2022年11月6日から6週間にわたって、エレクトロニック・アーツのバトルロイヤル型FPS『Apex Legends』(エーペックスレジェンズ)の世界大会“ALGS Year3 Split1 Pro League”が開催された。激戦を極める中、Week3でとある若いチームがプレイオフへの進出を決めた。2022年5月に『Apex Legends』部門を立ち上げたばかりのプロeスポーツチーム・GHS Professionalだ。
躍進の秘密に迫るべく、GHS Proに所属するRaygh選手、きのこゲンジ選手、Karaaju選手のインタビューをお届け。結成からわずか半年で世界大会への出場を果たした3人に、チーム活動の近況や意気込みなどを語っていただいた。さらに、この3人が出演する大型オフラインイベント“e-elements DREAM MATCH”(2月23日開催)の注目ポイントなども訊いた。
Raygh
千葉県出身の23歳。小学生のころからFPSゲームをプレイしており、国内屈指の実力を誇る。
新チーム・GHS Professionalにおいては最年長でチームのIGL(インゲームリーダー)として年下組を引っ張っていくリーダー的存在。
競技シーン3年目の経験を武器に、若いふたりの力を得て、次期大会で世界を獲る。
(Raygh選手Twitter:https://twitter.com/Raygh_fps)
きのこゲンジ
北海道出身の17歳。3歳のころから父の影響でオンラインゲームを始める。
数々のオンラインゲームで最高レートを達成する偉業を成し遂げ10歳で『起動戦士ガンダムオンライン』のフランチェスカサーバー日本1位を獲得。
15歳で『Apex Legends』初の公式世界大会に招待されるものの、年齢制限で出場できずに悔しい思いをした。
そんな彼が満を辞して新チーム・GHS Professionalのメンバーとして新たなスタートを切る。FPSの申し子がいよいよ世界に挑戦する。
(きのこゲンジ選手Twitter:https://twitter.com/kinokogenji)
Karaaju
東京都出身の18歳。高校時代に初めて『Apex Legends』に触れ、本気でプロを目指し始める。プロのシューター界隈では遅すぎるスタートであるものの、血の滲むような努力でカバー。
見事に昨年プロの座を勝ち取った努力の天才は、新チーム・GHS Professionalとして新たなスタートを切る。
(Karaaju選手Twitter:https://twitter.com/Karxxju)
チーム結成から半年で世界大会へ。大会はガチ、イベントは楽しむことが一番
――2022年5月27日よりチームが始動して、大会やイベントなど多くの場所で活躍をしていらっしゃいますね。まずはチームとしての活動の手ごたえを教えてください。
Raygh始動してから半年ほどで、まさかもうこんな結果が出るとは思っていいなかったので、素直にうれしく思ってます。チーム全体としてはプレイに妥協せず、厳しいところは厳しく言うようにしていて、そこがみんなの成長にも繋がったかなと思います。
きのこゲンジこの半年で世界大会に行けたのは、すごく大きいことです。正直、自分でもびっくり。はっきり言って、いまは絶好調です。
ですけど、僕自身、初めての海外での世界大会なので不安もあります。ふだんとは空気感も違った会場でいつも通りパフォーマンスを出せるかどうか……。
Karaajuふたりが言ったように、半年で世界大会を決めたっていうのはすごくうれしいです。誇れることだと思っているので、この流れで世界大会でもしっかり結果を残したいです。
――結成してから半年で世界大会出場というのがやはり大きなポイントなのですね。どういう出会いがあって3人でチームを組むことになったのでしょうか。
Raygh最初の出会いは前に所属していたチームです。ただ、そのときはきのこ君が年齢の都合で大会には出られなかったので、GHSでやっと正式にチームになったという印象です。
――イベントもあって大会もあってとなると、かなりお忙しいかと思いますが、やはり大変ですか?
