『ファイナルファンタジー』シリーズ最新作『ファイナルファンタジーXVI』(以下、『FF16』)が2023年夏に発売される。本作はスクウェア・エニックスが贈るプレイステーション5用アクションRPG。

 2020年9月の“PlayStation 5 ショウケース”にて発表となり、2022年6月3日に配信された“State of Play”にて最新トレーラーが公開され、発売日が2023年夏と明かされた。

 本作のプロデューサーは『ファイナルファンタジーXIV』のプロデューサー兼ディレクターを務める吉田直樹氏。大規模なMMORPGと、世界的に期待される超大作RPG最新作の両方を担当することになった吉田氏に対し、『FF16』についてのインタビューを実施。

 インタビューでは、これまでに触れられなかった新情報が続々と登場。開発状況はもちろん、ゲームシステムやバトル、世界観についてなどを深堀りして訊く。『FF16』としては初のインタビューで、とくに下記の見どころに要注目だ。

  • なぜ吉田氏は『FF14』P/Dと『FF16』Pを兼任することになったのか
  • 『FF16』で描かれる『FF』らしさとは
  • 召喚獣を使った大迫力バトルの実態
  • アクションゲームとしての遊びごたえは?
  • NOTオープンワールド、本作の基本的な遊びかたについて
  • サブクエストやクラフトの存在も判明

吉田直樹氏(よしだなおき)

スクウェア・エニックス 取締役執行役員 第三開発事業本部長。2010年12月から『ファイナルファンタジーXIV』のプロデューサー兼ディレクターを務める。現在、『ファイナルファンタジーXVI』のプロデューサーを担当している。(文中は吉田)

3月公開予定のトレーラーが6月に遅れた理由

――先日配信された“State of Play(SoP)”で新たなトレーラーが公開され、ついに発売日も発表になりましたね。

吉田はい、ありがとうございます。このトレーラーは、3月の段階で仕上がっており、あとは公開時期を決めるだけという状況だったのですが……。世界情勢が大混乱している状況で、スクウェア・エニックスを含めゲームメーカー各社が自分たちのスタンスを明確に出せていない状態でもありました。『FF16』というタイトルは、“大国がマザークリスタルを奪い合う戦記物”という側面もあり、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)さんと協議し、3月に公開するのはいったん取りやめにしたいというお話をさせていただきました。

 それから3ヵ月が経ち、もちろん世界情勢が落ち着いているとは思っていません。一方でSIEさんから「SoPの中で、トレーラーの前に全世界のゲーマーの方々に向けてメッセージを発信しませんか」というご提案をいただきました。僕たちゲーム開発者ができることといえば、映像の中でコメントさせていただいたとおり、ゲームを作って世界中の人たちに心の底から楽しんでもらうこと以外にありません。それを改めてお話しさせていただいたうえで、エンタメとして真っすぐに楽しめるものを提供したい、という気持ちで公開させていただきました。少しホッとしています。

――今回のトレーラー公開は多くの反響がありましたね。世界中のユーザーの反応を見ていかがでしたか?

吉田もう少し賛否が割れるかもしれない、と思っていたのですが、当初の想定よりもポジティブな意見が多かったので、ディレクターの高井浩(※)を筆頭に、開発チームもきっと安心しているのではないかと思います。

※高井氏の“高”の字は、正しくは“はしごだか”です

――今回のトレーラーはどのようなコンセプトで作られているのでしょうか。

吉田“何だかわからないけどすごそう”ということと“召喚獣大戦か、怪獣大決戦みたいだな”と思ってもらう、というコンセプトで作成しています。実際にトレーラーを見た方は、「システムはまだわからないけれどすごそう、召喚獣がメチャクチャに暴れるんだな」というコメントも多く拝見しましたので、伝わったのではないかと思います(笑)。

――気が早いかもしれませんが、つぎのトレーラーの公開はいつごろに……?

吉田Vコンテ(編注:動画の構成などをまとめた台本に近い指示書)はあがっていて、これからキャプチャーや編集、ナレーションなど制作に入るところです。こちらについても、世界観、ストーリーの掘り下げとともに、なんとか秋ぐらいにはお伝えできればと思っています。

『FF16』吉田直樹プロデューサーインタビュー。バトルシステムや世界観について新情報が続々。 「オープンワールドじゃないからこそできる突き詰めたゲーム体験を」

“コマンド”、“オープンワールド”は採用しなくてもいい 開発スタート時に下したふたつの大きな決断

――改めて、吉田氏が本作のプロデューサーを務めることになった経緯をお教えください。

吉田松田社長(松田洋祐氏。スクウェア・エニックス代表取締役社長)から制作の打診を受けたのはけっこう前でして、『FF14』で初となる拡張パッケージ『ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド』を発売した直後(2015年6月23日発売)です。会社としては『ファイナルファンタジーVII リメイク』の発表がすでに行われており、それをお客様の満足度が高い状態でリリースするということが最優先だった時期だったかと思います。客観的に考えて、数々の『FF』ナンバリング作品を作ってきた第一開発事業本部は『FF7 リメイク』に集中し、僕の管轄である第三開発事業本部で『FF16』を開発するという判断はあり得る話だな、と思ったのを覚えています。

