1000円。とても微妙な金額だ。

 ご飯を食べるにも外食ではちょっと物足りず、コンビニで弁当を買うには飲み物を足してもちょっと余るが、サラダなどを追加すると足りなくなることもある。電車賃に使うには高額に見えるが、県外までは出られない。

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 我々ゲーマーにとってもそうだ。家庭用機のゲームとなると500円や1000円のシリーズものが思い浮かぶが、大作と比べるとどうも食指が伸びない。PCゲームにおいても買い切りのソフトはとても買えそうにないし、スマホゲームのガチャを回すにも、1000円では10連どころか5連も厳しい。

 そんな風に思っていた時代が、筆者にもありました。

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やっす。

 大変だ、50円でゲームが買える。夏の暑さで、Steam運営陣がおかしくなってしまったのだろうか。

 PCゲームが大好きな筆者が、なんとなくPCゲームプラットフォーム“Steam”のストアを開いてみたら、この通り。セール価格でなくても100円という、ジュースより安いゲームが目白押しだ。

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Steamストアの検索には、このように価格帯を指定できるスライダーが付いている。便利。

 これなら1000円でも、何本もゲームが遊べる。「今日はちょっと贅沢しちゃおっかな」といった感じの、OLがランチに奮発してデザートを付けるみたいなノリで、300~500円くらいのゲームを買うのもアリだろう。

 中途半端と思われた1000円で、ゲーマーはどこまで満足できるのだろうか。実際にいろいろなタイトルを行き当たりばったりで購入し、検証してみた。

そうは言っても低価格……と甘く見ていました

 まずは今回の企画について、なんとなく定めた筆者なりのルールをお伝えしておこう。

  • 無料ゲームは含まない
  • アダルト要素のあるタイトルは除外

 この2点だけである。

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Steamストアの右上にある虫眼鏡のマークを、とくに左のボックスになにも入力せずに押す。これでさきほど紹介した、価格帯スライダー付きの検索画面に移動できる。
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そして左上の、自分のアカウントのアイコンが表示されている“ストア”のところをクリックし、“個人設定”をクリック。ここのメニューから、成人向けコンテンツを検索結果から除外する設定が可能。

 この検索画面は右上にある“並べ替え”から表示順の設定を変えたり、特定の条件を加えてさらに絞った検索ができたりと、とても便利。まずは価格帯を500円以下に設定し、価格の安い順に並び替えてみる。

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この設定にするとこの通り、無料タイトルを除いて100円のゲームが並ぶ。ちょうどこの原稿執筆の時期がセール期間だったため、半額で50円になっているタイトルがずらり。

 そんな50円タイトルのなかから、さっそく一本購入してみた。サムネイルの女性の顔のインパクトが、やたらと強かったのがおもな理由だったのは秘密だ。

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購入前にPVやスクリーンショット、他プレイヤーのレビューなどを確認するのもよし。今回は事前情報なしでプレイしてみたかったので、レビューは見ないことにした。

UBERMOSH

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  • 発売日:2015年8月14日
  • 開発元:Walter Machado
  • 販売:Walter Machado
  • 価格:100円[税込] ※記事執筆時点ではセールで50円[税込]
『UBERMOSH』Steamストアページ

 PVを見た感じだと、トップビュー視点のアクションゲームに見える本作。実際にプレイしてみると、あらゆる面で攻めたタイトルだった。

 まず、プレイ時間がなんとたったの90秒。このステージ内で、90秒生き残りさえすればクリアーなのだ。日本語非対応のゲームだったが、このわかりやすいルールは一瞬で理解できた。

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左上のカウントがゼロになったらクリアー。カウントの下にある逆三角形のマークがライフで、これがゼロになるとゲームオーバーだ。

 操作についてはキーボード操作の場合、WASDキーで移動、マウスの動きで攻撃方向を変更。左クリックで遠距離攻撃、右クリックで近距離攻撃を出す。

 ただし、遠距離攻撃は最初は使用できない。敵を倒し、敵が落とした射撃武器を拾うことで撃てるようになる。

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射撃武器にも複数の種類があり、使いやすさには個人差がありそう。

 90秒という制限時間もあってか、本作のゲームテンポはとんでもなく速い。主人公と敵の移動速度だけでなく、お互いに撃ち合う弾の速度もかなりのもの。目まぐるしいハイスピードバトルが展開する。

