スパイク・チュンソフトより、Nintendo Switch、プレイステーション4、Xbox One、PC向けの新作ゲーム『AI: ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブ』(以下『AI2』が、2022年6月23日に発売される(※)。

※Steam版は6月25日配信開始予定。

『AI: ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブ』を遊ぶ前に第1作でシリーズの魅力を予習しよう【ネタバレ薄め】
本記事はスパイク・チュンソフトの提供でお送りします。

  “人間とAIがバディ(タッグ)を組んで連続殺人事件に挑む”、“夢の世界を捜査する”といった、新機軸を打ち出したサスペンスアドベンチャーの第2作である。価格は各7480円[税込]。

 第1作からは物語としては独立しており、第1作を遊んでいなくても十二分に楽しめるが、主人公のひとりであるみずきを始めとした主要キャラクターの一部や、重要参考人の夢の世界に潜って捜査を行う“ソムニウムパート”などの基本システムは共通している。よって、第1作を知らないよりは知っておいたほうが、『AI2』の世界をより深く理解できる、という塩梅だ。

 本記事ではシリーズの魅力を探るべく、第1作である『AI: ソムニウム ファイル』(以下、『AI』)について振り返っていく。

 併せて、当時のレビュー記事もチェックしていただけると幸いである。

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打越節全開の痛快サスペンスは必見!

 『AI』は2019年9月19日 にスパイク・チュンソフトより発売された。シナリオ、ディレクションは、『Ever17』や『極限脱出 9時間9人9の扉』を始め、多数の名作アドベンチャーを世に送り出してきた打越鋼太郎氏が担当。現代劇にSF要素を盛り込み、またいたるところに真相への伏線を張り巡らさせた設定や、つねにどこか“含み”を持たせ、プレイヤーを安心させない物語展開、ギャグやメタといった大量の“遊び”……。“打越節”は本作でも健在で、多くのファンを唸らせていた。

『AI: ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブ』を遊ぶ前に第1作でシリーズの魅力を予習しよう【ネタバレ薄め】
『AI』

 舞台となるのは現代の東京(地名は微妙に異なる)。プレイヤーは、警視庁特殊捜査班先進式人脳捜査部隊(ABIS)所属の捜査官、伊達鍵(だて かなめ)を操り、その左眼窩にいる義眼型のAIマシン“AI-Ball”のアイボゥとともに、連続猟奇殺人事件の解決に挑んでいくのだ。

 AIというと無機質な受け答えをするロボ的なイメージがあるかもしれないが、アイボゥはボケもツッコミもハイレベルでこなす、人間臭いキャラクター。「お前、本当は人間がアテレコしてるだろ!」とツッコみたくなるくらいである。なぜか20世紀のネタにも精通しており、昭和生まれを喜ばせてくれる。

『AI: ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブ』を遊ぶ前に第1作でシリーズの魅力を予習しよう【ネタバレ薄め】
『AI』

 そんなふたり(?)が紡いでいく物語は、現実世界で調査や聞き込みを行い、事件の手掛かりを捜す“捜査パート”と、重要参考人の夢の世界に入り、記憶の底に眠る手掛かりを探り出す“ソムニウムパート”をくり返しながら進んでいく。

 捜査パートは、さまざまな場所に足を運び、画面内の背景や人物を選択して調べたり、会話をしながら情報を集めるモード。調査可能なオブジェや人物には、事件とはまったく関係のない情報やネタが出てくるものがあるなど、遊び心もたっぷりで多くのプレイヤーを楽しませていた。

『AI: ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブ』を遊ぶ前に第1作でシリーズの魅力を予習しよう【ネタバレ薄め】
『AI』

 日常的に伊達とアイボゥは漫才のようなやり取りをくり広げているため、ついつい忘れてしまいそうになるのだが、アイボゥは最先端の技術が詰まった超ハイテクマシン。捜査中は内蔵されたX線やサーモグラフィーといった機能を使う場面も出てくる。

『AI: ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブ』を遊ぶ前に第1作でシリーズの魅力を予習しよう【ネタバレ薄め】
『AI』

 物語が進んでいくと、集めた証言や証拠を重要参考人に突きつけて真実を吐かせる“取り調べ”や、画面に表示されたボタンをタイミングよく押すことで物語が進むアクション的な要素“QTE(クイックタイムイベント)”といったものも。これらは『AI2』にも登場する。

