横スクロールシューティングゲームと聞くと、皆さんはどんな作品を思い浮かべるだろうか。多くの人は、往年の名作『グラディウス』シリーズや『ダライアス』シリーズ、『R-TYPE』シリーズなどを挙げるかと思う。

 そして同時に、横スクロールシューティングはなんだか難しそうで、玄人向けと認識している人も多いかと思う。実際、歴代作品には地面や壁といった“地形”を用いた、パズル要素を含む難しいステージも多い。

 そんな横スクロールシューティングの完全新規作品として、2022年5月にPC(Steam)版がリリースされたのが、今回紹介する『DRAINUS-ドレイナス-』だ。2023年2月2日、新たに10言語に対応したNintendo Switch版が発売ということで、今回はこちらのSwitch版を発売前にプレイさせていただいた(Nintendo Switchパッケージ版は5月25日発売)。

 さて、やはり本作は難しいのだろうか。昔はゲーセンでシューティングゲームばかり遊んでいたが、いまやその腕前もさび付いたシューターである筆者が、実際にプレイしてみると。

『DRAINUS-ドレイナス-』Switch版レビュー。横スクロールシューティングゲームの魅力がぎっしり、さらに敵弾を吸収し反撃するシステムがやたらと気持ちいい
えっ、無敵化できるの。
『DRAINUS-ドレイナス-』Switch版レビュー。横スクロールシューティングゲームの魅力がぎっしり、さらに敵弾を吸収し反撃するシステムがやたらと気持ちいい
ステージ道中どころか、ボス戦中に武装が付け替えられる。便利すぎる。

 無敵化できる点を加味しつつも、そこまで難しくはないが歯ごたえもしっかりある。さらに敵の攻撃をねじ伏せつつ一方的になぎ倒せる、そんな気持ちよさも存分に味わえた。横スクロールシューティングゲームのいいところを、すべて凝縮したかのようなタイトルだ。

 今回はこちらのSwitch版を通じて、『DRAINUS』の概要やその独特なシステムの解説と、本作ならではのおもしろさについてお伝えしていきたい。

『DRAINUS-ドレイナス-』My Nintendo Storeページ

※本記事はPLAYISMの提供でお届けします。

“リフレクター”と多彩な装備で敵をなぎ払え!

 本作は『Touhou Luna Nights』や『ロードス島戦記ーディードリット・イン・ワンダーラビリンスー』などを手掛けたTeam Ladybugが開発を担当し、Steam版でリリースされるやその完成度の高さですぐに話題となったタイトルだ。

 舞台となるのは、強大な“カーラル帝国”が支配する宇宙。その圧政下の植民地惑星で奴隷として扱われていた主人公・イリーナは、未来から銀河戦争を防ぐためにやってきたというヒューマノイド・ゲーニーに助力を求められる。

 なぜ自分が求められたのかはわからないが、イリーナは難病を抱えた父を救うため、ゲーニーとともに帝国の最新鋭機“ドレイナス”を奪取。やむなく軍に入隊した姉・レイラをはじめとした帝国軍に追われながらも、家族を救うために故郷の星を目指す。

『DRAINUS-ドレイナス-』Switch版レビュー。横スクロールシューティングゲームの魅力がぎっしり、さらに敵弾を吸収し反撃するシステムがやたらと気持ちいい
『DRAINUS-ドレイナス-』Switch版レビュー。横スクロールシューティングゲームの魅力がぎっしり、さらに敵弾を吸収し反撃するシステムがやたらと気持ちいい

 まず触れておきたいのが、このストーリーがとてもいいという点。横スクロールシューティングの名作で言えば『ダライアス』の意味深なエンディングや、『R-TYPE』の狂気と隣り合わせの世界設定など、往年の作品にはあまり長くは語らず、端的にストーリーを伝えてきたものが多かった。

 本作もそれらの名作と同じく、ゲームテンポの邪魔にならない最低限の会話シーンだけで鮮烈なストーリーを描いている。さまざまな真相が明かされていく過程がおもしろいのはもちろん、敵が強化される“2周目”にちゃんと理由があったりといった細かな設定もされており、世界観により没入しやすい。

