ファミ通.comの編集者&ライターがおすすめゲームを語る企画。今回紹介するゲームは、スクウェア・エニックスのRPG『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S』です。

【こういう人におすすめ】

スズタクのおすすめゲーム

『ドラゴンクエストXI S』

  • プラットフォーム:プレイステーション4、Nintendo Switch、Xbox One、PC(Steam、Epic Gamesストア、Windows10)
  • 発売日:2020年12月4日(Steam、Epic Gamesストアは2020年12月5日発売)
  • 発売元:スクウェア・エニックス
  • 価格:5,478円[税込]
  • パッケージ版:あり
  • ダウンロード版:あり

『ドラゴンクエストⅪ 過ぎ去りし時を求めて S』プロモーション映像

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『ドラクエ11 S』はユーザビリティの大幅向上で、かつて『DQ11』を遊んだプレイヤーすら再プレイで100時間超えの虜になる【おすすめゲームレビュー】

 もはや語るまでもない国民的RPG『ドラゴンクエスト』シリーズ。そのナンバリング最新作『ドラゴンクエストXI』に、さまざまな要素を追加してパワーアップさせたのが『ドラゴンクエストXI S』です。当初はSwitch版のみの発売でしたが、のちに移植されて多くの機種でも遊べるようになりました。

 筆者はPS4版『ドラゴンクエストXI』をガッツリ遊んだ身なので、“追加要素版”と聞いたぐらいではそこまでそそられませんでした。しかし、当時ちょうど体験版も出ていたので、久々に遊び直してみようと軽い気持ちでゲームを起動したところ――。

 気づけば製品版を購入し、ロトゼタシアの地で再び冒険に夢中になっている自分がいました。結局、『ドラゴンクエストXI S』はトロフィーコンプリートするまでやり込みましたし、追加された裏ボスもきっちり倒しました。プレイ時間は優に100時間超えです。

 本作に含まれる追加・改良要素は、筆者が思っていたよりはるかにゲーム体験への影響が大きく、かつて遊んだユーザーにも新鮮な感動を与えてくれました。本作は、筆者と同じくPS4版『ドラゴンクエストXI』を遊んだ人にこそ、ぜひもう一度遊んでほしい作品に仕上がっています!

全体的にテンポがよくなり、便利な機能も充実!

 『ドラゴンクエストXI S』には追加要素が細かな改善点なども含めれば50以上はあるのですが、なかでも個人的に注目してほしいのがユーザビリティにかかわる部分。

 具体的にいうと、バトルスピードの切り替えやフィールド移動時にダッシュが可能になった点ですね。大げさかもしれませんが、この2点だけでも『ドラゴンクエストXI S』を遊ぶ価値があると感じています。

『ドラクエ11 S』はユーザビリティの大幅向上で、かつて『DQ11』を遊んだプレイヤーすら再プレイで100時間超えの虜になる【おすすめゲームレビュー】

 広大なフィールドの散策や敵とのバトルがプレイ時間の大部分を占めやすいRPGにおいて、これらを快適に進められるかどうかはモチベーションに直結する重要なところ。

 とくに3段階の速度から選べるバトルスピード切り替えは、PS4版ユーザーにとって待ち焦がれていた機能です。“超はやい”に設定したバトルを一度味わうと……もう戻れませんね。

 モンスターを何度も倒してレベル上げをするのはもはやRPGのお約束なので、本作でバトルをスピーディに進められるようになったのは大きな魅力です。

『ドラクエ11 S』はユーザビリティの大幅向上で、かつて『DQ11』を遊んだプレイヤーすら再プレイで100時間超えの虜になる【おすすめゲームレビュー】

 また、フィールドを高速で移動できる馬を好きな場所で呼び出せるようになったり、キャンプ地以外でも“ふしぎな鍛冶”を始められるようになっていたりと利便性も向上。残りのお宝の数がわかる“とうぞくのはな”も序盤から使用可能になっていたりと、かゆいところに手が届く機能が充実しています。

 元となる『ドラゴンクエストXI』が非常に完成度の高い作品ということもあって、ユーザビリティが磨かれるだけでゲームが何倍もおもしろくなります。既にPS4版をやり込んだ筆者が、高いモチベーションのまま本作を楽しめたのは遊びやすさの向上のおかげですね。

