WODAN(ヴォーダン)の開発する『四のの目』(しののめ)が、2022年11月11日よりPC(Steam)にて配信される。本作は、主人公の“よの”が広大な屋敷に蔓延る“アヤカシ”を除霊しながら、脱出を目指すアクションパズルゲームだ。
大きな屋敷を舞台にしたじっとりとした不気味さや、遭遇するアヤカシをどのように退治していくのか、探索をしながら自分なりの攻略方法を考えられる、自由度の高いアクションが魅力となっている。
アヤカシ自体は不気味なデザインなのだが、ホラー要素ではなくローグライクやパズルに重きを置いているため、ホラーが苦手な人も問題ナシ。見下ろし型の2D探索ゲームが好きな人はとくに注目してほしい。本稿では、実際にプレイして得られた本作の所感をお伝えしていこう。
トラップハウスと化したお化け屋敷を探索してアヤカシを退治!
挑戦したいステージを選ぶと、さっそく静かな屋敷の中へと放り込まれる。ステージによって差はあるが、初期時点だとアイテムはほぼ持っておらず、最低限の対処しかできない状況が多い。ここから探索してアイテムを集め、敵に対処する術を見つけつつ脱出を目指すというのが基本的なルールだ。
人払いが済んでいるはずの屋敷では、ふすまの向こうから話し声が聞こえてきたり、足跡が残っているなど、いわゆる霊障が残されていることがある。そのような霊障が残っている場合、隣の部屋には高確率でアヤカシが待ち構えているので要注意だ。
とはいえ、進まないという選択肢はないので勇気を持って隣の部屋に足を踏み入れるのだが、ホラーゲームではないとは言え初見プレイ時はかなり驚かされた。アヤカシのデザインはよく見るとどことなく愛嬌を感じるのだが、実際にプレイしていると不気味で恐ろしい。
部屋に入った瞬間こちらに向かって突撃してくるので、初遭遇時は悲鳴を上げてすぐに隣の部屋に逃げ込んでしまった。
しかもこのアヤカシたち、厄介かつ恐ろしいのが隣接する部屋に逃げ込んでも追跡してくるのだ。移動するための扉やふすまは自由に開閉できるのだが、アヤカシたちも容赦なく扉をノックして開けてくる。
こちらを見失うまで執拗に追いかけてくるため、発見されたら全力で逃げ続けるか、アイテムを使って倒さなくてはいけない。扉を閉めればある程度時間を稼げるので、部屋を移動したら即座に扉を閉めるのは生存に直結するテクニックとなっていた。
追いかけてくるアヤカシは厄介な存在だが、もちろんただ逃げ続けるだけではない。屋敷内にはさまざまなアイテムが落ちているので、それらを駆使して除霊することになる。
アイテムの中で代表的なのは、3発まで弾を込められる短筒(銃)。短筒は弾数は限られているが、遠距離からアヤカシを仕留められるいちばんオーソドックスな対処法だ。ステージによっては、最初から短筒を所有した状態で始まることもある。
また、本作はゲーム内の音を聞き分けることが攻略のカギとなっており、アイテムを使用するタイミングと結びついているのも特徴。隣接する部屋に敵がいる場合、不気味な話し声が聞こえてくるため、隣の部屋にアヤカシがいることを事前に察知できる。声や音によって潜んでいるアヤカシの種類も判別可能だ。
プレイヤー側も“声”のアイコンを使って、隣接する部屋のアヤカシを呼び寄せるシステムも存在。あえてアヤカシをおびき寄せることで、攻略の幅が広がっていく。
もちろんただ察知できるだけでなく、敵がいるとわかっていれば先手を打てるのもポイント。もし短筒を持っているなら、ふすま越しに撃つだけで弱いアヤカシなら1体は確実に撃破できるのだ。大抵のアヤカシは2~3体でいっしょに行動しているため、先に1体潰せるだけでかなり楽になる。
短筒以外にも、特定の敵に対してとくに有効な呪符、一時的にアヤカシを任意の場所に引き寄せる人形など、屋敷内ではさまざまなアイテムが手に入る。その中でも安定して役立つ虎挟みには、頻繁にお世話になった。
虎挟みは設置に時間がかかるものの、かかった相手に大ダメージを与えられる非常に強力なトラップ。前述した通り、隣接した部屋にいる妖怪の声は聞こえてくるので、事前にトラップを仕掛けておくと安全に対処できる。
アヤカシの中には鬼僧兵という攻撃力が高く、全速力で追いかけてくる恐ろしい敵がいるのだが、そういった相手も虎挟みがあれば心配ナシ。扉の前にトラップを仕掛けたら、声を出してアヤカシを呼び寄せるだけで対処できる。