 そしてそんななかでおもしろい点として、近距離攻撃は敵の弾を跳ね返すことができる。タイミングは非常にシビアだが、これがうまく決まるととても気持ちいい。

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敵が増えてくると弾幕がえらいことになるが、跳ね返してしまえば問題ない。高速で動き回りながら弾を跳ね返していくのが、見た感じとてもスタイリッシュ。

 パワーアップなどの概念は一切なく、特殊なアイテムなどもないためゲームルールも非常にシンプル。なおかつ、運要素に左右される部分も少ない。一回のプレイ時間が最長90秒なので、さくさく遊べるのも好印象だ。

 50円だからお試し程度の気持ちで購入したタイトルだったが、最初からかなりの大当たりを引けたようだ。

Superflight

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  • 発売日:2017年11月9日
  • 開発元:GrizzlyGames
  • 販売:GrizzlyGames
  • 価格:310円[税込]
『Superflight』Steamストアページ

 つぎは50円のタイトルから打って変わって、ちょっとお高めのタイトルに手を伸ばしてみた。低価格なのになんだか緊張する。あれだ、「おやつは500円まで」と言われた幼少期、ちょっと高めのお菓子を買うのにドキドキしたあの感覚だ。

 そうして購入してみた本作。いざプレイを開始してみると……。

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なんか飛んでる。

 そう。PVを見た段階でもわかっていたのだが、310円で空を飛べるのである。いや待って、これ思ったよりすごい字面じゃないか。

 筆者はフライトシミュレーター系、そのなかでも『エースコンバット』シリーズが大好きで、シリーズ全作を遊んでいる。やはり空を飛ぶなら、3Dでなくては。

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いざゲームスタート。操作については加速や減速はなく、上下左右の方向切り替えのみ。Spaceキーでステージ初期位置からやり直すことができる。

 思ったより気持ちよく飛んだ。310円ということでもっとチープかと思っていたら、風切り音などもしっかり聞こえてくるし、スピード感も十分だ。

 さらに、ただ飛ぶだけでは終わらないアグレッシブな要素もしっかり用意されていた。

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岩など障害物の横、ギリギリのところを飛ぶとスコアが加算されていく。

 これだ。『エースコンバット』で、機体をロール(回転)して細い渓谷などを飛んでいくあれだ。

 自機のロールはさすがにできなかったが、このギリギリを攻めるスリルがスピード感をさらに増してくれる。また、一定距離を飛んでワープポータルが発動するたびにステージが頻繁に切り替わっていくため、チャレンジすべき障害物に変化が見られるのもいい。

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いかにも通り抜けてくださいと言わんばかりの地形。挑戦心をくすぐられる地形が、あちこちに用意されている。

 ステージが切り替わった瞬間、目の前にある岩山を見てどこをどう飛ぶのか瞬間的に判断し、舵を切る。この頭の回転が試される要素のおかげで飽きがこないし、ゲーム自体のテンポもいい。

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岩山にぶつかってミスになってしまった場合でも、同じステージからコンティニューできる。残機などの概念もないので、好きなだけプレイし続けられる。

 このスコア以外のチャレンジ要素はなく、複雑なシステムやリソース管理は一切なし。すれすれを飛ぶという単純明快なルールにしか縛られず、自由に空を飛べる。

 最近はスタミナ制であったりターン制であったりと、制約が多いゲームばかり遊んでいたこともあり、とても解放的な気分になれた。さきほどの『UBERMOSH』もそうだったが、ゲームはこれくらい単純でもいいのだ。計360円しかまだ使っていないのに、真理にたどり着いてしまったかも知れない。

低価格ならではの謎ゲーに、なにか大事なものを失う

 ここまでの2本で十分に楽しめたが、まだ残金は640円もある。続いては小休止を入れる意味でも、癒し系っぽいタイトルを選んでみることにした。もちろん、選別理由は「サムネイルがいい感じだから」という伝統と信頼のジャケ買い方式である。

Placid Plastic Duck Simulator

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  • 発売日:2022年7月6日
  • 開発元:turbolento games
  • 販売:turbolento games
  • 価格:205円[税込]※原稿執筆時はセール開催前。2022年8月23日まで一週間限定セールのため164円[税込]
『Placid Plastic Duck Simulator』Steamストアページ

