2022年9月15日~18日にかけて、千葉県・幕張メッセで開催中の東京ゲームショウ2022。こちらのカプコンブースにて、『バイオハザード』シリーズを手掛ける川田将央プロデューサーと、木下研人ディレクターにインタビューを実施。発売まで約1ヶ月に迫った『バイオハザード ヴィレッジ ゴールドエディション』および、DLC“ウィンターズ エクスパンション”の魅力や、こだわりが光るポイントについて、たっぷり語っていただいた。

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川田将央氏(かわたまさちか)

カプコン/『バイオハザード』シリーズプロデューサー

木下研人氏(きのしたけんと)

カプコン/『バイオハザード ヴィレッジ ゴールドエディション』ディレクター

DLCだからこそ実現できた“シャドウズ オブ ローズ”、演出面でのこだわり

『バイオハザード ヴィレッジ ゴールドエディション』開発陣インタビュー。3つの新規コンテンツの見どころ&秘蔵エピソードが続々と明らかに【TGS2022】

――追加コンテンツ“シャドウズ オブ ローズ”は従来の『バイオハザード』シリーズと異なり、“意識の世界”など、オカルト要素を強く打ち出した内容になっていますが、どういった経緯でこちらの方向に舵を切られたのでしょう?

川田“シャドウズ オブ ローズ”をはじめ、“ウィンターズ エクスパンション”のコンテンツはすべて、本編とは別のチームが開発に当たっているのですが、そうした作り手の色の違いが、いい意味で出た結果だと思っています。木下からも「シリーズの流れを受け継ぎつつ、新しいシチュエーションを大々的に取り入れたい」との提案を受けて、そこにおもしろ味を感じたので。新しい体感を楽しんでいただけるコンテンツが生まれたんじゃないかな……と、期待しています。

木下「ローズを主人公に新しいエピソードを作る」ということで、まずはそこから掘り下げていきました。ローズは親から受け継いだ忌まわしい力のせいで、普通の女の子らしい生活を送ることができない。こんな能力は捨ててしまいたいと思っていたときに、あの忌まわしい村の話を耳にして。そこに行けば、悩みの解決につながるヒントが見つかるかもしれない……ということで、当時の村を連想させる“意識の世界”にダイブするところから、物語は始まります。

『バイオハザード ヴィレッジ ゴールドエディション』開発陣インタビュー。3つの新規コンテンツの見どころ&秘蔵エピソードが続々と明らかに【TGS2022】
木下研人ディレクター

――“意識の世界”が舞台ということで、ファンタジーっぽい演出が随所に盛り込まれているのも本作ならではの特徴ですね。文字に導かれながら進んでいく展開は新鮮でした。

木下ローズが足を踏み入れることで、その世界に存在する“さまざまな意識”も動き始めます。作中にはフェイスイーターというクリーチャーが登場しますが、その出現にも、ある大きな意思が働いていて……という重厚なストーリーが描かれますので、ご期待いただきたいです。

『バイオハザード ヴィレッジ ゴールドエディション』開発陣インタビュー。3つの新規コンテンツの見どころ&秘蔵エピソードが続々と明らかに【TGS2022】

――そうした幻想的な要素は、シリーズ本編ではなかなか導入できないですよね。

川田大元となる『バイオハザード ヴィレッジ』があるうえで、そのDLCだからこそ実現できた……というところはありますね。ウイルスの脅威と戦う本編とは違い、じっとりとした空気感の精神世界の物語というのは、DLCならではの展開だと思います。

 とはいえ、最後まで遊んでいただければ、しっかりと『バイオハザード』らしさを感じてもらえるようになっていますので、その辺りはご安心ください。

木下悪夢のような世界に入り込んでしまったローズが、いろんな意思が動き出すなかで決死の脱出劇をくり広げて。その過程で、彼女自身も精神的に成長していくところに焦点を当て、話の盛り上がりを作っています。

 プレイ時間は4時間ほどを想定していて、コンパクトに遊べる内容ですが、ストーリー面でも見ごたえのある要素が満載なので、遊んでいただければ、きっと満足していただけると思います。

『バイオハザード ヴィレッジ ゴールドエディション』開発陣インタビュー。3つの新規コンテンツの見どころ&秘蔵エピソードが続々と明らかに【TGS2022】

“悪夢”をコンセプトに、じっとりとまとわりつく恐怖を表現

――作中にはハンドガンなどの武器が登場しますが、ローズ自身に戦闘経験はあるのでしょうか?

