2022年5月10日、ソニーグループは決算を発表した。

 発表説明会の配信や資料は公式サイトより確認できる。

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ソニーグループ2021年度決算説明会資料
ソニーグループ公式ポータルサイト 決算短信・業績説明会資料

グループ全体の売上高は過去最高を記録。10兆円目前に

 ソニーグループ全体では、2021年度売上高は9兆9215億円を記録。これは前年比で9229億円、約10%の増加となった。合わせて営業利益も1兆2023億円で前年比2471億円増、26%増となっている。これらの売上高、営業利益は過去最高の額となる。

 また、2022年度の連結業績見通しでは売上高11兆4000億円、営業利益1兆1600億円を見込んでいる。

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 とくに映画分野、エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野、音楽分野での大幅増収が寄与したとしている。

ゲーム&ネットワークサービス分野は売上高2兆7398億円

 プレイステーション事業を内包するゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野では2兆7398億円を記録。営業利益は3461億円となっている。当分野の2022年度業績見通しでは、3兆6600億円の売上高を見込む。

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 2021年度の業績については、ハードの売上増加や為替の影響がプラス要因として働いた一方、アドオンコンテンツ(追加ダウンロードコンテンツ)を含む自社制作以外のタイトルを中心としたソフトの販売減がマイナス要因として挙げられている。

 また、製造コスト以下の価格設定としているプレイステーション5(PS5)の収益性が改善され、損失の縮小が行なえたことが営業利益へのプラス要因として説明された。

2022年度のPS5は1800万台の販売を想定

 2022年4月~2023年3月末の売上高は、ハード・周辺機器、ソフト・DLC販売の増加や為替の影響を見込み、前年比34%増の9202億円の売上高を想定している。ただし、営業利益はBungie(バンジー)の買収に掛かる費用が含まれ、411億円減となる3050億円見込みとなっている。

 なお、説明会の配信で解説されたところによると、この数字には、PS5については部品調達のめどが立っている1800万台が販売見込みとして織り込まれている。

 説明会では自社スタジオ開発の拡充についても紹介され、『アサシン クリード』シリーズを開発したジェイド・レイモンド氏の独立スタジオであるHaven Studios(ヘブンスタジオ)の買収についても触れられた。

 また、コンテンツ開発費の増加、自社制作ソフト+PCなどPSプラットフォーム以外にもソフトを提供するマルチプラットフォーム売上高も増加しており、今後もマルチプラットフォームへの提供は続けていくことが明かされた。

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決算説明会スライド資料より抜粋。

ゲームIPの活用

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決算説明会スライド資料より抜粋。

 映像分野では、プレイステーションタイトルとして映画化された『アンチャーテッド』を始め、今後も『ゴースト オブ ツシマ』や『The Last of Us(ラスト・オブ・アス)』の映像化も進行中であることが紹介された。

PS5は1150万台、PS4は100万台を販売

 また、補足資料内“Unit sales of key products 主要製品販売台数”によると、2021年度はPS5を約1150万台(累計約1930万台)販売、PS4は約100万台を販売したとしている。

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補足資料より抜粋。

 また、補足資料内ではPSN(プレイステーション ネットワーク)の月間アクティブユーザー数は推計値で1億600万ユーザー、有料のPS Plus会員数は4740万人にのぼることも記されている。

 また、説明会の質疑応答では、PS5の調達について質問が行われた。回答はソニーグループ取締役代表執行役副社長兼CFOの十時裕樹氏。

 上述の通り、2022年度には1800万台の販売を想定しているが、これはあくまで現時点で部品の供給にめどがついている数字であるとのこと。現在の感触としては、「需要についてはさらに高く、この数字でもまだ若干の不足がある」との考えを明かした。

 また、需要に対してタイムリーに商品を届けるにはある程度の在庫も必要となるが、現在はその在庫も少なく、全体として「やはり足りない」という認識であると回答。

 さらに、昨年行われた2020年度の決算発表時には、2022年には1年間の販売台数でPS4を超える2260万台の販売を見込むとしていたが今回1800万台とした理由を問われ、こちらも「部品調達の問題であり、現在めどがついている数字に下方修正を行った」と経緯を説明した。

記者の目

 グループ全体の売上高が約10兆円、過去最高額となるほど好調のソニーグループ。2021年度決算についてゲームファンが気になるであろう部分を抜粋して紹介した。

 とくに気になるのはやはりPS5関連。依然品薄の続くPS5本体だが、想定通りの供給が行われれば、2020年11月の発売から2022年3月末までの約17ヵ月間で販売したのとほぼ同規模の供給が今後約1年でなされることとなり、本体の供給はかなり改善されると考えられる。今後の供給増に引き続き期待したい。

【2022/05/11 13:20】一部文言を修正しました。