 一方で、僕には「『FF14』を最高のMMORPGに仕上げていく」という目標と責任があり、これからが『FF14』の勝負の時期! というタイミングでもありました。ただでさえ『FF14』でプロデューサーとディレクターを兼任している状態で、もう1本新作タイトルのディレクターを務めるのは、開発チームにもお客様にも失礼になってしまいます。ですので、「ディレクターではなく、プロデューサーでもよろしければ検討させていただきます」と回答しました。それが経緯です。

『FF16』吉田直樹プロデューサーインタビュー。バトルシステムや世界観について新情報が続々。 「オープンワールドじゃないからこそできる突き詰めたゲーム体験を」

――実際に開発がスタートしたのは、いつごろのタイミングだったのでしょうか?

吉田ディレクターの高井浩、メインシナリオを担当している前廣和豊、ゲーム全体のシステム構築として権代光俊、という3人で「ジワジワ進めようか」という話になったのが、2015年11月あたりのタイミングだったと思います。彼らは『FF14』の中核のスタッフでもあったので、その時期から徐々に『FF14』側の引き継ぎをしっかりと行っていきました。チームリーダーとしての役割をお願いしていることもあり、『FF14』のスタッフクレジットには彼らの名前は載っていますが、第2弾拡張パッケージの『ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター』の本格開発期には、引継ぎを綺麗に行い、チームとしては分離していました。

――『FF16』の初報が2020年に出て、先日、2023年夏発売と発表があり、発売まで短期間だった印象ですが、開発スタートから数えると7年近くになるのですね。

吉田いえ、初期は本当にごく少数のメンバーでしたので、それを開発期間としてカウントするのは、開発チームがちょっとかわいそうです。僕としては、もう少し早く発売したかったという思いもありますが、家庭用ゲーム機のハード切り換えのタイミングでもありましたし、コロナ禍でさまざまなトラブルも起こりました。ゲーム作品として現代のトップ水準を目指して開発を進めてきたこともあり、お待たせしてしまいましたが、ようやくまとまったものをお見せできる状態になったかなと思います。

――プロジェクトが始動してから、最初は何を重視して開発に取り組んだのでしょうか。

吉田RPGですので、コアコンセプトとテーマを決め、世界観を構築して、まずはストーリーを固めることから始めました。シナリオを前廣が書き、僕がチェック&フィードバックをしています。『FF14』の開発と運営を最重視して、極限まで開発人数を絞りそこから始めています。

――メインシナリオは前廣さんが担当されているのですね。

吉田そうですね。前廣が書き、本作のローカライズディレクターを担当しているコージ(マイケル・クリストファー コージ フォックス氏)がアドバイスをしつつ、仕上げていきました。『FF14』の『蒼天のイシュガルド』が好きだった方には刺さるのではないかと思います。

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――シナリオが決まったつぎは、どのように手掛けていったのでしょうか。

吉田「シナリオが決まる」とは言え、セリフも含めてすべて先行して作成していますので、この時点でもかなり時間をかけています。もちろんRPGとしてストーリーを重視はするのですが、シナリオと並行してゲームの外骨格をイメージできるようにベースとなるゲームデザインを作り上げていきました。僕がプロデューサーとしていちばん最初に行った仕事は、「“コマンド”、“オープンワールド”という要素は、なしならなしでOK」とチームに話したことでした。このふたつについては、「すばらしいアイデアがあるのなら、もちろんそれでかまわない。でも、採用すべきかどうかゲームデザイン面で大きく迷うだろうから、迷うぐらいならなしでもかまわないよ」と。

――かなり思い切った決断を最初にしていたのですね。

吉田最新の『ファイナルファンタジー』を開発するということには、計り知れないプレッシャーがあります。その重圧は誰よりもディレクターの高井にいくので、プロデューサーとしてその負担を軽くして、自由に発想してもらうのが、今回の僕の役目だと思っています。

――なるほど。やはり、シリーズ作品それも『ファイナルファンタジー』だからこそ、ファンが求めることも多くあると思います。

吉田そうですね。僕は『FF14』を通して、誰よりも世界中のゲーマー、そして『FF』ファンの方と直接お話ししたという自負があります。ですが、『FF16』のプロデューサーとして、改めていまの『FF』シリーズがどう思われているか、何に期待されているのかをしっかりと知っておく必要がありました。

