脳世界に行くことになるのですが、この曲を聴くと「ああ、帰ってきたな」と安心できるんですよ。

――それはわかります! 激戦を終え、帰ってきたときの安心感は心地よいですよね。

江口ほっとしますよね。ちなみに、本作のタイトルBGM(※各タイトル部分ではなく、総合タイトルで流れるBGM)ですが、Vol.1は第1作、Vol.2は第4作のタイトルBGMのアレンジバージョンになっているんですよ。これがもうメチャメチャカッコいいので、じっくり聴いて欲しいですね。また、クレジットで流れる楽曲も、シリーズ楽曲のさまざまなエッセンスを取り込みつつ作られているものなので、こちらにも注目してみてください。

――サウンドにもかなりお楽しみ要素がありそうですね。話は変わりますが、本作の追加要素として“バスターMAXモード”が発表されています。これはどんな経緯で導入することになったのでしょうか。

江口20年前と比較すると、いまのゲームユーザーさんはいろいろと忙しくて、まとまった時間を作りにくくなっていると思うんですよ。そのため、本作はサクサクとプレイしてもいいんじゃないかなと思っています。シナリオは一気に済ませて早く通信対戦を楽しみたいという人は当然いるでしょうし、逆にじっくり時間をかけてプレイしたい人もいるでしょう。

 ですから、個々のユーザーさんたちの好みのスピードで、ゲームを楽しんでもらいたいなと考えたわけです。何しろ10本もゲームが収録されていますから、開発側としては最初から最後まで隅々遊ばせることを強要したくはないんです。バスターMAXモードも、同じく本作で収録している“改造カード”もとくにプレイ進行度などの制限は設けておらず、最初からフルオープンで利用できます。これらを使っても使わなくても、好きなペースで好きなように遊んでもらえればと。

『ロックマンエグゼ アドバンスドコレクション』江口Dインタビュー。20年以上も続くファンとの絆――作品に込められた想いを、“江口名人”が熱く語る!
バスターMAXモードは自由にオンオフができる。
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改造カード

――なるほど。しかし、バスターMAXモードの100倍は思い切った仕様ですね。

江口僕自身は極端な数値だとは思っていないんですよ。ほとんどの敵を1発で倒せるようにしたいという、単純な理由から100倍にしています。

 また、これらの要素を入れたもうひとつの理由として、いわゆるイージーモードを入れたくなかったというのがあります。ユーザーさんの中で、ここは自分の力だけでやりたい、あるいはこのボスは本来の能力のものと戦いたいとか、さまざまな好みや譲れない部分があると思うんです。ですから、単純に難易度を下げてしまうのではなく、“自分が使いたいタイミングでだけ機能する”要素にしたかったんですよ。

――確かに。イージーモードにすると、通常バトルはもちろん、ゲーム全体のプレイ感も変わってしまいますからね。

江口何といいますか、イージーモードはネットバトラーとしてのプライドが許さないんですよ(笑)。プレイヤーとしてのプライドを大事にしたかった。

――そんな本作にはナンバリング6作品、計10タイトルが収録されています。各タイトルの魅力についてお聞かせください。

江口最初は第1作『エグゼ』ですね。システムも含めてここがゲームの始まりというタイトルです。ここから最終作まで、どう進化していくかの起点として見ていただけるとおもしろいんじゃないかなと。ストーリー的な面でも基礎になっているので、まずは第1作の『エグゼ』を遊んで、どういった世界観で、どういった人物が出てくるのかを楽しんで欲しいですね。

――第2作の『エグゼ2』はいかがでしょうか。

江口『エグゼ2』は“スタイルチェンジ”システムという、ロックマンの変身システムが導入されていて、バトルの戦略に深みが生まれています。どのスタイルで戦うかはプレイヤー次第なので自由度も増していますね。

――なるほど。続く『エグゼ3』からは、2バージョンの発売になりましたね。

江口『エグゼ3』~『エグゼ6』まで2バージョンが存在しますので、それぞれの違いなども楽しんで欲しい部分ですね。『エグゼ3』の特徴としては、“ナビカスタマイザー”というシステムが導入されている点です。ロックマンにさまざまなプログラムを組み込んで、自分好みのカスタマイズができます。プログラム構築はパズルのようになっているのですが、定められたルールを破るとバグが発生し、ロックマンの行動がおかしくなったりします。

――ロックマンにバグですか?