このように手に入ったアイテムを使いその場を切り抜ける方法を考える、ローグライクとパズルを組み合わせたようなプレイは本作の大きな魅力だ。もちろん正解はひとつではなく、自分なりに攻略方法を考えてアイテムを温存しながら進むのもアリ。
アイテムだけでなく、屋敷内のギミックを使うという手もある。アヤカシたちは火が苦手なようで、囲炉裏の火に触れると多くのアヤカシは一発で除霊されてしまう。声をかけて囲炉裏のある部屋におびき寄せ、火に触れさせると周囲一帯にアヤカシの屍の山が築かれるくらい簡単に除霊できた。
ただ、ステージクリアー時にスコアがランキング形式で表示されるため、時間をかけると当然スコアは落ちていく。安全に立ち回るなら囲炉裏を使った戦法は有効だが、スコアを伸ばしたいなら時間のかかる戦いかたはできないかもしれない。また大きな屋敷の場合、食べ物が尽きてしまう心配もあるだろう。
本作からは、軽い死にゲーや覚えゲーの側面も感じられた。というのも、アヤカシは対処法さえわかれば安全に戦えるものの、油断するとあっさり主人公よのは死んでしまうのだ。アヤカシだけでなく、屋敷自体もトラップハウスと化しており、何も考えずに突っ込むと一瞬でゲームオーバーになりかねない。
おそらく多くの人が引っかかるであろう、落とし穴はその代表格と言えるだろう。アヤカシの声が聞こえないからと意気揚々と扉を開けて突っ込んだら、見事な落とし穴が出迎えてくれることがある。部屋に入って一切移動しなければ落ちずに済むのだが、初見時はそこまで慎重になれずにまんまと罠に引っかかった。
慌てて戻ろうとしても、一度床から足が離れてしまったら時すでに遅し。落とし穴の竹槍によってゲームオーバー。死んだ場合はメニュー画面に戻され、ステージ選択画面からやり直すことになる。部屋の配置やアイテムが落ちている場所は固定なので、何度か死にながら覚えて最適な攻略ルートを構築することになるだろう。
プレイヤーを絶望に落とし込む罠は満載なのだが、逆にこのトラップを利用することもできるのが本作のおもしろいところだ。何度かやり直すことでアヤカシの配置を覚えると、落とし穴はプレイヤー側の武器としても機能していく。
前述した通り、プレイヤーは声を使うことでアヤカシをおびき寄せられる。この機能を使って敵を誘導すれば、後は労せず除霊ができてしまう。こういった攻略のアイデアを考えていくのが、プレイしていて何よりも楽しいときだ。
対処法さえわかればさほど難しくない……と理屈は簡単だが、筆者は1ステージあたり4~5回はゲームオーバーになっていた。ステージによっては突如大量のアヤカシが襲ってきたり、最強の追跡能力を持つ鬼僧兵に対処法がないタイミングで遭遇したりと、そううまくはいかない。
基本的にアヤカシに攻撃されると百害あって一利なしで、とくに一部の敵からダメージを受けるとほぼ致命傷だ。一発ダメージを受けただけで毒状態になって行動に制限がかかったり、失血が続いて死亡するなど体制を立て直すのは難しい。
もちろん回復機能のある部屋やアイテムもあるのだが、できる限りダメージを受けないよう、情報収集をして先手を打てるようにするのが、基本的な攻略の立ち回りとなる。アイテムや部屋の位置関係などは上手く作り込まれており、正解を探っていくゲームサイクルには大きな手応えを感じられた。
無事に屋敷から脱出できたら、最後に倒した敵の数や、残っているアイテムによってスコアが決定。アヤカシを倒しつつ、最短かつ最小限のアイテム使用で屋敷の脱出を目指すことで、ハイスコアを狙えるようだ。ランキングも表示されるので、プレイして本作のゲームシステムが気に入った人はランキング上位を目指してみてほしい。
『四のの目』は実際にプレイしていると、ローグライクや謎解き、パズルといった要素をうまく取り入れ、手堅く完成度の高いゲームになっていると感じさせられた。一見すると理不尽にも思えるほどの敵やトラップがありつつも、慎重に立ち回る、あるいは死に覚えをして攻略していく遊びかたは好きな人にはトコトン刺さりそうだ。
本作ではマップやアイテム位置が固定のステージ以外にも、訪れるたびに変化するよりローグライクらしい迷宮もプレイできる。死に覚えができないぶん、より慎重な立ち回りが求められるモードになっているので、何度でもアヤカシたちとの戦いが楽しめるだろう。
『四のの目(しののめ)』
- メーカー:WODAN
- 対応プラットフォーム:PC(Steam)
- 配信日:2022年11月11日配信
- 価格:1950円[税込](ローンチ後1週間は1658円[税込])
- ジャンル:アクション・パズル
- 備考:ダウンロード専売