2022年2月9日(水)、ソロシンガーとしても活躍する声優の夏川椎菜さんの2ndアルバム『コンポジット』がリリースされる。1stアルバムからは約3年ぶり、その間にリリースされた4thシングル『アンチテーゼ』、5thシングル『クラクトリトルプライド』は、オリコンTOP10入りを果たすなど、注目を集めている。

 そんな夏川さんに、待望の2ndアルバム『コンポジット』についてお話を伺った。アルバムのコンセプトから、豪華な制作陣を迎えて新たに制作された9曲の新曲それぞれの解説、そして発表されたばかりの2ndライブツアーと令和4年度417の日についてなど、話題が尽きることなく時間いっぱい話し続けたロングインタビュー。歌詞について詳細にお話を伺ったため、多少ネタバレもあるので気になる方は注意してほしい。アルバム発売前はもちろん、発売後にひと通りアルバムを聴いた後に改めて読んでいただくと、夏川さんや制作陣のこだわりをより深く感じてもらえるのではないかと思う。

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 また、週刊ファミ通2月24日号(2022年2月10日[木]発売)では、『コンポジット』の発売を記念して、夏川椎菜さんのインタビュー&グラビア記事を掲載。本記事では見られない写真満載の特別企画となっており、さらに夏川さんのサイン入りポスターが当たる読者プレゼント企画も用意されているので、ぜひチェックしてほしい。

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夏川椎菜(なつかわ しいな)

千葉県生まれ。25歳。ゲーム好きの声優として知られ、現在はYouTubeとニコニコ生放送で毎週金曜日に配信中の『ファミ通LIVE』の週替わりMCを担当。声優としての出演作は『アイドルマスターミリオンライブ!』シリーズ(望月杏奈役)、『マギアレコード魔法少女まどか☆マギカ外伝』(由比鶴乃役)、『えんどろ~!』(セイラ役)など多数。アーティストとしてはユニット“TrySail”として2015年から活動。2017年からはソロシンガーとしても活動を開始。2021年には初となるバンドを背負ったZeppツアーを完遂。

喜怒哀楽をテーマに、ライブ感を重視した挑戦的なアルバムが完成

――『コンポジット』の前に、まずは『Ep02』(※1)がリリースされているので、そのお話から伺いたいと思います。生放送中にくじで曲順を決めたり、ヒヨコ群(※2)の皆さんとタイトルを決めたりされていましたが、決まったものを見た印象は?

※1:『Ep02』……2021年7月29日に行われた“夏川椎菜 Zepp Live Tour 2020-2021 Pre-2nd @Zepp DiverCity(TOKYO)”で披露された全20曲を5曲ずつに分け、配信限定という形でリリースされたライブ音源盤。『Ep02-1 チュートリアル』、『Ep02-2 ボスラッシュ』、『Ep02-3 レアドロップ』、『Ep02-4 オーバーキル』が4週連続でリリース。
※2:ヒヨコ群……夏川さんのファンの総称。

ヒヨコ群集合!あわてんぼうのナンタクロースがやってくる!

夏川『Ep02』の曲順は完全にくじで決めたので、本当に運任せのランダムなんです。でも、そうとは思えないくらい、そのままセトリにしたいくらい強いセトリが4つできてしまってびっくりしています。なかなか引きがいいなあと。

 あと『Ep02』は、それぞれのタイトルも完全に(生配信を観てくれていた)ヒヨコ群のみんなのコメントから、目に留まったものを選んでいて。うまいことゲーム的な要素を入れながら、そのセトリの色も出しつつ、いいタイトルになったな、と思っています。

 それこそ今回のアルバムの『コンポジット』もそうですけど、楽曲のタイトルを決めるのに私はすごく悩んじゃうんですけど、今回の件を経て、「そっか悩んだらヒヨコ群に聞けばいいんだ!」「ヒヨコ群に聞けば、いい言葉をみんなが出してくれるんだ!」と、ちょっと思っちゃいました(笑)。