Raygh僕は楽しいですよ。たまにこのようなインタビューのお仕事が入るじゃないですか。こういうの、けっこう好きなんです。
きのこゲンジ僕もかなり楽しませてもらっています。
Karaaju僕は楽しむというより緊張のほうが大きいです。ふだんやらないことが多くて、まだ頭が慣れていない感じがします。
――なるほど。大会はもちろん、さまざまなイベントにもご参加されていますが、イベントはどういった点が楽しいですか?
Raygh今度のイベント(※)みたいなやつのことですよね。ふだんガチでやるときこの3人ですけど、バラバラになってほかのプロたちとチームを組むことが多いんです。結果にとらわれずに楽しめるのがいいところですね。もちろん勝ちたいんですけど。
※今度のイベント:2023年2月23日に実施されるe-elements DREAM MATCHのこと。
きのこゲンジイベントというと楽しむ場ではありますが、「プロとしての実力は見せなきゃな」というプレッシャーは感じます。ただ、いろいろな人と交流できる点はとても楽しいです。ふだん会えないような人たちと会えるのもオフラインイベントの魅力ですからね。
Karaaju僕はイベントは勝つことを忘れて楽しんでいます……いや、「勝ちたい」という想いはちょっとだけあります。ちょっとだけです(笑)。
――ちなみに、1月14日の“えぺまつり”も参加されていましたが、どうでしたか?
Karaajuチームメンバーはドラフト制なので当日に決まるんですね。そんなに勝ちにこだわらないようなチームだったんですけど、それが逆に功を制して、なんと1位を取ることができました。緊張がなく試合に臨めたのが優勝につながったのかと思います。
Raygh僕はリーダーでメンバーを選ぶ側だったのですが、本当に遊び半分で楽しめるメンバーを選びました。逆にそういうメンバーだからこそ、最後吹っ切れてプレイできて、最終試合で大量キルでチャンピオン、最終結果19位から3位になれたと思います。
――ものすごい巻き返し。きのこゲンジ選手はいかがでしたか?
きのこゲンジチームメイトのみなさんはとても元気で無限にしゃべってました。“えぺまつり”の名にぴったりなお祭り騒ぎでとても楽しかったです。ただ、ソロの部で初動死したのだけがとても悔しかったですね。
――それはそれは……。どんな気持ちでしたか?
きのこゲンジ無心です。
一同 (笑)
3人が語るDREAM MATCHの魅力は“オフライン”であること。きのこゲンジさんが組んでみたい人はラーメン つけ麺 ぼくイケメン
――では、今回2月23日にe-elements DREAM MATCHが開催されますが、本イベントで楽しみにされていることはありますか?
Rayghやっぱりふだん会えないような人たちと会えるのがとても楽しみですね。
きのこゲンジ僕は、ストリーマーとか配信者とか芸能人とか、とんでもなくすごい人たちと会えるのがすごく楽しみです。
Karaajuふだんオンラインで話しながらやるのとオフラインで実際に会って顔合わせてやるのは全然違うと思うし、ふだん会えないような人とオフラインで顔合わせていっしょにプレイできるのはすごい楽しみです。
――ちなみにこのイベント、ELLYさんと天月さんとMori Calliopeさんがライブをやられるとのこと。ふだんはどんな音楽を聴かれますか?
Raygh音楽はけっこう好きなんですよ。ふだんは洋楽をよく聴くんですけど、今回は生ライブじゃないですか。とても楽しみです。
きのこゲンジ空いた時間や暇なときに聴きます。でも、ヘッドホンやイヤホンでしか(音楽を)聴いたことがないんですよ。人生初の生ライブか……。すごい楽しみです。
Karaajuあんまり詳しくないんですけど、音楽を聴きながら遊ぶことはあります。自分の目の前でプロが歌うってどんな気持ちなんだろう。やっぱり気になりますね。
――芸能人、アーティスト、お笑い芸人、国内外のプロプレイヤー、ストリーマーなどあるゆる分野の著名な方々も参加されます。ふだんから、ほかのプロチームの方やストリーマー、芸能人との交流はありますか?
