1999年にプレイステーション用ソフトとして発売された『聖剣伝説 レジェンド オブ マナ』(※)を原作とするテレビアニメ、『聖剣伝説 Legend of Mana -The Teardrop Crystal-』。

※2021年に、Nintendo Switch、PS4、PC(Steam)、iOS、Android向けにリマスター版が配信。

 2022年10月7日より放送開始となった同アニメの物語は、『聖剣伝説 レジェンド オブ マナ』の収録シナリオの中でも人気の高い“宝石泥棒編”がベースになっているが、アニメ独自の展開として、主人公シャイロだけでなく、もうひとりの主人公セラフィナが登場するのが見どころだ。

 本記事でお届けするのは、セラフィナを演じる声優の早見沙織のインタビュー。早見さんは、同アニメのオープニング曲とエンディング曲の歌唱も担当しており、オープニング曲『Tear of Will』では歌詞も手掛けている。『聖剣伝説』の世界を、早見さんがどのように表現していったのか、たっぷりとお話をうかがった。

※『聖剣伝説 Legend of Mana -The Teardrop Crystal-』は、MBS・TBS系全国28局ネット"スーパーアニメイズム"枠にて、毎週金曜日 深夜1時25分より放送中。
ABEMAでは2022年10月11日23時30分より放送開始。1週間の無料視聴が可能

ABEMA アニメ『聖剣伝説LoM』視聴ページ

早見沙織(はやみ さおり)

アイムエンタープライズ所属。東京都出身。おもな出演作は『魔法科高校の劣等生』シリーズ(司波深雪役)、『鬼滅の刃』(胡蝶しのぶ役)、『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』(レオナ役)、『SPY×FAMILY』(ヨル・フォージャー役)など。

――初めに、今回『聖剣伝説 Legend of Mana -The Teardrop Crystal-』への出演が決まったときのお気持ちを教えてください。

早見『聖剣伝説』というのは、私も昔から耳にしたことのある作品でしたので、その初めてのアニメ化作品にセラフィナとして出演できるということはとても嬉しかったです。同時に緊張やプレッシャーを感じましたけど、宝石泥棒編の物語はすごく素敵なので、その魅力を、アニメでもしっかりと伝えていきたいなと思いましたね。

――早見さんはゲーム『聖剣伝説 レジェンド オブ マナ』をプレイされたとのことですが、いつごろプレイされたのですか?

早見出演が決まってから、 宝石泥棒編を中心に、リマスター版をプレイさせていただきました。今回は、オープニング曲の歌詞を書かせていただくこともあって、しっかり原作のことを理解しなければと思って。どんなキーワードを歌詞に入れていくかを考えながら進めていきましたね。

――実際に遊んでみて、気に入ったポイントや、驚いたポイントを教えてください。

早見私はそこまでゲームに精通しているわけではないので、まずは自分で“地図を作れる”というシステムに感動しました。地図って、ボタンを押したらパッと開くようなものじゃなくて、自分で作るんだ……って。それと、メインのストーリー以外にもおもしろいエピソードがたくさんあって。小ネタだったり、かわいらしいお話だったりが楽しめて、遊んでいて没入感がありましたし、癒されました。

――地図を作るときに置くアーティファクトなどもかわいいですよね。

早見かわいいですよね。サボテン君などもかわいいし、みんながその世界で生きていると感じられました。

――宝石泥棒編のストーリーはいかがでしたか?

早見胸に来るお話でした。心が揺れるというか、胸がぎゅーっとなるお話で。誰かを想って、そのために行動していて、同じ気持ちなのにすれ違っちゃったり……。何とも言えないもどかしさがあって、切なくも温かい感情を覚えました。ラストを見てからは……ネタバレになっちゃうのですけど、本当によかったというか、うれしい気持ちになる物語だなと思いましたね。ただ、こういったゲームをプレイするのに慣れていなかったので、途中で行き詰まっちゃって。「えっ、この先、どうやっても進めない!」となっちゃって、攻略情報を調べたりしました(笑)。苦労した分、感動もひとしおでした。

――後半のマップは、けっこう広いですしね。

早見そうなんですよね。レイリスの塔を登っていくのが一筋縄ではいかなくて! でも、ゲームプレイは本当に楽しくて、達成感がありました。

――ちなみにふだんから、ゲーム原作のアニメに出演される際には、原作のゲームをあらかじめプレイされるのですか?