『DRAINUS-ドレイナス-』Switch版レビュー。横スクロールシューティングゲームの魅力がぎっしり、さらに敵弾を吸収し反撃するシステムがやたらと気持ちいい
『DRAINUS-ドレイナス-』Switch版レビュー。横スクロールシューティングゲームの魅力がぎっしり、さらに敵弾を吸収し反撃するシステムがやたらと気持ちいい
ステージ道中に落ちているひし形の物体“レコーダー”を回収すれば、サイドストーリーを閲覧できる。こちらもメインストーリーや世界観を深堀りしており、真相につながる情報も散りばめられている。

 ストーリーの続きが気になり、できれば最後までクリアーしたいと思わせる本作。難易度が高すぎると最後までプレイすることができず、「結末を知れずに終わってしまうのでは?」と心配するシューティングゲーム初心者の人もいるかと思う。その点に関しては心配無用、本作は非常にちょうどいい難易度に仕上がっている。

 難易度設定に“イージー”と“ノーマル”、さらに歴戦のシューターも満足の“ハード”という3段階が用意されているのに加え、本作では“リフレクター”という無敵化機能が多用できる。このリフレクターを使用しているあいだは、どんなエネルギーも吸収して無効化できるのだ。

『DRAINUS-ドレイナス-』Switch版レビュー。横スクロールシューティングゲームの魅力がぎっしり、さらに敵弾を吸収し反撃するシステムがやたらと気持ちいい
リフレクターは画面左下の“ガードゲージ”がなくなるまで展開でき、展開中はエネルギー兵器に対して完全無敵になる。ゲージはあっという間に回復するので、連続使用も難しくない。

 本作の敵からの攻撃はほとんどがエネルギー兵器なので、リフレクターで大半が無力化できる。リフレクター展開中は一部を除き自機の武器が発射されない点と、紫色のフチで強調されている物理兵器や、敵の体当たり、地形への接触ダメージは無効化できないという点のみが弱点だ。

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砲弾などの物理的な攻撃は、リフレクターでは吸収できない。とはいえこのように見分けやすいので、避けるのはさほど難しくない。

 また、こうして吸収したエネルギーはリフレクターを解除すると同時に、追尾性能を持つ強力なレーザー攻撃になって放たれる。相手の激しいエネルギー攻撃を無力化しつつ、倍返し以上の反撃を自動で決められるわけだ。

『DRAINUS-ドレイナス-』Switch版レビュー。横スクロールシューティングゲームの魅力がぎっしり、さらに敵弾を吸収し反撃するシステムがやたらと気持ちいい
リフレクターでエネルギーを吸収すると、自機に重なる形でゲージが出現し増加していく。このゲージの溜まり具合により、反撃の威力が変わる。
『DRAINUS-ドレイナス-』Switch版レビュー。横スクロールシューティングゲームの魅力がぎっしり、さらに敵弾を吸収し反撃するシステムがやたらと気持ちいい
リフレクターの反撃は威力が高いうえに、障害物を無視して敵を追尾するので、こうした入り組んだ地形のせいで倒しづらい敵にも対処できる。

 筆者はおもに難易度“ノーマル”でプレイしたが、リフレクターで激しい弾幕を避けるまでもなく無効化できるので、あまり弾避けを意識しなくてもプレイできた。

 そもそも本作での敵からの攻撃は、縦スクロールシューティングによく見られる超高密度の弾幕ではなく、自機のいる位置を正確に狙ってまっすぐ飛んでくる“自機狙い”の弾がメインとなっている。自機狙いの弾は少しでもその場から動けば当たらないので、シューティング初心者でも対応しやすいはずだ。

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自機狙いの弾は避けやすいし、避けきれなければリフレクターで無効化してしまえばいい。プレッシャーが軽減され、初見のステージやボスにもかなり強気に立ち向かえる。

 さらに本作には、パワーアップと自機の耐久力を一体化した独自のシステムがあり、簡単に言ってしまうと何発か攻撃を食らっても耐えられる“ライフ制”のような仕組みになっている。“敵の弾に一発当たったらアウト”という、シューティングゲームによくあるきびしさがない。

 本作では、特定の敵を撃破すると出現するパワーアップアイテムを取るたびに、メニュー画面で設定しておいた順にショットやミサイルといった武装が自機に追加される。敵の攻撃などを受けた場合、このパワーアップの段階が1段階下がり、パワーアップがない初期の状態で攻撃を受けると、ようやく撃墜され残機が減る。パワーアップアイテムが、そのまま疑似的なライフアップアイテムにもなっているわけだ。