 僕が『FF14』のプロデューサーとディレクターを担当するときに、北瀬さん(北瀬佳範氏)に「『FF』は、そのときどきのディレクターが「これが最高のゲームだ」と思って作ったものに『FF』という名前がくっついているだけだから、何も継承する必要もなければ、何におもねる必要もない。自分たちの考えた最高のゲームを作ればそれが『FF』なんだよ」と力強い言葉をいただきました。『FF14』にリミットブレイクを実装したい、と相談したときにも、哲さん(野村哲也氏)から「無理に合わせなくたって、自由にやっていいんだよ」と言っていただいています。だからこそ僕は、シリーズで誰もやっていない“ファンサービスタイトルにする”、“『FF』のテーマパーク”にするというコンセプトで『FF14』を作りました。

――『FF』のさまざまな要素が詰まったゲームだとも言えますよね。

吉田それと同時に僕は『ドラゴンクエスト』の開発にも携わっていたので感じるのですが、『FF』はシリーズ全体を通してのファンが意外と少ないのです。シリーズの中でも好きなナンバリングと認められないというナンバリングが分かれてしまい、「『FF7』が最高だ」、「いや、『FF10』だ」、「『FF9』以外認めない」などといった意見もよく耳にします。そういったこともあり、『FF16』を自部門で担当するに当たり、全世界を対象にユーザー調査を徹底的に行いました。客観視が必要だと思ってやったのですが、けっこうショックな言葉もたくさんあり……。

――具体的にどのような意見が挙がったのでしょうか?

吉田「長く歴史のあるRPGの最高峰」、「いつも感動と衝撃をくれるシリーズ」という非常に喜ばしいコメントも多い一方で、「熱狂的な信者がいるカルト的なゲームだ」とか、「子ども向けだ」という意見も多く見られました。これを受け、肯定的な意見ばかりでなく、否定的な意見も認めないと、世界中のゲーマーに遊んでもらえるゲームにはならないのではないだろうか、と考えました。

 今回、『FF』シリーズの中でもかなりの開発費をつぎ込んでいるため、会社としては収支もとても大切です。もしシリーズとして売上がどんどん低下していけば、つぎの作品が作れなくなってしまう。だからこそ、あらゆる世代の、あらゆるタイプの方に、シリーズであるかどうか以前に、「とにかくすごそうなゲームだ」、「買って遊んでみたい」という気持ちを持っていただかないといけないのです。

――『FF』シリーズを今後出し続けるためにも、売れる作品でないといけないと。

吉田とはいえ、先ほどお話しした「僕らが最高の『FF』を作れば、それが『FF』なんだ」という言葉は本当にそのとおりだとも思っています。そして、僕たちが最高だと思う『FF』は何かと考えたとき、どんなシステムであれ、まずは「最高のストーリーとゲーム体験が得られることだ」というシンプルな結論になりました。

――なるほど。なぜその結論にいたったのかを改めてお聞かせください。

吉田それこそ、僕が『FF1』をプレイしたときに、「映画のようなゲーム体験だな」と感じたことが大きいです。演出やセリフのタイミング、ドラマ性、サウンド、それらがすべて組み合わさって、最高のゲーム体験になっている。それに加えてチョコボとモーグリがいたら、もう『FF』だなと僕は思っていて。そのゲーム体験を『FF16』でも実現しないといけない。また、第三開発事業本部や会社そのものの戦力も計算に入れてゲームデザインの骨子を決める必要があります。そう考えたときに、「オープンワールドは、いま自分たちが考えているものには、向いていないんじゃないか」と思ったのです。

「『FF』なんだから世界を救う主人公の物語でありたい」、「マップを破壊するなど、召喚獣が派手に暴れられるようにしたい」、「できるだけ早く発売したい」、「分割して発売するわけにもいかない」と、この4点を考えたとき、何もかもを求めるのは、物理的に不可能なのではないかと。15年ほど開発期間をいただけるのであれば、オープンワールドでこれらに挑戦する、という選択肢もあったかもしれませんが(苦笑)。やはりどうしても世界規模のストーリーをオープンワールドで作るとなると、期間的にも、コスト的にも現状不可能に近いです。

――だから最初にオープンワールドでなくていいとおっしゃったのですね。

吉田そうですね。ここは開発チームも絶対に悩むところだと思ったので、僕らが最高だと思うストーリーを、ゲームと映画が融合したような体験で届けると考えるとなったときに、オープンワールドでもなくていい。「いいアイデアがあり、絶対にできる!」というならもちろん応援する。でも、「やった方がいいのではないか」程度に迷うぐらいであれば、やらなくていいと最初に伝えました。

『FF16』吉田直樹プロデューサーインタビュー。バトルシステムや世界観について新情報が続々。 「オープンワールドじゃないからこそできる突き詰めたゲーム体験を」
『FF16』吉田直樹プロデューサーインタビュー。バトルシステムや世界観について新情報が続々。 「オープンワールドじゃないからこそできる突き詰めたゲーム体験を」

