バンダイナムコエンターテインメントの人気フライト―シューティングシリーズ『エースコンバット』。25周年振り返り特番にて、本シリーズの新プロジェクトが立ち上がったことが発表された。果たして新プロジェクトはどういったものになるのか、また必要とされているのはどんな人材なのか……など、さまざまなお話をうかがった。
※本記事は、週刊ファミ通2021年12月9日号(2021年11月25日発売)の掲載記事を増補改訂したものです。
『エースコンバット』25周年振り返り特番
河野一聡氏(こうのかずとき)
バンダイナムコエンターテインメント
『エースコンバット』シリーズブランドディレクター。
下元 学氏(しももとまなぶ)
バンダイナムコエンターテインメント
『エースコンバット7 スカイズ・アンノウン』プロデューサー。新プロジェクトも引き続きプロデュースする。
糸見功輔氏(いとみこうすけ)
バンダイナムコスタジオ
『エースコンバット7 スカイズ・アンノウン』ナラティヴディレクター。
菅野昌人氏(かんのまさと)
バンダイナムコスタジオ
『エースコンバット7 スカイズ・アンノウン』アートディレクター。
岩﨑拓矢氏(いわさきたくや)
イルカ・オルカ代表。『エースコンバット』は第1作から開発に携わっている。
安井 章氏(やすいあきら)
イルカ
アートディレクター×チームマネージャー。
関谷マコト氏(せきやまこと)
イルカ
『エースコンバット アサルト・ホライゾン』から開発に参加。
古林雅俊氏(こばやしまさとし)
オルカ
エンジニア周りを担当。
展開が続く『エースコンバット7 スカイズ・アンノウン』の今後は?
――まずは発売から2年半が経過した『エースコンバット7 スカイズ・アンノウン』(以下、『ACE7』)の話題から。2021年8月31日に配信された“JASDF Skin Series”の反響はいかがでしたか?
菅野今回は自衛隊のスキンをリリースさせていただきました。プレイヤーの皆様の動向を見ていると、いろいろな機体と組み合わせてマルチプレイを遊んでくださったりしているようで、たいへんうれしく思っています。
プレイヤーの皆さんだけでなく、航空自衛隊の方々にもお世話になりました。『ACE7』の開発を始めた2015年頃、石川県の小松基地で実際のF-15を操縦されているパイロットの方々から貴重なお話をうかがうことができ、“雲”をテーマにしたコンセプトにつながりました。
――自衛隊基地では、実物の航空機を見る機会もあったんですよね。うらやましいです(笑)。
糸見小松基地に配備されているF-15Jにはオオワシのエンブレムが描かれているのですが、私と関谷さんは『ACAH』(※)(2011年)の際に実物を見てきました。
下元自衛隊には本当にお世話になっていて、2018年の航空祭では『ACE7』を試遊出展させていただいたりもしました(※)。
※『ACE7』の発売前、松島基地や新田原基地の航空祭会場に体験版の試遊コーナーを設置したことがあった。
河野こういった施策ができたことは、『エースコンバット』が認知されてIPとして成長したと実感しています。
下元あと、自衛隊のスキンは、海外でも好評だったんです。
――意外ですね。あとマルチプレイ用BGMも投票募集時に3500票以上から集まったということで、多くのファンに愛されていることが感じられました。結果は『ZERO』から2曲、ほかはバラバラという結果になりましたが……。
糸見シリーズ全曲ではなくマルチプレイでの空戦に合う曲をプロジェクトで選出してから皆様に投票いただきました。
――『Transparent Blue』(『ACE3』の楽曲)が入っているのもうれしいです。
岩﨑『ACE3』は、それまでの『ACE』からBGMのジャンルをガラリと変えたタイトルでしたね。当時脚本を担当していただいた佐藤大さんが音楽にも精通されている方なので、シナリオを書きながら「こんな感じの曲にしたい」と考えてくださいました。
――発売されてから22年経ったいまも『ACE3』は多くのファンに愛されているのがわかりました。
菅野好きな方、多いですね。
糸見社外のいろいろなデザイナーさんやアーティストの方々とお会いしたとき、「『ACE3』を遊んでいました」というのをよく耳にしました。それくらいインパクトのあったタイトルだと思います。