 ゲームを起動してみて、まず思い浮かんだ言葉は「なにこれ」だった。

 なんかプールに、アヒルのおもちゃが浮いている。浮いているだけである。

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アヒルが浮いている。触ったりすることは一切できない。

 どこかのプールサイドらしいステージには、ラジオからなにやら楽しげな音楽が流れ続けている。しかし、アヒルは浮いているだけ。時間経過による昼や夜の概念もあり、アヒルはときおり風が吹くとランダムで動いたりもするようだが、ただひたすら浮いているだけだ。

 そして、右上の謎のゲージの存在感である。

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アヒルゲージ。なにこれ。

 時間経過で溜まっていくこのアヒルゲージが最大になると、なにかが起こるようだ。一体、この平和な空間にどんな変化が……。

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 増えた。

 えっ、増えた? なんで?

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ゲージが溜まるたびに、上空からアヒルが降ってくる。以上だ。

 アヒルが増える。理由はわからない。しかも増えるアヒルの種類はランダムらしい。なんだか見ていてほっこりとはするものの、これ以上の説明のしようがない。どうしよう。

 とりあえず、さっさとアヒルを全種類出してこのゲームはひと段落にしてしまおう。一覧表があるようなので、見てみると……。

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多い。

 アヒルの種類が、めちゃくちゃ豊富だった。長時間癒されているうちに、自然と終わりそうではあるが。

 気になってストアで“simulator”という単語で検索をかけてみたが、ほかにも木や岩など、さまざまなものを眺め続けるシミュレーターゲームが無数にあるらしい。こういうゆったりと時間のみを使う癒しゲームには、つねに一定の需要があるということだろう。

Fat Prisoner Simulator 3

  • 発売日:2022年7月6日
  • 開発元:Kiddy
  • 販売:Kiddy
  • 価格:100円[税込] ※記事執筆時点ではセールで50円[税込]
『Fat Prisoner Simulator 3』Steamストアページ

 アヒルに癒されたのかどうかはよくわからないが、残金が435円と半分を切った。ここで改めて余裕を得るために、最初に見た50円タイトルの中からつぎの候補を選んでみることにした。

 そうして選んだのがこちらのタイトル。タイトルからするとなんか太った囚人のシミュレーターらしいが、はて、脱獄でもするのだろうか。

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えっ。

 アイスホッケーだ。タイトル画面で、物々しい効果音とともに、ホッケーリンクが表示された。

 囚人要素はどこへ行ったのかわからないが、どうやらアイスホッケーのゲームらしい。

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アイスホッケー……なのか?

 いざゲームを開始してみると、太った男が並んでいる。なぜか半分、お尻が見えている。

 みんな同じ太った男かと思ったら、帽子の色が違う。なるほど、チーム分けは帽子で見分けるのか。ユニフォームくらい着ろ。

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キーボードでの操作は、WASDキーで移動するもののめっちゃ滑る。左クリックでスティックを振る。以上だ。

 意外と俊敏に動ける太った男を操作しつつ、パック(ほかの球技でいうところのボール)をゴールめがけて撃とうと近づいてみる。この時点では油断していたが、これがカオスな宴の幕上げだった。

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なんか転倒したが。

 そう。ほかの太った男が振り回すスティックが当たると、一定時間転倒して動けなくなるのである。しかも敵味方の区別なし、フレンドリーファイアあり。なんでだ。

 真面目にプレイしようとすると、同じパックに殺到した敵味方にボコボコにされる。CPUの選手たちは反応がやや鈍いので、パックを離れた場所に移動させてから、ほかの選手がそばまで来る前にシュートするしかない。

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ここだ! と思ったところをスティックで殴られると、「このデ●ゥ!」と罵声が漏れそうになる。いや落ち着け、他も全員ぽっちゃりだ。

 そのあとも何点取れば勝ちなのかもよくわからず、ひたすら太った男たちがくんずほぐれつしている模様を眺め続けることに。100円タイトルのわりには太った男たちの動きやリアクションがやたらリアルで、シュールすぎる絵面が脳裏に焼き付いていった……。

ちゃんと選ぶとこんなに楽しい、低価格ゲームの世界

 アヒルと●ブにもみくちゃにされ、筆者の精神はかなり摩耗した。なるほど、低価格ゲームの中にはこういう意外な出会いもあるわけだ。面白くなかったわけではなく、とても印象に残るタイトルだったことが逆にたちが悪い。