――(笑)。今回のタイトル、本当にいいですよね。ボスラッシュとか。

夏川ボスラッシュいいですよね。こんなタイトルなかなか出てこないですよ。でも、たしかに曲順を見てそのタイトルを言われたら、「なるほど!」と理解できる感じというか。すばらしい。どこからその語彙が……。

――『Ep02』は、ライブ音源という点も聴きどころですよね。

夏川そうですね。いままであまりやってこなかったことなんですけれど、ライブに来た人しか楽しめなかったものが自宅でも外出先でも聴けるようになりました。いつでもどこでも夏川のライブを楽しんでもらえるような、そういう『Ep』になったんじゃないかなと思います。

――原曲を知っている人でも、「ライブだとこんなに違うんだ」ということがわかりやすいので、ライブ音源がリリースされるというのは、そういう点でも意味があるというか。

夏川そうなんですよね。“Pre-2nd”は初めてバンドを入れてのツアーだったので、そういった違いも楽しんでもらえると思います。いままでのライブはずっとシーケンスでやっていたのですが、“Pre-2nd”は生バンドということで、けっこういろいろ変えたりしているんです。

 それこそ『フワリ、コロリ、カラン、コロン』や、後は『Ep02-1 チュートリアル』のいちばん最初の曲になっている『HIRAETH』といった楽曲は、そもそもあまりバンドバンドした曲ではないので、だいぶ原曲と雰囲気が変わっていて。その辺も新たな側面が楽しめるんじゃないかと。生バンドになることでこんなに聴こえかたが変わるんだという驚きがあると思うので、ぜひ注目して聴いてほしいです。

――確かにそうですね。そして、いよいよ2ndアルバム『コンポジット』が2022年2月9日に発売されるということで、おめでとうございます。楽しみにしていました。

夏川よかった。ありがとうございます。うれしいです。

――まずはアルバムのコンセプトから伺えれば。

夏川今回のアルバムの『コンポジット』というタイトルは、スタッフさんともいろいろ話し合って決めたタイトルで、“合成”という意味なんですね。いろいろなものが合わさっているというような意味があります。

 このアルバムの中に入っている楽曲がけっこう感情的な楽曲が多くて。ちょっと怒っているように聞こえる楽曲だったり、楽しんでいる楽曲だったり。そういったいろいろな感情がごちゃ混ぜになって、いろいろなものが合成されているのが夏川ですよ、というコンセプトイメージです。だから“喜怒哀楽”とか“感情”といったものが、ひとつのテーマになっていますね。

 2ndアルバムに収録されている既存曲が『アンチテーゼ』と『クラクトリトルプライド』という2枚のシングルに収録されていた4曲になるんですけど、それぞれがっつりと“怒”のシングルと“楽”のシングルで作っていたので、あいだを“哀”と“喜”で埋めて喜怒哀楽みたいな流れを作りたいなと思って、こういうコンセプトにしました。

――それは『アンチテーゼ』や『クラクトリトルプライド』を作っているときに、そうしたいと考えられたのでしょうか?

夏川『アンチテーゼ』を作るときに、けっこうがっつり“怒”に振っていて。カップリングも含めてシングル全体が“怒”になるように構成していたんです。そういう構成にしたのは、アルバムを意識してやったことと言えるかもしれないですね。“楽”のときも同じことをしていて。

 シングルって、表題とカップリングでぜんぜん違う雰囲気の楽曲を入れがちじゃないですか。曲調とかも違うものを入れがちですし。そうしたい気持ちも当然あったんですけれど、逆にそこを同じ曲調に統一することで『アンチテーゼ』からアルバムまでの流れがキレイなものになればいいな、と思ったところがありまして。多少アルバムを見据えてやっていたところはありますね。

――そうすると、『アンチテーゼ』と『クラクトリトルプライド』の制作時から、そこまで計算してやられていた?