『DRAINUS-ドレイナス-』Switch版レビュー。横スクロールシューティングゲームの魅力がぎっしり、さらに敵弾を吸収し反撃するシステムがやたらと気持ちいい
パワーダウンこそするものの、本作では即座に撃墜されることがない。初見の強敵相手にも、思った以上に粘れるはず。
『DRAINUS-ドレイナス-』Switch版レビュー。横スクロールシューティングゲームの魅力がぎっしり、さらに敵弾を吸収し反撃するシステムがやたらと気持ちいい
他シューティング作品における“ボム”にあたる“スペシャルボム”もあり、使用中は自機を無敵化しつつ強力な攻撃を放つ。リフレクターと併用して惜しまず使えば、苦手なボスも瞬殺できる。

 また、リフレクターで吸収したエネルギーは別途“エネルギータンク”にも蓄えられていき、このエネルギータンクと交換で新たな装備が購入できる。各種装備は自由に付け替えられるので、これらを組み合わせ、パワーアップの何段階目で発動させるかといった戦略的な楽しみかたもおもしろい。

 また、この装備の購入と付け替えは、ステージ間のインターミッション画面だけでなく、ステージ道中のいつでも可能だ。弱い敵が多い場面ではワイドショットを使い、ボス戦に入ったら一点集中型のレーザーに装備を変えるなど、臨機応変な組み換えができるのが非常に便利だ。

『DRAINUS-ドレイナス-』Switch版レビュー。横スクロールシューティングゲームの魅力がぎっしり、さらに敵弾を吸収し反撃するシステムがやたらと気持ちいい
エネルギータンクが溜まったら、たとえボス戦のあいだでもメニュー画面を開いて戦闘を一時停止し、新装備の購入と付け替えができる。

 なお、装備には“ショット”や“マイン”、“シールド”などといったカテゴリーがあり、同じカテゴリーのものを複数装備した場合は、より高いパワーアップ段階につけたものだけが発動する。たとえば第2段階に広範囲攻撃用のショット“5WAYショット”をつけ、第3段階に一点照射型のショット“レーザービーム”を装備していた場合、パワーアップが第3段階になると5WAYショットは出なくなり、レーザービームだけが発射される。

 つまり、各カテゴリーからひとつずつ、重複しないように装備を選ぶのが基本になるわけだ。これだけ聞くと自由度が低いようにもとれるが、実際にプレイしてみると各カテゴリーに数多くの新装備が追加されていくため、十分に幅広い組み合わせを楽しむことができた。

『DRAINUS-ドレイナス-』Switch版レビュー。横スクロールシューティングゲームの魅力がぎっしり、さらに敵弾を吸収し反撃するシステムがやたらと気持ちいい
自機を守るシールドやスペシャルボムの別形態のほか、機体性能を向上させる機能など、装備の種類は多岐に渡る。これらを集める楽しさも、プレイモチベーションにつながった。

シューティングのカタルシスと遊びやすさの両立

 ほどよい難易度、なおかつリフレクターと疑似ライフ制の残機システムに加え、本作にはシューティングゲーム初心者から熟練者まで幅広く楽しめる工夫も多数用意されていた。

 その代表例が、地形への接触を自動で防ぐ“ステルスバンパー”だ。この機能をオンにすると、地形に接触してもダメージを受けなくなるため、複雑な地形も安心して通り抜けられる。細かな操作が苦手という人には、とくに活用してほしい機能だ。

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ステルスバンパーがあると地形に接触しても押し戻されるため、ダメージを受けつつ地形をすり抜けるという強硬手段はとれなくなる。オン・オフは装備と同じくいつでも切り替え可能だ。

 また、リフレクターを解除して反撃を放ったあとに、わずかだがエネルギー攻撃に対する無敵時間がついている点にも注目したい。安全性が高まるだけでなく、照射される敵ビームのなかに飛び込んでリフレクターを使用し、ゲージが最大になったら解除して反撃、そのあと無敵時間を利用してビームのなかに留まりふたたびリフレクターを展開……と繰り返していく、ゴリ押しも可能になっている。

