SFシューティングアクションゲーム『CHORUS(コーラス)』が、2022年2月10日に、Koch Mediaよりプレイステーション5、プレイステーション4向けに、パッケージ版とダウンロード版がリリースされた。Xbox Series X|S、PCは3月中旬のアップデートで日本語対応予定だ。

 ドイツのデベロッパーであるDeep Silver FISHLABSが手掛ける本作は、主人公のナラが、AI知能を有する戦闘機フォーセイクンとともに、彼女を生み出した闇のカルト教団を倒す贖罪の旅に出るという、中々にハードな設定の一作。強力な武器や超常的な能力を駆使して戦う爽快さも魅力となっている。

 本作が発表されたのは、2020年5月に行われたXbox Series Xのラインアップをお披露目する配信番組の“Inside Xbox”にて。SFの世界観設定が好きな人にはたまらないのではないか……と印象的だったが、そんな同作がいよいよ発売ということで、Deep Silver FISHLABS スタジオクリエイティブディレクターのマレク・ベレカ氏にメールインタビューをする機会を得た。ここでは、そのやり取りをお届けしよう。インタビューは、リリース前に実施したものとなる。

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SFシューティングアクション『コーラス』の開発者に聞く。テーマはずばり“ダークで超自然的、アクション満載の宇宙を舞台にした贖罪の旅”

マレク・ベレカ氏(Marek Berka)

Deep Silver FISHLABS
スタジオクリエイティブディレクター

「人が何かに失敗してしまったときに自身を責めることは当然だが、どのように本当の自分を受け入れ、名誉を回復するのか」

――本作は、どのような経緯で生まれたのでしょうか?

マレク私たちのスタジオは、私たちのスタジオにとってもっとも有名な『Galaxy on Fire』シリーズを筆頭に、モバイルゲームの開発における長い歴史があります。そのため、巨大なコンソールゲーム市場に取り組むことを決めたときも、自然とこの豊富な経験を利用する流れになりました。

 当初は『Galaxy on Fire』シリーズの続編も検討していましたが、一旦深呼吸をしてみて、より大胆かつ独自の方向性を模索しつつ、ゲームの雰囲気を固めていくことにしました。そして、スピード感、アーケードスタイルのアクション、未来を舞台にしたシリアスな物語と“超能力”をミックスしたアイデアが生まれました。それが、『CHORUS』が誕生した瞬間です。

SFシューティングアクション『コーラス』の開発者に聞く。テーマはずばり“ダークで超自然的、アクション満載の宇宙を舞台にした贖罪の旅”

――主人公ナラと知能を持つ戦闘機“フォーセイクン”が、彼女を生み出した闇のカルト教団を打倒するための贖罪の旅に出るという、非常に重い内容になっているのですが、どういった経緯でこのストーリーは発想されたのですか?

マレクまず、主人公には影のある経歴を持たせたいと思いました。そのほうがキャラクターの信憑性が高くなりますし、過去の過ちからやり直そうとする人には、皆共感をしやすいからです。彼女の物語はプレイヤー自身の人生にとっても、インスピレーションやモチベーションを与え得るはずです。

 つぎに、フォーセイクンを仲間に加えるという素晴らしいアイデアが生まれました。つまり、主人公にとって会話のできる友であり、独自の視点や謎に満ちた背景、少し変わった意欲を持った、大切なキャラクターがつねに彼女のそばにいるわけです。

 最終的には、ナラとフォーセイクンが引きずっている過去の問題をどのように解決するのか、というテーマが、そのままゲーム性やストーリーに反映されることになりました。

 このストーリーのインスピレーションとなったものはさまざまですが、要約すると、「人が何かに失敗してしまったときに自身を責めることは当然だが、どのように本当の自分を受け入れ、名誉を回復するのか。何をして、何に失敗したのか、自身のダークサイドについて完全に理解する」ということに着想を得ています。

――ずばり、本作のテーマを教えてください。

マレクダークで超自然的、そしてアクション満載の、宇宙を舞台にした贖罪の旅です。

SFシューティングアクション『コーラス』の開発者に聞く。テーマはずばり“ダークで超自然的、アクション満載の宇宙を舞台にした贖罪の旅”

――主人公のナラと相棒である知能を持つ戦闘機“フォーセイクン”は、バディもののバリエーションかと思われますが、どのような経緯でこの組み合わせは生まれたのですか?

マレクこのおもしろいコンビを生み出したのは、彼らの物語を自然に伝えたいと思ったためです。ふたりの関係性は本作の根幹のひとつで、ゲームの進行や敵勢力との戦いに直接影響します。ふたりはつねにいっしょなので、彼らがそのとき感じていること、周りで起きていることについて考えていることを、会話によってプレイヤーにナチュラルに伝えることができるのです。

 ふたりはそれぞれが異なる魅力を持っています。ナラは過去に強く影響されており、ときには扱いづらいこともある人物ですが、内面には強い勇気を秘めています。一方、フォーセイクンはブラックユーモアのセンスを持ち、ときおり戦闘狂的な発言をすることもあるため、ナラが経験するあらゆるドラマの緩衝剤としても役立っています。

 ふたりの関係性がゲーム本編を通じてどのように変化していくのかも見どころです。

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――本作は、「伝統的なシューティングジャンルを進化させた、激しい高速シューティングアクション」とのことですが、伝統的なシューティングジャンルからどのようなところが進化しているのでしょうか。また、シューティングアクションとして、もっとも注力しているポイントを教えてください。