 これで残金は400円ほどになってしまった。ここはひとつ、有終の美を飾れるようなしっかりとした、自分の好みにバッチリ合いそうなタイトルを選択したい。

StarMech

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  • 発売日:2022年8月1日
  • 開発元:Blue Wizard Labs
  • 販売:Blue Wizard Labs
  • 価格:401円[税込]
『StarMech』Steamストアページ

 私はロボが大好きだ。それが変形合体とかし始めた日には、もはやたまらない。

 しかし、ロボのゲームは描画がたいへんなこともあってか、どれもこれも結構な価格になる。低価格ゲームでなんとかロボ成分を補給できないかと探してみたところ、見つかったのがこちらのタイトルだ。

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一見すると、戦闘機が360度全周囲から迫る敵を撃退していくシューティングゲームに見える。

 本作は人気作『Vampire Survivors』のような、敵を倒して経験値アイテムを集め、レベルアップするごとに装備を選択して自機を強化していくという形式を取っている。選択できる装備もレーザーやミサイルポッド、機雷などなど、ロボ好きの心をくすぐる定番ものばかりだ。

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日本語非対応の本作だが、そこまで難しいシステムはないので英語のままでもわりと問題なくプレイできる。

 しかしこの段階では戦闘機を操作するゲームであり、ロボ要素はどこにあるのかという話になる。

 そこはご安心あれ。この戦闘機、ロボに変形するのである。そして自機はロボになるとすべての装備をフルオープンし、一斉射撃をくり出す。なんだこれ、かっこよすぎか。

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キーボード操作の場合、Spaceキーでロボと戦闘機の形態を切り替える。
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これが男のロマン、一斉射撃。そのあとの連射はあまり効かないが、この一瞬のカタルシスがたまらない。

 ただし、ロボ形態は移動速度が非常に遅い。それに対して戦闘機形態は移動速度が非常に速いが、発射できる武装が“ブラスター”など、この形態専用の武器だけなので、火力が大きく制限される。

 このふたつの形態を切り替えて戦うのが本作のおもしろいところだが、筆者としてはこのドット絵で、ちゃんと変形中のシークエンスも描写されている点も気に入った。とくにロボ形態から戦闘機形態に変形するときは、変形しながら移動できるのが非常にかっこいい。

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アニメでいうと『機動戦士Zガンダム』のZガンダムや、『超時空要塞マクロス』のヴァルキリーといった往年の変形ロボが、変形しながらその場を離脱していくシーンのようだ。

 本作では自機が左右にしか向けないため、上下方向にいる敵への対処にもどかしさも感じる。だが、それを差し引いてもロボ形態になった瞬間の一斉射撃の気持ちよさと、戦闘機形態の高速移動で動き回れるストレスのなさが好印象だ。

 変形するたびに「オープンゲット!」とか「グラハムスペシャル!」とか、世代ごとに異なるセリフが言いたくなる。そんなロボ好きの同志たちに、ぜひ一度遊んでみてほしいタイトルだ。

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一定時間ごとに巨大なボス敵が出現するので、プレイがマンネリ化しないところもいい。

結論:1000円でもがっつり楽しめる。誤差は気にするな

 1000円でSteamのゲームをどこまで楽しめるかという今回の企画だったが、結論としては大成功だ。まさか1000円で、ここまで多彩なジャンルのゲーム体験ができるとは思わなかった。

 今回の企画ではキリがないのでやめておいたが、その気になれば50円のタイトルを20本購入して遊ぶこともできたわけだ。1000円、ナメてました。

1000円でどこまでゲーマーは満足できるのか。無料ではないがジュース並みの価格、魅力満載な低価格Steamゲームの世界
とくにSteamでは頻繁にセールを行なっており、高額のゲームが500円以下のお得な価格になることも多い。1000円まででもセールに行けば、かなりの満足感が得られることは間違いない。

 最後に蛇足かも知れないが改めて、今回の企画で購入した5タイトルの合計金額を出してみよう。

 ……ん?

 1000円でもゲームはたっぷり楽しめる。この喜びを伝えられたのだから、今回の企画はだれがなんと言おうが成功である。だれだ、企画倒れとかタイトル詐欺とか言ったのは。

 とりあえず筆者は担当編集者に企画の成功を伝えるとともに、16円を持って土下座しに行かねばならない。今回こちらの記事を読んでくださった皆さんにはその間にでも、ぜひ1000円ゲーム企画にチャレンジしてみてほしい。Steamはもちろん、他のプラットフォームでも同じような検索機能が利用できるぞ。