連載最終回で引用された過去コラムをご紹介!(その3)
『大乱闘スマッシュブラザーズ』や『星のカービィ』など、数多くのヒット作を生み出してきた稀代のゲームデザイナー桜井政博氏が、週刊ファミ通にて連載を続けてきた人気コラム「桜井政博のゲームについて思うこと」。2003年以来、なんと18年7ヵ月にわたって綴られてきたこのコラムが、いよいよ今週、最終回を迎え、長い歴史に幕を下ろします。
最終回が掲載される週刊ファミ通2021年11月18日号(2021年11月4日発売)は、特集も桜井さん、表紙も桜井さんの、桜井さん特大号としてお届け!
本稿は、最終回に向けたカウントダウン企画の第3回。週刊ファミ通で過去に掲載されたコラムの中から、最終回のコラム内で引用されている回を公開します。2021年11月4日発売の週刊ファミ通に掲載されるコラム最終回と合わせてご覧ください!
今回紹介したコラムは、単行本第5巻『桜井政博のゲームを遊んで思うこと』、単行本第7巻『桜井政博のゲームを作って思うこと2』に収録されています。単行本はKindleでいつでも購入できるので、もっと読みたいと思った方は、ぜひ購入をご検討ください。
『桜井政博のゲームを遊んで思うこと Kindle版』購入はこちら 『桜井政博のゲームを作って思うこと2 Kindle版』購入はこちら※以下、単行本より引用して紹介します。
VOL.357 お客さまは神様ですと?
週刊ファミ通2010年12月2日号掲載
※単行本『桜井政博のゲームを遊んで思うこと』収録。
※掲載当時の内容に、一部ファミ通編集部が編集を加えたうえで掲載しています。
台風がやってきたある日。素早く昼食をとるため、某所のケンタッキーフライドチキンに入りました。いわゆる店内お召し上がりで。
あんまりフライドチキンは食べないけれど、ケンタッキーには“和風チキンカツサンド”などがある。これはハンバーガー感覚でいただけておいしいのです。
そこで、やってしまった。
会計を済ませ、トレイを手渡された直後のこと。手に提げていたカサが、レジカウンターに引っかかり、トレイが傾いた。滑り落ちるMサイズのコップ。バシャンと音を立て、散らばるコカコーラ・ゼロと氷。あ~あ、やってもうた!
しかしすかさず店員さんが「申し訳ありません! すぐに替わりをご用意いたしますので!!」と言う。いやいやいや。いまのはわたしのせいですから! 申し訳ないのはこちらです。お代は払います。お店を汚してしまって、どうもスミマセン。しかし、「本当に申し訳ありませんでした!」。「お召し物は大丈夫でしょうか!?」と店員さん。何度か支払いを申し出たのですが、速やかにコーラの替わりを用意され、禁煙席に着いたのでした。
お客に明らかな過失があっても、速やかにフォロー。サービス業として、行き届いているんだなぁと感心しました。こういった対処はガイドライン化されているのでしょう。少なくとも、わたしの中では、ケンタッキーフライドチキンの好感度が上がりました。
……と、ここまで読んでみていかがでしょう? サービス業だから当然、と思った方、手を挙げて。
これからヒジョーに当たり前のことを書きますが。
もしスタッフ側なら、サービスに全力を傾けるのは良いことだと思います。予測できる限りの可能性を考えておくのが良いでしょう。
逆に、サービスを受ける側なら、お客だからと横柄に、何でも提供すべしと思うべきではありません。
お金を払ったのだから、王様のように対応されて当然、と思い込んでしまうと、けっきょく自分の幅を狭めてしまいます。現に、わたしは今回のことでいろいろ感心し、コーラ1杯の価格を超えた価値ありと思っているのですが、これがふつうだ、あるいはけしからんと思ってしまうようであれば、誰にも何も生み出しません。
故・三波春夫氏による「お客様は神様です」という名言は、誰もが聞いたことがあるでしょう。これは、三波氏の真意と異なった形で伝えられていると、公式サイトで語られています。もとの意味からかけ離れた使いかたをされ、クレーマーの恰好の言い分になるのは心外だと。これは三波氏とそのステージを楽しまんとする、客席にいるお客様に対してのメッセージであり、商店や飲食店などの客のことではないとのことです。
とくにWeb上において、しばしばゲーム内容に必要以上のクレームを付けている書き込みを見かけます。ごくごく小さなバランスの不備、気に入らない点などを執拗に責め、ほかにどんな良さがあろうと踏みにじらんとばかりに。
これは一般論です。作った側を擁護するわけでもないし、文句を言うなというわけでもない。しかし、誰トクなのだろうと思います。
いくばくかの溜飲を下げるため、みずからが楽しめる可能性を下げ、大きくソンをしている。おまけに他人を傷付ける場合もある。
ポジティブシンキングが必ずしもいいわけではないけれど、短い自分の人生は、より楽しく過ごせたほうがいいんじゃないかなぁと余計なことを考えるわけです。人にしたことは、大抵自分に帰ってきます。
何においてもお互い様です。
VOL.428 ゲームの歌、どれだけありそう?