――コマンドについての判断もぜひ理由をお聞きしたいです。

吉田僕はコマンドとターンベースのRPGで育ってきた世代です。ですので、そのおもしろさも、没入感もわかっているつもりです。その一方でこの10年ほど、「テレビゲーム上でコマンドを選択して戦うという感覚について理解ができない」という意見をかなり目にするようになりました。とくに若い世代のユーザーや、ふだんRPGを遊ばないというユーザーを中心に、この意見はいまも増えています。数世代前のゲーム機から、キャラクター表現はすべてリアルタイムに行えるようになりました。

 “トリガーを引けばキャラクターは銃を放つ”、“ボタンを押したらキャラクターが剣を振る”といった行動が、コマンドを経由しなくても表現できるようになっています。そういったゲームに夢中になってきた僕よりも若い世代のゲーマーたちには、それが当たり前になりました。結果、すでにバトル中にも関わらず、“Battle”などのコマンドを選び、行動を決定する手間を作る意味がわからない、という発言に繋がっているようです。これはいい/悪いというお話ではなく、世代や好みによって、差が大きく開いてしまっている、ということなのです。そしてまた、ターンベースであることと、コマンド選択式にも大きな差があり、これらは同一視されやすいのですが、別のお話です。

 たしかにRPGは、古くはテーブルトークRPGから始まっており、テーブルトークで行う言葉のやり取りを、テレビゲームではコマンドに置き換えて発明されていったのだと思います。お話ししたとおり、僕はコマンド制RPGのおもしろさも知っているつもりですし、いまでも作ってみたいと思うのですが、いま『FF16』に期待されているセールス、与えなければいけないインパクトを考えたときに、開発チームが迷い、中途半端なシステムになり、結果、何度も作り直しが発生するくらいなら、なしになってもかまわないよ、と話をしました。

 先ほどのオープンワールドの採用を見送ったのと同じで、いいアイデアがあるならチャレンジしていい、でも、なんとなくとか、責任感で「コマンドもあった方がいい気がするなあ」程度なら、なしでかまわないと。これから先、つぎの『FF』はふたたびコマンドになったり、オープンワールドになる可能性は大いにあると思います。ですが、現時点で僕たち第三開発事業本部が作るのなら、『FF16』はこうなります、という感じですね。

――なるほど、そういった理由からいまのアクションをベースにしたゲームになったと。

吉田はい。そのようなシステム面をふまえたうえで、『FF』といえばイメージされる召喚獣を全面に出す方向性で考えていきました。初めて『FF』に召喚獣が登場したときに、頭の中に広がったあのイメージを、いまの世代のクオリティーで、あのスケールのまま表現したらどうなるのだろうと。まだそれを誰もやっていなかったので、正面からやってみようというのが本作のポイントでした。イメージとしては、「超巨大な召喚獣どうしがガチンコでぶつかったら」という感じですね。

“超ド級超高速ジェットコースター”を体現する大迫力召喚獣バトル

――トレーラーのなかでは、先述の召喚獣どうしのぶつかり合いなどを含め、3種類ほどのバトルが見られましたが、実際はどのようなシステムなのでしょうか?

吉田『FF16』のバトルは、おっしゃるとおり大きく3タイプに分かれています。ひとつは主人公のクライヴが人間スケールで戦うもの。相手は敵となる国の兵士たちや、数メートルの小型モンスターの群れ、人型のボスなど、トレーラーにもクライヴが召喚獣アクションを切り換えながらスタイリッシュに戦っているシーンがあると思います。

 ふたつ目は、クライヴが人間のスケールのまま、10メートルを超える大型のボスや、巨大な召喚獣と戦うバトルです。そして3つ目が、召喚獣どうしがプレイアブルで激突するというバトルです。この召喚獣どうしの激突が、『FF16』のバトルの中でもっとも派手なものになります。

『FF16』吉田直樹プロデューサーインタビュー。バトルシステムや世界観について新情報が続々。 「オープンワールドじゃないからこそできる突き詰めたゲーム体験を」
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――召喚獣は自分で動かせるということですよね。

吉田はい。おもしろいところとしては、召喚獣どうしのバトルに関しては、システムの使いまわしは一切しておらず、バトルごとにすべてフルスクラッチ、かつゲームコンセプトを変えていることです。たとえば、3Dシューティングを髣髴とさせるバトル、プロレスのように重量感があり組み合うようなバトル、マップすべてが超巨大な召喚獣になるバトル、といったように、召喚獣同士の戦いごとにゲーム体験そのものを根底から変えて作っています。それらがすべてシームレスに、一切のロードがなく、ストーリーとリアルタイムバトルとドラマがジェットコースターのようにつながっていて、いままで体験したことがない興奮が味わえるというのが今回の『FF16』です。

――ここまでいろいろとお話を聞いてきましたが、改めて『FF16』のコンセプトをひと言でいうなら?