マレクこちらの質問を聞いて、まず頭に浮かんだのはスピードの体感を重視したことです。飛行そのものの速度ではなく、アクション全体のスピードです。移動や旋回、リポジション、そしてこれらにスパイスを効かせる神秘的な超能力。自身が頂点にいることを感じるとともに、危険なことをしていると自覚もするスリル感。スリルに満ちた身のこなし、宇宙を舞台にした死のダンス、動かずにいれば死が待つと直感的に感じる……。

 私たちは上記を実現させること、プレイヤーが操作しやすい形に整えることに注力しました。プレイヤーはボタンひとつですべてを直接コントロールすることが可能です。また、戦闘中の操作のレスポンス速度と定位飛行も、私たちの経験の礎にもとづくものです。

――本作は戦闘機であるフォーセイクンのカスタマイズ要素があるようですが、本作のカスタマイズ要素でこだわったポイントを教えてください。プレイヤーにはどのように遊んでほしいですか?

マレクカスタマイズは、一部コレクター向けのスキンも用意していますが、フォーセイクンの外見に重点を置いているわけではありません。武器やサポート的なサブシステムを機体に装備することで、さまざまなコアバリューを調整することができるものです。

 また、プレイヤーが該当アイテムを集めて装備することで効果を持つ“アイテムセット”という、少し隠された要素もあります。これらはもちろんボーナスを与えるものですが、そのセットに属する多くのアイテムを装備すればするほど、さらなるボーナスがアンロックされるというメリットがあります。とくにゲーム後半では、戦闘戦略にフォーカスしたものもあり、プレイヤーは自分に合ったプレイスタイルを決めることができます。

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――本作はナラと“フォーセイクン”のアイデアが最初にあって、ジャンルがシューティングアクションになったのですか? それともシューティングを進化させたいとの思いから設定やストーリーが決まったのでしょうか?

マレク最初は私たちの過去作からインスピレーションを得た宇宙戦闘シューティングゲームから始まりましたが、ナラとフォーセイクンのアイデアが具現化したときに、アクションゲームのバックボーンも再形成されました。強力なサイキック・エースパイロットと高性能なAI宇宙戦闘機が一体となって戦う、無敵の戦闘コンビのような体験をプレイヤーに提供したいと思ったのです。

――ビジュアルが非常に印象的ですが、とくにこだわったポイントをお教えください。

マレクダークでミステリアスな色遣いは、マップによってテーマが設定されています。たとえば、“ステガ”システムには2色の層があることにお気づきでしょうか。小惑星の輪の上にある光沢のある色と、より奥に進むと現れる、青みがかった暗い色です。生と死、意識と無意識、見えるものと見えないもの……、ナラの過去に繋がるコアなイメージは下に、彼女が現在体験しているイメージは上に配置されています。

 具体例としては、映画『プロメテウス』や『スター・ウォーズ』から発想を得ました。最終的には、ゲーム内全ロケーションの風景と、そこに表現することができた感情のサブテキストに、私たちは非常に満足しています。

SFシューティングアクション『コーラス』の開発者に聞く。テーマはずばり“ダークで超自然的、アクション満載の宇宙を舞台にした贖罪の旅”

――SFの世界観などにもこだわっていると思うのですが、とくにSFファンに注目してほしいポイントはどこですか? ちなみに本作はSF作家などの監修が入っているのでしょうか?

マレク私たちはアクション主体のスペースシューティングゲームを制作しましたが、SFの世界観とその物語は、メインストーリーやゲーム内の出来事に明確かつ深い文脈を持たせるために、自然と生まれたものです。私たちはこのような創作活動が好きですが、とくにこのジャンルのゲームをプレイする場合には、誰もがストーリーに没頭したいというわけではないことも知っています。

 一方で、興味のあるプレイヤーの方は、“フェイスレス”の正体や、現実世界との平行関係を考察することも可能です。ナラとフォーセイクン、グレート・プロフェットの背景もこれらと結びついているので、彼らの正体やすべてがどのようにつながっているのかをより深く理解するきっかけになるはずです。また、監修は完全に社内で行っています。

――せっかくの機会なので聞いてしまいます! タイトルの“CHORUS”にはどのような意味があるのでしょうか? 敵勢力は“サークル”のようですが、それとはまったく別ですよね?

マレクタイトルの意味は、意図的に、ゲームをプレイする中でおのずと明らかになっていくようにしています。私がお伝えできることは、“コーラス”とは調和における最高の形態であり、善悪を問わず実体のあらゆる側面が受け入れられ、真のポテンシャルを発揮することができる状態である、ということです。

SFシューティングアクション『コーラス』の開発者に聞く。テーマはずばり“ダークで超自然的、アクション満載の宇宙を舞台にした贖罪の旅”

――まったくもって気の早い話ですが、本作のさらなる展開は視野に入っておりますでしょうか? ダウンロードコンテンツや続編など……。

マレクどれも実現の可能性はありますが、まだお約束できることはありません。

――最後に本作を楽しみにしている日本のゲームファンに向けてメッセージをお願いします。

マレク本作は親愛なるプレイヤーの皆さんのために制作されました。私たちは何年もかけてこの体験を作り上げ、皆さんが本作に費やして下さる1分1秒を光栄に思っています。この体験がリラックスやリフレッシュ、チャレンジ、豊かさ、そしてインスピレーションに繋がることを信じています。皆さんのために本作を制作するチャンスを与えていただき、ありがとうございます。