――最新作『ACE7』は今後も有料DLCを予定されていますが、現時点で言えることをお聞きしたいです。
下元先日発表しましたが、シリーズ25周年を記念した有料追加ダウンロードコンテンツ“25th Anniversary DLC - Cutting-edge Aircraft Series -”がまもなく配信予定です。
菅野F/A-18F Super Hornet Block III(The Boeing Company)、F-2A -Super Kai-(Lockheed Martin Corporation)、MiG-35D Super Fulcrum(Joint-Stock Company Russian Aircraft Corporation "MiG")の3機体ですね。これらは“Cutting-edge Aircraft Series”と名付けていまして、既存の航空機を未来に向けて発展されたタイプとなっています。本当は『ACE7』発売後の早い段階でリリースしたかったのですが、ようやくリリースできます。
――やはりファンからの要望が多かったのでしょうか。
菅野僕や河野のTwitterアカウントに、皆さんからの要望がたくさん送られてきますね。
河野皆様のご要望は目を通しつつ、『ACE』チームに転送しています。
――河野さんが要望の窓口みたいになっていますね(笑)。DLCではスキンもたくさん発表されましたが……。
菅野まず、『ACE3』でディジョンが乗っていたゼネラルリソース社スキンを模したF-15 S/MTD、 F-16C、F/A-18F Super Hornet。ナガセのスキンのF-2Aは尾翼に彼女の名前“Kei Nagase”と入っているところに注目です。
下元そして、懐かしの『ACE2』よりスカーフェイススキンは、逆に最新世代の機体であるSu-57となっています。
――『ACE2』が発売された時代は実在しなかった機体との組み合わせですね。意外と合ってる!
菅野そして『ACE X2』よりヴィルコラク隊のスキンをSu-37 TerminatorとMiG-31B Foxhound。『ACE6』に登場したウィンドホバー隊のスキンはF-16C Fighting Falconに、『ACE5』からは定番のラーズグリーズ隊のF-22A RapterとX-02S Strike Wyvernに用意しました。
――盛りだくさんで、どれもカッコいいですね。どのスキンにするか迷いそう。
菅野X-02S Strike Wyvernにはもうひとつ、プロトタイプスキンというのもあります。同じく架空機体のADFX-01 Morganには“BLOCK1”というスキンも入れています。最後に、ADFX-01 Morganにはバグから生まれた“GLOWING RED SKIN”という光り輝くスキンも用意しました。今回は赤く光っています(笑)。
――赤いですね(笑)。全体的に、マルチプレイで遊ぶのを意識したカラーリングが多い印象を受けました。
菅野カラーリングも含め、今回のDLCはライセンサーからのチェックが念入りに行われました。これまでの機体も多くのチェックが入っていましたが、今回は最新の機体ということで監修に割かれる期間が長くなりました。そのぶん、『ACE7』は各方面からの注目度が従来作以上に上がっているのだと感じました。
河野開発規模が大きくなっていくのもお客様を含め各方面に応えていくために必要になった感じです。
『エースコンバット』新プロジェクトに求められるもの
――ここから本題ですが、新作プロジェクトの始動が発表されて、非常にワクワクしているファンも多いと思います。こちらは、いつごろ企画が立ち上がったのですか?
下元チームの人によってどこから立ち上がったかというのが変わるのですが、僕の中では『ACE7』の販売本数が200万本達成したあたりから、つぎの構想を固める話を始めたと記憶しています。
菅野僕の中では、『ACE7』のシーズンパスで3つの追加ミッションがリリースされて、お客様からの反響が非常によかったときですね。そのタイミングからつぎの構想を考え始めました。
――個性豊かなキャラクターが多数登場する追加ミッション、かなり盛り上がってましたね。河野さんはいつごろ次回作を意識し始めましたか?