夏川 “計算”とまではいかないんですけど、なんて言うんでしょうね。最終的にそうなったらカッコいいな、みたいな。そういうのが好きなんですよ。イメージ的には『ドラゴンボール』の単行本の背表紙が、じつは1巻からずっとつながっていたみたいな感じ(笑)。ああいうのがカッコいいなと私は思っているんです。『名探偵コナン』の背表紙もパラパラマンガみたいなものが展開されているじゃないですか。そういう、これまでにずっと積み重ねてきたものが、後から俯瞰で見たらつながってるじゃんというのが私は好きで。だからスタートの歩き出しを始めるときに、いろいろな方向に転がれるものを作りたいなと思ってはいましたね。

――なるほど。では、そのうちアルバムが5枚、10枚と出たら1stからつながっていくと。

夏川どうなんだろう。そんなうまくいくかわからないですけど(笑)。

――アルバムの頭文字つなげると、何かの言葉になるとか(笑)。

夏川あー(笑)。ロとコ……すでに無理がありませんか?(苦笑)。さすがに全部まではいかなくても、ある程度の期間でまとまりを作りたいなとは思うんですよ。じつは、なんとなく私の中でフェーズと呼んで分けている期間があるんです。ソロデビューから1st Live Tourが終わるまでをフェーズ1、1st Live Tourが終わってから今回の『コンポジット』を発売するまでをフェーズ2と私の中では考えていて。そのフェーズ1とフェーズ2の流れが、すごくキレイなものだといいなって。後から振り返っても無理がないというか、ストーリー的になっているとうれしいなと思っていますね。

――確かに、それぞれの期間の中で物語性を感じられるものがあるとファン的にも「おお」と思えますもんね。「やべえ、ここで伏線回収してきたわ」みたいな。

夏川私自身、伏線回収ものが大好きですからね(笑)。そういう自分の癖は出ているかもしれないです。

――ちなみに今回、ジャケットはどういうコンセプトになっているのでしょうか?

夏川今回のジャケットは喜怒哀楽という4つの感情を、それぞれこのオープンリール君たちがだーっと流しているというコンセプトになっています。私のアートワークはいつも同じデザイナーさんにお願いしているんですけど、毎回ちょっとレトロみのある印象的なアイテムを作ってもらっていまして。『アンチテーゼ』のときは警報灯だったり、『クラクトリトルプライド』のときは再生ボタンだったんです。今回もそういうものを作りたいとお願いして、出てきたのがオープンリールでした。

夏川椎菜、待望の2ndアルバム『コンポジット』ロングインタビュー。「こだわりと“想い”の詰まったアルバム」の新曲を全解説
夏川椎菜、待望の2ndアルバム『コンポジット』ロングインタビュー。「こだわりと“想い”の詰まったアルバム」の新曲を全解説
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 オープンリールは、昔のレコーディングとかで使われていたものなので、まずは音楽を想像させるものになっています。『コンポジット』というアルバムには、喜怒哀楽を感じられる楽曲や歌詞を集めたつもりなんですが、この曲は“喜”、この曲は“怒”、ときっぱりとは言いづらいところがあって。“喜”の中に“怒”も混じっているとか、“怒”に“哀”が混じっているみたいな。感情ってけっこうきっぱりとしていなくて、ごちゃごちゃしていると思うんです。そういったところを、テープがだらっとなって、こんがらがっている様子で表現してもらっています。

――なるほどー。たしかに『ハレノバテイクオーバー』の歌詞にも「感情を4つに分けろって雑が過ぎないか?」とありましたけど、喜怒哀楽の4つで本当に感情が表現できるのか、というのはありますよね。

夏川これは本当、作詞作曲をしていただいた田淵さん(※3)の予言です。じつは田淵さんも気にされていたんですよ。

※3:田淵智也氏。UNISON SQUARE GARDENのメンバーで、作詞・作曲も手掛ける。

――気にされていた?