Rayghほかのチームのプロとストリーマーはあります。さすがにお笑い芸人さんとか芸能人の方はまったくないですね。
きのこゲンジ僕もほかのチームのプロとかその配信者の方たちとはプレイしますが、芸能人は滅多にないですね。
――やっぱり楽しみですか?
きのこゲンジそうですね。正直、わくわくしてます(笑)。
Karaaju自分もそうですね。一応、プロとかストリーマーの人とはふだんたまに遊んだりするんですけど、芸能人の方となるとなかなか。そういう機会に呼んでもらえるのはうれしいです。
――いろんな方が出演されます。どなたが気になりますか?
Rayghそうですね……やっぱり芸能人の方かなあ。ふだん交流する機会がないので、組んだらおもしろそうだなと。
きのこゲンジ芸人の狩野英孝さんと組みたいです。個人的に、芸人の中でいちばんイメージに残っている人なんですよ。なかなかのゲーマーみたいですし、ゲーム配信もけっこう前からやってらっしゃいますよね。何かの縁かなと思うのでぜひ組んでみたいです。
Karaajuパッとは思いつきませんが、ふだんいっしょにプレイできないような人といっしょに組んでみたいなって思います。
――出演者の中には、競技シーンで活躍するプロプレイヤーもいます。大きなステージでで戦うことについて、意気込みをお願いします。
Rayghふだんだったら負けたらどうしてもムカついてしまうんですけど、オフラインイベントなので、あまりそういうことは考えないです。
きのこゲンジ僕も同じで、イベントなので楽しくやりたいなという気持ちです。いつもの試合みたいなプレッシャーは感じないと思いますし、ほかの(チームのプロ)選手と試合で対面しても苦にならずに楽しめるんじゃないかなあ。負けたらドンマイ! 勝ったらよっしゃあ! みたいな。
Karaaju負けたくはないですが、やはり楽しむことが大事だと思っています。
初出場の世界大会へ。3人の強みである“何もないときでも喋ること”で優勝を狙う
――ここからはALGSについてお聞かせください。激戦を何度もくぐり抜け、プレイオフ進出が決まりましたが、心境をお聞かせください。
Rayghやはり半年で行けたという喜びと安心感は大きいです。ホッとしたと言いますか。
きのこゲンジ自分はとにかく安堵したって感じです。世界大会が決まって、いったんふぅーと落ち着いて、「まだ俺たちには次がある!」っていう湧き上がるものもあります。
Karaaju最初に言った通り、半年で行けたっていうのがすごい自信になりました。それが、これからの大会でも力になるんだろうなと思います。
――海外チームでライバル視しているチームなどはありますか?
Raygh世界大会の経験が多いチームはとくに警戒しています。海外のチームはかなり攻撃的で、「来ないだろう」と思える場面でもガンガン来るところが多いんです。つねに対策し続けないといけないんですよね。
きのこゲンジ世界大会にずっと出ている強豪たちは真っ先に警戒しなきゃいけません。僕自信はもちろんですけど、チームとしても初の世界大会なので、出場経験のあるチームがいちばん怖いです。
Karaaju自分も世界大会の経験があるチームをとくに警戒しています。強いて挙げるなら……TSM(※)でしょうか。どうしても気になっちゃうんですよ……いや、やっぱり全チームですね。全部のチームを警戒しないと。
※TSM FTX:ImperialHal選手率いるアメリカのプロチームで、世界大会は常連。
――そんな強豪に立ち向かううえで、GHS Proの強みズバリ何でしょうか。
Rayghちゃんと話し合えて、その結果をちゃんと実行できるところだと思います。自分はIGL(※)なので3人の意見をまとめる役目。ふたりにはいろいろ提案してほしいです。
※IGL:In game leaderの略で、チーム全体の戦略を決定して、オーダーを出す役割。
きのこゲンジ行動の前に事前に話し合うことを重視している点ですね。この安置(安地)になったらこうしようとかを事前に話し合って、想定通りにしっかり実行できるところ。これはいちばんの強みです。
Karaaju『Apex』には何もしない時間が必ずあります。たとえば、円の収縮を待つときなんてそうですね。その時間でも、しっかりチームで喋れて(情報共有できて)いる。これがほかのチームにはない強みかなと思います。
――ほかのチームには劣らない“3人での話し合い”が肝なんですね。では逆に、チームの課題はありますか?