河野『ACE7』がマスターアップしたつぎの日からです。これがブランドディレクターの宿命です。
関谷『ACE7』がヒットしたのも大きいですよね。25周年振り返り特番のコメントの中に「やっぱり売れるって正義だね」って書き込みがありました(笑)。
菅野新プロジェクトの立ち上げを発表したときも、うれしさより先に「安心した」という声が先に届きましたね。
河野いつも心配されるよね。
――『ACE7』の勢いがあったからこその新プロジェクトなんですね。ところで、読者の中にはイルカ、およびオルカの社名になじみがない方もいると思います。それぞれどんな会社なのか簡単に解説をお願いします。
岩﨑イルカとオルカは2010年から2011年、ほぼ同時に立ち上げた会社です。イルカがCGデザイナーを中心とする映像の会社、オルカがプログラマーなどエンジニア寄りのメンバーが中心の会社です。
ふたつの会社に分けたのは、さまざまなプロジェクトをスムーズにやっていけるようにするのが狙いです。当時、ゲーム業界はスマホゲームの市場が大きくなってきたり、家庭用ゲーム機ではプレステーション3から、4になる時代でした。そんな中、どういう体制で開発をすべきか答えが出にくい時代でした。
――そんな時代に、イルカとオルカはどんな人たちが集まったのでしょうか?
岩﨑CGを作る人はゲームのグラフィックだけでなく映像も作りたいとか、その映像もリアルタイムだけでなくハイエンドなグラフィックスのものだったりと、いろいろな考えを持っている人が多いです。
仕事自体も多彩なことをやっていこうということで、立ち上げ当時はパチンコの映像やテレビ番組や映画のオープニングなど、ゲーム業界にいたらなかなか携われなかった仕事を多くやりました。そのときに入ってきてくれたのが安井と関谷です。
安井はゲームの開発をいっしょにやってきた仲間で、関谷はカシオエンターテイメントという会社で、『Halo Legends(ヘイローレジェンズ)』(※)の映像など、CGグラフィックを作ってきました。
※ゲーム『Halo(ヘイロー)』の世界をオムニバス形式で描いたアニメプロジェクト。日本のアニメスタジオ(スタジオ4℃、プロダクションI.G、東映アニメーション、ボンズ、カシオエンターテイメント)が集い、2010年2月16日にワーナー・ホーム・ビデオからリリースされた。
岩﨑古林はナムコ時代の先輩で、すごく仲間を大切にする、面倒見のいいエンジニアです。彼を慕っていたプログラマーも来て、少数精鋭で始めたのがオルカなんです。
古林(笑)。
岩﨑当時オルカで作っていたのは『ドラゴンクエストX オンライン』の開発の協力をしていて、そこからスマホアプリの『ドラゴンクエストX おでかけ便利ツール』など、スクウェア・エニックスさんのお仕事を多く受けていました。その後、イルカとオルカでいっしょに『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』の開発をしませんかという話をいただき、開発の規模がどんどん大きくなりました。
そこで、スクウェア・エニックスさんの近所であるこの場所(東新宿)にイルカとオルカを集結させました。
――1ヵ所に集まることで、イルカとオルカのそれまでの経験を生かして、独自に開発が行えるようになったわけですね。両社のお仕事内容に違いはあるのですか?
岩﨑オルカはエンジニア中心だったので、じっくり開発したいお仕事を受けさせていただいています。一方、イルカはテレビCMや映画の一部やお手伝い的なことなど、ちょっとした仕事でも基本拒むことなく受けさせていただいてきたんです。
そんな感じで、ある年の東京ゲームショウの時期に河野さんから『ACE7』の映像の仕事をイルカで受けたんです。同時に、それとは別件として河野さんより「エンジニアの手が足りないので、こちらも助けてほしい」と相談されたので、こちらはオルカで受け、『ACE1』から開発に携わっていた小池(※)をバンダイナムコさんに送り込んで回していました。
※オルカの小池利幸氏。『ACE3』ではチーフプログラマーを務めた。
岩﨑そうこうしているうちに、河野さんたちと仕事をしやすい環境が構築できたため、新プロジェクトでもまた関われることになりました。
――ふたつの会社であることの利点も多そうですね。
関谷今回の業務提携はイルカの社名で締結していますが、実際はイルカとオルカが互いにフォローして動いていきます。
――なるほど。ちなみに社名の由来はなんでしょうか? 岩﨑さんがイルカ好きとか……?