週刊ファミ通2013年6月14日号掲載
※単行本『桜井政博のゲームを遊んで思うこと2』収録。
※掲載当時の内容に、一部ファミ通編集部が編集を加えたうえで掲載しています。
クラブニンテンドーのプレゼントで、『Wii カラオケ U』の1年分使用権が当たってしまった。カラオケなんて、10年ぐらい行ってないのに。いいの? いいのか!?
さっそく『死ね死ね団のうた』を入れて……じゃなかった。せっかくだから、ゲームにゆかりのある曲がどれだけあるのか、思いつく範囲でぽちぽち入れてみましたよ。まぁ、『光』(『キングダム ハーツ』)や、『Eyes On Me』、(『FFVIII』)、『愛のうた』(『ピクミン』)などは当然あるだろうから置いておいて。さぁ、キミが知っている曲はどれだけ書いてあるかな!?
『花』(『俺の屍を越えてゆけ』)……ある。
『電車でGO!GO!GO!』(『電車でGO!』)……ある。このあたりは安定でしょう。
『夢で終わらせない』(『バイオハザード』)……ない。洋画的な『バイオハザード』をクリアーしたら、いきなり流れた歌謡曲。忘れられない。
『ピエトロの旅立ち』(『ポポロクロイス物語』)……ある。
『ICO -You Ware There-』(『ICO』)……ある。
『どんなときでもひとりじゃない』(『ワイルドアームズ セカンド イグニッション』)……ある。
『ロコロコのうた』(『LocoRoco』)……ある。安定のSCE系。すべていい曲です。
『Live&Learn』(『ソニックアドベンチャー2』)……ある。なんと、ある! 『スマブラX』でソニック紹介ムービーにも起用した曲です。
『アシュリーのテーマ』(『メイド イン ワリオ』シリーズ)……ない。
『ドキッ!こういうのが恋なの?』(『リズム天国』)……ある。か~もね、オイッ!
『君は人のためにレンタヒーローになれるか』(『レンタヒーロー』)……ない。
『セガガガ・マーチ』(『セガガガ』)……ない。
『サムライガンマン 斬 ザ・ザーン』(『ライジング ザン ザ・サムライガンマン』)……ない。ちょっとマニアックだったか。
『大江戸戦士トノサマン』(『逆転裁判』シリーズ)……ない。
『恋の抑止力』(『メタルギア ソリッド ピースウォーカー』)……ない。これらはいわゆる挿入歌。あっても不思議はない人気度だと思いますけどね。
『POLLYANNA(I BELIEVEIN YOU)』(『MOTHER』)……ある。
『Love Song探して』(『ドラゴンクエストII』)……ある。これらはゲーム曲を用いたイメージソング。後者は“ふっかつのじゅもん”を入れるときの曲で、近年でも超おなじみ。
『Never More』(『ペルソナ4』)……ない。
『Way To Fall』(『メタルギア ソリッド3 スネークイーター』)……ある。
『俺の右手はゴッドハンド』(『ゴッドハンド』)……ない。
『世界はそれでも変わりはしない』(『428』)……ある。これらはエンディング曲。 『Never More』は、タイトル画面でインストゥルメンタル、エンディング画面で歌という粋な演出が。 『俺の右手はゴッドハンド』は、個人的にぶっちぎりのステキスタッフロールだと思います。
『片翼の天使』(『FFVII』)……ない。
『素敵だね』(『FFX』)……ない。ラテン語の前者はわかるけど、『素敵だね』もない? 意外だね……。
『塊オンザロック』(『塊魂』)……ない。
『すばらしき新世界』(『ナムコ クロス カプコン』)……ない。
『翔べるもの』(『ラストストーリー』)……ない。これらはいわゆるメインテーマ。タイアップ曲なら入りやすいのだろうけど、やはりゲームのために作られた曲のほうが好きですね。
そしてこれ以降は番外編……。
『ファイアーエムブレムのテーマ』(『ファイアーエムブレム』のCM)……ない。
『課長ファイター』(『ゲームセンターCX』)……ない。
『セガサターン、シロ!』(せがた三四郎の歌)……ある。せがた三四郎があって『エムブレム』がないとな! メーカーで収録曲の違いがあるのかも。
歌の力はすばらしい。作品を記憶に残します。スキあらば自分の作品にも入れたいのだけど、なかなか難しいのですよねー。
※引用ここまで
明日(2021年11月4日)はいよいよ、最終回が掲載される週刊ファミ通2021年11月18日号が発売となります。カウントダウン企画第4回も公開。お楽しみに!
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