2021年6月24日に、Nintendo Switch、プレイステーション4、PC(Steam)にて発売される『聖剣伝説 レジェンド オブ マナ』。本作は1999年にプレイステーションにて発売された『聖剣伝説 レジェンド オブ マナ』をHDリマスター化したタイトルだ。ダウンロード専売となっており、価格は3520円[税込]。

 この度、本作を発売に先駆けて体験する機会を得たので、プレイレビューをお届けしていく。なお事前に体験したのは、プレイステーション4版。記事内では、物語の内容にはほぼ触れていないが、ネタバレが含まれる可能性があるので、気になる人はご注意を。
 また記事の最後には、撮りおろしプレイ動画もあるので、秀逸な楽曲と合わせてぜひチェックしてみてほしい。

『聖剣伝説 レジェンド オブ マナ』とは?

 本作は『聖剣伝説』シリーズでは、非ナンバリングタイトルとして初めてリリースされたアクションRPG。プレイヤーは主人公キャラクターを操作し、ファ・ディールという世界で、さまざまな冒険をくり広げていく。

 当時スクウェアに在籍していた亀岡慎一氏(現・ブラウニーズ代表取締役社長)や池田奈緒氏が描く幻想的なキャラクターと、絵本のような世界観が特徴で、まるで童話を見ているかのような感覚を味わえるのが、本作の魅力。また、オムニバス形式で語られていくシナリオの数々は、『サガ』シリーズの“フリーシナリオシステム”に近い感覚で楽しめる(ちなみにプロデューサーは河津秋敏氏、ディレクターは石井浩一氏と、まさに『サガ』タッグ)。

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主人公は男性・女性の選択式。初期武器も選べる。

 ボタン操作によるコンボなどの多彩なアクションや、ド派手な必殺技など、アクション性も高く、プレイフィールはベルトスクロールアクションに近いのも特徴。武器は全11種存在し、剣や斧だけでなく、ヌンチャクなどのユニークな武器も存在する。武器を1本に絞らず、多彩な武器を使うことでより成長していくシステムも見どころだ。

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素早いクイックアタック、威力の高いパワーアタック、必殺技やコマンド技などを駆使して戦う。
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ふたつのボタンに、多彩なアクションを割り当てられるのも本作の魅力

 やり込み要素が非常に高い武具作成システム、ペットシステム、果樹園システムなどさまざまな要素も盛り込まれているが、本作最大の特徴は、プレイヤーがワールドマップを作っていく“ランドメイク”システムだ。

 ワールドマップは最初なにもないところからスタートするが、“アーティファクト”と呼ばれるアイテムをマップに置くと、ダンジョンや町といった“ランド”がそこに出現。ランドを訪れると、イベントなどが発生する。隣接するランドは互いに影響を及ぼし合っており、配置によって、出現モンスターやショップのラインアップなどが変わる(ここは説明すると長くなるので、詳細は割愛)。

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アーティファクトというアイテムをマップに置くと、ランドが出現して入れるようになる。ランドがたくさん並ぶと、画面が賑やかに。ミニチュア感、ボードゲーム感がある。

多彩なキャラクターが生む壮大なドラマ!

 本作は『聖剣伝説』シリーズらしく多種多様な種族が暮らす世界で、物語が展開していく。ひとつひとつのシナリオは1話完結型で、短い時間でこなせる。

 一見バラバラに見えるシナリオだが、一部のシナリオは物語がつながっているのがおもしろいポイント。断片的に読み進めていくことにはなるが、トータルで見ると長い物語が描かれる、ドラマ性の強いシナリオもある(当時の攻略本ではいくつかのシナリオをまとめて、“宝石泥棒編”、“ドラゴンキラー編”などと銘打っていた)。

 なお、冒険中は、仲間キャラクターをひとり連れて歩ける。仲間キャラクターは何人か存在するが、継続的にパーティーにいるというよりは、特定のシナリオをプレイしているあいだだけ仲間になるという感じ(条件を満たせば、いつでも仲間にできるようになったりする)。一期一会の旅も、本作の魅力のひとつ。

武具作成のやり込みも熱い!

 シナリオに目がいきがちだが、武器防具作成もおもしろい要素のひとつ。主原料の選定から始まり、副原料や属性値の変動などを吟味していけば、自分だけの超絶強力な武器などが作れるため、やり込み度がメチャクチャに高い。オリジナル版で筆者がとくにハマった要素で、素材集めもさることながら、いかにレシピを考えるのかもおもしろいところ。

 もちろん、そこまでせずともクリアーできるようなゲームバランスにはなっているので、シナリオを中心に楽しみたい人もご安心を。ただ武具作成の楽しさを知れば、味わえる奥深さが段違いなのでオススメ。

グラフィックが進化!