 『AI2』では、アイボゥに加え新たなAI-Ballの“タマ”が登場する。セクシーなビジュアルやドSな言動など、アイボゥよりもわかりやすい特徴があるぶん、そのポテンシャルも想像しやすいと言える。早く彼女の活躍を見たいものである。

『AI: ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブ』を遊ぶ前に第1作でシリーズの魅力を予習しよう【ネタバレ薄め】
『AI2』

 そしてもうひとつのソムニウムパートは、『AI』シリーズの目玉とも言えるモード。相手の夢の世界に入ることができる“Psync装置”という機械を使って、重要参考人の頭の中に潜り込むのだ。捜査パートがオーソドックスな推理系アドベンチャーの調査モードであるのに対し、こちらはリアルタイムの謎解きゲームのような感じだろうか。

 夢の世界は対象となる人物によってまったく異なる光景が広がっていて、場合によっては悪夢のような気分を味わわされることになる。また、夢の中の世界はなんでもアリなのでそれぞれ独自ルールが設定されていることが多く、常識が通用しなかったりもする。そんな困った世界を歩き回って手掛かりを捜したり、対象者の心の錠前“メンタルロック”を解除しながら、6分間という制限時間内で最奥を目指していくのだ。

『AI: ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブ』を遊ぶ前に第1作でシリーズの魅力を予習しよう【ネタバレ薄め】
『AI』

 またここではアイボゥが人間形態となり、伊達の代わりに行動してくれる。ソムニウムパートの冒頭で毎回のようにネタを披露してくれたり、捜査中も随所にネタ的選択肢を放り込んで笑わせるなど、基本的にダークな展開の多い夢の世界を盛り上げる貴重な存在となっている。

『AI: ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブ』を遊ぶ前に第1作でシリーズの魅力を予習しよう【ネタバレ薄め】
『AI』

 これらのシステムは『AI2』にもほぼそのまま継承されているので、あらかじめ『AI』をプレイして予習しておくと、『AI2』にもすんなり入れるかもしれない。

 『AI』の物語は“サイクロプス事件”と呼ばれる連続猟奇殺人事件がテーマになっているだけあって、序盤から左目をくり抜かれた女性(伊達の親友の元妻)の死体に遭遇するなど全体的にヘビーな展開が多い。また、始めは得体の知れなかった真犯人の影が、だんだんと身近に忍び寄ってくるように感じさせるため、「じつは仲間だと思っていたあの子が犯人だったのでは……」と疑心暗鬼に駆られてしまうことも。

 ただ、伊達やアイボゥ、そのほか主要キャラクターで『AI2』にも登場するイリスやみずきたちとの洒脱なやり取りが随所でくり広げられるため、そこまで陰鬱さを感じさせないのも『AI』の特徴と言える。……と、ちょっと優等生的な表現をしたが、彼らのやり取りには下ネタがふんだんに含まれている。『AI2』ではやや大人になってはいるが、そのおバカぶりは健在。精神年齢が永遠の若手な紳士淑女の皆さんはそれも楽しみにしていてほしい。

『AI: ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブ』を遊ぶ前に第1作でシリーズの魅力を予習しよう【ネタバレ薄め】
『AI』

 キャラクターたちの醸し出す魅力には、『AI2』でも引き続き担当しているコザキユースケ氏のキャラクターデザインも、大いに貢献していると思われる。隠しごとを秘めている美男美女、昭和のギャグアニメに出てくるような独特すぎるビジュアル&言動の脇役たち……。視覚的にも楽しませてくれるのだ。

 そしてバッドエンド的な結末をいくつも経ながらも、最後の最後にすべての伏線が回収されて物語が収束していく展開は、爽快のひと言。その感覚を味わったら、必ずや『AI2』もプレイしてみたくなるはずだ。

 『AI2』には、『AI』でも大活躍したみずきが主人公のひとりとして登場する。『AI』での知識は、物語的にはむしろミスリードに働く面が多いのだが、その人となりをあらかじめ知っておくと、『AI2』の世界にもよりなじみやすくなるはず。プレイスタイルにもよるが、だいたい20時間ちょっとあれば解決編までにはたどり着けるので、『AI2』の発売を待つあいだ、『AI』で予習してみるのもアリかもしれない。

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