吉田“超ド級超高速ジェットコースター”ですね。

――ちなみに、今回のトレーラーはすべてインゲームの映像なのでしょうか?

吉田オープニングトレーラーなどではなく、すべてインゲーム、95%くらいリアルタイム処理です。

――おお! ではあれがすべて体験できるということですね。

吉田カットシーンの背景と群衆の一部に、少しだけプリレンダリングを合成している箇所がありますが、それ以外はすべてリアルタイムレンダリングです。イフリートの腕がガルーダに吹き飛ばされるところもプレイアブル中のワンシーンです。たとえば、街に足を踏み入れたとき、街の全景を見るようなシーンなど、基本はリアルタイムで処理しています。転がる、吹き飛ぶ、斬り合い、タイムストップ演出なども、ロードをなくすためにほぼすべてリアルタイム処理です。

――トレーラーのなかに出てくる、大人数での戦争を行っているシーンもリアルタイムレンダリングなのですか?

吉田あの部分だけリアルタイムレンダリングとプリレンダリングの一部を合成して、リアルタイムに見えるように工夫しています。物理エンジンで計算しきれないところだけをうまくやりくりしているわけです。今回は、かなりリアルタイムでの処理にこだわっているので、あの映像がそのまま動くと思っていただいて問題ないです。もちろん、トレーラーは3月時点の映像でして、いまはさらなる最適化とクオリティーアップを行っている最中ですので、もう少しクオリティーは上がります。

――冒頭で「思ったよりもトレーラーの反響がよかった」とおっしゃっていましたが、最初のトレーラーを公開された2020年9月の段階での反響を受けたときはどう感じられましたか?

吉田あのタイミングではプレイステーション4での発売も視野に入れながら開発していたので、クオリティーを上げきれなかったのが悩みでした。あそこで一旦プリレンダリングにすることもできたのですが、開発工数的にもムダになりますし、それはしたくありませんでした。ゲーム体験として楽しめるものをそのまま抜粋してトレーラーを作りたいという思いがあったからです。

『FF16』吉田直樹プロデューサーインタビュー。バトルシステムや世界観について新情報が続々。 「オープンワールドじゃないからこそできる突き詰めたゲーム体験を」
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アクションが苦手な人でも“動かす”快感を担保 『FF16』のゲームシステムとは?

――現在の開発状況を改めてお聞かせください。

吉田エンディングまですべてつながっており、先月(2022年5月)まででメインストーリーの半分ほど、ディレクターの高井とプロデューサーの僕の細かいチェックが終わりました。フィードバックリストを作り、高井と内容を精査し、前廣と意思疎通を図り終わった段階です。開発チームに、それらの対応コストを見積もってもらい、最終スケジュールに入れ込んでいくことになります。残り半分のチェックが来月からスタートします。今回はフルアクションゲームなので、とにかく触ってチューニングをしています。カットシーンでは、どうしても演出上で納得のいかないもの、テンポが悪くなっているものは、尺を間引きしたり、つなぎ合わせを変えてみて、とにかく自分たちの作ったものを遊び、できるだけブラッシュアップをすることに時間をかけさせていただいています。

――実際にプレイする時間を多く設け、フィードバックを行ってよりよいゲームにしていくというわけですね。

吉田現状、実装ができていない部分としては、サイドクエストの一部とそのブラッシュアップ、細かい繋ぎの演出を丁寧に行っていくこと、それ以外のゲーム部分は90%以上実装が完了しています。今回はフルボイスに近く、言語対応数が多いこともあって、ボイスの収録の山場が続いています。あとは大規模なデバッグ準備と最適化を進めているところです。山場となるシーンのグラフィックスもギリギリまで手を入れていきます。

――サイドクエストがあるとのことですが、本作はどのようにゲームを進めていくのでしょうか?

吉田基本的にはリニア式(編注:大きなストーリー分岐などがない、1本の物語を追って展開するもの)になります。ただし、先ほどお話をしたように超ド級のスピードで宙返りをくり返すジェットコースターのような展開になっています。オープンワールドを採用しなかったからこそできる、突き詰めたゲーム体験にしたつもりです。「そこまで言うからには見てやろうかな」と思っていただけるとうれしいです。

――それは気になりますね。

吉田オープンワールドではありませんが、4つほどそれなりのフィールドがあります。アジトとなる場所に設置されている掲示板からモブハント用のチケットを取り、討伐対象となる強敵を探してフィールドを探索したり、フィールド内に点在するサイドクエストを遊んだりと、脇の遊びも用意されています。さらに、簡単なクラフトの概念もあり、自分の武器などを作るといった要素も存在するので、それらを潰しながら遊ぶこともできますし、とにかくエンディングまで一直線に突っ走るといった遊びかたもできます。