Rayghまだファイト(撃ち合い)中のコミュニケーションが足りていないと思います。それと、予想外のことが起きたときの対処ですね。なかなかスムーズにいかなくて。
きのこゲンジ僕の考えもけっこう似ていますね。突発的な予想外の展開が起きたときに自分が起こせる行動が少ないんです。対応する前にやられてしまうみたいな場面がとても多い。そこは何とかしないといけないなと思っているんですけど……。
Karaajuそうですね。たぶんアドリブが弱いんじゃないかなあ。
――アドリブ?
Karaajuふだんから話し合いでつぎの行動を予想しながら動いているので、想定外の動きをされると対策し切れないんです。アドリブ力はまだ鍛えられるなと感じるときがあります。
――伸びしろを感じているわけですね。そう言えば、ゲームパッド操作をきのこゲンジさんが練習するといったお話もありました。その後はいかがですか? みなさんキーボード&マウスでプレイされているようですが。
Rayghきのこは競技シーンでの経験を積む段階なので、現状ではパッド問題は放置しています。新しいデバイスを使うと頭の中がごちゃついてしまいますから。経験を積んで、慣れ始めてから再び考えたいですね。
今回のゲームアップデートで競技シーンにもたらす影響はあまりない? 3人がアップデートを解説
――先日のアップデートがあり、少し調整が入りました。環境の変化について考えを教えてください。
Rayghホライゾンの調整が不具合だったので、いまのところそこまで環境は変わらないかなと……。
きのこゲンジG7スカウトとCAR SMGがクラフト武器になったので、その穴埋めにリピーターが使われる可能性はあると睨んでいます。それと、プラウラーSMGが強化されたので、純粋に強いという印象もあります。
Karaaju武器の強化/弱体化、クラフトできるアイテムの入れ替えはそこまで競技シーンに影響する内容ではないですね。レジェンドの強化とかだったら競技シーンの環境も変わってきますが、今回のアップデートでとくに僕たちが何かを変えるようなことはないと思います。
――最後にファンの方やe-elements DREAM MATCHを楽しみにしている方にメッセージをお願いします。
Raygh世界大会ではガチな姿を、そしてe-elements DREAM MATCHでは楽しんでいる姿を見せられると思うので、どっちも応援していただけたらなと思います。
きのこゲンジ2月23日に行われる有明アリーナで開催されるe-elements DREAM MATCHは、ある意味で精一杯楽しむのが目標です。ファンのみなさんにも楽しんでいただけるようにがんばりますので、応援よろしくします。
Karaajuいつも応援していただいて、本当にありがとうございます。e-elements DREAM MATCHでは、会場にお越しいただいたみなさんをしっかり楽しませるように精一杯がんばるので、応援よろしくお願いします。
e-elements DREAM MATCHは2月23日に開催
“e-elements DREAM MATCH”は、2023年2月23日に有明アリーナにて開催されるゲーム、MUSIC LIVE、お笑いを融合させた新感覚エンタテインメント。『Apex Legends』好きのアーティスト、タレント、お笑い芸人、プロゲーマー、ストリーマーが出演する豪華スペシャルイベントだ。
本イベントチケットの追加販売は、チケットぴあプレミア会員サービス“いち早プレリザーブ”にて1月25日17時よりスタート。一般販売については、後日発表予定となっている。詳細は公式サイトや公式Twitterをチェックしよう。
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