江口はい。まさにプログラムそのものを遊びにしたような要素になっており、それによってバトルの戦略にも大きく影響してきますので、なかなかの悩みどころであり、楽しめるポイントかなと。

――そして『エグゼ4』からも新システムが導入されていますね。

江口『エグゼ4』の新システムは、“ソウルユニゾン”です。これは、バトルを行った相手のソウルが共鳴することで、相手が持つ力をロックマンの身に宿せるというものですね。『エグゼ2』のスタイルチェンジは、いったんスタイルを変えたらバトル中は変更できないのですが、ソウルユニゾンは変更可能なので、状況に合わせた戦略が必要になってきます。

 また、“ダークチップ”という要素もあります。絶対に使ってはいけないと言われる闇のチップで、使うとめちゃめちゃ強いチップなんですが、徐々にロックマンの心が悪に染まっていきます。具体的にはダークチップを使うごとに最大HPが減少したり、ロックマンにバグが発生したりします。

――強力な反面、デメリットも存在すると。

江口デメリットはあるけど、もの凄く強い。そしてそれを使うか否かはプレイヤーの判断に委ねられます。悪の力の甘いささやきに乗るか乗らないかが試されるわけです。

――うまく使えればとも思いますが、難しそうですね。続く『エグゼ5』ではどうなるのでしょうか。

江口『エグゼ5』はインターネットが敵組織に乗っ取られてしまうストーリーになっていて、それを解放していく“リベレートミッション”が導入されています。プレイヤーは仲間のナビたちと協力して占領されたインターネットのエリアをリベレート(解放)していくわけです。

 また、『エグゼ5』には『チーム オブ ブルース』、『チーム オブ カーネル』というバージョン違いを示すサブタイトルが付いている通り、チームを組んで戦うのがキモになっています。過去作に登場した人物やナビと組むこともあり、そこで生まれるドラマにも注目ですね。

――過去作品の登場人物との共闘は熱いですね。そして、ラストはナンバリング最終作の『エグゼ6』。

江口電脳獣グレイガ』、『電脳獣ファルザー』とタイトルにもある、封印されていた“電脳獣”が復活し、ロックマンの体に宿ってしまうというストーリーです。

――名前からしてとんでもなさそうな……。

江口実体としては、電脳獣は恐ろしく強いプログラムなんですよ。それを解放することで、ロックマンが“獣化”して獣の姿になり、一時的に凄まじい力を得られます。

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 さらに、新たな変身システムとして“クロスシステム”もあります。ソウルユニゾンと同様、バトル中に形態を切り替えて戦えるのですが、先ほどの獣化と重ね合わせることで“クロスビースト”が使用できます。クロスシステムと獣化の効果を併せ持つので非常に強力です。これらのシステムがあるためか、通信対戦では『エグゼ6』の完成度がもっとも高いと言われていました。

――おお。最終作にふさわしい完成度だったと。

江口高く評価してくださるユーザーさんがとても多かったですね。ストーリーも最終章ということで盛り上がりますし、ぜひ注目していただきたいです。

――江口名人にとっての『ロックマンエグゼ』シリーズとはどんな存在でしょうか?

江口もう名人を始めて20年以上が経ちます。シリーズ制作に初めて携わったのが21歳ごろですから、人生の半分が名人なんですよね(笑)。ですから、『ロックマンエグゼ』とともに成長してきたと言っても過言ではない。僕にとってはクリエイターの基礎になっているタイトルですし、名人としてユーザーさんと距離が近い関係でいられました。全部ひっくるめて、ファミリーのような感覚ですね。

 イベントなどでもユーザーさんとお話させていただくのですが、まるで親戚の集まりのようですよ。出会うなり、「よう、久しぶり!」みたいな(笑)。赤ちゃんを抱きかかえて「名人、子どもが生まれたんですよ」と報告してきてくださる方もいたりして。

 本作のキャッチフレーズに“いまでもボクらは、つながっている”がありますが、当時は“いつでもボクらは、つながっている”というフレーズでした。本当に“つながり”が強いタイトルなのだなと感じますね。

――『ロックマン』シリーズは、今後どのように展開していくのでしょうか?

江口もちろん個人的にはいろいろとチャレンジしたい気持ちはあるのですが……。いまお話できることはありません。まずは『アドバンスドコレクション』を遊んでもらって、さまざまなお声をいただければありがたいですね。

――最後に読者へメッセージをお願いします。

江口発表からたいへん長らくお待たせいたしましたが、ようやく皆さまのお手元へお届けできます。第1作の発売から約22年、あの頃の思い出とともにオンラインで新たなバトルネットワークを作っていただければと思います。ボリューム満点の内容になっていますので、本作を機にシリーズ初心者の方にも手に取ってもらえると嬉しいですね。