――リニアと言えど、遊びかたに幅がありそうですね。

吉田最近のビデオゲームはクリア率が低いというデータがあります。映画のようなゲーム体験を、というからには、やはり最後まで遊んでいただきたい。だからといってボリュームを下げたつもりはなく、ボリュームもしっかりあります。それを踏まえ、まずは夢中でクリアまで遊んで、「すごかった」という感想を抱いていただきたくて。ですので、ストーリー上は無理に脇道に引っ張っていくといったことをあまりしていません。ゆっくりとなめまわすように遊んでいけるようにもなっていますし、物語に引っ張られるままメインストーリーを突っ走っていただいてもいいというゲームデザインになっています。

――どちらの遊びかたでもプレイしたいですね……。一度クリアまで突っ走った後に遊べるやり込み要素も用意されていたりするのでしょうか?

吉田2周目ならではの要素というわけではありませんが、やり込み用の高難度モードは用意しています。さらに、配信をしながら遊ぶ方々のために、各ステージのスコアアタックのような遊びや、特定の召喚獣アビリティに制限された特殊なバトルコンテンツなどが存在します。高難度モードでは、装備に制限がかかるようになっており、UIもひと目でいまどのモードを遊んでいるかがわかるようになっているので、配信者の方々もわざわざ視聴者に説明しなくてもいいようになっています。

――高難度モードも非常に楽しみですが、アクションが苦手という方でも楽しめる作品なのでしょうか?

吉田当然、アクションゲームが苦手な方がいらっしゃることも認識しています。『FF16』は、アクションに振り切った作品にしたからこそ、アクションゲームが苦手な方でも絶対に楽しんでもらえるように保証しようと開発を進めてきました。ですので、むしろアクションが苦手だという方にこそ遊んでいただきたいです。

――具体的にはどのような仕掛けが用意されているのでしょうか?

吉田ゲームを開始すると、“ストーリーフォーカスモード”、“アクションフォーカスモード”というふたつのモードを選択できます。いずれのモードでも、ストーリーの内容には一切変化などはありません。また、ストーリーフォーカスモードは、一般的なイージー難度というわけではありません。

――単純に難度を落としたモードではないのですね。

吉田まず前提として、『FF16』には装備にアクセサリーの概念があります。ストーリーフォーカスモードでは、AIが仕込まれたアクセサリーが最初から用意されており、それをつけ外しすることでクライヴの基本制御が変更できるようになっています。たとえば、敵の攻撃がヒットしそうになったらクライヴが完璧な動作で超絶かっこよく避けるようになったりします。

――そのアクセサリーをつければ、特定の回避アクションがオートで行われるということでしょうか?

吉田そうですね。ただ、「勝手に動くのはアクションゲームと言わないだろう」と思われる方もいると思います。そういった方に向けて、自分で操作している感覚をしっかりと味わえるものもあります。たとえば、攻撃がヒットする数フレーム前からスローがかかって、3秒ほどの猶予のあいだにR1ボタンを押すと時間がもとに戻ってクライヴが超絶的な回避を行う。こういったオートとマニュアルの中間点のような環境も用意しています。アクセサリーはいつでも付けはずしができるので、慣れてきたら外す、難しいと思ったら装備するといったように、自分の腕前に合わられます。そういったフォローを徹底させていただいているので、アクションが苦手だという人にこそ、ストーリーフォーカスモードで超ド級のストーリー体験を味わってもらえるとうれしいですね。

――ストーリーフォーカスモードで始めても、アクセサリーさえ外せばほかのモードと同じように遊べるというわけですね。

吉田はい。特定のボタンを押すだけで召喚獣やアビリティを切り換えながら華麗にコンボを決められるといったものもありますので、自分が操作しているクライヴがカッコ悪いなと思ったら、アクセサリーを装備して没入感を高めていただければなと。逆に、腕に自信がある人はアクションフォーカスモードで歯応えのあるバトルを楽しんでいただきたいですね。

――AIが制御するアクセサリーはアクションフォーカスモードにはないのですか?

吉田アクションフォーカスモードにもアクセサリーは用意されています。途中で難しいと感じたら、アクセサリーを装備していただいてもいいですし、クリアするまでひたすら挑戦し続けていただいてもいいです。さらに遊び応えを求めるのであれば、先ほど説明したスコアアタックなどの遊びに挑戦してくださるとうれしいですね。

――バトルにはパーティの概念はあるのでしょうか?

吉田ストーリーによって入れ替わりはしますが、AIが操作する仲間は存在します。ほかにも、“バディ”と呼んでいるキャラクターがおり、ほぼすべてのバトルについてきます。このバディへは、自分へのヒールや特定の敵を攻撃するといったマニュアル的な指示もできます。もちろん、すべてAIに任せて自分は操作に集中するといった遊びかたも可能です。

『FF16』吉田直樹プロデューサーインタビュー。バトルシステムや世界観について新情報が続々。 「オープンワールドじゃないからこそできる突き詰めたゲーム体験を」

クラシックファンタジーを描く 『FF16』の世界観について

――本作の舞台は、現実世界で考えるとどれくらいの時代をイメージしているのでしょうか?