早見できるものはプレイするようにしていますが、プレイできるハードを持っていなかったり、すごく難しかったりする場合は、ほかの方が遊ぶのを見せてもらったりしています。コミカライズされていたら、マンガを読んだり。私はゲームプレイが下手なので、もっとゲームスキルが欲しいです! 『聖剣伝説 レジェンド オブ マナ』も、最初は行き当たりばったりで進めていたんですけど、途中で攻略を見て、「あっ、アーティファクトはこういう風に置いたらよかったんだ……」と後で知りました。

――『聖剣伝説 レジェンド オブ マナ』は要素がすごく多いですからね。当時の攻略本(アルティマニア)がここにあるのですが、見てわかる通り、ものすごく分厚いんですよ。

早見ええ、すごいですね! これだけやり込み要素が多いということですよね。そう、プレイしていたら果樹園なども出てきて、最初はそれも宝石泥棒編に関わるものかと思っていたので、「歌詞のどこに、この要素を入れればいいのかな?」とか考えてしまいました(笑)。

――(笑)。では、アニメについて詳しく伺っていきます。原作を踏まえて、今回のアニメでは宝石泥棒編が描かれるということなのですが、島崎さんが演じる主人公シャイロがいる中で、セラフィナというもうひとりの主人公を演じるのは、難しかったのでは?

早見私も最初は、「セラフィナはどういう立ち位置なんだろう?」と思いました。自分がゲームをプレイしていたときは、どちらか片方だけが登場するのに、アニメではどちらもいるということで、どういう物語になるのか疑問だったんですけど……今回は楽曲も担当させていただくということで、スタッフの方と収録前にお話しさせていただく機会があって。そこで、セラフィナの立ち位置だったり、物語全体の意図だったりを伺ったので、「こういう風になっていくんだ」と理解できました。ただ、視聴者の皆様にとっては、とくに『聖剣伝説 レジェンド オブ マナ』をプレイしていた方には、「えっ、どういうこと!?」となる物語だと思うので、そこはぜひ楽しんでいただきたいポイントです。

――セラフィナの存在は、今回のアニメの見どころのひとつですよね。

早見原作の軸になっている普遍的なテーマが、セラフィナが入ったことで、より色濃く描かれているというところがあるので、アニメならではのおもしろさがそこで生まれていると思います。セラフィナについては本当に言えないことが多くて、詳しくはお伝えできませんが……シャイロとセラフィナの関わりは、アニメだけで見られる新鮮な映像なので、私も「おもしろい!」と思いましたし、序盤から後半まで、いろいろな表情を見せてくれるふたりなので、ふたりの関わりにぜひ注目していただきたいです。

――ゲームでは基本的に喋らないふたりですが、アニメではかなりのセリフがあるのですよね。

早見はい、ふたりともよく喋ります。

――アフレコ現場は、どんな雰囲気でしたか?

早見私は皆さんと毎回いっしょには収録できなかったんですけど、一度、私と信長さん(シャイロ役の島崎信長さん※)、名塚さん(真珠姫役の名塚佳織さん)、梅原さん(瑠璃役の梅原裕一郎さん)の4人で録った回がありまして、そのときはずっと宝石泥棒編の話をしていました。この時代のゲームの雰囲気というか、2Dグラフィックの感じについてとか、このゲームならではのシステムについて、みんなで喋って。とくに島崎さんが詳しくて、熱くたくさんお話ししてくださって。和やかな空気でアフレコできました。

※島崎さんの“崎”の字は、正しくは“たつさき”です

アニメ『聖剣伝説 レジェンド オブ マナ』もうひとりの主人公セラフィナ役・早見沙織さんインタビュー。「序盤から後半まで、多彩な表情を見せる主人公ふたりの関わりに注目してほしい」

――続いて、アニメのオープニング曲とエンディング曲について伺います。どちらも早見さんが歌唱されていますね。

早見はい。オープニング曲『Tear of Will』は、今回のアニメのために、オリジナル曲として作らせていただきました。『聖剣伝説』シリーズの魅力のひとつが“音楽が最高”であるということは、私たちのチームもみんなわかっていましたので、『聖剣伝説』が大好きな人、このアニメをきっかけに『聖剣伝説』と出会う人など、皆さんに、このオープニング曲も『聖剣伝説』の一部として好きになってもらえたら本当にうれしいな、とずっと考えながら作っていきました。