岩﨑もともとモナカ(※)という会社がありまして、“〇〇カ”と、3文字の社名が言いやすく、印象に残りやすいかと考えてイルカ、オルカに決まりました。もう少ししたらこのビルの1階にモナカも入ります。
※有限会社モナカ。2004年に設立。岩崎氏はモナカの取締役でもある。ちなみに代表取締役の岡部啓一氏は岩崎氏、河野氏の同級生だったそうだ。
――イルカ、オルカ、モナカが集結するのですね。ちなみにモナカの社名の由来は……和菓子のアレですか?
岩﨑じつは岡部さんが“きなこ”っていう名前の犬を飼っていたため、和菓子の名前がちょうどいいんじゃないかと。
――バンダイナムコグループとイルカ・オルカの業務提携はどのような経緯で行われているのでしょうか?
河野業務提携は、まずプロジェクトありきで岩﨑さんに「がっつりタッグで創っていきましょう」と、相談したのが始まりです。成功させるためですね。その後、イルカさんで人材募集するという流れになったのですが、PROJECT ACESがどういった立場なのかがわかりにくいと考えました。
そこで、異例ですが、新しいプロジェクトを作ります。つきましては、優秀な人材を募集しております……という発表をしました。
岩﨑イルカの役員でもある高森(聡之氏)はカプコン出身のグラフィックデザイナーで、いろいろな開発現場を経験しています。彼と雑談していたのが「『エースコンバット』をイチから作るのはたいへんだよね」という内容でした。「作るならバンダイナムコスタジオさんとしっかり協力して作っていかないと」という話になって、河野さんに相談したわけです。
ただ、バンダイナムコさんがいて、イルカがいて、オルカがいて……という体制だと、現場では何とかしようという話になるのですが、それぞれの会社でいろいろな考えかたがあるため、意思疎通を取るのが難しいんです。
――同時に他社のお仕事を受けていてスケジュール調整とかが必要でも、そのままもう一方の会社に伝えるわけにもいきませんしね。
岩﨑そのため、各社どうしのつながりを強くして、相談しやすい体制にすることが大事だと考えました。まだこれからですが(笑)。
これまで培ったノウハウやテクノロジーをイルカが受け継ぐのではなくて、いっしょになって受け継げるスタッフを育てていこうという目的があります。
――現在、新シリーズ共同開発プロジェクトの人材募集をされています。こちらの反響はいかがでしょうか? また、(先日の特番でも軽く話題に出ていましたが)どんな方が来るのが理想ですか?
関谷多くの反響をいただいており、さまざまなエキスパートの方に門戸を開いています。
岩﨑今回の新プロジェクトをきっかけに、いろいろな才能を持った方が集まると、ゲーム開発の中身も変わってくると思うんですよ。難しくは考えず、「おもしろそうかも」と思っていただければ、いっしょに新しい企画を練られるのかなと考えています。
関谷イルカという会社は、ゲームの開発をしていない会社だと思われがちですが、じつは開発をほぼ丸ごと引き受けている仕事がほとんどで、向こう1年~2年以内に「これ、イルカが開発しました」と言えるタイトルがいろいろと出てきます。立ち上げ初期こそ映像メインの会社でしたが、近年の仕事の9割はゲームの開発なんですよ。そのほとんどが開発中のもので表に出ていないため、現在はまだイルカの活躍を皆さんに認識されていませんが(苦笑)。
――このインタビュー記事によって、イルカの活動ぶりを知ることができるかもしれませんね。
安井『エースコンバット』は、ただおもしろいだけでなくワールドワイドに通用するものを考えていかなければいけません。そういったところも理解できる方に来てほしいですね。いまのコンシューマー業界でワールドワイドなタイトルを作れるデベロッパーは限られていますから、チャンスだと思っていただければと。
河野「最先端の技術に触れて、新たなコンテンツを作りたいんだ」という人に来てほしいですね。
安井ゲームの開発もいまは最新のUnreal Engine 5で作るようになりましたし、かつてはカットシーンもプリレンダーで作っていたところをリアルタイムで作れるようになってきています。そこで求められる“いまの水準”を超えてもらいたいです。その段階に到達できる開発スタジオはなかなかないと思いますので。
河野ゲーム開発でUnreal Engineを使っていた方はもちろん、映画や映像作品などの分野でも最先端の技術を体験してきた方も求められています。
岩﨑『エースコンバット7』でプリレンダムービーを開発してきたメンバーはすでに集結していますが、みんなおじさんばかりなんですよね。この人たちの蓄積を伝えていける人というと、ゲーム業界だけでなく、映画を作っていた人たちとかも対象になるのではないかと。
河野この前の特番では“若い人たち”を強調しすぎたせいか、熟練の技術者が「俺は応募しちゃダメか」と引かれちゃっているかも(苦笑)。
安井世代に関わらず、両方来てほしい(笑)。ハイエンドなことをやりたい、よりいいものを作ろうという気持ちがあれば。
河野エンジニア的にはどんな人たちに来てほしいんですか?