吉田皆さんがイメージされる中世ヨーロッパに、日常の道具として魔法が存在しているといういわゆるファンタジー世界ですね。

『FF16』吉田直樹プロデューサーインタビュー。バトルシステムや世界観について新情報が続々。 「オープンワールドじゃないからこそできる突き詰めたゲーム体験を」

――『FF14』の世界とのリンクについて考察している声も多くありますが……。

吉田そこはあまり連想されなくて大丈夫です(笑)。『FF14』は強いコミュニティーに支えていただいているのですが、そこに引っ掛けすぎると『FF14』をプレイしていない方からすると疎外感が出てしまいます。ですので、基本的にまったく別物だと思っていただいて大丈夫です。ただ、同じ部署が作っているので、ニュアンスはどうしても似るところはあるかなと思います。

――ガルーダが『FF14』のデザインに近いイメージですよね。

吉田僕らには何と言いますか、“華”がなくて、渋いのが好きで……ガルーダと言えばああなってしまうのです(苦笑)。ガルーダは、登場キャラクターのベネディクタがドミナント(注釈:召喚獣の力を宿した人間のこと)なのですが、本人の性格だったり、残忍さだったりがデザインに反映されていたりします。

『FF16』吉田直樹プロデューサーインタビュー。バトルシステムや世界観について新情報が続々。 「オープンワールドじゃないからこそできる突き詰めたゲーム体験を」
『FF16』吉田直樹プロデューサーインタビュー。バトルシステムや世界観について新情報が続々。 「オープンワールドじゃないからこそできる突き詰めたゲーム体験を」

――本作では“マザークリスタル”が重要な役割を担っていますよね。公式サイトでも簡単な説明が掲載されていますが、マザークリスタルを中心にどのように世界が構築されているのかを改めて教えていただけますか?

吉田世界観としては、ヴァリスゼアという大陸の中でマザークリスタルの下に国が形成されていったというイメージです。現代風に言うと油田がそのイメージに近しいです。マザークリスタルは、魔法を生み出すエーテルを産出する場所で、そこにそれぞれ国ができ、栄えていきました。それと同時に、現代で言う核兵器のような存在として、各国のルールに則って召喚獣とドミナントというものが生まれ、それが代々受け継がれています。

 ところが、マザークリスタルから放出されているエーテルが枯渇し出すという状況になり、いままではギリギリ均衡を保っていた国どうしが、いよいよ他国のマザークリスタルに手を出し始めます。そこで禁断と言われていた召喚獣の激突が起こって……というのが今回の物語のベースになります。

――フェニックスとイフリートという、火をつかさどる召喚獣を物語の中心に据えた理由が気になります。

吉田ドミナントと召喚獣は、国によって扱いが違います。主人公・クライヴの出身国であるロザリア公国だと、大公家に代々フェニックスのドミナントが生まれ、そのフェニックスは国の守り神として大事にされています。とはいえ、召喚獣が必ずしも歴代の大公に宿るとは限らず、今回の物語で言うと、クライヴではなく弟のジョシュアに宿っており、クライヴはそれを引け目に感じています。

 一方で、隣国である鉄王国では、召喚獣とドミナントは汚らわしきものと定義されていて、完全に従属させられ戦争の道具として扱われています。フーゴの所属しているダルメキア共和国では、評議会メンバーの中に歴代のタイタンのドミナントが軍事顧問責任者として存在していて、いまやその発言権が大きくなっている。このように、国によってドミナントと召喚獣の扱いが違うのです。

 その中で、各属性で召喚獣は1体しかいないというのが原則ルールとなっています。ですが、炎の召喚獣はフェニックスのはずなのに……というところが物語の起点になっています。

――かなりイメージができてきました。トレーラーでもイフリートがかなり印象的でしたね。

吉田できるだけクラシック『FF』のファンから最新のファンまで、全員が知っている召喚獣をリアルスケールで動かしたいという思いが第一にありました。謎に包まれた黒い召喚獣を追いかけて、復讐を誓うのがクライヴの物語でもあります。その彼の復讐がひと筋縄でいくのか……というところが見ものなのではないかと思います。

――このような世界観にしていくというのは、最初の段階から決まっていたのでしょうか?

吉田召喚獣どうしの激突を描こうというのは最初から決めていました。召喚獣がいて、マザークリスタルというものが存在する。その設定を決めた後に、世界地図を描いていき、「この国とこの国が争い合う」、「この国のテーマになる召喚獣はこれだ」と話を広げていきました。

――通常バトルなどでは召喚獣を切り換えて戦うようですが、『FF』シリーズならではのジョブの概念などはあるのでしょうか?