 この戦法で気を付けるべきは、リフレクター解除後にすぐボタンを押しなおすことくらいなので、とくに難しいテクニックはいらない。これだけで強力な反撃を短時間で連発できるうえ、エネルギータンクもどんどん溜まっていく。なによりこのリフレクター連射が決まると、ものすごく気持ちいい。

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相手の攻撃ターンと思われる場面でも、逆にこちらが圧倒できてしまう。リフレクター連射で味わえる“ずっと俺のターン”の快感は、ぜひ体験してみてほしい。

 また、シューティングならではの「ここは安全地帯なのでは?」といった場所を探す大胆な攻略や、先述したリフレクター連射へのチャレンジなども、何発かは敵からの攻撃を受ける余裕がある本作では行ないやすい。この仕様のおかげで初見のステージにも臆することなく挑めるし、初心者の人でもスペシャルボムを併用すればかなり戦えるはず。

 また、本作にはオートセーブ機能があり、ゲームを中断しても各ステージの頭から再開できる。さらに残機をすべて失ってゲームオーバーになっても、リトライ機能で道中の特定地点や、ボス戦の手前などからやり直しができる点もうれしいところだ。

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リトライをくり返しても勝てないボスが出てきたとしても、一度出直してエネルギータンクを溜め、新装備を買うといった打開策もとれる。

 ほかに特徴的な点としては、本作のボス戦では激しい弾幕や、高い弾避け能力を求める高速弾などはほぼ出てこないことも挙げられる。代わりに、特定の部位を狙って破壊したり、リフレクターを活用したりといったギミック要素が主になっている。そのため、反射神経やシューティングのプレイスキルに自信がない人でも、攻略法さえ見つけ出せれば詰むことはほとんどない。

 また、そうしたギミックが大好きな横スクロールシューティングゲームの歴戦の猛者に対しては、過去の名作へのオマージュと思われるギミックやボスも登場するので、ニヤリとできる楽しさもある。ハードがSwitchということで携帯モードで気軽に遊べるだけでなく、PC用のアーケードスティックや大画面モニターをポートにつなげ、ゲーセンさながらのプレイが楽しめたのも筆者にはうれしかった。

『DRAINUS-ドレイナス-』Switch版レビュー。横スクロールシューティングゲームの魅力がぎっしり、さらに敵弾を吸収し反撃するシステムがやたらと気持ちいい
多彩なボスとの戦いがおもしろいのは当然として、さらに往年のシューターなら驚くであろうボスも用意されている。ぜひその目で確かめてみてほしい。

 さまざまな気持ちいい要素が盛り込まれている本作では、ぜひ自分に合う難易度を探してプレイしてみてほしい。適正の難度でプレイすれば、たった1機の戦闘機で敵の大群を圧倒するという、シューティングゲームならではのカタルシスをより味わいやすい。

 こうしたシューティングゲームの“原点”とも言えるおもしろさがしっかり味わえるのも、本作の大きな魅力かと思う。この気持ちよさが、本作ではシューティングゲームが不得意な人にも体験しやすくなっている。

『DRAINUS-ドレイナス-』Switch版レビュー。横スクロールシューティングゲームの魅力がぎっしり、さらに敵弾を吸収し反撃するシステムがやたらと気持ちいい
圧倒的な戦力差をひっくり返すどころか、逆に蹂躙していく。本作はしばらくシューティングから離れていた筆者にも、そのおもしろさを再確認させてくれた。

 シューティングゲームの魅力が誰にでも味わいやすく、なおかつメインストーリーやサイドストーリー、新装備の収集などといったプレイモチベーションを引き立ててくれる要素も満載という、内容が盛りだくさんな本作。ぜひシューティングゲームの経験を問わず、多くのプレイヤーにこのおもしろさを味わったり、思い出したりしていただきたい。

DRAINUS-ドレイナス-

  • プラットフォーム:Nintendo Switch、Steam
  • 発売元: WSS playground、PLAYISM
  • 開発元: Team Ladybug、WSS playground
  • 発売日:Nintendo Switchダウンロード版は2月2日配信、Nintendo Switchパッケージ版は5月25日発売予定、Steam版は2022年5月22日配信
  • 価格:Nintendo Switchダウンロード版は1980円[税込]、Nintendo Switchパッケージ版は価格未定、Steam版は1480円[税込]
  • ジャンル:シューティング
  • IARC:7歳以上対象
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