『ドラクエ11 S』はユーザビリティの大幅向上で、かつて『DQ11』を遊んだプレイヤーすら再プレイで100時間超えの虜になる【おすすめゲームレビュー】
冒険に役立つ機能は“べんりメニュー”にまとめられていて、すぐにアクセスできるのも◎。

改良のためには大胆に要素を削るのもいとわない

 上記の遊びやすさと関連して、本作をプレイしていて印象的だったのが“ボウガンアドベンチャー”の扱いについてです。

 知らない人のために説明すると、“ボウガンアドベンチャー”とはPS4版『ドラゴンクエストXI』に存在したミニゲームの一種。フィールド上にマトが配置されており、ボウガンで全て撃ち抜くことで景品がもらえるという、お宝探し的な要素を備えたミニゲームでした。

『ドラクエ11 S』はユーザビリティの大幅向上で、かつて『DQ11』を遊んだプレイヤーすら再プレイで100時間超えの虜になる【おすすめゲームレビュー】

 しかし、広大な3Dマップに対してマトのサイズはとても小さく、しかも風景に隠されるように配置されているものも多いので、見つけるのは困難を極めました。簡単すぎる配置だと意味がないので理解はできるのですが、それにしてもヒントらしいヒントもなく、まるで砂丘のなかから砂金を見つけるかのような難易度に……。

 基本的に初見プレイは自力で頑張り、どうしても解けない部分だけ攻略情報に頼るというスタイルの筆者ですが、このミニゲームだけは早々に音を上げて、ネットの攻略情報に助けを求めましたね。そういう苦い経験もあり、“ボウガンアドベンチャー”には正直あまりいい印象がありませんでした。

『ドラクエ11 S』はユーザビリティの大幅向上で、かつて『DQ11』を遊んだプレイヤーすら再プレイで100時間超えの虜になる【おすすめゲームレビュー】

 そんな“ボウガンアドベンチャー”は、『ドラゴンクエストXI S』でどうなったのか。はい、まるっと削除されました。

 正確にはアイテムとしてのボウガンは手に入るし、主人公がフィールド上でボウガンを撃つこともできますが、ミニゲームとしての“ボウガンアドベンチャー”はキレイになくなっています。

 この大胆な要素削りにはかなり驚きました。作り手側の目線に立てば、せっかく制作したものを丸々消すなんて惜しいし、プライドも傷つくでしょうから。

 でも、開発陣はそんな気持ちを抑え込み、あくまで遊びやすい作品を目指したのでしょう。改良のためには既存要素を潰すのもいとわない姿勢には感服です。

聞けばきっとわかる。キャラクターボイスは“あり”だと

 『ドラゴンクエストXI S』の目玉といえば、キャラクターボイスも外せません。往年のシリーズファンの中には、「『ドラクエ』キャラにボイスはちょっと……」と感じる人もいるかもしれませんが、実際にプレイしながらボイスを聞くと違和感はないと思います。

『ドラクエ11 S』はユーザビリティの大幅向上で、かつて『DQ11』を遊んだプレイヤーすら再プレイで100時間超えの虜になる【おすすめゲームレビュー】

 過去作の3DS版『ドラゴンクエストVIII』や外伝『ドラゴンクエストヒーローズ』でもボイスは実装されており、『ドラゴンクエスト』作品へのボイスの抵抗感は年々薄れつつあるのではと個人的に感じています。むしろ、キャラクターの3Dモデルがしっかり作られているほど、ボイスがないと逆に違和感を覚える気も。

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 肝心のキャストはキャラクターのイメージにピッタリ合う方々が担当していますし、どの場面も高い演技力で物語を盛り上げてくれます。

 これまでボイスありの『ドラゴンクエスト』を味わったことがない人も、『ドラゴンクエストXI S』を機に新たな世界に飛び込んでほしいです。どうしてもボイスがなじめないという場合は、ボイスオフの機能もありますし!

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個人的にボイスありで一番気に入ったキャラクターはシルビア(声優:小野坂昌也)。“アモーレショット”のボイスが完璧すぎて最高でした。

 シリーズ最高傑作とも名高い『ドラゴンクエストXI』をさらに遊びやすく、さらにリッチに生まれ変わらせた『ドラゴンクエストXI S』。未プレイの人はもちろん、かつてPS4版をプレイした人にもおすすめできる作品なので、この夏のおともにぜひ。この記事で書いた魅力の多くは体験版でも味わえるので、興味がわいたらまずは体験版からでも!

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