夏川田淵さんに『ハレノバテイクオーバー』の作詞・作曲をお願いするときに打ち合わせをしていまして。その中で曲のイメージやアルバム全体のテイスト、喜怒哀楽の話なんかもしたんです。そのうえで出てきた歌詞がこれだったので、ご本人がすごく気にされていて。「“感情を4つに分けろって雑が過ぎないか?”という詞が、コンセプトに反していませんか?」と。でも、私はすごくその歌詞に共感しちゃったんですよね。「確かに」と。その視点はなかったというか、そこまでちゃんと考えていなかったな、と思って。

 今回私が新しく書いた詞が4曲あるんですけど、その4曲がどれも“喜”でもあり、“怒”でもあり、“哀”でもあり、“楽”でもあるんです。これまで“怒”だと思って作ってきた『アンチテーゼ』や『RUNNY NOSE』にも“喜”の要素が入っていたり、“哀”の要素がちゃんと入っているな、と。そう思ったら、『ハレノバテイクオーバー』のその一文が真理すぎて。だから『ハレノバテイクオーバー』の最初の詞が来た時点で、私の中でも『コンポジット』の見かたがけっこう変わったというか。自分の中にあるいまの感情の見かたが変わったというか。だからこれは田淵さんの予言なんです。

――なるほど。その結果、1曲目でいきなりちゃぶ台を返して。

夏川本当ですよね(笑)。これだけ喜怒哀楽って言っておいて。

――夏川さんはこの一文に、「その視点はなかった」、「“確かに”と思った」とおっしゃられていましたが、逆に僕はこの一文がすごく夏川さんっぽいなと感じたんですよね。最初に聴いたときに「あれ? これ作詞、夏川さんだっけ? あ、違うわ」となったくらい。

夏川本当にすごくいろいろな方にそう言っていただけて、なんだか恐縮なんですけど。でもたぶん、田淵さんが私の書いた詞を読んでくださったりして、言葉遣いなどを若干寄せてくださったりしているんだろうな、と思っています。

 あとは、私の歌いかたの癖をたぶん把握してくださっているようで、この曲すごく歌いやすいんですよ。私が力を入れて歌いたいところに濁音が入っていたりするんですよね。だから難しい曲なんですけど、体になじむというか。すぐにこれは自分の曲だ、と感じられましたね。

――おお、歌ってみて感じる部分というのもあるんですね。とはいえ『ハレノバテイクオーバー』は、息継ぎどこでするんだろうというくらい激しい曲ですよね。とても歌うのがたいへんそうです。

夏川私も家で練習するときに、ブレスをここでしようという目安としてVの字をちっちゃく歌詞カードに書くんですけど、今回は書けなかったんです。「あれ? どこで?」って(笑)。結果、「つまり情熱は振り切り ってな感じ」という歌詞の最後の3行のところに、でっかいVを書いて、そこの3行はひと息でやるっていう。

 ここしかないんですもん。「意志はあるか?」「はー!(息を吸う)」「つまり情熱は……」という感じですね。

――(笑)。本当にライブのとき、どうするんだろうと思ってしまいました。

夏川ねえ、どうするんですかね。どうするんでしょうね。がんばってほしいです。

――他人事のように(笑)。ちょっと話題が戻ってしまうのですが、要するに『コンポジット』は、収録された楽曲ごとに喜怒哀楽が一応設定はされているという感じなんでしょうか?

夏川そうですね。一応、収録順でぬるっと喜怒哀楽になるようにはしているんです。『ハレノバテイクオーバー』から『烏合讃歌』くらいまでが“喜”になるのですが、“怒”もちょっと混じっていて。そこから『アンチテーゼ』と『トオボエ』、『RUNNY NOSE』、『サメルマデ』あたりまでが“怒”で、『サメルマデ』には“哀”もちょっと混じっている。

 さらに『奔放ストラテジー』、『ミザントロープ』、『ボクはゾンビ』あたりが“哀”なのかなと。でも『ボクはゾンビ』は“哀”でもあり、“楽”も要素的には少し混じっていて、そこから『すーぱーだーりー』、『That’s All Right !』が“楽”で、『ナイトフライトライト』が“哀”も混じった“楽”という感じで、最後は完全に“楽”の『クラクトリトルプライド』に至るという感じになっています。でも並べてみたら、こんなにきれいにグラデーションになると思っていなかったというか、この順番がすごくしっくりきてて。