――シリーズの歴史が長いぶん、やはり緊張されましたよね。

早見そうなんです、本当にプレッシャーがあって……。でも、今回作曲をお願いしたKEVIN PENKINさんも『聖剣伝説』が大好きで、よく理解していらっしゃったんですね。ですので、最初からチームみんなでイメージを共有できました。KEVINさんの作られる音楽は、幻想的で、どこか懐かしさもあって。「物語の始まりを感じさせる曲として機能してくれたらいいな」と思いながら作り上げていきました。

――歌詞は早見さんご自身が書かれたということですが、どんなことをイメージしながら書かれたのですか?

早見『聖剣伝説』のことをずっと脳内に置きながら書かせていただきました。先ほどもお話ししましたが、『聖剣伝説』を愛してらっしゃる方に好きになっていただける作品にしたかったですし、アニメを見終わった後に聴いたら、物語のいろいろなシーンを思い出せるような作品にもしたいと思って、宝石泥棒編の描写を連想させるようなキーワードを多めに使いました。それと、アニメの枠組みから離れたとしても、日常生活の中でも、必ずどこかに、人が人を想う気持ちはありますし、その想い合う気持ちというのが重なり合ってこの世界を作っていて、歴史が出来て時間が流れていくので……そうして紡ぎ紡がれていく物語を、大きい視点で意識しながら歌詞にしました。

――では、エンディングはどのような曲なのでしょうか?

早見エンディングは、ゲームで使われている曲を、セラフィナのキャラクターソングとして、日本語バージョンで歌わせていただきました(※)。ゲームをプレイしているときも、下村陽子さんの音楽は本当に綺麗で素敵だなと思っていて。その中でも、ゲームのシンボル的な曲を日本語歌詞で歌わせていただくというのは緊張感もありましたが、『聖剣伝説』の世界をアニメでも楽しんでいただけると思って、うれしかったですね。

※曲名は『Song of Mana -The Teardrop Crystal-』。歌はセラフィナ(声:早見沙織)が担当。

アニメ『聖剣伝説 レジェンド オブ マナ』もうひとりの主人公セラフィナ役・早見沙織さんインタビュー。「序盤から後半まで、多彩な表情を見せる主人公ふたりの関わりに注目してほしい」

――このアニメをきっかけに、『聖剣伝説』の世界がもっともっと広がっていくといいですよね。ちなみに、もし宝石泥棒編以外もアニメで描くとしたら、どんなエピソードをアニメで見たいですか?

早見バドとコロナはアニメにも出演していますが、ゲームをプレイしたときにふたりのエピソードが印象に残ったので、もっといろいろなシーンを見たいです。それと、フルーツ占いのメイメイさん。お金を毎回しっかり取られるけど、おもしろいですよね(笑)。

アニメ『聖剣伝説 レジェンド オブ マナ』もうひとりの主人公セラフィナ役・早見沙織さんインタビュー。「序盤から後半まで、多彩な表情を見せる主人公ふたりの関わりに注目してほしい」

――メイメイさん、いいキャラしていますよね(笑)。気が早いですが、アニメの続編があれば、ぜひバドやコロナ、メイメイさんの活躍も見たいと思います。では最後に、アニメに期待している『聖剣伝説』ファンに一言いただけますでしょうか。

早見『聖剣伝説』は30年以上の歴史があるということで、本当にすごいですよね。それだけ、この作品が多くの多くの方に愛されていて、それだけの魅力があるゲームなんだなというのを強く感じています。原作をプレイしている皆さんには、「あのシーン、どうなるんだろう」と、原作と照らし合わせながら楽しんでいただけると思います。それと、小ネタもけっこう入っているので、そこも注目してほしいです。ぜひ、プレイしたときの思い出や感情を振り返りながら、アニメをお楽しみください。

『聖剣伝説 Legend of Mana -The Teardrop Crystal-』公式サイト

『聖剣伝説 レジェンド オブ マナ』リマスター版が好評配信中

 Nintendo Switch、PS4、PC(Steam)、iOS、Android向けに、『聖剣伝説 レジェンド オブ マナ』のリマスター版が配信中。ファミ通ドットコムでは、レビュー記事やオリジナル版開発者のインタビューなどを掲載しているので、ぜひこちらもチェックしてほしい。