吉田ジョブの概念は開発中も何度か浮上したのですが、採用には至りませんでした。召喚獣アクションにジョブの要素を入れると、どうしても内容のイメージに制約が出てしまう。『FF』といえばジョブをイメージする人も多いとは思いますが、全世界で『FF』を知らない人にも改めて触ってほしいという思いもあり、その方々が遊ぶときにわからないことを減らしたいというのも、理由のひとつです。

――なるほど。クライヴはナイトの称号は得ているようですが、これはあくまでもストーリー上の設定だということでしょうか?

吉田クライヴがナイトと呼ばれるのは、ロザリアでフェニックスを守るガードとしてのナイトという称号なだけですね。もちろん、まったくジョブの要素が入っていないわけではありません。すでに公開したトレーラーでも確認できますが、敵として竜騎士が出てきています。トレーラーを公開した後に「また竜騎士はすぐに床に転がるんだ」という感想も目にしましたが、けっこう強いので挑戦される際は、気を引き締めて挑んでいただければ(笑)。

――それは楽しみですね! ちなみに、ストーリーを見るためだけに進めるという前提ですと、どの程度のボリュームになるのでしょうか?

吉田まさにいま調整を行っているところですのではっきりと時間まで明言はできませんが、本作を遊ばれる方が大満足できるボリュームになっていると思います。ストーリーをラストまで突っ走るという方はもちろん、豊富に用意している要素を通じて壮大なスケール感を感じながらじっくりと遊ぶという方まで、しっかりと遊び応えを感じられる内容になっているかなと。

――話を聞くとワクワクするポイントばかりなのですが、吉田氏として「ここを見てほしい」という要素がありましたら教えてください。

吉田先ほど述べたとおり、リアルタイムでのレンダリングにこだわって作っていて、ロードがないことによるゲーム体験の気持ちよさに注目して見ていただきたいです。引き込まれる物語と演出、ゲーム体験という、その連続性はほかの作品では味わえないものになっていると思います。物語が進むにつれて、衝撃が強くなったり、一気に収束したりという波が何度もやってくるので、そこもぜひ見ていただきたいですね。

――多くのシーンをリアルタイムレンダリングで表現するというのは、開発者としてのこだわりで決定されたのですか?

吉田こだわりというよりも、制作手法からそうなった、というのが大きいです。ただし、プリレンダリングでのクリエイティブを得意とするチームとも協力していて、映画『KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV』を作った野末(野末武志氏)のチームにもガッツリと参加してもらっていて、演出やコンテ、いくつかのパートの監督をいっしょにやってもらっています。モデリングチームにもCGのキャラクタービジュアルをブラッシュアップする際に細かく調整をお願いするなど、手を組んで開発を進めており、細部までこだわって作っています。

――リアルタイムレンダリングにすることの利点は何なのでしょうか?

吉田ある程度調整が効きやすいところです。開発が進むと、がんばって作ったシーンでも、プレイの上で泣く泣くカットせざるを得ないことがあります。たとえばプリレンダリングの映像の場合、修正の際に再レンダリングをするだけで莫大な時間がかかります。もちろん、だからカットしていい、というわけではありませんが、そういった製作上の工程からもプリレンダリングの割合はかなり少なくなりました。

『FF16』吉田直樹プロデューサーインタビュー。バトルシステムや世界観について新情報が続々。 「オープンワールドじゃないからこそできる突き詰めたゲーム体験を」
『FF16』吉田直樹プロデューサーインタビュー。バトルシステムや世界観について新情報が続々。 「オープンワールドじゃないからこそできる突き詰めたゲーム体験を」

――話をお伺いして、かなり本作のイメージがつかめたと思います。最後に本作の発売を楽しみにしているゲームファンの方々に向けてメッセージをお願いします。

吉田今回は、アクションゲームとして尖ったものを作り、そこにド級のシナリオを積んで、超高速で突っ走るようなゲームデザイン。「オープンワールドじゃないのか」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、世界をまたにかけた、ストーリー最重視のファンタジーを創るということを考えたときに取捨選択すると、いまの我々には、これがベストな選択だったと思っています。立ち返れば「挑戦することこそ『FF』だ」という風に坂口さん(坂口博信氏)に言っていただいたので、チャレンジをした『FF16』を作ることで新しい『FF』も今後絶対に生まれていくはずです。

 『FF』シリーズのファンの方はもちろん、とくに『FF』シリーズの名前は聞いたことがあるけどやったことがないという人たちこそ、本作を遊んでいただきたいと考えています。最終的には「PS5本体を買ったらマストバイ」、「とりあえず『FF16』を買っておくか」と言っていただけるようにがんばっていきますので、ぜひ楽しみにしていただければと思います。

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