ファミ通.comの編集者&ライターが2021年冬のおすすめゲームを語る連載企画。今回取り扱うタイトルは要素山盛りの牧場系RPG『Stardew Valley』(スターデューバレー)です。
【こういう人におすすめ】
- のんびりと作物や家畜を育ててみたい
- 平和だけど刺激的な田舎暮らしをしてみたい
- ふだんは農家、じつは冒険者のようなギャップに憧れる
カイゼルちくわのおすすめゲーム
『Stardew Valley』
プラットフォーム:PC(Steam)、PS4、XBox One、Nintendo Switch、iOS、Android
発売日:2016年2月26日
発売元:Chuclefish(日本語パッケージ版の発売はオーイズミ・アミュージオ)
価格:PC版 1480円[税込]/PS4版 1507円[税込]/XBox One版 1490円[税込]/Nintendo Switch版 1507円[税込]/iOS版 610円[税込]/Android版 520円[税込]
パッケージ版:あり
ダウンロード版:あり
※プラットフォームクロスプレイ非対応。また、iOS版、Android版はマルチプレイに対応していません。
Stardew Valley
田舎町で自由すぎるスローライフを!
年末年始は、ぬくぬくした部屋でだらーりとゲームを遊びたいところ。そんなのんびりした時間に、激しい対戦ゲームや難度高めのタイトルを遊ぶのは、何か違うと感じる人もいるのではないでしょうか。
そんな寝正月にこそオススメしたいのが、とことんのんびり、まごうことなくマイペースに遊べるスローライフゲーム『Stardew Valley』です。
本作の舞台は都会から遠く離れた“ペリカンタウン”。日々の企業勤めに疲れた主人公(プレイヤー)は、祖父が残した手紙によってこの町の牧場を受け継ぎ、田舎暮らしを始めることになります。
ゲームを開始すると、さっそくその牧場に案内されるワケですが。
誰も手入れをしていなかった牧場は想像以上に荒れ放題。もちろん、家畜や作物は影も形もありません。
しかし、だからこそ、この牧場では“何をどうするもプレイヤーしだい”なのです。
最初にとりあえず作物の種がもらえるので、切り開いた土地をクワで耕し、そこに種を植えるところから始めるといいでしょう。
種類にもよりますが、作物が育つには数日から数週間かかります。それに、道具の耐久度は減りませんが、画面右下に表示されているプレイヤーの体力(エナジー)ゲージは、何らかの作業をするとぐんぐん減っていきます。
序盤はエナジーの回復アイテムは貴重なので、家で寝て回復しましょう。そうして日数が過ぎたら作物を収穫して売れば、お金が得られるわけです。
本作では農業や開拓など好きなことを好きなようにやったらエナジーが減り、回復のために自宅で寝ると1日が終了するという、非常にわかりやすいサイクルで進行していきます。
のんびりゲームかと思いきや、突如として始まる大冒険
このように自由な牧場生活が楽しい本作。釣りをしたり、
町のお祭りに参加したり、
家を増築したり、
ダンジョンでスライムに襲われたり、
のんびり生活かと思ったら命の危険。HPゲージが表示され、急にアクションRPGが始まりました。振れ幅がすごいですが、ついてきてください。
本作にはファンタジー要素が含まれているんです。魔法や魔物、不思議な精霊が実在し、マップには魔術師の塔なんてものも。
ファンタジー要素を一番強く感じられるのが、鉱山でのダンジョンアタックです。主人公(プレイヤー)は剣や棍棒、パチンコなどの武器を手にして、魔物がうごめく鉱山の下層を目指して突き進みます。
このダンジョンアタックがじつにおもしろい。リアルタイムで動き回る魔物を撃退しつつ、転がっている岩をツルハシで砕き、どこかに隠されている下層へのはしごを見つけなくてはなりません。
はしごの位置はランダムで、ツルハシを振るっているだけでもエナジーがどんどん減っていきます。エナジーがなくなると鈍足になるばかりか、岩を砕けなくなるので、その前に引き返すか、アイテムで回復させる必要があります。
鉱山では銅や鉄といった鉱石類が豊富に採掘できます。さらに宝箱から貴重な装備やアイテムが手に入ることも! いわゆるトレハン(トレジャーハンティング)の要素も楽しめます。
下層に行けば行くほど魔物が手強くなるため、ダンジョン探索はひと筋縄ではいきません。5層ごとに用意されたエレベーターに到達すると、次回以降はそのエレベーター停止階から冒険を再開できますので、こちらもマイペースに攻略することをオススメします。
アクションRPGが苦手だったり、そもそも本作に戦い要素を求めていない人もいるでしょう。そういう場合は、無理に鉱山に挑まなくても鉱石類はショップで購入できます。強い武器を入手できずとも、そもそも鉱山に入らなければ不要ですのでご安心ください。
町には出会いとやり込み要素がいっぱい!
ここらでいったんスローライフに戻りましょう。
ゲーム内の時間は自動で経過していきます。黙々と作業していく場合、日が暮れるよりだいぶ前にエナジーの方がなくなってしまうくらいのペースです。
生産が安定してくるとエナジー回復アイテムもどんどん手に入るので、その気になれば日が暮れるまでに膨大な作業をこなすことも可能になります。
本作の舞台となるペリカンタウンには、牧場以外にもさまざまな施設があり、約30人の登場人物たちとの出会いが待っています。牧場でできることを増やしてくれるショップの数々はもちろん大事ですが、住民との交流もまた本作の魅力でしょう。
住民たちは都会から引っ越してきたプレイヤーにさまざまな形で接してきます。贈り物などを通して親密になることができ、なかには結婚できる相手も。
自由すぎて何をすればいいのかわからない、と心配な人には、住民とのやり取りが指針になってくれるかと思います。
生産活動や依頼の解決でお金を稼げば、雑貨屋や農場、大工といったショップを活用可能。牧場に施設を増やしたり、新たな作物の種を入手したりと、さらにできることが増やせます。
日数が経過して季節が移り変わったりもしますが、本作にはいつまでにこれをやらなくてはいけない、といった期限はまったくありません。できることを自分のペースでやっていく、終始のんびりした田舎暮らしが楽しめるのです。
ほかにも博物館に貴重品を収めていくコレクション要素や、レシピを集めてアイテムを作成するクラフト要素など、楽しめる要素はまだまだあります。これらを好きなときに好きなだけ楽しめるので、時間を忘れて遊んでしまいます。
じつは社会派なストーリーもおもしろい!
スローライフな牧場ライフとスローではないアクションRPGが両立する本作ですが、じつはこのスローライフとファンタジー要素ありきの冒険ライフは、作中では失われつつあります。
のどかな田舎町であったペリカンタウンに対し、都会の大企業“Joja”のチェーン店が進出してきているのです。
便利なスーパーマーケットの出現により、地元の商店は休みがちになるほどに客を奪われ、便利さから古くからの慣習を手放す住民や、そもそも町を離れていく住民が増えつつあります。
古くからあった魔法などの神秘が近代化によって失われていくという、新旧がせめぎ合う世界観。これがとても味わい深いのです。
住民たちとのやり取りやメインストーリーにも没入感があり、これも本作を楽しむうえでの大きな魅力。牧場スローライフやダンジョンアタックといった要素に加えてドラマ要素もしっかり楽しめる、ボリューム満点なタイトルなのです。
各要素をかいつまんで遊んだとしても、プレイ時間はどこまでも伸びていくはず。年末年始の時間があるときにこそ、ゆったりのんびり好きなだけ楽しんでいただければ幸いです。