古林ハイエンドなことがやりたいという人がいれば、もちろんウエルカムです。AAAタイトルを目指さなければいけないのですが、お金をかけていただけると思います(バンダイナムコ陣営に目配せしつつ)。
一同 (笑)。
古林あと、妥協を許さない人たちですね。納得いくものを出すためには期限を延ばしてでもクオリティーアップを図るという考えで。いまのメンバーも、ちょっとしたことを許さない人たちばかりで。
河野おっ、いま悪口言われてます?(笑)。
古林あとは、引っかかるものがあったら自分で掘り下げていける人ですかね。
河野ひらめき派のエンジニアとかは?
古林ひらめき派というのは、だいたい自分で調べられる人なんですよ。菅野さんとかですね。言われてもいないことを勝手にやっちゃうような。逆に、言われたことをやるだけの人はきびしいです。
菅野エンジニアだけど雲とか海とか取材に行っちゃったりするような。
下元イギリスへ行ったときも、菅野さんは朝からでかいカメラを持って飛び出していったりしましたね。
安井『エースコンバット』の開発チームって昔からそんな感じで、グラフィックのこととか、エンジニアがやる仕事だとか、自分の領域じゃなくても領空侵犯していくんですよね。縦割り型の大規模開発だと「この人は木だけを作っていればいい」となりがちですが、『エースコンバット』ではこだわりのある人たちが切磋琢磨し、干渉し合ってタイトルを育てていくと思います。
河野みんながみんな領空侵犯したら、岩﨑さんが超苦労しますけどね。
――そこらじゅうで喧嘩が勃発しそうですね。でもそのくらい、こだわりを持つ人が求められているわけですか。
安井そういう意味でもイルカ、オルカ、バンダイナムコグループが混ざる必要がありますね。25年の蓄積に新しい血が入ってくような。
『エースコンバット』新プロジェクトはどんな形になると考える?
――すばらしい人材が集まることを期待しています。新作プロジェクトがどのような結果を生み出すのか楽しみです。『ACE8』となるかも決まっていないわけですよね?