――アルバムの全体の構成としてしっかりしているのに、そのうえでちゃんと喜怒哀楽の順番になっているのはすごいですね。

夏川メッセージ的にもそうだし、サウンド感的にもすごくこうスッと入ってくる流れになったんじゃないかと思いますね。

――今回、わりと全体的にロック色の強い曲が増えたなという印象があるんですけれども、もともとそういうアルバムを目指して作っていたのか、それとも1stアルバムの『ログライン』との差別化を図ったみたいな意図があるのか、その点を伺えれば。

夏川1stアルバムと差別化しようみたいな話だったり、いままでやっていないことをやろうみたいな話はほとんど出ませんでしたね。ただ、“Pre-2nd”を経て作っているアルバムなので、どうしても「生バンドのライブ、あれ楽しかったね」がスタッフの中にも私の中にもあって。またライブをやるんだったら絶対生バンドがいいよね、というのが根底にあったのは確かです。だから、新曲は生バンドでやったときに化ける曲だったり、カッコよくなる曲というものを考えながら楽曲を選んでいました。

 そうやって選んでいるし、選んだ後でアレンジの段階でけっこうライブ感強めにしたりもしています。そういう意味でかなりロックな曲というか、バンド色の強い曲が多くなっているかなと思います。

――なるほど。ちなみにアレンジでの変化が大きかった曲はありますか?

夏川いちばん大きかったのは『トオボエ』ですね。最初はもっと爽やかな曲だったんですよ。なんかもう走って飛び出して行くような、空でも飛んじゃいそうな楽曲でした。それがだいぶドドドドっていう現在の曲になったのと、あとは『サメルマデ』も大きく変わりましたね。

 『サメルマデ』は、私が大好きなアーティストのやぎぬまかなさんに作ってもらった曲なんですけれど、“やぎぬまかな節”みたいなものの中に夏川節をちょっと入れてもらうというか、うまくミックスしてもらっています。よりジャキジャキ、ガチャガチャと忙しい感じにしてもらっていますね。

 あとは『ナイトフライトライト』という曲を書いていただいたのは川口圭太さんなんですけれど、この方は“Pre-2nd”のギター兼バンドマスターをやってくださった方なんです。川口圭太さんが曲を書き、楽器録りを“Pre-2nd”のバンドメンバーでやっているんですよ。

――へえー。

夏川だからほとんど生の楽器を使って作られている曲なんです。ベースもドラムもギターのふたりも、みんな“Pre-2nd”のあのステージ上でやっているような音になっていて、これはかなりライブ感強めで作っていますね。本当に“Pre-2nd延長戦”みたいな感じというか。圭太さんがだいぶ好き勝手やっていますね(笑)。

――そのあたりも聴くときのお楽しみということで。

夏川本当に“Pre-2nd”に来た人はわかると思うんですけど、ヒヨコ労働組合(※4)がけっこうおもしろいことをするバンドだったんですよ。プレイもそうですけど、音色的にも。とくに圭太さんがすごくおもしろい音を鳴らす方で。足元のペダルとかをいろいろ操作するとギターから「ぽえー」みたいな音が鳴ったりして(笑)。

※4:ヒヨコ労働組合……夏川さんのサポートバンドの名称。

 そういうお遊びをライブ中にもいっぱいしてくれる方だったので、「“Pre-2nd”でこういうのあったよね」、「そういえば、こういう音してたわ」みたいなサウンド感が、『ナイトフライトライト』の曲中で起こっていて。なんかこの曲だけ汚いんですよ(笑)。

――ええええ?

夏川語弊があるかもしれないですが(苦笑)、この曲だけちょっと汚い…………泥臭いんです。収録曲でめちゃめちゃキレイな感じの曲は、そんなにないんですけど、この曲は飛び抜けて泥臭い。嘘でしょっていうくらい。聴いているとおもしろいので、ぜひ楽しみにしてほしい曲ですね。

――でも、ライブのサポートバンドのメンバーが楽器演奏もしているとなると、『Ep02』と聴き比べたりすると、より楽しめるかもしれないですね。

夏川うん。ぜひ聴いてほしいですね。

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