川田戦闘のプロフェッショナルではないものの、クリスたちから護身術などを教わっているという裏設定があります。決して手練れではありませんが銃の扱いも一応は把握していて、ハウンドウルフ隊のメンバーともつながりがあるので、なかなか深みのある魅力的なキャラクターなのではないでしょうか。

――ローズとハウンドウルフ隊の関係性に焦点を当てたエピソードも見てみたいですね。

木下ちなみに本作をプレイしていただく際は、銃火器だけでなく、身に備わった“特殊な力”をいかにして使いこなすか?も重要になってきます。一例として、オブジェクトに干渉して新たな道を切り拓いたり、隠れたアイテムを見つけ出したり。ほかにも戦闘時に発動することで一時的に敵の動きを止めることもできたりします。

 その隙に攻撃したり、横を通り抜けて逃げたりも可能なので、「どのようにして“特殊な力”を戦略に組み込むか?」も、“シャドウズ オブ ローズ”をプレイしていただく際の楽しみのひとつだと考えています。

『バイオハザード ヴィレッジ ゴールドエディション』開発陣インタビュー。3つの新規コンテンツの見どころ&秘蔵エピソードが続々と明らかに【TGS2022】

――恐怖演出の面では、本作の場合、ローズの体格が小柄ということもあって、襲ってくるクリーチャーがより大きく感じられます。こうした点からも、クリスたちを操作するときとはまたひと味違う怖さがありますね。

川田ローズはクリスやイーサンと違って、マッシブに戦えるキャラクターではありません。か弱い少女だからこその“できることの少なさ”をあえて逆手に取ることで、恐怖感を増大させることに成功したんじゃないかなと捉えています。

『バイオハザード ヴィレッジ ゴールドエディション』開発陣インタビュー。3つの新規コンテンツの見どころ&秘蔵エピソードが続々と明らかに【TGS2022】
川田将央プロデューサー

――血しぶきや残酷な表現は抑え気味のように感じましたが、それでもゾクッとするような演出が随所に盛り込まれていますね。

木下本作におけるホラー要素の演出は“悪夢”をコンセプトにしているんです。怖い夢を見たときって、目覚めるとどんなやり取りがあったか忘れてしまっていることが多いですが、そのとき体験した「怖い映像」だけは、いつまでも記憶に残りますよね。

 本作ではそういった、いつまでも記憶に残る“まとわりつくような怖さ”の表現を目指しました。ぜひプレイして、直に体験していただきたいです。

“サードパーソンモード”、“ザ・マーセナリーズ”のこだわりポイントを深掘り

――続けて、『バイオハザード ヴィレッジ』を三人称視点でプレイできる“サードパーソンモード”についてもお聞きしたいと思います。こちらはどういった経緯で、実装されることになったのでしょう?

『バイオハザード ヴィレッジ ゴールドエディション』開発陣インタビュー。3つの新規コンテンツの見どころ&秘蔵エピソードが続々と明らかに【TGS2022】

川田バイオハザード7 レジデント イービル』および『バイオハザード ヴィレッジ』はプレイ時の没入感を高めるために、あえて主人公の没個性化を図ったのですが、ありがたいことにイーサンは多くの方から愛されるヒーローに成長してくれました。

 それに合わせて、ユーザーの皆様からも「イーサンの戦う姿を見たい」といったご要望をたくさんいただきました。我々としても、『バイオハザード ヴィレッジ』のストーリーをより深く楽しんでいただくには、客観的な視点からゲームに触れていただくのがよいのでは? という見解になり、三人称視点でのプレイモードの導入に踏みきったという次第です。オリジナル版をがっつりやり込んでくださったユーザーさんにも、きっと新鮮な感覚で遊んでいただけると思います。

――本編クリアー後のお楽しみ要素も大幅にパワーアップし、“ザ・マーセナリーズ アディショナルオーダーズ”として収録されていますが、こちらも開発するうえで苦労されたところがありましたら、お聞きしたいです。

『バイオハザード ヴィレッジ ゴールドエディション』開発陣インタビュー。3つの新規コンテンツの見どころ&秘蔵エピソードが続々と明らかに【TGS2022】

木下オリジナル版未プレイの方に加え、本編はクリアーしたけど“ザ・マーセナリーズ”は遊んでいないという方に、こちらのモードのおもしろさを知っていただきたい……というのが、そもそもの着想のきっかけでした。とくに新キャラクターの追加は、こうした皆さんに加え長く遊んでくださっているユーザーさんにも響く要素なのでがんばらせていただきました。

――追加キャラクターのひとり、ドミトレスク夫人は海外でも人気が高く反響も大きかったみたいですね。やはり開発はたいへんでしたか?