下元そもそも今回のプロジェクト、そして業務提携は、新作を1本作ることが目的ではなく、つぎの25年につなげるための長い戦いを見据えての人材募集となっています。
河野50周年に向けての動きなんだよね。
下元つぎの1作にとどまらず、そのつぎ、さらにつぎの『エースコンバット』を開発するための人材でもあるわけです。未来を切り拓くプロジェクトです。
河野最終的な形がどうなるかは進めてみないとわからないですが、現時点では皆さん思っている以上にいろいろなことを動いている段階です。過去の『エースコンバット』の見直しから始めたりとか、技術的な目標設定があったりとか、そのほかにもいろいろと……。
糸見いまはまだすごく混沌としています。開発者の頭の中でああしたい、こうしたいといったアイデア・妄想が駆け巡っている状態で、もがきながら答えを模索しているところです。いま新しい仲間に来ていただければ、立ち上げの苦労も分かち合えると思います。
大抵の場合、モデラーやアーティストなどの募集をかけても、ジョインしたころにはある程度開発が進んでいて、いちから携わった達成感はなかなか得られません。今回はスタッフ募集からスタートしていますので、頭の中にある妄想を叶えたいという方に来ていただければ、それを実現できる可能性は高いです。
――『ACE7』で、正式に『ACE3』以降のストレンジリアル世界がつながりましたよね。仮に次回作もこの世界線に収まるとしたら、どの時代になるのか想像が膨らみます。
下元いままでの『エースコンバット』って、(『ACE3』だけ異色ですが)各タイトル制作時の時代に合った設定になっていることが多いですよね。
河野(作品の時代については)説明しにくいんですよ。
菅野設定を細かく詰めるような段階ではまだないです。いまは小さくまとめるのではなく、大きく広げる段階。だからこその新プロジェクトなのかなと。世界に向けたプロジェクトでもあるので、あまりドメスティックなところだけに集中することは選択しないようにしています。
河野『ACE7』を基点として、お客様から期待されて、応えられるワールドワイドに展開するプロジェクトを前提としています。お客様の期待を裏切るような新作は作らない。ただ、それだけでは終わらない新プロジェクトにします。具体的には説明できませんが。
――具体的なお話は出なくても、大きな新プロジェクトへ臨む姿勢が伝わって来て、ますます期待が高まってきました。
河野岩﨑さんのところで10年後くらいを含めての計画が走り出したわけですからね。
岩﨑たいへんですよ(笑)。
――最後に、『エースコンバット』ファンに向けて、皆様ひと言ずつお願いします。
下元話し合いが始まったばかりの、まだまだこれからのプロジェクトです。この段階からプロジェクトに関わることができるのは、なかなかない機会です。 “次”をリードするベテランの方はもちろん、次のまたその次を担う若い世代の皆さんも、ご応募お待ちしています。また新プロジェクトを楽しみにしているファンの皆さんは、少し先となりますが期待してお待ちください。
糸見いまは、「どんなプロジェクトにしていくか」という妄想が頭の中に広がってきている段階です。生み出すことに挑戦したい方は是非応募していただきたいです。
河野新プロジェクトを先に発表するというのは、どうなるかわからないものをお客様に約束するわけですから、ブランドディレクターの立場では正直恐いんですよ。それでも、イルカさん、オルカさんといっしょなら安心できる。ここまで培ってきた関係を活かし、心強い仲間たちと協力してプロジェクトを大きくしていかなければいけない。そして成功させると誓った。なので人材募集はその最初のミッションとなるため、何としても成功させたいです。
菅野いまはゲームの表現力がとても高まってきて、アーティストに挑戦が求められる時代です。進歩を続けたゲームエンジンがいろいろなゲームタイトルで使われるようになり、ふつうの感性で作ったものはふつうの製品にしかなりません。世界の見かたが変わるほど大きな変革をもたらす挑戦ができたなら、プロジェクトが成功すると信じています。
関谷まず、イルカがさまざまなタイトルを手掛けているゲーム開発会社であることを、新プロジェクトを通じてアピールしたいです。ゲーム開発会社としてのイルカをぜひ覚えてください!
安井今回のプロジェクトが成功するように、組織を作っていくことがひとつのミッションとなります。組織作りの貴重な経験にもなるので、皆さんには安心して挑戦してもらえたらと思います。
岩﨑「『エースコンバット』って何だろう?」と自分に問いかけ、開発に携わった当初の気持ちを思い出すと、大空を駆け巡る楽しさのある唯一無二のタイトルだと行き着きました。河野さんを含む皆さんが築き上げてきた世界観があり、そこに描かれた人間ドラマがあり、それらが四半世紀の長い歴史を経てしっかり融合できている。新プロジェクトでは、その土台をさらに磨き上げるという使命を感じています。皆さんが新たな大空へ早く飛び立てるようにがんばりますので、よろしくお願いいたします。
古林オルカはエンジニア中心の会社で、企画やデザイナーが考える「これを作りたい」ということを実現できるエンジニアがいます。パブリッシャーに依頼されたものを、依頼された以上のクオリティーに作り上げる姿勢でがんばりますので、引き続きよろしくお願いいたします。