 そんな『聖剣伝説 レジェンド オブ マナ』が、HDリマスター版として登場。当時から、描き込まれたグラフィックは非常に綺麗なものだったが、背景などを描き直し高解像度化したグラフィックは、さらに美麗なものになった。また、顔グラフィックなどのイラスト類も一部描き直されている。

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 背景はすべて描き直されているため、どこを見ても非常に綺麗。中でもガイアなどのアニメーションは、メチャクチャ綺麗かつ滑らかになっていて驚いた。また、画面解像度は4:3から16:9になり、ワイドな画面で冒険を楽しめるように。背景には描き足されている部分もあるので、これまで以上に濃密な世界を味わえるだろう。

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 ただ、キャラクターやランドといった、ドットで描かれた一部のものは、当時のドットそのままになっている。これはこれで、当時のドットのよさを味わえてアリはアリなのだが、背景が高解像度化したことにより、浮いて見えるところも(とくにキャラクター)。静止画で見ると、さほど浮いてはないが、解像度の高いモニターで動かしてみると、ややそこが浮き彫りになってしまう印象を受けた。

 2021年4月15日に発売された『サガ フロンティア リマスター』はキャラクターも描き直されていたということもあり、キャラクターもリファインしてほしかったというのは、高望みだろうか(もちろんアニメーション枚数の違いや、キャラクター数の違いなどもあるとは思うが)。

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 なお、オリジナル版では独自のフォントを採用していたが、リマスター版では一般的なフォントに変更されている。もちろんこちらのほうが見やすいと思うが、あのフォントも世界観の構築にひと役買っていた要素だと感じていたので、できれば再現してほしかったというのが正直な気持ち。

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楽曲はアレンジ版も楽しめる!

 『聖剣伝説 レジェンド オブ マナ』と言えば、作曲家・下村陽子氏による楽曲も魅力のひとつ。のどかで心地よい『ホームタウン ドミナ』や、プロレスチックでカッコいいバトル曲『Pain the Universe』など、名曲揃い。

 本作ではその楽曲のアレンジ版が収録されている。“現代ハードで奏でるならこんな感じ”といったアレンジになっていて、原曲のよさを損なわず、かつ豪華に仕上がっている印象を受けた。アレンジ版でもやはり、『ホームタウン ドミナ』を聞きたすぎて、ついついドミナに留まってしまう……。なお、一部楽曲はアレンジされていない。

 もちろんオリジナル版の楽曲じゃないとイヤ、違和感があるという人もご安心を。オプション機能で楽曲を“オリジナル版”に設定すれば、原曲でゲームを遊ぶことができる。お好みで選んだり、たまには気分を変えて遊んでみたいというときにもアリだろう。

 なお、オプションメニューにはミュージックモードが搭載されており、好きな曲を好きなタイミングで聞くことができるのもうれしい追加要素だ。

ほかにもさまざまな追加要素が!

 今回のHDリマスターでは、ほかにも遊びやすくなる機能や、うれしい機能が多数追加されているので、それらを紹介しよう。

メニュー画面が使いやすく!

 メニュー画面はレイアウトが変更され、武器や防具へ直接アクセスできるようになるなど、より使い勝手が上昇。ステータス確認、装備変更、スキル変更などがスムーズにできるようになっている。

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エンカウントオフ機能追加

 オプションメニューでエンカウントをオフにすると、敵とバトルせずにダンジョン探索できる(ボス戦は除く)。ひたすら探索だけしたい場合は、戦闘をスキップしながらダンジョンを攻略するといいだろう。

 基本的に使うことはあまりないと思うが、たとえば宝箱類の回収だけしたい場合や、味方キャラクター強くなりすぎて戦う意味があまりない場所などでは活用できるだろう。

どこでもセーブ&オートセーブ!

 オリジナル版ではセーブポイントや宿屋でセーブをしていたが、本作では一部場面を除いて、いつでもオプションメニューからセーブが可能。また、オートセーブにも対応している。ゲームをいつでも中断しやすくなった。難しい場面の直前セーブなども可能なので、遊びやすさが向上。

 というわけで、セーブポイントの機能は事実上なくなったとも言えるが、どこでもセーブに頼りたくない人は、あえてセーブポイントのみで進めるというのもいいだろう。ポポイの像……!

ギャラリーモード搭載

 オリジナル版の発売時に描き下ろされたイラストや、本作のオープニングアニメーションに関する資料などが閲覧できるギャラリーモードが登場。冒険に疲れたときは、イラストを眺めて心を癒してみよう。

リング・りんぐ・ランドが遊べる!

 ペット育成用のミニゲームである“リング・りんぐ・ランド”が、本作でも楽しめる。オリジナル版では、周辺機器のポケットステーションを用いて遊ぶミニゲームだったが、本作ではゲーム内で遊べるようになった。当時、「ポケットステーションを持っていなかったので、“リング・りんぐ・ランド”は遊んだことがない……」という人も少なくないはず。この機会に、ペットといっしょにすごろくを楽しんでみよう。

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美麗な世界をランドメイクしよう!

 まとめると、背景グラフィックが超絶美麗になり、さらに遊びやすくなったのがHDリマスター版『聖剣伝説 レジェンド オブ マナ』だ。当時遊んでいた人には懐かしさを感じさせながらも、再度冒険したくなってしまう魅力が詰まっている。また、これまで遊んだことがなかった人には、もってこいの1本だ。

 最後に、撮りおろしの序盤のプレイ動画をお届け。ゲームの流れを解説しながら、どのように冒険を進めていくのか感じてほしい。また、アレンジBGMにもぜひご注目を。というわけで、したらな!