『バイオハザード ヴィレッジ ゴールドエディション』開発陣インタビュー。3つの新規コンテンツの見どころ&秘蔵エピソードが続々と明らかに【TGS2022】

木下彼女の場合、いちばんのネックは身長でした。イーサンたちの倍近くある大柄な体格で、ダイナミックに戦える点が楽しいキャラクターなのですが『バイオハザード ヴィレッジ』のステージは基本的に、イーサンの身長に合わせて作ってあるので、ドミトレスクだと一部の通路はそのままでは通れないという弊害がでてきました。

 とはいえ自動でのしゃがみを入れるとドミトレスクが巨体であるという体感が薄れるため、あえてオートではなく自分でしゃがみ操作をして、よりその大きさを感じることができるように調整してあります。

――ハイゼンベルクもさまざまな能力を持つキャラクターですが、“ザ・マーセナリーズ”ではどのような立ち回りができるのでしょう?

『バイオハザード ヴィレッジ ゴールドエディション』開発陣インタビュー。3つの新規コンテンツの見どころ&秘蔵エピソードが続々と明らかに【TGS2022】

木下最大の特徴は、磁力を操るモードとハンマーで戦うモードを状況に合わせてワンタッチで切り換えられるところですね。遠くから攻撃してくる敵が多い場面では、磁力モードで敵そのものをこちらに引き寄せたり。

 そうしてハンマーモードに切り換えて近距離攻撃で一気に粉砕するという、ふたつのモードを組み合わせた立ち回りがおもしろいキャラクターです。

 それともう1点、コンテンツそのものの改善点についてもお伝えしたいのですが、“ザ・マーセナリーズ アディショナルオーダーズ”では敵の出現するテンポがオリジナル版と比べて格段にアップしています。また、出てきた敵は向こうからガンガン攻め寄せてくるため敵が出てくるのを待つ時間が解消され、よりアグレッシブに戦闘を楽しめるようになっているのも大きく改善されたポイントです。

『バイオハザード ヴィレッジ ゴールドエディション』開発陣インタビュー。3つの新規コンテンツの見どころ&秘蔵エピソードが続々と明らかに【TGS2022】
川田将央プロデューサー(写真左)と、木下研人ディレクター(写真右)

――貴重なお話、ありがとうございます。それでは最後にシリーズファンの皆さんに向けて、“ウィンターズ エクスパンション”および、『バイオハザード ヴィレッジ ゴールドエディション』の見どころなどを、ひと言ずつお願いします。

木下どちらの商品とも『バイオハザード ヴィレッジ』未プレイの方はもちろん、すでに遊んでくださっている方であっても、新鮮な感覚で楽しんでもらえる内容に仕上がっていますので、ぜひ手に取って遊んでいただけますと幸いです。よろしくお願い致します。

川田『バイオハザード ヴィレッジ』に関しては、これらの2商品だけでなく、Mac版やNintendo Switch版も新たに発表させていただきました。また、プレイステーション5版はプレイステーションVR2にも対応するようになり、今後ますます遊びの幅は広がっていきます。これらもプレイしていただいて、同作ならではの世界観を存分に満喫してもらえるとうれしいですね。

 それともうひとつだけ、発表以来長らくお待たせしていました『バイオハザード RE:バース』も、ついにリリース日が決定しました。『バイオハザード ヴィレッジ ゴールドエディション』の発売同日より配信されることにいます。

 お待たせしてしまったぶん、細かいところまでばっちり調整してありますので、こちらもぜひ体感していただけますと幸いです。各タイトルの詳しい情報は10月開催予定の『バイオハザード』ショーケースでも発表いたしますのでご期待ください。